フューマン

nandemoE

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衝突5

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 やがて救急車は到着し、大君は昴流と共に救急車へ乗った。輸血をしながら病院へと向かい、昴流は緊急で手術室へ入った。そこへ待っていたのは御面だった。

「手は尽くしているけれど……あんな状態じゃ」

 御面は涙を隠しきれずにいた。

「解っています。だからここへ来たんです」

「でも、いくら私にだって、救えないものもある。ここまで保ったのだって奇跡としか言いようがないのよ? ……複数の臓器がやられてるのに。心臓だって」

「だから、その臓器を持って来たんですよ」

「何を言っているの、貴方は?」

「昴流と約束したんです、父さんが何とかしてやるって。だから、俺の臓器を全部差し出します。昴流を助けてください」

「何を言っているの、そんなことをしたら貴方は! いいえ、それ以前にそんなこと出来る訳ないじゃない」

「まあ、そう言うと思ってました」

「ごめんなさい」

「でも、目の前に生きた人間ではなく、新鮮な臓器が転がっていたなら話は別でしょう? もう、こうするしか方法が無い」

「貴方、まさか!」

「いやあ、素晴らしい世界だった。俺はきっとこんな世界が見たかったから目覚めたんだなあ。大丈夫、きっとみんな幸せになれる。俺は信じてる」

 大君は満面の笑顔で一粒の錠剤を取り出して見せた。

「玉手箱、貰っておいて良かった。後は頼みます」

 そして、御面が止めようとするよりも早く、大君の身体は崩れ落ちた。

「みんなの生きる世界が、少しでも良い世界になりますように」
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