あなたの隣で愛を囁く

食事再開

　単純な術後イレウスだと分かった事で、カズくんは点滴の中にビタミン剤を入れ、食事を再開することとなった。

　カズくんの食事は高カロリーなゼリーがカップ２つ来る。
　味が何種類かあるのだが、カズくんは
「美味しくない」
と、言いながらなんとか食べる。

　点滴の成果もあってか、お腹の痛みも、日を追うごとに少しずつへいった。

　お通じやオナラも出るようになった。

　ガリガリで、まるで餓死寸前のような顔をしたカズくんの食事は、3週間もするとお粥にご飯が変わって行った。

　「お粥って、こんなに美味いんだなぁ」
と、ニコニコしながらご飯の様子を話してくれるカズくん。

　175cm、45Kgの体には、それでも栄養が全く足らない状態だったが、やっと口からモノを食べられるまでに状態は安定してきた。

　しかし、まだまだスタートしたばかりなのである。

　カズくんと私は、またもや大きな山を越えなくてはならなくなったのである。