【完結済み】私達はあなたを決して許しません

asami

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 私は、令嬢の名にふさわしい美しいドレスを身にまとい、煌びやかな舞踏会の真ん中で、ただ一人、孤独に佇んでいた。舞踏会の白いシャンデリアから降り注ぐ光は、私の心の闇を隠すことはできなかった。婚約者である王太子に、突然の婚約破棄を告げられたその日から、私の人生は崩れ落ちたのだ。



「ローズ、どうしたの?そんなに暗い顔をして…」



背後から声をかけてきたのは、私の妹、エリザだった。彼女は明るい金色の髪を揺らしながら、笑顔を見せる。彼女はいつも私を気遣ってくれるが、今はその笑顔が逆に私を苦しめた。妹は私が抱える痛みを知らない。知らないからこそ、無邪気に振る舞えるのだ。



「エリザ、私は…大丈夫」



言葉を絞り出すのがやっとだった。心の中では、王太子への復讐が渦巻いていた。彼は私を捨て、他の女性に目を向けている。その女性は、私と同じように美しいが、心は醜い。彼女の笑顔の裏には、私を貶める影が潜んでいる。



舞踏会が続く中、私はその場から逃げ出した。広間の外に出ると、薄暗い廊下が私を包み込む。誰もいない静寂の中、私は恐怖に駆られた。私の心の奥底で、何かが目覚めようとしている。私の復讐心が、恐ろしい力となって私を支配しようとしているのだ。



数日後、私は実家の古い書庫にこもり、呪術の書を手に取った。大昔から伝わるその書物には、復讐のための儀式が詳細に記されていた。ページをめくるたびに、背筋が寒くなり、心の中の闇がますます深まるのを感じた。しかし、私には選択肢がなかった。王太子とあの女性への復讐が私を生かしてくれる唯一の道だったのだ。



「お姉さま、何をしているの?」



エリザが書庫にやってきた。彼女は私の肩越しに本を覗き込み、その表情が驚きと不安に変わった。



「何でもないわ、エリザ。ちょっとした研究をしているだけ」



私の言葉には嘘が含まれていた。それを見抜いているのか、妹は警戒の色を隠せない。だが、私は気にしなかった。復讐のための準備を進めることが、私にとって最も大切なことだった。



その晩、私は儀式を行うことに決めた。夜の闇が深まる中、私は庭の奥にある古い井戸の前に立った。月明かりが井戸の中を照らし、何か不気味な雰囲気を醸し出していた。私は書物を手に持ち、呪文を唱え始めた。言葉が口をついて出るたびに、心の中の恐怖が高まった。



「私は復讐を求める。私の痛みを知るがいい…」



井戸の水面が波打ち、黒い影がゆらめく。その瞬間、私は背筋が凍る思いをした。何か恐ろしい力が私の周りを包み込み、私の心を支配しようとしているのだ。だが、私は立ち止まらなかった。復讐の炎が私を燃え立たせ、心の闇が私を引き寄せていた。



数日後、王太子は私の復讐の犠牲者となった。彼の周りには、呪いによって引き起こされた恐怖が立ちはだかる。彼は夢の中で私の姿を見、眠れぬ夜を過ごすことになった。私の怨念が彼を苦しめ、彼の心に刻まれることを願った。



だが、その復讐の過程で、私の心に変化が生じていくのを感じた。復讐心が私を包むにつれて、私は自分自身を見失っていた。そして、ある夜、エリザが再び私の書庫に来た。彼女の目には涙が浮かんでいた。



「お姉さま、どうか目を覚まして。あなたは本当にこれが望みなの?」



妹の言葉が突き刺さる。私は何をしているのか、何のために復讐を続けているのか分からなくなっていた。私は愛する妹を失いたくない。しかし、復讐のために選んだ道からは後戻りできない…。



その時、私は決意した。復讐の儀式を終わらせ、王太子との関係を断ち切ることを。だが、私の心の奥で眠っていた闇が、最後の抵抗を始めた。私の決意を打ち砕くかのように。



「お前は私を捨てたのだ。だから、私もお前を捨てる!」



声が響き渡ったのは、私の心の中だった。王太子への復讐は、私自身をも葬り去ろうとしていた。



最後の儀式の日、私は再び井戸の前に立った。もう逃げることはできない。私が手にした力は、呪いのように私を捉え、離れようとはしなかった。復讐のために、私はどれほどのものを失ったのか、自分を見失ったまま、井戸の中に身を投げた。



その瞬間、全てが闇に包まれた。私の復讐は成し遂げられたのだろうか。それとも、私自身がその犠牲となったのだろうか。もはや分からない。



エリザの泣き声が、どこか遠くから聞こえていた。私の心に残されたのは、かつての温かさと、今は冷たくなった自分の心だけだった。復讐の果てに、私は何を得たのだろうか。暗闇の中で、ただその問いが響き渡るばかりだった。
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