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asami

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第七十九話

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 ある町に、一人暮らしの中年男性がいました。彼の名前は佐藤で、毎晩必ず夜遅くまで働き、帰宅後は一人で過ごしていました。彼は自分の生活が安定していると感じていたものの、近頃は毎晩同じ夢に悩まされていました。夢の中で、彼は常に同じ場所に立っており、その場所には何もない空間と古びた電話が一台だけ置かれているのです。

ある晩、彼が仕事から帰宅すると、自宅の電話が鳴り続けていました。電話が鳴りっぱなしで、彼は少しイライラしながら受話器を取りました。しかし、電話の向こう側には誰もいませんでした。単なる間違い電話だろうと考え、彼は電話を切りました。

その夜、再び夢の中に同じ古びた電話が現れました。今度は電話が鳴り出し、受話器を取ると、低い声で「待っている」とだけ言われました。夢から覚めた彼は、怖い気持ちを抱えながらも、何事もないように過ごしました。

しかし、次の晩もまた電話が鳴り続けていました。受話器を取ると、再び誰もいないことを確認し、すぐに電話を切りました。彼はこのことがただの偶然だと考えたものの、その後も電話は毎晩鳴り続けました。

ある日、彼はついに電話の配線を切ることに決めました。これで問題が解決するだろうと信じていたのです。配線を切った後、夜が訪れ、彼は安心して眠りにつきました。しかし、その夜も夢の中で古びた電話が鳴り、受話器を取ると、またしても低い声で「待っている」とだけ言われました。

彼は恐怖に駆られ、ついに精神的に限界に達しました。次の朝、彼は電話が鳴り続ける原因を突き止めるため、専門の修理業者を呼ぶことに決めました。業者が調査した結果、電話機には何の異常もないことが確認されました。

それからも電話は鳴り続け、彼の精神状態は次第に悪化していきました。彼が電話の受話器を取ると、今度は何も言わず、ただ不気味な静けさが広がっていました。彼はその恐怖に耐えられず、ついには町を離れることを決意しました。

引っ越し先でも、彼は電話が鳴る恐怖から逃れることができませんでした。彼の新しい家でも、古びた電話の音が響き渡り、彼の生活は完全に支配されてしまいました。どこに行ってもその電話の声が付きまとうようで、彼は次第にその影に取り憑かれてしまったのです。

そして、彼の最期の時が訪れるとき、彼は夢の中でまたしても古びた電話の前に立っていました。受話器を取ると、電話の向こう側から低い声が再び聞こえました。「終わりだ」と。その瞬間、彼は目を覚ますことなく、そのまま姿を消してしまいました。

その後、彼の古い家は空き家となり、その電話が鳴り続けることはありませんでした。しかし、町の人々はその家を避けるようになり、誰もその家に近づくことはありませんでした。古びた電話は、ただ静かに鳴り続けるだけで、その恐怖の物語を語り続けているかのようでした。
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