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〈第十三話〉
しおりを挟むべっこう飴の様な飴色のプレートに、青白い月の光が反射する。日本語で書かれた半透明のプレートが、宙に浮かんだ。
【ステータス】ーーーーーーーーーーーーー
ナイトハルト・セラフィス
HP :350/350
MP :55/60
<スキル>
シナリオの確認
<称号>
転生者、女神に愛されし者、賢者、
氷雪の貴公子、割とお人好し、魔王の友人
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
……やっぱりか。
それでも思ったよりまともな自分のステータスに何処かホッとしつつ、ナイトハルトは“転生者”という称号に目を落とす。
たぶん、エリーはこの称号を見て、私を転生者だと判断したんだよな……ただ、エリーは何故このステータスから“転生者”という称号だけに焦点を……?
“賢者”、“女神に愛されし者”、“氷雪の貴公子”など、ナイトハルトのステータスには、他にもピックアップ出来そうな称号が多々存在する。
しかし、ナイトハルトのときも、シナリオ上のヒロインのときも、エリーは“転生者”という点だけに注目した発言をしていた。
……壁一面に書かれた古代文字、転生者、そして日本語で書かれた、『ここに訪れた者は幸い』の一文。
自分の中で何かが繋がり始めたナイトハルトは、少し複雑な気分になりながら、その横の“女神に愛されし者”という称号に目に止める。
“女神に愛されし者”。これは確か、ヒロインが最初から持っていた称号だった様な……。
“転生者”も“女神に愛されし者”も、初期プレイヤー、つまり、ヒロインが最初から持っていた称号である。
ヒロインや、私をこの世界に転生させたのが、ここに書かれている女神だとして、だとすれば、“女神に愛されし者”の称号の効果は?
スマホ版ゲーム、「月が出る夜に恋をして」では、ステータスプレートの、称号の部分をタップすると、解説画面が表示される様になっていたなと思い出したナイトハルトは、割とお人好しと書かれた称号の文字の部分に触れる。
すると、称号の前に小さなウィンドウが現れ、称号の意味が表示された。
≪女神に愛されし者≫
幸運度が上昇する。恋愛関係が大幅に発展し易くなる。
おおぅ……マジの助?
我が身に僅《わず》かな危機感を覚えつつ、「婚約者一筋っ!」と自分に喝を入れたナイトハルトは、“賢者”の称号を軽く目でスルーしつつ、その下の二つの称号に目を落とす。
“氷雪の貴公子”? あと、“割とお人好し”……。
何のことかね? と割とそう本気で思いつつ、ナイトハルトは“割とお人好し”と書かれた称号をタップする。
≪割とお人好し≫
この人に任せれば、大抵のことはなんとかしてくれる。
……女神様、嘘を載せたらいかんよ。
そんな馬鹿なと、苦笑いしたナイトハルトは、“割とお人好し”の称号を見なかったことにして、実は意外にも一番気になっていた称号、“氷雪の貴公子”をタップした。
≪氷雪の貴公子≫
氷雪の貴公子って…………ププッ。
女神様ァァァ‼︎
“女神様割とやんちゃ説”を提唱し始めたナイトハルトは、心の中で何かを諦め、次の称号、“魔王の友人”の詳細を確認しようと手を伸ばす。
しかし、そこでステータスプレートをいじり、魔力を消費していたことによる魔力切れを起こし、ナイトハルトは糸が切れた様に深い眠りへと落ちていった。
※
《シナリオに改善が見られます……》
《シナリオに改善が見られました》
《魔王エリュシオンのシナリオの解放条件を一部満たしました》
《魔王エリュシオンについての一部のシナリオを開示しますか?》
ナイトハルトは、寝苦しそうに返事をする。
「滞在……許可する…………」
《魔王エリュシオンについての一部のシナリオが解放されます》
※
大人姿のエリーの周りを、黒いフードを被った六人の老人達が、険しい顔をして取り囲む。
「人間の小娘に肩入れするとは‼︎ まさか、我らとの同盟を忘れた訳ではあるまいな‼︎」
老人の一人がそう問いただすとエリーは面倒臭そうな渋顔をし、「チッ」と舌打ちする。
六人の老人達とエリーが、全く進展の押し問答を続けていると、六人の老人達を割る様に一人の魔王が現れた。
真っ赤な角を二本額から生やし、派手なローブを羽織った筋骨隆々のその魔王は、エリーの肩にするりと手を回すと、真紅の目を細め、ニヤリと笑った。
「まぁまぁ、そう責め立てるな。誰にも恋心は止められぬ。なぁ、盟友よ?」
まるでキスをする直前の恋人の様に、エリーの顎をクイっと持ち上げる赤い角の魔王を、エリーは面倒臭そうなものを見る目で、グイッと押し返す。
「寄るな変態」
「ふふふ。そう、照れるな」
割と本気で嫌そうな顔をするエリーを、赤い角の魔王は全く物ともせず、エリーの髪にキスをする。
「ふふふ。わかってやれ、エリュシオン。あの木っ端元老院供は、現在存在する八人の魔王の中で我の次に強力な魔力を持つお主が、人間側についてしまうのではないかと不安なのだ。どうだ? ここは一つ、決して我らを裏切らないという誓約を立ててはくれまいか?」
「……わかった」
破ればその身に災厄を被る誓約。エリーは少し渋い顔をしながら、その誓約を赤い角の魔王や、六人の元老院達と交わす。
六人の元老院はホッとした顔をし、エリーはしつこく迫る赤い角の魔王を押しのけて、黒い風と共に姿を消した。
※
ハッと目が醒める。
ナイトハルトが慌てて横を見ると、体にシーツを巻きつけ、あどけない顔でスヤスヤと眠っている黒髪の美少年こと、エリーが布団を占領していた。
ホッと胸を撫で下ろし、やれやれと、仕方のないものを見る目でエリーを見る。
そ~っとエリーの髪の間に指を通して頭を撫でれば、「んんっ……」とまだ寝足りないとでも言いたげな声を上げて、エリーは頭をシーツの中へと埋めた。
ナイトハルトは小さな溜息を吐く。
「あんまり、遠くへ行くなよ……」
微かな声でそう呟くと、ナイトハルトは新しい学習教材、実践型の魔法をリジーと共に教わりに行くという今日一番のイベントの為に、出かける支度を始めるのであった。
※
ナイトハルトの居ない王太子の部屋で、エリーがパチッと目を覚ます。
「どういう意味だったのだ? あれは……」
コテンッと首を傾げ、そうポソッと呟いた。
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うわぁぁぁ、嬉しい!!
感想、ご指摘、本当にありがとうございます!
(>人<)
たぶん誤字です(^^;)えへっ☆
頑張ります!!(;๑•̀ㅂ•́)و✧
いやー、好きです(笑)男色でもいいのではないかとww婚約者も望んでいそう(笑)
うふふ、そうですね。
(*´ω`*)
想像するだけなら、攻略対象×ナイトハルト……いけますね。
でも、やっぱりリジーを大事にしたいって思ってるだろうから、ナイトハルトは浮気はしなさそう……是非妄想で(๑•̀ㅂ•́)و✧
麗さん マジ有能(`・ω・´)
れいさん? うららさん?
(>人<;)、ちょっと誤字が……
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れいさんです。
ふふふ、この設定はもう出せるかどうか分からないので話すと、麗さんは五人兄弟の四女です。
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