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Episode1
【Episode1(1)】
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光が収まると同時に、下卑た笑い声が聞こえてきた。
「がははは! 動けないだろう、異世界野郎!」
唾を飛ばしながら豪快に笑う大男は、腕力担当のバスカだ。バスカは勝利を確信していた。ニヤニヤとしたまま余裕の足取りで律に近づいていく。
律はピタリとも動かない。
律の足元には転移用の魔法陣とは、別の魔法陣が展開されている。これは相手の動きを止める為の魔法陣だ。転移してきた異世界人は、全員がレベル1の異世界人。例え優秀なスキルを持っていたとしても、最大レベルの比較的優秀な魔法陣展開スキルの前に、普通は全くなす術がない。
それは、律の動きを止める為の物だった。
だったのだが――
「おい、バスカ」
律にちょっかいをかけようとしていたバスカが振り返る。
振り返ると、五人の仲間の内一人の頭にナイフがささっていた。
ナイフが刺さった男はそのまま仰向けに倒れた。
「……何寝てんだ?」
バスカが首を傾げる。それもその筈、そこに倒れているナイフの刺さった男は、読心術というスキルの使い手、カルネだ。
いつの間にナイフが刺さったのか、バスカは直ぐには理解できなかった。バスカにさっき声を掛けたのは、紛れもなくこの男、カルネだ。
バスカが振り返る一瞬の隙を突いて、何処かから投げられたナイフは、綺麗にカルネの眉間を貫いていた。
そして、それは本来、致命傷になる筈のない傷であった。
カルネは、レベル1の転移者にナイフ一本で倒される様な弱い男ではない。例えナイフが頭に刺さったとしても、スキルとレベルという価値観が絶対的なこの世界で、それが原因だけで死に至るなどという事はあり得ないのだ。
バスカは、顔を顰めて律の方に振り返た。
その瞬間、狙っていた様にバスカの両頸動脈を律のナイフが引き裂いた。
都合の悪い魔法を呪いと呼び、それを打ち消す力のあるスキル、”死神”。
前代未聞のこのスキルを前にして、動きを止めるなどという単純な魔法に効果はない。回復の魔法も、身体強化の魔法も意味をなさない。
前かがみに倒れた男バスカは、そのまま首から血を吹き出し、大量出血という名の至極当たり前の、単純な物理法則で命を落とした。
「アイテムボックス」
「やろぉ‼︎ 舐めやがって‼」
剣を振り上げ、斬りつけようとしてきた男の頭に穴が空く。
律がバスカの死体の陰から使用した拳銃、それはサイレンサ―付きのコルトパイソンという、リボルバー式の拳銃だ。
律が二歩下がる、カルネとゾフが倒れた時点で、もうこの部屋に遠距離攻撃が出来る奴はいない。
但し、転移魔法を使える男を除けば。
「そこま――」
突然律の真後ろに現れた男のあご下に、予め用意されていた銃弾がもう一発、間髪入れずに打ちこまれる。
律はどうやって、どの様に、どの位置で、この転移してきた男ゾフがいつも殺しをやっていたかを事前によく調べていた。女神様に頼み込んで、それはそれは丁寧に、何度も何度も、この男が人を殺すシーンを映像で確認していた。
律がニィと笑う。
男の頭頂部が吹っ飛び、律の周りに血の雨が降った。
「後ろを取るのがお好きでしたね」
「ひっ、ひぃぃぃぃ‼」
前からしてきた悲鳴にハッとした律は、さっと表情を手で隠す。
最後に残された魔導服を着た男、ゴラアナはその一瞬の表情に只ならぬ悪寒を覚えた。ただでさえ有り得ない状況であるにも関わらず、彼が最も畏怖の念を抱いたのは、律の表情だった。
ゴラアナは尻もちをつき、ガタガタと怯えながら後ろにあとずさる。
律が、転移・不動の魔法陣を作り出した男の前までゆっくりと歩みを進める。
その男は有能であった。魔法陣を作り出す能力はこの世界でもとても珍しい。そしてそれらを使い熟すまでには、相当な時間と修練が必要だ。
普通だったら味方に引き込みたくなる、貴族や喉から手が出るほど欲しいと思う様なその男を、律は思い切り踏みつけた。
「ひぃぃぃぃ! 助け――」
ぶれることのない狙いとともに、乾いた短い音がした。
律は跳ね返り、頬に着いた魔導士の血を拭った。
「ステータス、オープン」
誰もいなくなった召喚用の部屋で、律のステータスが開らかれる。
そこには、取得可能なスキルの情報が並べられており、律はその中から幾つかのスキルを選び取った。
『読心術Lv.1を取得しました』
『転移Lv.1を取得しました』
『筋力強化Lv.1を取得しました』
『水魔法Lv.1を取得しました』
『魔法陣作成Lv.1を取得しました』
こんなものか。
律は、自分のアイテムボックスの中から幾つかの武器を選び、準備を整える。
厄介なスキルを持つ七人の内、五人が消えた。
残り二人、その他を入れて十三人。
律は、魔導士の服をはぎ取り、魔導書を手に取る。
魔導書を真っ二つにし、ビリビリに破くと、ライターで火を付けた。
これでもう誰かが呼ばれることはない。
律は、そのままその部屋を出た。
部屋の前で、監視二人が酒を飲んでいる。
二人とも顔を真っ赤にし、一人は酔いつぶれて眠っている。
「あ、ゴラァナ様。お疲れ様れぇぇす!」
酔った監視員が声をかける。
フードの深い、ゴラァナと呼ばれる魔導士の服を着た男が、起きている方の監視員に近づく。
「ゴラァナさ――」
一人の頭が吹き飛ぶ。
律が、音が出ないように片手で倒れかける体を支えると、その横のもう一つの頭に向かって発砲した。
後、十一人。
隣の部屋から、張りのある男の声がする。
「我々は魔王を復活させ、世界に再び混沌という名の安寧をもたらしめるのだ‼」
どんな理屈だ。
中で歓声が上がる。
……ここは、頭のおかしい連中の巣窟の様だ。
律は部屋の外の壁にコンポジションC-4という、アメリカ産の遠隔操作型プラスチック爆弾を一つずつセットしていく。
胸ポケットから煙草を一本取り出すと、歩きながら火を付けた。
「ふぅー……」
カチッ、という音と共に、耳を裂くような爆発音。
後ろでオレンジ色の火が上がり、ごうごうと音を立てて燃え始めた。
残り、五人。
「アイテムボックス」
律は、コルトパイソンを腰に差し、銃をもう一丁取り出す。
それは、律が持っている中で最も珍しく高価な銃。
折り畳み式の小銃、二式小銃だ。
第二次世界大戦の真只中に日本軍によって開発されたこの銃は、数が少なく、折り畳み式かつ狙撃にも使用できるという点から、マニア達の間では高値で取引されている。
このうち三人は、山に向かって逃げるんだっけ?
律が構える。
スコープの中に映る三人の男達の頭を順番にそして的確に、一人づつ撃ち抜く。
あと、二人。
狙撃用の銃をアイテムボックスにしまい、コルトパイソンを引き抜く。律は向かい側の小屋へ向かって歩いた。
律が、向かい側の小屋の前で寝たふりを決め込んでいる老人の方へ、ゆっくりと歩く。
「やぁ、はじめまして! 異世界から転移してきた者なんですが」
一瞬震えた老人が、冷や汗をかいて狸寝入りを決め込む。
「残念ながら、貴方のお仲間はみんな死んでしまいましたよ? そこでどうです? 取引しませんか?」
「と、取引?」
老人が目を開ける。
律は老人に向かって同じ歩調で歩く。
「えぇ、取引です。この世界のことについて色々教えてくれませんか? 通貨に、言語に、食べ物に、病気。そういうのを教えてくれる人が必要で――」
老人の目の前まで歩いた律が、老人の頬に向かって伸ばしていた手を急に翻し、デコピンをした。
「何をする。わしが必要なんじゃぁ……」
顔を真っ青にし、くるくると目を回し始めた老人が、泡を吹いて倒れる。
律は、ステータスを開いた。
「ステータス、オープン」
律が、取得できるスキルの一覧が並ぶ。
カリスマ、向かない。
調理、出来る。
模写、いらない。
見つけた、索敵。この老人が持っていたスキルは、これと……。
律が、スキルリストの中から、寝ずの番というスキルを見つけ、じっと見つめる。
寝ずの番とは、寝なくても疲労しない、眠くならないという効果を持っている、MPを消費しないの常時発動型スキルだ。
この老人はこのスキルを持っていたから、眠らずとも生きてこられた、いや、眠るという習慣を持いなかった。
だが、人間の体を単純な物理法則に当てはめるならば、眠らないという事はそのまま死へと直結する。
もしも、突然そのスキルの効果を無効化され、単純な物理法則に従うような体にされてしまったのならば、老人は数か月、場合によっては数年間分の不眠という呪いによって、死んでしまう。
律が、デコピン一つで老人を殺すことが出来たのはそういう訳だった。
寝ずの番……いらない。
律は、欲しいスキルを選択する。
『索敵Lv.1を取得しました』
律が、小屋のドアを開ける。
「ひっ!」
「いやぁ……」
小屋の中で、他の村から生贄として集められた人達が、肩を寄せ合っていた。
何人いる?
律が数を数える。
思ったよりも大規模に行われていた生贄計画に、少し驚く。
「あの、この子だけは……どうかこの子だけは‼」
母親にせがまれるままになっている律は、そのまま人質の顔を一人一人確認していく。
違う、違う、違う、違う……あ。
「いたいた」
男に向かって銃を向ける。
木を隠すなら森の中。生贄のフリをしていた男が、雄叫びを上げながら律に飛びついた。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ” ‼︎」
カシュッ。
短く軽い音が鳴る。
腕に軽い負荷のかかるその一発で、男の頭が吹き飛んだ。
生贄に集められた人達が、一斉に叫び声をあげる。
「いやぁぁぁぁ‼︎」
「た、助けてくれっ‼︎ まだ死にたくないっ‼︎」
…………どうしよう。
律はカリスマのスキルを取っておかなかったことを、少し後悔した。
「がははは! 動けないだろう、異世界野郎!」
唾を飛ばしながら豪快に笑う大男は、腕力担当のバスカだ。バスカは勝利を確信していた。ニヤニヤとしたまま余裕の足取りで律に近づいていく。
律はピタリとも動かない。
律の足元には転移用の魔法陣とは、別の魔法陣が展開されている。これは相手の動きを止める為の魔法陣だ。転移してきた異世界人は、全員がレベル1の異世界人。例え優秀なスキルを持っていたとしても、最大レベルの比較的優秀な魔法陣展開スキルの前に、普通は全くなす術がない。
それは、律の動きを止める為の物だった。
だったのだが――
「おい、バスカ」
律にちょっかいをかけようとしていたバスカが振り返る。
振り返ると、五人の仲間の内一人の頭にナイフがささっていた。
ナイフが刺さった男はそのまま仰向けに倒れた。
「……何寝てんだ?」
バスカが首を傾げる。それもその筈、そこに倒れているナイフの刺さった男は、読心術というスキルの使い手、カルネだ。
いつの間にナイフが刺さったのか、バスカは直ぐには理解できなかった。バスカにさっき声を掛けたのは、紛れもなくこの男、カルネだ。
バスカが振り返る一瞬の隙を突いて、何処かから投げられたナイフは、綺麗にカルネの眉間を貫いていた。
そして、それは本来、致命傷になる筈のない傷であった。
カルネは、レベル1の転移者にナイフ一本で倒される様な弱い男ではない。例えナイフが頭に刺さったとしても、スキルとレベルという価値観が絶対的なこの世界で、それが原因だけで死に至るなどという事はあり得ないのだ。
バスカは、顔を顰めて律の方に振り返た。
その瞬間、狙っていた様にバスカの両頸動脈を律のナイフが引き裂いた。
都合の悪い魔法を呪いと呼び、それを打ち消す力のあるスキル、”死神”。
前代未聞のこのスキルを前にして、動きを止めるなどという単純な魔法に効果はない。回復の魔法も、身体強化の魔法も意味をなさない。
前かがみに倒れた男バスカは、そのまま首から血を吹き出し、大量出血という名の至極当たり前の、単純な物理法則で命を落とした。
「アイテムボックス」
「やろぉ‼︎ 舐めやがって‼」
剣を振り上げ、斬りつけようとしてきた男の頭に穴が空く。
律がバスカの死体の陰から使用した拳銃、それはサイレンサ―付きのコルトパイソンという、リボルバー式の拳銃だ。
律が二歩下がる、カルネとゾフが倒れた時点で、もうこの部屋に遠距離攻撃が出来る奴はいない。
但し、転移魔法を使える男を除けば。
「そこま――」
突然律の真後ろに現れた男のあご下に、予め用意されていた銃弾がもう一発、間髪入れずに打ちこまれる。
律はどうやって、どの様に、どの位置で、この転移してきた男ゾフがいつも殺しをやっていたかを事前によく調べていた。女神様に頼み込んで、それはそれは丁寧に、何度も何度も、この男が人を殺すシーンを映像で確認していた。
律がニィと笑う。
男の頭頂部が吹っ飛び、律の周りに血の雨が降った。
「後ろを取るのがお好きでしたね」
「ひっ、ひぃぃぃぃ‼」
前からしてきた悲鳴にハッとした律は、さっと表情を手で隠す。
最後に残された魔導服を着た男、ゴラアナはその一瞬の表情に只ならぬ悪寒を覚えた。ただでさえ有り得ない状況であるにも関わらず、彼が最も畏怖の念を抱いたのは、律の表情だった。
ゴラアナは尻もちをつき、ガタガタと怯えながら後ろにあとずさる。
律が、転移・不動の魔法陣を作り出した男の前までゆっくりと歩みを進める。
その男は有能であった。魔法陣を作り出す能力はこの世界でもとても珍しい。そしてそれらを使い熟すまでには、相当な時間と修練が必要だ。
普通だったら味方に引き込みたくなる、貴族や喉から手が出るほど欲しいと思う様なその男を、律は思い切り踏みつけた。
「ひぃぃぃぃ! 助け――」
ぶれることのない狙いとともに、乾いた短い音がした。
律は跳ね返り、頬に着いた魔導士の血を拭った。
「ステータス、オープン」
誰もいなくなった召喚用の部屋で、律のステータスが開らかれる。
そこには、取得可能なスキルの情報が並べられており、律はその中から幾つかのスキルを選び取った。
『読心術Lv.1を取得しました』
『転移Lv.1を取得しました』
『筋力強化Lv.1を取得しました』
『水魔法Lv.1を取得しました』
『魔法陣作成Lv.1を取得しました』
こんなものか。
律は、自分のアイテムボックスの中から幾つかの武器を選び、準備を整える。
厄介なスキルを持つ七人の内、五人が消えた。
残り二人、その他を入れて十三人。
律は、魔導士の服をはぎ取り、魔導書を手に取る。
魔導書を真っ二つにし、ビリビリに破くと、ライターで火を付けた。
これでもう誰かが呼ばれることはない。
律は、そのままその部屋を出た。
部屋の前で、監視二人が酒を飲んでいる。
二人とも顔を真っ赤にし、一人は酔いつぶれて眠っている。
「あ、ゴラァナ様。お疲れ様れぇぇす!」
酔った監視員が声をかける。
フードの深い、ゴラァナと呼ばれる魔導士の服を着た男が、起きている方の監視員に近づく。
「ゴラァナさ――」
一人の頭が吹き飛ぶ。
律が、音が出ないように片手で倒れかける体を支えると、その横のもう一つの頭に向かって発砲した。
後、十一人。
隣の部屋から、張りのある男の声がする。
「我々は魔王を復活させ、世界に再び混沌という名の安寧をもたらしめるのだ‼」
どんな理屈だ。
中で歓声が上がる。
……ここは、頭のおかしい連中の巣窟の様だ。
律は部屋の外の壁にコンポジションC-4という、アメリカ産の遠隔操作型プラスチック爆弾を一つずつセットしていく。
胸ポケットから煙草を一本取り出すと、歩きながら火を付けた。
「ふぅー……」
カチッ、という音と共に、耳を裂くような爆発音。
後ろでオレンジ色の火が上がり、ごうごうと音を立てて燃え始めた。
残り、五人。
「アイテムボックス」
律は、コルトパイソンを腰に差し、銃をもう一丁取り出す。
それは、律が持っている中で最も珍しく高価な銃。
折り畳み式の小銃、二式小銃だ。
第二次世界大戦の真只中に日本軍によって開発されたこの銃は、数が少なく、折り畳み式かつ狙撃にも使用できるという点から、マニア達の間では高値で取引されている。
このうち三人は、山に向かって逃げるんだっけ?
律が構える。
スコープの中に映る三人の男達の頭を順番にそして的確に、一人づつ撃ち抜く。
あと、二人。
狙撃用の銃をアイテムボックスにしまい、コルトパイソンを引き抜く。律は向かい側の小屋へ向かって歩いた。
律が、向かい側の小屋の前で寝たふりを決め込んでいる老人の方へ、ゆっくりと歩く。
「やぁ、はじめまして! 異世界から転移してきた者なんですが」
一瞬震えた老人が、冷や汗をかいて狸寝入りを決め込む。
「残念ながら、貴方のお仲間はみんな死んでしまいましたよ? そこでどうです? 取引しませんか?」
「と、取引?」
老人が目を開ける。
律は老人に向かって同じ歩調で歩く。
「えぇ、取引です。この世界のことについて色々教えてくれませんか? 通貨に、言語に、食べ物に、病気。そういうのを教えてくれる人が必要で――」
老人の目の前まで歩いた律が、老人の頬に向かって伸ばしていた手を急に翻し、デコピンをした。
「何をする。わしが必要なんじゃぁ……」
顔を真っ青にし、くるくると目を回し始めた老人が、泡を吹いて倒れる。
律は、ステータスを開いた。
「ステータス、オープン」
律が、取得できるスキルの一覧が並ぶ。
カリスマ、向かない。
調理、出来る。
模写、いらない。
見つけた、索敵。この老人が持っていたスキルは、これと……。
律が、スキルリストの中から、寝ずの番というスキルを見つけ、じっと見つめる。
寝ずの番とは、寝なくても疲労しない、眠くならないという効果を持っている、MPを消費しないの常時発動型スキルだ。
この老人はこのスキルを持っていたから、眠らずとも生きてこられた、いや、眠るという習慣を持いなかった。
だが、人間の体を単純な物理法則に当てはめるならば、眠らないという事はそのまま死へと直結する。
もしも、突然そのスキルの効果を無効化され、単純な物理法則に従うような体にされてしまったのならば、老人は数か月、場合によっては数年間分の不眠という呪いによって、死んでしまう。
律が、デコピン一つで老人を殺すことが出来たのはそういう訳だった。
寝ずの番……いらない。
律は、欲しいスキルを選択する。
『索敵Lv.1を取得しました』
律が、小屋のドアを開ける。
「ひっ!」
「いやぁ……」
小屋の中で、他の村から生贄として集められた人達が、肩を寄せ合っていた。
何人いる?
律が数を数える。
思ったよりも大規模に行われていた生贄計画に、少し驚く。
「あの、この子だけは……どうかこの子だけは‼」
母親にせがまれるままになっている律は、そのまま人質の顔を一人一人確認していく。
違う、違う、違う、違う……あ。
「いたいた」
男に向かって銃を向ける。
木を隠すなら森の中。生贄のフリをしていた男が、雄叫びを上げながら律に飛びついた。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ” ‼︎」
カシュッ。
短く軽い音が鳴る。
腕に軽い負荷のかかるその一発で、男の頭が吹き飛んだ。
生贄に集められた人達が、一斉に叫び声をあげる。
「いやぁぁぁぁ‼︎」
「た、助けてくれっ‼︎ まだ死にたくないっ‼︎」
…………どうしよう。
律はカリスマのスキルを取っておかなかったことを、少し後悔した。
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