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40話
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三日後、俺は師匠と謁見の間にいた。
「リッツ、そしてミレイユよ。魔物の群れを退けたこと、国を代表し感謝する」
「いえ、魔物はすべての人間にとって脅威です。国は違えど助けが必要であれば協力するのは当然のこと。むしろ我ら『紅蓮の風』を受け入れてくださり誠に感謝致します」
閃いた名案というのは、俺がやってしまった魔物討伐の功績を『紅蓮の風』に丸投げしてしまおうという作戦だった――というか、もうこれしかなかった。
偵察隊の皆さんには「国の間で問題になるといけないから黙っていた」というとても雑な嘘をついたが、奇跡的にも師匠たちは国を離れたということで見事な収まりをみせた。
日頃の行いが良かったのかもしれない、今度教会に行ってお祈りしよう。
「今回の活躍を評し、お主ら『紅蓮の風』に報酬を与えたいのだが希望はあるか?」
「もし我儘が許されるのであれば我らに鍛錬場の使用許可を頂きたい。流浪の身とはいえ、これでも元は騎士団、鍛錬を怠ってしまえば救える者も救えなくなってしまう」
「ふむ、素晴らしい心掛けだ。ならばお主たちにはすべての鍛錬場の使用許可を与える。あとは滞在場所だが」
「王様、そちらに関してはリッツがお屋敷を頂いたとお聞きしました。リッツは以前、我らと同じ屋根で過ごした仲間でもあるため、そこで厄介になろうと考えております」
「リッツよ。お主はそれで構わぬか?」
「はい。一人で住むには大きいですし、みんなとの生活は慣れたものがありますので」
「ならば『紅蓮の風』には屋敷の滞在を許可しよう。何か必要なものがあれば言うがいい、ある程度はこちらで揃えよう」
「ありがとうございます」
礼を言って城を出るとニエとアンジェロ、そしてウェッジさんがやってくる。
ほかのみんなはさすがに目立ちすぎるからファーデン家で留守番だ。
「リッツ様、どうでしたか」
「ばっちりだ。一時はどうなるかと思ったけど師匠がいてくれて助かったよ」
「まったく、やっと見つけたと思えば問題ばかりで……あんたは何にも変わってないわねぇ」
俺は師匠に会ってすぐに事情を聞いた。まさかとは思ったが、師匠たちは元々先代国王に仕えてたのであって、現国王は普段から気に入らなかったらしい。
その流れでレブラント家の長男、ティーナの兄と知り合いファーデン家へきたとのことだったが、これがとんでもない屑野郎だったらしく、ティーナを見た全員が彼女を絶賛していた。
同じ野郎共にすらここまで嫌われる男って逆に見てみたい気もするが……。
そして一番ヤバかったのは師匠だ。ニエが妻と言い出した瞬間――――やめておこう。思い出すだけでも背筋が凍る……。とにかく、なんとか説得して今に至るわけだ。
「そんじゃリッツの屋敷にみんなを集めるか。教会の裏手だったよな?」
「はい、ただし全員で移動すると目立ちすぎるので、別れてきてくださいね」
ウェッジさんはひらひらと手を振りながら去って行った。
「それじゃ俺たちも……っとその前に、師匠こっちにきてください」
森の中へ入るとアンジェロが大きくなる。
「こ、これは……!」
「実はこいつ、神獣でまだ謎だらけなんですけど、こうやって大きくなれるんです」
「素晴らしいもふ――毛並みをしているわね。撫でてもいいかしら?」
「えぇ、むしろ乗ってみます? 俺とニエが乗れるので師匠もいけますよ」
アンジェロに聞いてみると嬉しそうに姿勢を低くして師匠をみる。
「……いや、それは遠慮しておこう。獣だって選ぶ権利というものがある。神獣なら尚更何かありそうだしな。それに、私は走ったほうが速い。あとで抱かせてくれれば十分だ」
「ははは、確かにそうでしたね。それじゃ行きましょうか」
俺たちは教会裏にある屋敷へ向かう。ちょうど昨日、屋敷の掃除が終わったと連絡があって鍵をもらったばかりだった。
鍵を開け中に入ると綺麗に掃除されており、最低限必要なものも設置されていた。
「なかなかいいところじゃない。作りもしっかりしているし、住み手が出入りしやすいように配慮されている。畑もちょっと手入れすればすぐに使えそうね」
「部屋の割り当てはどうしましょう? さすがに全員分の部屋はないので相部屋をお願いするしかなさそうですが」
「あいつらは適当にまとめておけば大丈夫、あとはこの子の部屋をどうするかだけど」
「私はリッツ様と同じ部屋であればほかの方がいようと平気です。いつものように朝をご一緒に迎えられるだけで私は十分なのですから」
ニエは笑顔で応えると自分の頬に手を添えた。
「ちょっ!? 何言って――」
俺の頭に師匠の手が舞い降りる。
「……一緒に朝を迎えただって? どういうことかしら?」
「いや、これはその、間違いで! 着替えくらいしか……あぎゃーーーーーーーーーー!!」
結局アンジェロもいるということと、ニエなりの事情があるということを汲んで、俺とニエとアンジェロは一緒の部屋に決まった。
もちろん、すぐ隣の部屋に師匠が入るという条件付きだが。
「リッツ、そしてミレイユよ。魔物の群れを退けたこと、国を代表し感謝する」
「いえ、魔物はすべての人間にとって脅威です。国は違えど助けが必要であれば協力するのは当然のこと。むしろ我ら『紅蓮の風』を受け入れてくださり誠に感謝致します」
閃いた名案というのは、俺がやってしまった魔物討伐の功績を『紅蓮の風』に丸投げしてしまおうという作戦だった――というか、もうこれしかなかった。
偵察隊の皆さんには「国の間で問題になるといけないから黙っていた」というとても雑な嘘をついたが、奇跡的にも師匠たちは国を離れたということで見事な収まりをみせた。
日頃の行いが良かったのかもしれない、今度教会に行ってお祈りしよう。
「今回の活躍を評し、お主ら『紅蓮の風』に報酬を与えたいのだが希望はあるか?」
「もし我儘が許されるのであれば我らに鍛錬場の使用許可を頂きたい。流浪の身とはいえ、これでも元は騎士団、鍛錬を怠ってしまえば救える者も救えなくなってしまう」
「ふむ、素晴らしい心掛けだ。ならばお主たちにはすべての鍛錬場の使用許可を与える。あとは滞在場所だが」
「王様、そちらに関してはリッツがお屋敷を頂いたとお聞きしました。リッツは以前、我らと同じ屋根で過ごした仲間でもあるため、そこで厄介になろうと考えております」
「リッツよ。お主はそれで構わぬか?」
「はい。一人で住むには大きいですし、みんなとの生活は慣れたものがありますので」
「ならば『紅蓮の風』には屋敷の滞在を許可しよう。何か必要なものがあれば言うがいい、ある程度はこちらで揃えよう」
「ありがとうございます」
礼を言って城を出るとニエとアンジェロ、そしてウェッジさんがやってくる。
ほかのみんなはさすがに目立ちすぎるからファーデン家で留守番だ。
「リッツ様、どうでしたか」
「ばっちりだ。一時はどうなるかと思ったけど師匠がいてくれて助かったよ」
「まったく、やっと見つけたと思えば問題ばかりで……あんたは何にも変わってないわねぇ」
俺は師匠に会ってすぐに事情を聞いた。まさかとは思ったが、師匠たちは元々先代国王に仕えてたのであって、現国王は普段から気に入らなかったらしい。
その流れでレブラント家の長男、ティーナの兄と知り合いファーデン家へきたとのことだったが、これがとんでもない屑野郎だったらしく、ティーナを見た全員が彼女を絶賛していた。
同じ野郎共にすらここまで嫌われる男って逆に見てみたい気もするが……。
そして一番ヤバかったのは師匠だ。ニエが妻と言い出した瞬間――――やめておこう。思い出すだけでも背筋が凍る……。とにかく、なんとか説得して今に至るわけだ。
「そんじゃリッツの屋敷にみんなを集めるか。教会の裏手だったよな?」
「はい、ただし全員で移動すると目立ちすぎるので、別れてきてくださいね」
ウェッジさんはひらひらと手を振りながら去って行った。
「それじゃ俺たちも……っとその前に、師匠こっちにきてください」
森の中へ入るとアンジェロが大きくなる。
「こ、これは……!」
「実はこいつ、神獣でまだ謎だらけなんですけど、こうやって大きくなれるんです」
「素晴らしいもふ――毛並みをしているわね。撫でてもいいかしら?」
「えぇ、むしろ乗ってみます? 俺とニエが乗れるので師匠もいけますよ」
アンジェロに聞いてみると嬉しそうに姿勢を低くして師匠をみる。
「……いや、それは遠慮しておこう。獣だって選ぶ権利というものがある。神獣なら尚更何かありそうだしな。それに、私は走ったほうが速い。あとで抱かせてくれれば十分だ」
「ははは、確かにそうでしたね。それじゃ行きましょうか」
俺たちは教会裏にある屋敷へ向かう。ちょうど昨日、屋敷の掃除が終わったと連絡があって鍵をもらったばかりだった。
鍵を開け中に入ると綺麗に掃除されており、最低限必要なものも設置されていた。
「なかなかいいところじゃない。作りもしっかりしているし、住み手が出入りしやすいように配慮されている。畑もちょっと手入れすればすぐに使えそうね」
「部屋の割り当てはどうしましょう? さすがに全員分の部屋はないので相部屋をお願いするしかなさそうですが」
「あいつらは適当にまとめておけば大丈夫、あとはこの子の部屋をどうするかだけど」
「私はリッツ様と同じ部屋であればほかの方がいようと平気です。いつものように朝をご一緒に迎えられるだけで私は十分なのですから」
ニエは笑顔で応えると自分の頬に手を添えた。
「ちょっ!? 何言って――」
俺の頭に師匠の手が舞い降りる。
「……一緒に朝を迎えただって? どういうことかしら?」
「いや、これはその、間違いで! 着替えくらいしか……あぎゃーーーーーーーーーー!!」
結局アンジェロもいるということと、ニエなりの事情があるということを汲んで、俺とニエとアンジェロは一緒の部屋に決まった。
もちろん、すぐ隣の部屋に師匠が入るという条件付きだが。
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