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42話

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 翌朝、俺たちは畑を使ってある計画を立てた。

 これがうまくいけば俺とニエは多少なりとも稼ぐことができる。アンジェロの食欲も増えてきてるし、聖人だからとふんぞり返っているわけにはいかない。せめて表向きだけでも頑張ってますアピールをみせなければならない!

「リッツ様、この種はこちらでよろしいでしょうか?」

「もう少し右のほうがいいかな――うん、そのあたり!」

 アンジェロが土を掘りニエが種を蒔く。みんなも手伝うと言ったがこれは俺たちだけで一からやることに意味がある。

 思えば師匠には助けられてばかりだったしいい加減自立しなければな。

「よし、これくらいにしよう。あとは数日待つだけだ」

「まだ半分以上残ってますがいいんですか?」

「今日植えたのは成長が早いからな、そっちが落ち着いてからでいいだろう。片付けは俺がやっておくからアンジェロと風呂で汚れを落としてくるといい」

「私も最後までやります! ですので後でご一緒に」

「入らないぞ」

「残念です。それではお手を煩わせてしまうといけませんから先にお風呂に行ってますね。アンジェロ、行きましょう」

「ワン!」

 片付けも終わり木陰で横になる。

 ふぅ~……昔はよくこうしてたな……。

 ――――

 ――

「…………ん?」

 いつの間にか閉じていた目を開けるとニエが隣でアンジェロを撫でていた。

「あ、お目覚めですか」

「……あぁ寝ちゃってたか」

「私が戻ってからそれほど経っていませんから、もう少しお休みになっても大丈夫ですよ。とても気持ち良さそうでしたし、私ももう少し眺めていたいので」

「そこは起こせよ」

 アンジェロを撫で立ち上がると体をほぐす。

「それじゃ俺も風呂に行ってくる。戻ったら昼食にしよう」

「それでは私はお着換えを持って――」

「ニエは留守番も兼ねて支度を頼む。なんなら街に食べに行ってもいいがどうする?」

「街にいくのもいいですが少しでもリッツ様と一緒にいるとなるとこちらですね。よろしければ私が昼食をお作りしますか?」

「ニエは料理ができるのか?」

「えぇ少しばかりであれば。お口に合うかはわかりませんが精一杯やらせて頂きます」

「それじゃあお願い、材料は自由に使っていいからな」

 風呂から上がるとテーブルには野菜と焼き魚が綺麗に盛り付けられており、味も十分に美味しい。そして料理が食べ終わるとニエはお茶を出してきた。

「ん? これ、どこかで嗅いだような……」

 匂いを気にしつつもお茶を口に含むと、とても懐かしい味がする。

「これはどうやって作ったんだ?」

「薬草と香草をブレンドしたものです。お口に合いませんでしたか?」

「いや、すごく美味しいよ!」

 ついでに俺はあることを思い出していた。

「このお茶ってまだ残ってる?」

「おかわりならこの容器にまだあります」

「全部もらっていいか? 計画にこれも足せば、もう少し稼ぎも安定するんじゃないかと思ってさ。秘伝のレシピとかなら断ってくれていい」

「構いませんよ、リッツ様のために作ったので。作り方を紙に書いておきましょうか?」

「いや、まずはこれだけで十分だ。ありがとう」

 片付けが終わると俺たちは教会の裏手へ向かった。すっかり教会のシスター方とは仲良くなり、正門だと信者が騒ぐ可能性もあるためこうして裏から入ることを許してもらっている。

「あら、皆さん揃って何か御用でしょうか」

「お茶を淹れたんだけどどうかなと思ってさ。ついでにみんなの感想も聞きたいんだ」

「それはありがたいですね、私たちも食事を終えたばかりでしたのでちょうどいいです」

 シスターたちが休憩してる部屋に案内されると、俺は鞄からニエの作ったお茶を取り出す。

「普通の香草茶にしては少し香りが違うみたいですが――」

 各々が香りについて感想を言い飲み始める。

「あらとても美味しい。それになんだか元気が湧いてくるような……」

「そうね、なんだか体が軽くなったような気がするわ」

「リッツ様、これはいったいなんのお茶なんですか?」

「こいつは香草と薬草を合わせて作ったもので、多分だけどそのおかげで少しは回復の効果があるのかもしれないな。ニエが作ってくれたんだけど、もし好評なら販売でもしてみようかなと思って」

「それはいいですね。ただ、茶に使うだけの薬草となると結構な額になってしまうのでは?」

「それに関しては心配いらない。実は畑を始めてね、そこで薬草を栽培しようと思ってるんだ。量だってそこまで作る気はないし、正直俺たちが食っていけるだけ稼げればいいからな」

「それならば問題ありませんね。畑ができたら見に行ってもよろしいでしょうか?」

「あぁ、数日もすれば少しは出来上がってるはずだ。そのときにまた呼びにくるよ」

 家に戻るとニエと一緒に残ったお茶を飲む。俺が子どもの頃によく飲んでいた味だった。
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