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121話
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なぜか最近、夕食になると変な料理ばかり出される。先日は蛇のような魚、その次は新鮮な内臓、そして目の前には謎の甲羅が置いてある。
「なぁニエ、これって……何?」
「すいつきという魚でハリスさんに教えて頂きました! これでもうバッキバキらしいです!」
「何言ってんの?」
笑顔でガッツポーズするニエをみているとハリスが料理を運んでくる。
「リッツ様、本日は大変冷え込みましたので鍋をご用意致しました」
「お~そりゃあありがたい。やっぱり寒い日はみんなで鍋だよな!」
どんな料理が出てくるか心配だったが匂いもいいし見た目も悪くない。
「すいつきって確か精力――」
「兄さん、野暮なことはいわないの。一途な乙女の努力を無駄にするつもり?」
ウムトが何か言いかけたがリヤンは気にするなと手を振る。
「さぁリッツ様、いっぱい食べてくださいね!」
温かい鍋料理に舌鼓をするとあっという間に平らげてしまう。
あまり食べたことない味だったがたまにはこういうのもいいもんだな。
食後の香草茶を飲んでいるとハリスが手紙を持ってくる。
「リッツ様、本日街に行った際ファーデン家の使いから受け取りました。先日の使用人の件で進捗があったとのことです」
「ついに来たか! さっそく読んでみよう」
手紙を開き確認すると内容をみんなに伝える。
「近々この国に来るらしい、その際は教会に知らせを出すと。どうやらハリスのときみたいに自分の眼でみろということだな」
リヤンがお茶を啜ると口を開く。
「今度はどうするつもり? 正直、ハリスほど腕がある人材が来るとは思えないわよ」
「ん~掃除とか料理ができれば十分だからな。そこまでの腕は期待してないよ」
「リッツ様、お言葉ですが使用人といえど口の軽い者も多くおります。ここは慎重に検討なさってみては?」
ハリスのいうことはもっともだ。万が一でもペラペラと家の事情を喋られでもしたら困る。
不死の兄妹に神獣、そして聖人という肩書き――これまでは一応問題なく過ごしてきたが本来であれば身を隠して過ごさなければいけないくらいだろう。
噂では貴族が俺に対し接触しようとしているらしいがハリスやファーデン家、そして師匠たち『紅蓮の風』がそれを阻止していると耳にしたことがあった。
「面倒事だけは避けたいからな……。よし、あの人に力を借りよう」
◇
数日後、俺はファーデン家の屋敷にいた。
「バトラさん、突然お邪魔してすいません」
「いえいえ、そろそろお戻りになられる頃ですのでこちらをどうぞ」
バトラさんが出してくれたお茶を飲み待っていると部屋の扉がノックされる。
「ティーナお嬢様がお戻りになられました」
使用人の声が聞こえるとバトラさんが扉を開けティーナとエレナさんを招き入れる。
「リッツさん、ご無沙汰しておりました!」
「やぁティーナ、エレナさんも元気そうだね」
「リッツさんのほうも色々と大変だったとお聞きしましたが、本日はどういったご用件で?」
「ちょっとエレナさんにお願いしたいことがあってさ」
「私ですか?」
俺は使用人の件をエレナさんに話すと何か案はないか尋ねた。
「――なるほど、そういうことでしたら私に考えがあります」
そういって笑顔を作ったエレナさんはどこか楽しんでいるような気がした。
「なぁニエ、これって……何?」
「すいつきという魚でハリスさんに教えて頂きました! これでもうバッキバキらしいです!」
「何言ってんの?」
笑顔でガッツポーズするニエをみているとハリスが料理を運んでくる。
「リッツ様、本日は大変冷え込みましたので鍋をご用意致しました」
「お~そりゃあありがたい。やっぱり寒い日はみんなで鍋だよな!」
どんな料理が出てくるか心配だったが匂いもいいし見た目も悪くない。
「すいつきって確か精力――」
「兄さん、野暮なことはいわないの。一途な乙女の努力を無駄にするつもり?」
ウムトが何か言いかけたがリヤンは気にするなと手を振る。
「さぁリッツ様、いっぱい食べてくださいね!」
温かい鍋料理に舌鼓をするとあっという間に平らげてしまう。
あまり食べたことない味だったがたまにはこういうのもいいもんだな。
食後の香草茶を飲んでいるとハリスが手紙を持ってくる。
「リッツ様、本日街に行った際ファーデン家の使いから受け取りました。先日の使用人の件で進捗があったとのことです」
「ついに来たか! さっそく読んでみよう」
手紙を開き確認すると内容をみんなに伝える。
「近々この国に来るらしい、その際は教会に知らせを出すと。どうやらハリスのときみたいに自分の眼でみろということだな」
リヤンがお茶を啜ると口を開く。
「今度はどうするつもり? 正直、ハリスほど腕がある人材が来るとは思えないわよ」
「ん~掃除とか料理ができれば十分だからな。そこまでの腕は期待してないよ」
「リッツ様、お言葉ですが使用人といえど口の軽い者も多くおります。ここは慎重に検討なさってみては?」
ハリスのいうことはもっともだ。万が一でもペラペラと家の事情を喋られでもしたら困る。
不死の兄妹に神獣、そして聖人という肩書き――これまでは一応問題なく過ごしてきたが本来であれば身を隠して過ごさなければいけないくらいだろう。
噂では貴族が俺に対し接触しようとしているらしいがハリスやファーデン家、そして師匠たち『紅蓮の風』がそれを阻止していると耳にしたことがあった。
「面倒事だけは避けたいからな……。よし、あの人に力を借りよう」
◇
数日後、俺はファーデン家の屋敷にいた。
「バトラさん、突然お邪魔してすいません」
「いえいえ、そろそろお戻りになられる頃ですのでこちらをどうぞ」
バトラさんが出してくれたお茶を飲み待っていると部屋の扉がノックされる。
「ティーナお嬢様がお戻りになられました」
使用人の声が聞こえるとバトラさんが扉を開けティーナとエレナさんを招き入れる。
「リッツさん、ご無沙汰しておりました!」
「やぁティーナ、エレナさんも元気そうだね」
「リッツさんのほうも色々と大変だったとお聞きしましたが、本日はどういったご用件で?」
「ちょっとエレナさんにお願いしたいことがあってさ」
「私ですか?」
俺は使用人の件をエレナさんに話すと何か案はないか尋ねた。
「――なるほど、そういうことでしたら私に考えがあります」
そういって笑顔を作ったエレナさんはどこか楽しんでいるような気がした。
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