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第二章 <断罪阻止>
プロローグ <失われた国宝>
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暖かな春風が吹く心地良い日だというのに、ヘルビアナ国筆頭公爵令嬢のローズ・ネーションは薄暗い地下に居た。
もちろん、ここに春風が届くことはない。
「ふむ……」
「いや、『ふむ』じゃないよローズ。どうしてこんな所に来るんだい!?」
その隣で焦っているのは、ローズの婚約者でありヘルビアナ国王太子のアシュガ・ヘルビアナ。
美しい深い青髪は、王家の色と言われているが、この薄暗い場所ではその美しさはわかりにくくなっている。
「王太子妃になってからでは色々と都合が悪いからですわ」
「それにしたって、どうして私を連れてくるのかな?」
「アシュガ様が居ればどこに行っても大抵許されるかと思いまして……」
ここは、王宮の地下、秘密の通路である。
「……ここ、何に使うつもりなんだい……」
「お忍びで町に出る時です」
「……もう、私は何も言わないよ……」
そう言ってアシュガはため息をついた。
「あれ?」
「今度はなんだい、ローズ……」
「誰か居た気がしたのですが……気のせいですよね、ここ王族しか知らないですし……」
その『王族しか知らない場所』を何故ローズが知っているかと言うと、彼女は転生者だからである。
そう、ここは前世のローズもやりこんでいた大人気乙女ゲーム、〝フラワー・キス〟の世界なのだ!
ローズは攻略対象と婚約し、ヒロインを虐めたおして断罪される悪役令嬢である。
その未来を回避するためにアシュガとの婚約を阻止しようと奔走していたのだが……婚約阻止を阻止され、今はアシュガの婚約者である。
「……うん、ローズ、色々と言いたい事はあるけれどここは王族しか入れないはずだから大丈夫だよ。ローズは入っているけれど。」
ここは、ダンジョンの〝王宮の地下〟なのだ。
……なんの捻りも無い名前だが、本当に〝王宮の地下〟なのである。
このダンジョンには隠し部屋があり、そこにはヒロインの魔法の強化ができる指輪があるのだ。
ちなみに、ずいぶん前に失われた国宝である。
……よくよく考えるとヒロインさん、失われた国宝を勝手に使っちゃってるんですよね。
まぁそれは置いておいて、この指輪があるとアシュガの攻略が物凄く簡単になるという、面白いのか面白くないのかよくわからない追加効果もある指輪なのだ。
主に二つ目の効果を阻止するため、ローズはアシュガを連れて隠し部屋を探しに行っている。
……あとは、お忍びで町に行く時の下見も兼ねている。
「……ここだ。」
「ローズ?出口はまだ先だよ」
そこは一見するとただの岩の壁である。
その場所に魔力を込めると……
「……!?」
「よしっ」
ゴゴゴゴ……と音が鳴って、大岩が動きだす。
そこには宝箱が……
「……ないですね」
「え?たしかに、なにもないけど……そもそも、王宮の地下にこんな隠し部屋があったなんて……」
……ヒロイン、か。
本当なら、見つけられるのは2年目からのはずだったのだが……やはり彼女は転生者なのか。
「……帰りましょう。」
「ローズ、なんでこんな場所を知っているのかきいてもいいよね」
にっこり、と笑うアシュガ様。
……まずい。ここは、覚えたての速く走れる魔法を使って逃げよう。
「……風よ、我が意に応え」
「だめだよ、ローズ。」
ローズは、婚約者から逃れる事はできないのだった。
もちろん、ここに春風が届くことはない。
「ふむ……」
「いや、『ふむ』じゃないよローズ。どうしてこんな所に来るんだい!?」
その隣で焦っているのは、ローズの婚約者でありヘルビアナ国王太子のアシュガ・ヘルビアナ。
美しい深い青髪は、王家の色と言われているが、この薄暗い場所ではその美しさはわかりにくくなっている。
「王太子妃になってからでは色々と都合が悪いからですわ」
「それにしたって、どうして私を連れてくるのかな?」
「アシュガ様が居ればどこに行っても大抵許されるかと思いまして……」
ここは、王宮の地下、秘密の通路である。
「……ここ、何に使うつもりなんだい……」
「お忍びで町に出る時です」
「……もう、私は何も言わないよ……」
そう言ってアシュガはため息をついた。
「あれ?」
「今度はなんだい、ローズ……」
「誰か居た気がしたのですが……気のせいですよね、ここ王族しか知らないですし……」
その『王族しか知らない場所』を何故ローズが知っているかと言うと、彼女は転生者だからである。
そう、ここは前世のローズもやりこんでいた大人気乙女ゲーム、〝フラワー・キス〟の世界なのだ!
ローズは攻略対象と婚約し、ヒロインを虐めたおして断罪される悪役令嬢である。
その未来を回避するためにアシュガとの婚約を阻止しようと奔走していたのだが……婚約阻止を阻止され、今はアシュガの婚約者である。
「……うん、ローズ、色々と言いたい事はあるけれどここは王族しか入れないはずだから大丈夫だよ。ローズは入っているけれど。」
ここは、ダンジョンの〝王宮の地下〟なのだ。
……なんの捻りも無い名前だが、本当に〝王宮の地下〟なのである。
このダンジョンには隠し部屋があり、そこにはヒロインの魔法の強化ができる指輪があるのだ。
ちなみに、ずいぶん前に失われた国宝である。
……よくよく考えるとヒロインさん、失われた国宝を勝手に使っちゃってるんですよね。
まぁそれは置いておいて、この指輪があるとアシュガの攻略が物凄く簡単になるという、面白いのか面白くないのかよくわからない追加効果もある指輪なのだ。
主に二つ目の効果を阻止するため、ローズはアシュガを連れて隠し部屋を探しに行っている。
……あとは、お忍びで町に行く時の下見も兼ねている。
「……ここだ。」
「ローズ?出口はまだ先だよ」
そこは一見するとただの岩の壁である。
その場所に魔力を込めると……
「……!?」
「よしっ」
ゴゴゴゴ……と音が鳴って、大岩が動きだす。
そこには宝箱が……
「……ないですね」
「え?たしかに、なにもないけど……そもそも、王宮の地下にこんな隠し部屋があったなんて……」
……ヒロイン、か。
本当なら、見つけられるのは2年目からのはずだったのだが……やはり彼女は転生者なのか。
「……帰りましょう。」
「ローズ、なんでこんな場所を知っているのかきいてもいいよね」
にっこり、と笑うアシュガ様。
……まずい。ここは、覚えたての速く走れる魔法を使って逃げよう。
「……風よ、我が意に応え」
「だめだよ、ローズ。」
ローズは、婚約者から逃れる事はできないのだった。
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