悪役令嬢になりたくないので婚約を阻止しようとしましたが、いつのまにか王子様に溺愛されています。

えるる

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第二章 <断罪阻止>

第17話 <海デートⅠ>

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「とても可愛いよ」
「ありがとうございます、アシュガ様」

 試験が終わった、次の日。
 昨夜の約束でワクワクして朝早くに起きたローズだが、アシュガの部屋を訪ねたのはお昼時まであと少しか、という時間だった。
 ――理由は簡単、服選びに時間が掛かったのである。
 結局、水色のワンピースとアシュガから贈られた髪飾りをつけてデートに挑むこととなった。

 そう、今日は久しぶりにアシュガ様とお出かけなのだ!
 前回お出かけした時、私が誘拐されてしまったせいで外に出るのが難しく、なかなかお出かけすることはできなかった。
 ……だから、服選びに時間が掛かっても仕方がないと思う。

 ローズは、心の中で言い訳をした。

 アシュガ様の服はかなりラフな感じだったが、普段と違う印象でこれも良い。
 やっぱり、アシュガ様は何を着てもかっこいい。

「私に見惚れてくれたの?」

 バレてる!?
 アシュガ様怖い……恐ろしや……。

「ま、まさか。違いますよ」
「図星なんだね。焦るローズも可愛い。」

 焦る私が可愛いってどういうこと!?
 と思ったけど聞くとろくなことにならなそうだ。

 どちらからともなく手を繋いで、学園の外の馬車に乗り込んだ。
 カラリと晴れた空には、雲一つない。

「そういえば、今日はどこに行くのですか?」
「今日はね、海に行こうと思うんだ」
「海……ですか?」

 海。
 間違いなく、あの海のことであろう。
 しかし、今は夏ではない。たしかに暑くなってきてはいるが、もうすぐ梅雨という季節だ。
 前世の感覚で考えると海に行く季節ではない。

「うん、そうだよ。たまにはいつもと違う所でピクニックをしてみようと思って。」
「あぁ、ピクニックですね。楽しみです」

 何処に行くにしても、アシュガ様と行けるのなら楽しみだ。

 そんな考えが浮かび、心の中で苦笑する。
 こんなにも好きなんだな、と改めて思う。

「それにしても、どうして突然ピクニックに行こうと思ったんですか?」

 アシュガ様は、いつもこんなに急に予定を入れたりはしない。
 遅くとも前日の昼には伝えてくれているのに、今回は前日の夜だった。

「大したことじゃないよ。それよりローズは海に行ったことはある?」
「いえ、初めてですね……」

 今世では。

「とても良い景色だよ。潮の香りがとても爽やかでね――」

 なんだかはぐらかされた気がする。

 ☆.。.:*・゜*:.。..。.:+・゜:.。.:*・゜+

 浜辺までつくと、馬車から降りて目的地まで歩くことにした。

「すごい……」
「ふふ、我が国の自慢のビーチだよ」

 青くキラキラと光る海。前世で見た海よりとても綺麗だった。
 先ほども言ったように海という季節ではないのに、前世で言う海の家だろうか、海辺のカフェには人が賑わっている。
 ビーチにも散歩やピクニックにくる人が多い。

 不安定な砂浜を歩くとき、踵の低い靴にしてきてよかったと心の底から思った。
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