異世界に来たからといってヒロインとは限らない

あろまりん

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留学帰国後 〜王宮編〜

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日当たりの良い廊下。
窓から差し込む暖かな太陽に目を細めながら、シリス殿下は私を見下ろす。それはとても優しい目の色。



「やっぱり、叶いませんね貴方には」

「え?」

「そんな質問をしてきたのは、貴方くらいですよ?コーネリア姫」



…王子様相手にする質問じゃなかったか。
ここはやっぱり幼い頃から教育を受けた貴族のお嬢様じゃない所よねえ。だってこれまで身近にそんなセレブいなかったもの。何考えてるか、何思ってるかピンと気やしないのよね。



「・・・すみません、気を悪くしました?」

「いいえ、そんな事ありませんよ。思ってもなかった質問をされて、むしろ頭の中の霧が晴れるようです」

「何か悩んでました?シリス殿下」

「少し、ね。王太子になってからこれまで以上に『王族』として考えなければならないこと、しなければならないことに忙殺されてましたね。
・・・ああ、唯一良かった事と言ったら、カークが成長して頼れるようになってきたこと、ですか?」

「カーク殿下が、ですか?」

「ええ。・・・書庫に着きましたね。
コーネリア姫、良ければもう少し私の話にお付き合いしてもらえませんか?その代わりと言ってはなんですが、私で良ければ書庫内の足場代わりになりますので」

「なんですか、それ。もしかして、高い棚にある本を取ってくださるとか?」

「ええ、どうです?書庫内にもそこそこ詳しいですし、使い勝手のいい足場だと思いますよ?」



パチリとウインク。
シリス殿下ったら、なんだかお茶目な仕草が増えたなあ。
さっきよりも数段砕けたようなロイヤルブルーの瞳の色に、私はこんな日もいいかな、と了承する。

もともと、書庫は私が来る日は立ち入り禁止となっている。
警備面の事もあるけれど、余計な貴族の接触を断つためだ。どうしても資料を取りたい場合は、オリアナや扉の前に立つ侍従…日替わりで色んな人が立つけど、その人が変わりに取ってくる。
…なんか大掛かりだけど、前に突撃してきた貴族のオジサンが居たので、国王陛下がそのように徹底させた。

ま、国王陛下たるルジェンダ様やシュレリア、エリー、両王子殿下は除外されるけど。
これまでたまに国王陛下も息抜きと称して来た事がある。30分で宰相職をしているゲオルグさんが迎えに来てたけどね。



「シリス殿下、お仕事は一区切り付いたんですか?」

「正直言いますと、煮詰まってしまってね。姫と話す事で何か閃きが得られないかと思っています」

「ふふ、時間が許すならいいですよ?お喋りしましょうか」

「感謝します、愛しい姫」



預けていた私の手の甲に口付ける。
はー、絵になるわなあ。シオンさんもフレンさんもだけど、やっぱりシリス殿下…絵になる…APPいくつかな…こそっと見ていいかな…?

先に扉を開けて入るシリス殿下の背中を見つつ、こっそり能力値解析ステータススキャン



「───うっ、やっぱり・・・」

「ん?どうかしましたかコーネリア姫」

「イエナンデモナイデス」



やはりというかなんというか、シリス殿下のAPPは18です。
アナスタシア並み…!王族は美形揃い…これはカーク殿下も16越えてそう。だってルジェンダ様もシュレリアも美形揃いだもの。

フツメンの私には…うらやま…ゲフンゲフン。
この魔法を習得した私はやってみましたよ?もちろん。だって気になるじゃない?自分がどのくらいの数値で評価されるのかって。

私の能力値はこちら。
STR 5、CON 8、POW 10、DEX 5、APP 10、SIZ 8、INT 15、EDU 15…驚く程の腕力と敏捷値の無さよ。APPはフツメンだし。しかしINTとEDUは思ったより高かった。
あれかしら、学校でなんやかんやよりも社会に出て色々と知識や経験がこうなったのかな?と考察しました。

え、シリス殿下?
STR 14、CON 15、POW 14、DEX 14、APP 18、SIZ 17、INT 14、EDU 15…何よこの差。鉄人ですか?

ちなみにフレンさんはSTR18でした。ゴリラです。



********************



書庫の内部は、魔法で書物が劣化しないように気温や湿度がベストになるように整えられている。
もちろん、1冊1冊にも、保存の為の魔法処理がされているそうだ。これも魔術研究所の人がしています。そういう部署があるんですって。

奥へ行くほど、貴重で厳重な管理がされた本が並ぶ。
魔法書、歴史書…そういった類の本だ。全て内容は予め検閲が入り、見てもいいものだけが入っている。
危ない本は魔術研究所でこっそり保管されてるんですって。もしかしたら『無名祭祀書』とか『エイボンの書』とかあるのかしら?SAN抉れるから見たくないけど。



「さて、姫のお目当てはここではないんでしたっけ」

「そうですね、『奥宮』です」

「心得ました」



書庫の奥。限られたものにのみ開かれる場所がある。
そこは王族に名を連ねる者ですら出入りは制限される。出入りが許可されるのは、国王陛下並びに、王太子であるシリス殿下。そしてゼクスさん、そして現在は私も入れる。

つまり、『タロットワークの叡智』が詰まった場所。
この国の始まりから今日に至るまでの歴史書と、タロットワーク一族が魔術の粋を集めて記した魔法書などが収めてある。

そこを『奥宮』と呼んでいるのだ。

私が主に調べているのは、過去の歴史書や魔法書。
これまでの調べで出てきた過去の記載や、関わりのありそうな魔法書を解読しているというわけ。

今回蓬琳で調べた異世界人の現れた時代のあたりを中心に、この国エル・エレミアで何か変わった記載がないかどうかを当たっている。

たまに息抜きで芸術書も見てるけどね。
綺麗な絵が書いてある本とか。お花の図鑑とか。結構向こう地球と似たような物があったりして、そこの違いを見つけるのも楽しい。



「私もたまにここに歴史書を見に来ます。過去に同じような事例が起こっていないか、などですが。詳細に記載してある事が多く、とても助かっているんですよ」

「そうですね、かなり微細に書いてありますものね。さぞかし几帳面な方がやってくださったのかと」

「今も記録係の者達は几帳面で真面目な者が多いですから。でも数年前からいい栄養剤が手に入るようになったからということで、かなり話題になっていましたよ」

「へえ、そうなんですか」

「ええ、なんでも魔術研究所から仕入れたとか」

「・・・そ、そうですか」

「私も飲んでみる時があるんですが、なんていうんでしょうね?なんだか気力が湧いてくるというか」

「ち、ちなみにそれ、瓶に何か絵とか・・・」

「ん?確か・・・羽の絵がついてましたね。コーネリア姫も飲んだことありますか?」



あああああああこんな所にも『翼を授けるボトル』が出回ってるぅー!!!魔術研究所だけだって言ってたのに!いつの間に!
しかも半分冗談で『翼を(以下略)』って言ってたらそれ絵になってるのーーー!?

どうやら疲れ切ったシリス殿下にはあのボトルはとても効くようで…なんでもかなり前からお世話になっている様子。



「効果があるんですが、1日1本までと書いてあるので使い所が重要なんですよ」

「あんまり・・・飲みすぎないようにした方が・・・」

「そうですね、あまり薬に頼るのもよくありませんから」



言えない。あれ作ったの私ですとか言えない。
中毒者がこれ以上…増えない事を望む…

あれっ?私、あれ作ってるだけでこの世界で手に職手に入れてるんじゃない?1人でも生活していけそう…?

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