異世界に再び来たら、ヒロイン…かもしれない?

あろまりん

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森の人編 ~魔渦乱舞~

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獅子王アルマとステュー。2人と話していると、不意に2人揃って怪獣バトルの方を向いた。
私も促されるように視線を向ける。すると、決着が着いたようで、ヤッ〇…ゲフンゲフン、雄々しい角鹿がぐったりした金色の竜種ドラゴンらしきものを銜えていた。

スタスタと私達の方へ近づく。



『苦労をかけた、愛し子タロットワーク、それに人族の戦士達よ』

「・・・それ、大丈夫なの?」

『もう悪さは出来まい。世界樹ユグドラシル魔力マナを吸い込み、己の欲望に突き動かされ道理を外れた者だ、永劫の闇へと送る』



なんか怖い事を言っています。永劫の闇ってなんですか?それってあの世へ送るって事ですよね?そう思いたい。なんかそれ以上救われない所へ送られる気がする。

ぐっ、と噛み砕くと、光の粒子となって散った。
あれだけ異彩を放っていたタイド統率者ボスは、世界樹の守護者エウリュケイオンによって討伐された。
…ん?これ、依頼クエストは達成した事になるの?



森の子供エルフ達よ、お前達にも面倒をかけたようだ』

「とんでもございません、森の主よ」



振り返ると、私と獅子王アルマ、ステュー以外のエルフ達は皆、頭を垂れていた。族長のディードさんのみが膝を着いた格好。オリアナ?いつの間にかいませんでした。一足先に戻ったのかな?
と、耳元に獅子王アルマの声が。



「先に、二陣と三陣に声をかけるってよ。郷に戻って休める支度をしておくそうだ」

「そ、そう」



耳元に囁かれるのは慣れない。シオンもそうだけど獅子王アルマの声もイケボなので、こんな時ではあるがドキッとする。



『我はこのまま世界樹ユグドラシルの元へ戻る。暫しの間であったが、其方の傍は楽しかった。またおいで、愛し子タロットワークよ』

「あっ、はい。ありがとうございました」

『礼を言うのはこちらだ。ディードリット、後は任せる』

「我等は常に森と共に」



『森と共に』ってきっと決まった挨拶なのよね。
そういえば最初、リーファラウラさんもディードさんへそう言っていたっけ。

ようやく収束した、タイド
私達も動けるようになった人から、ゆっくりと郷へ向かって帰るのだった。



********************



郷へ戻ると、待っていたエルフさん達が歓喜の声を上げて迎えてくれた。私はこっそり皆さんの間を塗って、族長宅へ戻る。
こんな時にイヴァルさんは全力で隠密スキルを使ってくれました。

オリアナが先に戻ってくれていただけあって、食事の用意からお風呂まで至れり尽くせりでした。
私もすとんと眠りにつき、清々しく次の日の朝を迎えた。



「昨日はお疲れ様でした、レディ」

「おはようございます、イヴァルさん、ディードさん」



平穏な族長宅での朝ごはん。
焼きたてパンに、野菜スープ。燻製肉…鶏肉でした。



「ははは、私達は蛇肉の燻製肉でしたが、レディはもう嫌だろうと思いましたから。これは鶏ですよ」

「すみません・・・」

「いえいえ、なんでもぐるぐる巻きにされたとか。それはちょっと所ではなく嫌でしょうからね」

「そうですね・・・一生分見たと思います」

「うーん、そうするとあまり外に出るのは避けた方がいいでしょうね」
「皆、終わった事に嬉しくなって、革の処理に精を出していますけら」

「うぐっ・・・」



どうやら、この郷に集まってきたパイソンスネーク。全て討ち取ったのはいいが、さすがに処理しきれなかった様子。
しかし、タイドが終わった事で、戻ってきた狩人さん達がパリピ状態になったとか。

皆さんで解体作業中だそうです。あれだけ見たのに捌けるとかどんなメンタルしてるの?凄くない?

ちなみに生きてる杖リビングワンドは広場でまたもや観葉植物状態です。毎朝皆さん拝むそうです。プチ世界樹ユグドラシルですね。あれこのままにして帰ろっかな。

教えた燻製肉の作り方は、皆にも広まり、燻す木を変えて色んな種類を試すのだという。凝り性のエルフの事だ、美味しいものがたくさんできるに違いない。
蛇革のお財布については、何故かがま口財布を作り続けている。がま口財布、気に入ったのかしら。

郷にいるのも目のやり場に困るし、暇なので、ディードさんがいい所に連れていってくれると言い出した。
なので、着いていく事にしました。エルフの皆さんには今日中になんとか捌いてもらって、明日は外に干さないようにしてくれるそうです。…ごめんなさい皆さん。



「皆、手が早いですから、捌くのは終わります。革や肉だけになってしまえば、レディもそこまで嫌ではないと思いますし」

「頭付きだとさすがに・・・辛くて・・・」



捌かれてしまえばね、まあなんとか。
頭付きでゴロンと転がってるのがね。子供達とか叩いて遊んでますけどね。ほんとに大丈夫なのね、恐れ入るわ。



「ところで、何処に向かってるんです?」

「ええ、世界樹ユグドラシルの庭に」

「・・・ハイ?」

「あれからですね、世界樹の守護者エウリュケイオン様より念話がありまして。レディを連れてきて欲しいと」



ここです、と大きな木の幹に、虚がある。
…ここ入ったらあのフクロウみたいな不思議な生き物の森に行ったりしませんか?お土産はドングリですか?



「えっと、その」

「すみません、私は許可されてないのでここまでです。帰りは森の主が示してくださいます。獅子王アルマ殿やオリアナ殿にはお伝えしておきますので」



申し訳なさそうに謝られる。
これは拒否できないやつ。仕方ないか。

私はそーっと虚の中へ。
屈んで通れるトンネルになっていて、向こう側から光が。
ずりずり這いずるように進み、トンネルの向こうへ抜ける。…トンネルの向こうは雪国ではありませんように。



********************



トンネルを抜けた先は、お花が咲き乱れる草原でした。
見上げた先には、透き通るほどの空のブルー
丘の先に、見事な大樹。てっぺんが霞みがかり、虹が出ている。…あれこそ虹の橋ビフレスト、なんじゃない?

その大樹を見つめながら、ゆっくり草原を歩く。
花が咲き乱れ、こここそが桃源郷アルカディアのようだ。小動物が走り回る場を見ると、彼等には幸福の地フェリシアなのかもしれない。



『ようこそ、愛し子タロットワーク

「お招き、ありがとうございます」

『其方には見せておきたかった。
─────この樹が世界樹ユグドラシル。私の分身だ』

「これが・・・」



悠久の大樹、そう呼ぶのが相応しい。
枝にはあの花が咲き、時折吹く優しい風には、ステューが見る風景のように金の粒子が見える。…魔力マナが可視化する程に強いということかしら。『塔』の研究者達が狂喜乱舞しそうだわ。

世界樹の守護者エウリュケイオンは、あの時見た大きな角鹿の姿のまま。そっと毛並みを撫でるとフサフサして気持ちいい。



『あの時、世界樹ユグドラシルの葉と花を与えてもらって助かった。葉だけでもよかったが、まさか花までとは。言葉が聞こえていたようには見えなかったが』

「ああ、あれは少し前に花を取ってしまって。使い道がなかったので食べるかな、と」

『あれで完全に戻る事ができた。感謝しても足りぬな。離れた地で世界樹ユグドラシルが花を咲かせるとは思わなかった。さすがは愛し子タロットワークよな』

「偶然、かと思っていましたが」

『この世に偶然などない。あるのは必然だけだ。
─────人の世では理解するのは難しかろうが』

「必然、ですか」



では、私がまたこちらへ来たことにも何かの『意味』があっての事なのだろうか。なんの力もない私に?確かにここへ来て『タロットワークの始祖の王配』と血が繋がっていると知ったけれど、あちらではごく普通の一般人でしかなかった私。

地球で生きる人は、皆こちらへ来たら大きな力を持つのだろうか?
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