14 / 39
14,食堂
しおりを挟む
私は火傷の残る左腕を握りしめた。
あの時私は誓った。涼奈をあの女のようにはしないと。わがままで自己中心的な人間にはならないように育てようと決めた。
それが出来ているのか、今は分からなくなってしまったが。
「痛むの?」
そんな私を見てペネは心配そうに言った。私は大丈夫と笑って見せる。そうこうして歩いているうちに食堂へ辿り着いた。美しい装飾の部屋の中心に10数メートルほどの長机が置いてある。真ん中には深紅の絨毯が引かれており燭台が3つほど並んでいる。
「あっ、」
気を使ってくれたペネは燭台の火に、さっきのように魔法をかける。赤い炎は白い綿毛に変わった。
「どうした」
既に座っていたクロッセスが私たちを席に促す。
「火はダメだよ、セイナが怖がる」
ペネが言うとクロッセスはすまない、と言って従者にロウソクを片付けさせた。
「そこまで気を使ってもらわなくても、赤い炎が苦手なだけ。小さな光なら見て見ないふりをするよ」
あわててる私にクロッセスもペネも気にすることなく席について、ナプキンを膝にかけた。
「私もこの蝋燭の火は安直で見飽きたと感じでいたところだ、これを機になにかほかのものを探してみる」
クロッセスの言葉にペネも頷く。
「気にしないで座って」
ペネは自分とクロッセスの間の席を指した。2人の気遣いにこれ以上は野暮だと、私はありがとうとだけこぼして席に着いた。
「アルは?」
次々並べられていく美しい食事を横目にクロッセスは言った。
「なんかさっき応接間に客が来たとかで対応しに行ってるよ」
「なら先に食べてしまおう、料理が冷めないうちにな」
そう言って始まった食事は厳かで私の手はかすかに震えていたと思う。それに気づいたのかペネは私のお皿を覗き込む。
「そのお肉ちょーだい、僕のキャロットあげるから」
「え、ええ。どうぞ」
そう言って私の皿に向けられたフォークが突然ペネのお皿のキャロットを突き刺し、ペネの口に飛んでいった。
「好き嫌いするな、自分のものを食べなさい」
クロッセスは淡々と皿の上のものを口に運んでいた。ペネは少し拗ねたように口の中のキャロットを咀嚼している。
「今のは魔法?」
私の問いにもぐもぐしながらペネは頷いた。
「魔力量なら僕の方が上なのに、未だに兄さんには魔法で勝てない」
そんな2人に思わず笑みが漏れる。
いつの間にか緊張はほぐれ、私も皿の上の肉に向かってフォークを進めた。
その時、入口からアルが入ってきた。
「あ、そこ私の……」
言いかけて口を噤む。私ははっと自分の席を見直した。もしかしなくてもこれは兄弟並んだ席順で、私の今座っている場所はアルの席。何より客人が屋敷の主の隣に座るなど不躾にも程がある。
私は促されるまま座ったことを後悔した。
「のきますね」
立ち上がろうとした私にアルは冗談めかして言う。
「私もセイナさんの隣が良かったのですが」
あの時私は誓った。涼奈をあの女のようにはしないと。わがままで自己中心的な人間にはならないように育てようと決めた。
それが出来ているのか、今は分からなくなってしまったが。
「痛むの?」
そんな私を見てペネは心配そうに言った。私は大丈夫と笑って見せる。そうこうして歩いているうちに食堂へ辿り着いた。美しい装飾の部屋の中心に10数メートルほどの長机が置いてある。真ん中には深紅の絨毯が引かれており燭台が3つほど並んでいる。
「あっ、」
気を使ってくれたペネは燭台の火に、さっきのように魔法をかける。赤い炎は白い綿毛に変わった。
「どうした」
既に座っていたクロッセスが私たちを席に促す。
「火はダメだよ、セイナが怖がる」
ペネが言うとクロッセスはすまない、と言って従者にロウソクを片付けさせた。
「そこまで気を使ってもらわなくても、赤い炎が苦手なだけ。小さな光なら見て見ないふりをするよ」
あわててる私にクロッセスもペネも気にすることなく席について、ナプキンを膝にかけた。
「私もこの蝋燭の火は安直で見飽きたと感じでいたところだ、これを機になにかほかのものを探してみる」
クロッセスの言葉にペネも頷く。
「気にしないで座って」
ペネは自分とクロッセスの間の席を指した。2人の気遣いにこれ以上は野暮だと、私はありがとうとだけこぼして席に着いた。
「アルは?」
次々並べられていく美しい食事を横目にクロッセスは言った。
「なんかさっき応接間に客が来たとかで対応しに行ってるよ」
「なら先に食べてしまおう、料理が冷めないうちにな」
そう言って始まった食事は厳かで私の手はかすかに震えていたと思う。それに気づいたのかペネは私のお皿を覗き込む。
「そのお肉ちょーだい、僕のキャロットあげるから」
「え、ええ。どうぞ」
そう言って私の皿に向けられたフォークが突然ペネのお皿のキャロットを突き刺し、ペネの口に飛んでいった。
「好き嫌いするな、自分のものを食べなさい」
クロッセスは淡々と皿の上のものを口に運んでいた。ペネは少し拗ねたように口の中のキャロットを咀嚼している。
「今のは魔法?」
私の問いにもぐもぐしながらペネは頷いた。
「魔力量なら僕の方が上なのに、未だに兄さんには魔法で勝てない」
そんな2人に思わず笑みが漏れる。
いつの間にか緊張はほぐれ、私も皿の上の肉に向かってフォークを進めた。
その時、入口からアルが入ってきた。
「あ、そこ私の……」
言いかけて口を噤む。私ははっと自分の席を見直した。もしかしなくてもこれは兄弟並んだ席順で、私の今座っている場所はアルの席。何より客人が屋敷の主の隣に座るなど不躾にも程がある。
私は促されるまま座ったことを後悔した。
「のきますね」
立ち上がろうとした私にアルは冗談めかして言う。
「私もセイナさんの隣が良かったのですが」
18
あなたにおすすめの小説
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
【完結】聖女召喚の聖女じゃない方~無魔力な私が溺愛されるってどういう事?!
未知香
恋愛
※エールや応援ありがとうございます!
会社帰りに聖女召喚に巻き込まれてしまった、アラサーの会社員ツムギ。
一緒に召喚された女子高生のミズキは聖女として歓迎されるが、
ツムギは魔力がゼロだった為、偽物だと認定された。
このまま何も説明されずに捨てられてしまうのでは…?
人が去った召喚場でひとり絶望していたツムギだったが、
魔法師団長は無魔力に興味があるといい、彼に雇われることとなった。
聖女として王太子にも愛されるようになったミズキからは蔑視されるが、
魔法師団長は無魔力のツムギをモルモットだと離そうとしない。
魔法師団長は少し猟奇的な言動もあるものの、
冷たく整った顔とわかりにくい態度の中にある優しさに、徐々にツムギは惹かれていく…
聖女召喚から始まるハッピーエンドの話です!
完結まで書き終わってます。
※他のサイトにも連載してます
【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!
チャらら森山
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。
お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる