秘密基地とりっくんの名前

棺咲 柳冬

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第1章

第2話 秘密基地

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7月1日 火曜日

俺の名前はしゅう。
小学五年生で特技はサッカーだ。謎の悪夢で寝坊をしてしまい遅刻ギリギリで走っている。
「おい!急げ遅刻だぞ!!」
俺の隣を一緒に走りながら焦っているこいつはけんた。身長は低いほうだが身軽で足が早い。
「悪ぃ悪ぃ!寝坊しちまった!」
俺は笑いながらそう言った。
「いいから走るぞ!」
けんたはそういって一層スピードを上げて走った。足の早い方である俺でさえ追いつくのに一苦労だ。

 急いで教室に入った。
はぁ…はぁ…はぁ…。息が苦しい。
(でもなんとか間に合ったな…)
今日も30度を超える猛暑日だ。
クーラーのない小学校は保健室に行く生徒が絶えない。
「おい!しゅう!!今日の給食、カレーとフルーツポンチだぜ。」
けんたはわざわざ献立表を見せてきた。
「だからなんだよ、お前はいっつも食べ物のことばかりだな。」
俺は呆れた様子で笑って言った。
「いいじゃねぇか」
「そろそろ朝の会が始まるから席に着いた方がいいぜ。」
俺はけんたが話すのを遮った。
「なに優等生気取ってんだよ」
けんたは見返りに軽い冗談を言ってきた。
「かっこいいだろ」
俺は軽く笑って見せた。

ガラガラガラ…。教室のドアを先生があけた。
その瞬間、教室は静まり返った。
「やべ、先生きたわ」
健太は焦って自分の席へ戻って行った。
 
先生が教卓に行き挨拶を始めた。
「みんなおはよう。今日も暑いが1日頑張ろうな。」
(授業かったるいな…)
毎日同じ挨拶を聞いているので一層だるく感じた。
「今日はみんなに転校生を紹介する。入ってくれ!」
先生は転校生を呼んだ。
(この時期に転校生?)
先生に手招きされ転校生は教室に入ってきた。
入ってきた転校生は、メガネで大人しそうな男の子だった。
「では自己紹介してくれ」
先生がそう言うと転校生は自己紹介を始めた。
「初めまして」
身長は男のくせに低く声も穏やかだ。
「ぼくの名前はりっくん。よろしくお願いします。」
転校生はフルネームではなくニックネームだけを言った。
(なんじゃそりゃ。ニックネーム発表してどう済んだよ。みんな笑うだろ。)
俺は変わったやつだと思った。
「それじゃあ、一番後ろのしゅうの隣が空いてるからそこがりっくんの場所だ。」
(なんでだ…普通フルネームだろ。つか俺の隣かよ。だりぃな。)
先生はフルネームを言わせるわけでもなく転校生のりっくんを席へ案内した。
「よろしくね、しゅうくん」
りっくんは俺に優しい笑顔で話しかけてきた。
「あ…あぁ…よろしくな」
(みんななんで本名聞かないんだ。)
キーンコーンカーンコーン…、
「それでは1時間目を始めるぞ」
こうして一時間目が始まった。
 
2時間目も終わり20分休みの時間になった。
「おい!知ってるか?りっくんって小さいくせにサッカーが得意なんだってよ」
けんたがニコニコしながらやってきた。
「な、なぁ…その…りっくんってやつなんで本名言わないんだ?おかしくねーか?」
俺は思わず疑問をけんたにぶつけてしまった。
けんたはキョトンとした顔をした。
「何言ってんだよ、ちゃんと言っただろ?お前聞いてなかったのかよ」
けんたは笑いながら言った。
「わりぃ、聞いてなかった。なんて言ってた?」
俺は聞いた。
「りっくんの名前は…」
けんたがりっくんの名前を言い始めた瞬間、とてつもない耳鳴りに襲われた。
ズズズズ…ズズ…ズズ……。
(な、なんだ…急に耳鳴りが…)
「お、おい大丈夫か?」
健太が心配して俺の顔を覗き込んできた。
「あ、あぁ、気分悪いから保健室で寝てくるわ」
俺は保健室で少し休むことにした。
「お、おう。気をつけろよ。」
けんたは心配そうな顔でそういった。

 そして給食の時間まで俺は保健室でサボっていた。
「おーい!しゅう給食の時間だぞ~!」
けんたがわざわざむかえにきてくれた
「あぁ、よく寝た…。」
俺は背伸びをしてベッドから降りた。
けんたははにかんだ
「なにねぼけてんだよ。早くいこーぜ」
そうして俺らは教室へ戻った。
 
教室に戻ると既に俺の給食は用意されてた。
「俺が用意したんだぜ」
けんたは自慢げにそう言った。
「ありがとう、気が利くな」
たまには褒めてやろうと素直に感謝した。
「照れくせーこと言うなよ」
けんたは顔を赤くして照れた。
お互いからかいあっている所にりっくんが声をかけてきた。
「しゅうくん具合は大丈夫?」
「あぁ、平気だよ汗」
(元々お前のせいだろ)
俺は作り笑いを浮かべた。
「そうだしゅう、今日神社の裏で遊ばねーか?」
けんたがいきなり言い出した。
「なんでそんなしけたとこなんだよ」
俺は少し不満気味に聞いた。
「涼しくていいじゃねーか」
けんたは手で仰ぎながらそう言った。
「僕も一緒に行ってもいいかな…?」
するとりっくんが興味を持ったのか話に入ってきた。
「えっと…」
正直俺はりっくんが苦手だったため、返事を躊躇ってしまった。
「いいぞ!遊ぼう遊ぼう」
だが、けんたは気前よく受け入れてしまった。
こうして俺達はりっくんという変わった転校生と放課後遊ぶことになった。
 
俺達は神社の裏手にきた。そこはとても涼しく少し不気味であった。
「やっぱりここはいいな。」
けんたは来る途中で買ったアイスを食べながらそう言った。
「少し気味悪いけどな」
俺は冗談混じりにそういった。
俺達はいつも通りの他愛のない会話をした。
「2人はいつもここで遊んでいるの?」
りっくんが口を開いた。
「そーだぜ。いいだろ」
健太は自慢げに答えた。
「そ、そうだね」
りっくんは少し曖昧な返事をした。
「なんか暇だな…近くの森でも探検するか?」
けんたは既に飽きてしまったようだ。
「何ガキみたいな事言ってんだよ」
俺はけんたに言った。
「ガキだよ」
けんたは反抗することも無くそう言い返した。
そう言われると俺は何も言い返せなかった。
「いいと思う。探検行きましょう?」
りっくんが口を開いてそう言った。
「しゃーねーな。」
ここにいても暇だと思い了承した。
そうして俺らは神社の裏の森に入っていった。

ここは初めて入る場所だった。
木がたくさん生えていて虫たちの楽園のような場所だった。
奥へ進むとお札の貼ってある木があった。
健太は興味津々にその木に触れた。
その瞬間眩い光が俺たちの目をくらませた。
 
「いてて…なんだったんだ。」
俺は気がついて辺りを見渡した。
俺は状況が理解できなかった…。
「おぉ、気づいたか!」
健太は既に目が覚めていたようだ。
「大丈夫?」
りっくんはまたもや心配してくれた。
そんな心配もよそに、俺は何が起きてるのか理解するのに時間がかかった。
何故なら、俺の目の前には、夢に出てきたあの場所そのものがうつっていたからだ。
「ここ凄いんだぜ!まるで秘密基地を作れそうな場所だぜ!」
けんたはそういった。
偶然なのかそれともなんなのか疑ってしまう。
「いいですね!つくろうよ!」
りっくんも乗り気だった。
でも、俺は秘密基地を作ってはいけない気がした。
「な、なぁ。やめとこうぜ。」
俺は止めようとした。
「なにいってんだよ。」
けんたは笑いながら言った。
「おれ、もう帰る。」
けんたを止めることはできないと判断し帰ろうとした。
「お、おい」
俺は帰ろうとしたが、あることに気づいた。
「帰り道がない…」
俺は唖然とした。
「俺達は違う世界に来ちまったみたいなんだよ。」
けんたが真面目な顔で言った。
「僕、小さい頃にここに来たことあります」
りっくんが思い出したかのように言った。
「なんだって??」
りっくんの発言にけんたと俺は驚いた。
「ほんとに小さい頃なのでほとんど記憶にないけどね」
りっくんは優しく微笑んだ
「とにかくここから出る方法を探そうぜ」
俺はできるだけ冷静にいたかった。
「それより秘密基地作ろうぜ?」
けんたはどうしてもひみつ基地を作りたそうだった。
「そうしましょう!!」
りっくんもけんたに賛同してしまったのでとりあえずひみつ基地を作ることにした。

 
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