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第十二章 明かされる真相と謎
叙任と陰謀
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ようやくルークスが落ち着いた。
涙を拭い居住まいを正したフローレンティーナ女王は、後ろに控える侍従に合図した。
予定より大幅に遅れた事を始めるのだ。
老いた侍従が女王の剣を持ってきた。
立ち上がったフローレンティーナは侍従の捧げる剣の柄を握り、ルークスの前で抜いた。重くて両手でないと支えられない。
すると彼の肩にいる小さな土精が両手を広げて庇う仕草をした。
「やめるです!」
「大丈夫だよ、ノンノン」
両手でそっと肩から下ろす仕草から、ルークスが本当に精霊を大切にしているのだと見てとれた。
女王は少年の肩に、刃を寝かせた剣を置いた。左右に。
「ルークス・レークタ、そなたを私の騎士に任じます」
どよめきが起きた。
単なる騎士叙任なら論功行賞として妥当である。彼の父親も騎士に任じられる予定だった。
だが今、女王は「私の」と言った。
女王直属はパトリア騎士団だけの名誉である。その名誉を勲功抜群とはいえ平民の、しかも未成年に与えたのだ。
平民だからルークスは剣を持っていない。女王は鞘に収めた剣をを少年に手渡した。
自分の象徴を与えるなど、さらに異例であった。君主が自分の剣を渡すなど、名代を命じる場合くらいである。
十四才の少年が、騎士団長でさえ得ていない特別な名誉を与えられたのだ。
フローレンティーナの心は明確である。
ルークスは彼女の盾となって守ってくれた。なら自分はルークスに、自身を守る剣を与えるべきだ、と。
これでルークスは法的にも、貴族社会の慣例的にも、女王の庇護下に入った。
玉座に戻った女王は言う。
「正式な叙任は成人後になりますが、今からルークス卿と名乗ることを許します。学園を卒業した暁にはゴーレム大隊でも騎士団でも――」
「騎士団には入れません」
謁見の間の空気が固まった。
君主の言葉に、なりたての騎士が逆らうなど言語道断を通り越した、反逆に等しい無礼である。
騎士団の数名が気色ばむも、騎士団長が無事な手を横に挙げて制した。
ちらり、とフローレンティーナはそちらに視線を向け、告げた。
「彼は臣下である前に私の友達です。九年前から、今このときも変わらず」
そしてルークスに笑みを向ける。
「理由を話してくれますか?」
「両親が殺された直後に、警備責任者であった騎士団長が自害されました」
「ええ、その訃報を私と一緒に聞きましたね。臣下に見つからないよう、あなたは隠れていましたが」
近習たちが目を吊り上げるも、子供の隠れん坊に声を上げるまでは至らない。
「父は彼を『責任感が強い人だ』と言っていました。そして『誰より陛下に忠実な臣下である』と。僕が陛下の友達になるため、部屋にお邪魔できるよう計らったのも、彼でした」
「それは初耳です」
「責任感が強い忠臣が、祖国防衛に欠かせない重要人物を死なせた不手際を、陛下にお詫びもせず自害などするでしょうか?」
冷や水を浴びせられた気がして、フローレンティーナは思わず身震いした。
ルークスは淡々と説明を続ける。
「実行犯を押さえたとしても、手引きした者がいるかもしれない。まだ事件の全貌も掴めない状況で警備責任者が自害なんて、あり得ませんよ。当時の僕は幼かったので気付きませんでしたが、後で『そんな無責任な真似をする人を、父が責任感が強いなどと言うはずがない』と思ったのです」
「確かに、不自然と私も思います」
「両親の警備が何故手薄になったか、犯人がどうやって『父の居場所を知ったか』など犯行について、警備責任の騎士団は説明しましたか?」
「確か、騎士団長の不手際、としか」
「何故不手際が生じたか、その説明を主君にしない。責任感ある自分らの指揮官が責任放棄して自害しても、誰も疑問を抱かない。そんなの不自然すぎます」
ルークスの発言は、極めて重大である。そして影響は至大となろう。
フローレンティーナ女王は機先を制した。
「この場での発言、全て私が許します。核心を言って構いません」
「誰一人『騎士団長は暗殺の真相に触れたから口封じされた』程度も思いつかないとしたら、騎士団は間抜けぞろいです。あるいはそれに気付いても陛下の耳に入れないとしたら、騎士団の忠誠は陛下以外に向けられています。どちらにせよ、そんな騎士団に入ったら僕は陛下をお守りできなくなります」
「騎士団への誹謗、許せぬ!」
「陛下の御前だ、控えよ!!」
激高した騎士を、透かさず騎士団長が叱責した。
フローレンティーナは確認する。
「あなたは、当時の騎士団長が殺されたと言うのですか? 口封じの為に」
「それ以外に、責任感が強い騎士団長が、陛下に報告も謝罪もせず、事件の最中に自害してしまうという『父を殺させた以上の不手際』を起こすとは、考えられません」
「憶測ではないか!」
との野次をフローレンティーナは無視した。
「確かに、過失以上の不手際を、あのマーティア卿がしでかすとは、信じがたいです」
女王が肯定したことで、反対者の口が封じられた。
ルークスの告発はフローレンティーナの想定を超えていた。
女王直属の騎士団長をも口封じできてしまうほどの人物が、暗殺事件の共犯者だと言っているのだ。
その人物が、祖国を裏切り国土と国民を敵国に渡したとなれば、この国の君主として処罰しなければならない。
フローレンティーナは覚悟を決めた。
「ドゥークス・レークタ夫妻暗殺に関して、ルークス卿を責任者にして再調査を命じます。彼の言葉は私の言葉として、全ての者が無条件に協力することを命じます。これは勅命です」
宰相ら文官が青ざめ、渋面になる。だが女王は意に介さない。
今まで臣下に気を使いすぎていた。
自分には人徳が無い為に、我慢するしかないと思っていた。
だが今はルークスがいる。
しがらみなど無い、純粋に自分を守ってくれる友達が、騎士団をも凌駕する力を伴って再び自分の前に現れてくれたのだ。
もう恐れるものなど無い。
女王は武官の方に目をやる。
フィデリタス騎士団長は身を震わせてうつむいていた。当時は一騎士だったろうが、今は責任者なので仕方ない。
だがヴェトス元帥の晴れやかな顔は、逆に気になる。
女王の視線にうなずき返すあたり、彼もまた疑問を抱いていたのだろう。
そう理解するや、フローレンティーナの背筋が凍り付いた。
ドゥークス暗殺事件の真相には「軍のトップでさえ手が出せなかった」のだ。
(いくら権限を持たせたとは言え、これではルークスが危険では?)
きっと青ざめたのだろう。ヴェトス元帥と、その隣のプルデンス参謀長もまたにこやかに笑ってみせた。
お陰でフローレンティーナは自制できた。
フェルームの町にはルークス警護の為に王都警護軍の小隊を派遣している。その際参謀長が現地調査に同行していた。敵国による暗殺に備えてと思っていたが、国内の裏切り者も見越していたのか。
とにかく軍が味方してくれるのは心強い。
ドゥークス夫妻暗殺事件はリスティア大王国の仕業とされているが、その裏にサントル帝国がいるのは間違いない。
そしてその陰謀の共犯者が、少なくとも当時は王城内にいたのだ。しかも「騎士団に不手際をさせられる」ほど影響力ある人物が。
さらに軍の手さえ届かない人物となれば、もう限られる。
否、特定できる。
ちらり、と女王はその人物に視線を向けた。
普段はやたら出しゃばる人物が、今日は借りてきた猫のように大人しい。
九年前、祖国を敗北に導いたとしたら、今戦役での勝利はさぞ不本意であろう。
恐らく王城内には彼の飼い犬が相当いるはずだ。
(一掃してやりましょう)
それがルークスを守る為に必要な措置であり、この国を守ることにも繋がるはずだ。
女王が国内の敵を見定めている間、ルークスは剣を手にして途方に暮れていた。
それに気付いたフローレンティーナは声をかける。
「何かありますか、私の騎士さん」
「剣を、どうやって付けるのか分かりません」
「そうでした。騎士の心得や作法を教える従者が必要ですね」
一般的に騎士はまず従者となり、作法などを身につけてから叙任されるものだ。
ルークスのように平民を騎士に取り立てるときは、経験ある従者を付け教えさせるのが通例である。
しかし人選が難しい。
能力は元より、ルークスに悪意を抱かない人間であるのは絶対条件である。
そして間違っても陰謀側の人間は付けられない。
と、適任者に思い至った。
「フォルティス・エクス・エクエス、こちらへ」
女王が名指しする異例に近習が慌てたが、それ以上に驚いたのは本人である。
さしものフォルティスも十四才の地金が出て、緊張した歩みでルークスの隣に並び、ひざまずいた。
「フォルティス・エクス・エクエス、陛下のお召しに参上いたしました」
「ルークス卿に騎士の心得や作法を教えるのに、あなたが適任と思います。やってくれますか?」
女王から直々に指名されての命令、フォルティスの心が躍った。
「は! 未熟な身に有り余る栄誉、粉骨砕身し、必ずや陛下のご期待にお応えいたします」
口上を述べている間に、興奮が鎮まり頭を働かせる余地が生まれた。
彼は顔を上げる。
視線の訴えを見て、女王はうなずいた。
「何かあるなら発言を許します」
「ルークス卿は人間より精霊の都合を優先しがちです。それが非礼と取られる場合も多々あるかと存じます」
「許します。もちろんあなたが務めを怠ったとも思いません。ルークス卿は精霊を友達にする人物だからこそ、私の騎士としたのです」
「陛下のご配慮、感謝いたします」
「これはあなたが騎士になる為の試練と思ってください。成果には必ず報いましょう」
フォルティスは耳を疑った。諦めた騎士への道が、再び開かれたのだ。他ならぬ女王陛下によって。
「陛下のご厚情、深く感謝いたします」
そして覚悟した。
ドゥークス夫妻暗殺事件の再調査で、騎士団は厳しい立場に追いやられるだろう。
告発する側になった以上、たとえ実父といえど手心を加えるなどあり得ない。
君命こそ絶対、それがエクエス家の家訓なのだから。
涙を拭い居住まいを正したフローレンティーナ女王は、後ろに控える侍従に合図した。
予定より大幅に遅れた事を始めるのだ。
老いた侍従が女王の剣を持ってきた。
立ち上がったフローレンティーナは侍従の捧げる剣の柄を握り、ルークスの前で抜いた。重くて両手でないと支えられない。
すると彼の肩にいる小さな土精が両手を広げて庇う仕草をした。
「やめるです!」
「大丈夫だよ、ノンノン」
両手でそっと肩から下ろす仕草から、ルークスが本当に精霊を大切にしているのだと見てとれた。
女王は少年の肩に、刃を寝かせた剣を置いた。左右に。
「ルークス・レークタ、そなたを私の騎士に任じます」
どよめきが起きた。
単なる騎士叙任なら論功行賞として妥当である。彼の父親も騎士に任じられる予定だった。
だが今、女王は「私の」と言った。
女王直属はパトリア騎士団だけの名誉である。その名誉を勲功抜群とはいえ平民の、しかも未成年に与えたのだ。
平民だからルークスは剣を持っていない。女王は鞘に収めた剣をを少年に手渡した。
自分の象徴を与えるなど、さらに異例であった。君主が自分の剣を渡すなど、名代を命じる場合くらいである。
十四才の少年が、騎士団長でさえ得ていない特別な名誉を与えられたのだ。
フローレンティーナの心は明確である。
ルークスは彼女の盾となって守ってくれた。なら自分はルークスに、自身を守る剣を与えるべきだ、と。
これでルークスは法的にも、貴族社会の慣例的にも、女王の庇護下に入った。
玉座に戻った女王は言う。
「正式な叙任は成人後になりますが、今からルークス卿と名乗ることを許します。学園を卒業した暁にはゴーレム大隊でも騎士団でも――」
「騎士団には入れません」
謁見の間の空気が固まった。
君主の言葉に、なりたての騎士が逆らうなど言語道断を通り越した、反逆に等しい無礼である。
騎士団の数名が気色ばむも、騎士団長が無事な手を横に挙げて制した。
ちらり、とフローレンティーナはそちらに視線を向け、告げた。
「彼は臣下である前に私の友達です。九年前から、今このときも変わらず」
そしてルークスに笑みを向ける。
「理由を話してくれますか?」
「両親が殺された直後に、警備責任者であった騎士団長が自害されました」
「ええ、その訃報を私と一緒に聞きましたね。臣下に見つからないよう、あなたは隠れていましたが」
近習たちが目を吊り上げるも、子供の隠れん坊に声を上げるまでは至らない。
「父は彼を『責任感が強い人だ』と言っていました。そして『誰より陛下に忠実な臣下である』と。僕が陛下の友達になるため、部屋にお邪魔できるよう計らったのも、彼でした」
「それは初耳です」
「責任感が強い忠臣が、祖国防衛に欠かせない重要人物を死なせた不手際を、陛下にお詫びもせず自害などするでしょうか?」
冷や水を浴びせられた気がして、フローレンティーナは思わず身震いした。
ルークスは淡々と説明を続ける。
「実行犯を押さえたとしても、手引きした者がいるかもしれない。まだ事件の全貌も掴めない状況で警備責任者が自害なんて、あり得ませんよ。当時の僕は幼かったので気付きませんでしたが、後で『そんな無責任な真似をする人を、父が責任感が強いなどと言うはずがない』と思ったのです」
「確かに、不自然と私も思います」
「両親の警備が何故手薄になったか、犯人がどうやって『父の居場所を知ったか』など犯行について、警備責任の騎士団は説明しましたか?」
「確か、騎士団長の不手際、としか」
「何故不手際が生じたか、その説明を主君にしない。責任感ある自分らの指揮官が責任放棄して自害しても、誰も疑問を抱かない。そんなの不自然すぎます」
ルークスの発言は、極めて重大である。そして影響は至大となろう。
フローレンティーナ女王は機先を制した。
「この場での発言、全て私が許します。核心を言って構いません」
「誰一人『騎士団長は暗殺の真相に触れたから口封じされた』程度も思いつかないとしたら、騎士団は間抜けぞろいです。あるいはそれに気付いても陛下の耳に入れないとしたら、騎士団の忠誠は陛下以外に向けられています。どちらにせよ、そんな騎士団に入ったら僕は陛下をお守りできなくなります」
「騎士団への誹謗、許せぬ!」
「陛下の御前だ、控えよ!!」
激高した騎士を、透かさず騎士団長が叱責した。
フローレンティーナは確認する。
「あなたは、当時の騎士団長が殺されたと言うのですか? 口封じの為に」
「それ以外に、責任感が強い騎士団長が、陛下に報告も謝罪もせず、事件の最中に自害してしまうという『父を殺させた以上の不手際』を起こすとは、考えられません」
「憶測ではないか!」
との野次をフローレンティーナは無視した。
「確かに、過失以上の不手際を、あのマーティア卿がしでかすとは、信じがたいです」
女王が肯定したことで、反対者の口が封じられた。
ルークスの告発はフローレンティーナの想定を超えていた。
女王直属の騎士団長をも口封じできてしまうほどの人物が、暗殺事件の共犯者だと言っているのだ。
その人物が、祖国を裏切り国土と国民を敵国に渡したとなれば、この国の君主として処罰しなければならない。
フローレンティーナは覚悟を決めた。
「ドゥークス・レークタ夫妻暗殺に関して、ルークス卿を責任者にして再調査を命じます。彼の言葉は私の言葉として、全ての者が無条件に協力することを命じます。これは勅命です」
宰相ら文官が青ざめ、渋面になる。だが女王は意に介さない。
今まで臣下に気を使いすぎていた。
自分には人徳が無い為に、我慢するしかないと思っていた。
だが今はルークスがいる。
しがらみなど無い、純粋に自分を守ってくれる友達が、騎士団をも凌駕する力を伴って再び自分の前に現れてくれたのだ。
もう恐れるものなど無い。
女王は武官の方に目をやる。
フィデリタス騎士団長は身を震わせてうつむいていた。当時は一騎士だったろうが、今は責任者なので仕方ない。
だがヴェトス元帥の晴れやかな顔は、逆に気になる。
女王の視線にうなずき返すあたり、彼もまた疑問を抱いていたのだろう。
そう理解するや、フローレンティーナの背筋が凍り付いた。
ドゥークス暗殺事件の真相には「軍のトップでさえ手が出せなかった」のだ。
(いくら権限を持たせたとは言え、これではルークスが危険では?)
きっと青ざめたのだろう。ヴェトス元帥と、その隣のプルデンス参謀長もまたにこやかに笑ってみせた。
お陰でフローレンティーナは自制できた。
フェルームの町にはルークス警護の為に王都警護軍の小隊を派遣している。その際参謀長が現地調査に同行していた。敵国による暗殺に備えてと思っていたが、国内の裏切り者も見越していたのか。
とにかく軍が味方してくれるのは心強い。
ドゥークス夫妻暗殺事件はリスティア大王国の仕業とされているが、その裏にサントル帝国がいるのは間違いない。
そしてその陰謀の共犯者が、少なくとも当時は王城内にいたのだ。しかも「騎士団に不手際をさせられる」ほど影響力ある人物が。
さらに軍の手さえ届かない人物となれば、もう限られる。
否、特定できる。
ちらり、と女王はその人物に視線を向けた。
普段はやたら出しゃばる人物が、今日は借りてきた猫のように大人しい。
九年前、祖国を敗北に導いたとしたら、今戦役での勝利はさぞ不本意であろう。
恐らく王城内には彼の飼い犬が相当いるはずだ。
(一掃してやりましょう)
それがルークスを守る為に必要な措置であり、この国を守ることにも繋がるはずだ。
女王が国内の敵を見定めている間、ルークスは剣を手にして途方に暮れていた。
それに気付いたフローレンティーナは声をかける。
「何かありますか、私の騎士さん」
「剣を、どうやって付けるのか分かりません」
「そうでした。騎士の心得や作法を教える従者が必要ですね」
一般的に騎士はまず従者となり、作法などを身につけてから叙任されるものだ。
ルークスのように平民を騎士に取り立てるときは、経験ある従者を付け教えさせるのが通例である。
しかし人選が難しい。
能力は元より、ルークスに悪意を抱かない人間であるのは絶対条件である。
そして間違っても陰謀側の人間は付けられない。
と、適任者に思い至った。
「フォルティス・エクス・エクエス、こちらへ」
女王が名指しする異例に近習が慌てたが、それ以上に驚いたのは本人である。
さしものフォルティスも十四才の地金が出て、緊張した歩みでルークスの隣に並び、ひざまずいた。
「フォルティス・エクス・エクエス、陛下のお召しに参上いたしました」
「ルークス卿に騎士の心得や作法を教えるのに、あなたが適任と思います。やってくれますか?」
女王から直々に指名されての命令、フォルティスの心が躍った。
「は! 未熟な身に有り余る栄誉、粉骨砕身し、必ずや陛下のご期待にお応えいたします」
口上を述べている間に、興奮が鎮まり頭を働かせる余地が生まれた。
彼は顔を上げる。
視線の訴えを見て、女王はうなずいた。
「何かあるなら発言を許します」
「ルークス卿は人間より精霊の都合を優先しがちです。それが非礼と取られる場合も多々あるかと存じます」
「許します。もちろんあなたが務めを怠ったとも思いません。ルークス卿は精霊を友達にする人物だからこそ、私の騎士としたのです」
「陛下のご配慮、感謝いたします」
「これはあなたが騎士になる為の試練と思ってください。成果には必ず報いましょう」
フォルティスは耳を疑った。諦めた騎士への道が、再び開かれたのだ。他ならぬ女王陛下によって。
「陛下のご厚情、深く感謝いたします」
そして覚悟した。
ドゥークス夫妻暗殺事件の再調査で、騎士団は厳しい立場に追いやられるだろう。
告発する側になった以上、たとえ実父といえど手心を加えるなどあり得ない。
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