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第四章 内なる敵
公爵の客人
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パトリア王国の海運は南部の港町ポートムが中心で、国内だけでなく大陸の北や南、東の島国などとも交易していた。
ポートムは国内最大の軍港でもあり、その町を含むプロディートル公爵領の領主が、亡き先王の弟クナトス・ドルス・ド・ジーヌスである。
彼は領地からの収益以上を海運で得ていた。
鉄鉱山などの領地収入が主な王室より経済力は上なのだ。
かつてはそうではなかった。
ゴーレム大戦を受けて王軍を編成すると時を同じくして、海軍も編成された。
個々の領主が行っていた海賊取り締まりを海軍が行うことになり、結果海運の全てを掌握できるようになった。
偶然ではなく、仕組んだのだが。
王位継承権第一位であり、フローレンティーナ女王に万一があればパトリア国王になる、そして国民の一定数がそれを望んでいる人物、それがプロディートル公爵だ。
公爵は領地とは別に王都にも屋敷を持っている。
貴族街の一番高い土地にある屋敷にクナトスが帰宅すると、妻子が出迎えた。
「お帰りなさいませ、旦那様」
「「お帰りなさいませ、父上」」
妻アマネンサの髪はブルネットだが、子供たちは父親譲りの金髪である。
嫡男のブライニーは八歳、娘のコンステラが五歳、共に利発で先が楽しみだ。
いくら発展したところでプロディートル公爵領は田舎だ。有力貴族と繋がらせるために、家族を王都に住まわせていた。
屋敷に入った公爵に、年老いた侍従長が頭を垂れる。
「お客様がお待ちでございます」
応接室のソファに巨躯を誇る男が座っていた。地味な服だが体格に合わせて仕立てられているので、一目でそれなりの身分と分かる。
「先に、一杯いただいている」
と客はグラスを持ち上げた。
「どうぞご自由に。当家を我が家と思っていただきたい。ドン・アーヴェン殿下」
「ここで殿下は止してくれ。妹に聞かれると困る」
と四十男は黒髪をかき上げて笑った。
マルヴァド王国の第二王子ドン・アーヴェン・トレロ・デ・エスティーロ殿下である。
巨人王と呼ばれた祖父の血を濃く引き、大柄なマルヴァド人の中でも群を抜いていた。
四十過ぎても遊び歩く放蕩者との悪評が立っているが、それは「各国での人脈作りを隠す煙幕だ」とプロディートル公爵は見ている。
事実、彼がこの屋敷に出入りしていることはパトリア王国の誰も知らない。
マルヴァド王国もどこまで把握しているやら。
このドン・アーヴェン殿下こそが、プロディートル公爵の切り札であった。
リスティア軍が王都に迫ってなお公爵に勝算があったのは、マルヴァド王国の第二王子がいたからだ。
たとえリスティア軍が城門を破ろうとも、フローレンティーナ女王との婚儀さえ成立させてしまえば、この国はマルヴァド王国の領土ともなる。
第二王子がいる城あるいは町を攻撃することは、マルヴァド王国への宣戦布告を意味する。
アラゾニキ四世がいかに無謀な暴君でも、国力が十倍もあるマルヴァド王国と戦えばどうなるかは分かっていたはずだ。
リスティア軍に攻めさせ、王都を守るためにフローレンティーナ女王にドン・アーヴェン王子との婚儀を承諾させる、それが先の戦争でのクナトスの思惑であった。
否、十年前から続けてきた、パトリア王国献上計画である。
女王を追い詰める駒が帝国軍に変わっただけで、計画はなおも続行中だ。
無能な兄が王位に就いた、あの日から始まった計画である。
この計画を打ち明けた際マルヴァド王はとても喜び、第二王女を与えて「達成の暁にはクナトスの息子にマルヴァドの王位継承権を与える」とまで約束した。
パトリア王国と違い、マルヴァド王国では女性に継承権はない。
その前例を犯して得られるブライニーの王位継承順位は第四位である。
第四位――玉座を狙える位置だ。
だがクナトスは「息子をマルヴァド王にする」などと俗な考えは持ち合わせていない。
求めているのは国際的な発言力である。
マルヴァドの軍事力も必要だが、それ以上に「祖国を代償にした」実績こそが重要なのだ。
バラバラな対帝国同盟各国を糾合し「強大な軍事国家を建てて帝国を倒す」それがクナトスの最終目標であった。
帝国打倒という大目標の前では、パトリアという小国の行く末などは些事なのだ。
その目標達成の鍵となる人物に、勝手されては計画が頓挫してしまう。
「ときに殿下、姿をくらますのは構いませんが、連絡手段を残していただきませんと困ります。リスティア軍が迫ったときは肝を冷やしましたぞ」
苦言を呈する公爵に、同世代の王子は悪びれず軽い謝罪を口にした。
「しかしお互い悪名が高いな。軍人たちは貴殿を売国奴と呼んでいるぞ」
「覚悟の上です。この国では考える能力がある者でさえ、現状維持で止まっております。誰かが先鞭を付けねば、帝国を倒せる国家を建てるなど夢のまた夢」
「貴殿にとっては、マルヴァドも足がかりなんだろうな」
「現時点ではマルヴァドを中心にした統一国家を想定しております」
「現時点ではな」
「とにかく、小国が乱立する今の状況では、順番に帝国に吸収されるだけです」
「それで帝国を取り囲む統一国家の樹立か。スケールが大きいな」
「理解していただけたのは殿下だけです」
「貴殿は今以上に恨まれるぞ」
「愛国者など気にする必要はありません。国境の線引きに拘った挙げ句に、国を帝国に献上する愚か者ですので」
「その愚か者をどうする?」
「必要ならば犠牲を払います」
その犠牲を払ったのに、十年もの間足踏みを余儀なくされている。
レークタ親子の妨害によって。
波立つ心をクナトスは深呼吸で鎮めた。
「いかな障害があろうとも、殿下に協力いただけるならば、必ずや帝国を倒してご覧にいれます」
「随分と見込まれたものだな」
「殿下の器の大きさと剛胆さこそ、統一国家の君主に相応しい」
何しろ他国の謀臣に肩入れし、その本拠地に腰を据えているのだ。
自国さえ欺いて。
クナトスがマルヴァド王に話したのは、ドン・アーヴェン王子とフローレンティーナ女王とを婚姻させ、パトリア王国を献上するまでだ。
対帝国統一国家までは話していない。
何しろ第一王子は芸術好きな文人、間違っても軍事国家の元首になどできない。
計画の次の段階を知れば、第一王子は必ず欲を出してドン・アーヴェン殿下の命を狙うはず。
それを承知で、この第二王子は協力しているのだ。
クナトスにとって一番頼りになるが、反面敵に回せば帝国の皇帝より恐ろしい。
皇帝など体制を束ねる糸でしかなく、国さえ倒せば自動的に滅ぶ。
しかしこの王子は、いざとなれば剣を振って道を切り開く武人でもある。
傍らに置かれた剣の鍔や握りの傷が物語っていた。
「で、帝国軍をどうする?」
王子に問われ、軍議の結果を教える。
「大した少年だな、そのゴーレムマスターは」
「非常識も使いよう、ということでしょうな」
「海軍を使うのか」
「それが君命ですので」
「少年の寝首でもかくか?」
「殿下は彼を随分と高く評価しておられますな。しかしそう心配せずとも、調子に乗って墓穴を掘るでしょう」
「何しろアラゾニキの使い方が正反対だからな。貴殿は国を殺すために生かし、少年は国を生かすために殺す」
「マルヴァド王国の版図が広がることを喜んでいただきたい」
「否定はしない。だが帝国にとっては、どちらが痛手かな?」
「それが重要なのですか?」
「嫌いな人間を怒らせるのが、酒より好きな悪趣味人間なのでな。皇帝が歯ぎしりして悔しがるなら、少年を応援したくもなる」
「変わりませんな、殿下は」
十年来の付き合いだが、妙に子供じみている点はまるで改まらない。
「心配するな。貴殿を不利な立場に追い込むのは不本意だ。だが、こちらにも都合がある」
「心得ております」
マルヴァドの第二王子は立ち上がった。
「帰られるので?」
「うっかり妹に見られたら大変だ」
首をすくめてドン・アーヴェン王子は笑った。
使用人には「古い友人」としか教えていないが、この体格では後ろ姿でも特定されてしまう。
客と家族とは顔を合わせない構造の屋敷でも、万一ということはある。
共有する者が少ないほど、秘密は守られるものだ。
ポートムは国内最大の軍港でもあり、その町を含むプロディートル公爵領の領主が、亡き先王の弟クナトス・ドルス・ド・ジーヌスである。
彼は領地からの収益以上を海運で得ていた。
鉄鉱山などの領地収入が主な王室より経済力は上なのだ。
かつてはそうではなかった。
ゴーレム大戦を受けて王軍を編成すると時を同じくして、海軍も編成された。
個々の領主が行っていた海賊取り締まりを海軍が行うことになり、結果海運の全てを掌握できるようになった。
偶然ではなく、仕組んだのだが。
王位継承権第一位であり、フローレンティーナ女王に万一があればパトリア国王になる、そして国民の一定数がそれを望んでいる人物、それがプロディートル公爵だ。
公爵は領地とは別に王都にも屋敷を持っている。
貴族街の一番高い土地にある屋敷にクナトスが帰宅すると、妻子が出迎えた。
「お帰りなさいませ、旦那様」
「「お帰りなさいませ、父上」」
妻アマネンサの髪はブルネットだが、子供たちは父親譲りの金髪である。
嫡男のブライニーは八歳、娘のコンステラが五歳、共に利発で先が楽しみだ。
いくら発展したところでプロディートル公爵領は田舎だ。有力貴族と繋がらせるために、家族を王都に住まわせていた。
屋敷に入った公爵に、年老いた侍従長が頭を垂れる。
「お客様がお待ちでございます」
応接室のソファに巨躯を誇る男が座っていた。地味な服だが体格に合わせて仕立てられているので、一目でそれなりの身分と分かる。
「先に、一杯いただいている」
と客はグラスを持ち上げた。
「どうぞご自由に。当家を我が家と思っていただきたい。ドン・アーヴェン殿下」
「ここで殿下は止してくれ。妹に聞かれると困る」
と四十男は黒髪をかき上げて笑った。
マルヴァド王国の第二王子ドン・アーヴェン・トレロ・デ・エスティーロ殿下である。
巨人王と呼ばれた祖父の血を濃く引き、大柄なマルヴァド人の中でも群を抜いていた。
四十過ぎても遊び歩く放蕩者との悪評が立っているが、それは「各国での人脈作りを隠す煙幕だ」とプロディートル公爵は見ている。
事実、彼がこの屋敷に出入りしていることはパトリア王国の誰も知らない。
マルヴァド王国もどこまで把握しているやら。
このドン・アーヴェン殿下こそが、プロディートル公爵の切り札であった。
リスティア軍が王都に迫ってなお公爵に勝算があったのは、マルヴァド王国の第二王子がいたからだ。
たとえリスティア軍が城門を破ろうとも、フローレンティーナ女王との婚儀さえ成立させてしまえば、この国はマルヴァド王国の領土ともなる。
第二王子がいる城あるいは町を攻撃することは、マルヴァド王国への宣戦布告を意味する。
アラゾニキ四世がいかに無謀な暴君でも、国力が十倍もあるマルヴァド王国と戦えばどうなるかは分かっていたはずだ。
リスティア軍に攻めさせ、王都を守るためにフローレンティーナ女王にドン・アーヴェン王子との婚儀を承諾させる、それが先の戦争でのクナトスの思惑であった。
否、十年前から続けてきた、パトリア王国献上計画である。
女王を追い詰める駒が帝国軍に変わっただけで、計画はなおも続行中だ。
無能な兄が王位に就いた、あの日から始まった計画である。
この計画を打ち明けた際マルヴァド王はとても喜び、第二王女を与えて「達成の暁にはクナトスの息子にマルヴァドの王位継承権を与える」とまで約束した。
パトリア王国と違い、マルヴァド王国では女性に継承権はない。
その前例を犯して得られるブライニーの王位継承順位は第四位である。
第四位――玉座を狙える位置だ。
だがクナトスは「息子をマルヴァド王にする」などと俗な考えは持ち合わせていない。
求めているのは国際的な発言力である。
マルヴァドの軍事力も必要だが、それ以上に「祖国を代償にした」実績こそが重要なのだ。
バラバラな対帝国同盟各国を糾合し「強大な軍事国家を建てて帝国を倒す」それがクナトスの最終目標であった。
帝国打倒という大目標の前では、パトリアという小国の行く末などは些事なのだ。
その目標達成の鍵となる人物に、勝手されては計画が頓挫してしまう。
「ときに殿下、姿をくらますのは構いませんが、連絡手段を残していただきませんと困ります。リスティア軍が迫ったときは肝を冷やしましたぞ」
苦言を呈する公爵に、同世代の王子は悪びれず軽い謝罪を口にした。
「しかしお互い悪名が高いな。軍人たちは貴殿を売国奴と呼んでいるぞ」
「覚悟の上です。この国では考える能力がある者でさえ、現状維持で止まっております。誰かが先鞭を付けねば、帝国を倒せる国家を建てるなど夢のまた夢」
「貴殿にとっては、マルヴァドも足がかりなんだろうな」
「現時点ではマルヴァドを中心にした統一国家を想定しております」
「現時点ではな」
「とにかく、小国が乱立する今の状況では、順番に帝国に吸収されるだけです」
「それで帝国を取り囲む統一国家の樹立か。スケールが大きいな」
「理解していただけたのは殿下だけです」
「貴殿は今以上に恨まれるぞ」
「愛国者など気にする必要はありません。国境の線引きに拘った挙げ句に、国を帝国に献上する愚か者ですので」
「その愚か者をどうする?」
「必要ならば犠牲を払います」
その犠牲を払ったのに、十年もの間足踏みを余儀なくされている。
レークタ親子の妨害によって。
波立つ心をクナトスは深呼吸で鎮めた。
「いかな障害があろうとも、殿下に協力いただけるならば、必ずや帝国を倒してご覧にいれます」
「随分と見込まれたものだな」
「殿下の器の大きさと剛胆さこそ、統一国家の君主に相応しい」
何しろ他国の謀臣に肩入れし、その本拠地に腰を据えているのだ。
自国さえ欺いて。
クナトスがマルヴァド王に話したのは、ドン・アーヴェン王子とフローレンティーナ女王とを婚姻させ、パトリア王国を献上するまでだ。
対帝国統一国家までは話していない。
何しろ第一王子は芸術好きな文人、間違っても軍事国家の元首になどできない。
計画の次の段階を知れば、第一王子は必ず欲を出してドン・アーヴェン殿下の命を狙うはず。
それを承知で、この第二王子は協力しているのだ。
クナトスにとって一番頼りになるが、反面敵に回せば帝国の皇帝より恐ろしい。
皇帝など体制を束ねる糸でしかなく、国さえ倒せば自動的に滅ぶ。
しかしこの王子は、いざとなれば剣を振って道を切り開く武人でもある。
傍らに置かれた剣の鍔や握りの傷が物語っていた。
「で、帝国軍をどうする?」
王子に問われ、軍議の結果を教える。
「大した少年だな、そのゴーレムマスターは」
「非常識も使いよう、ということでしょうな」
「海軍を使うのか」
「それが君命ですので」
「少年の寝首でもかくか?」
「殿下は彼を随分と高く評価しておられますな。しかしそう心配せずとも、調子に乗って墓穴を掘るでしょう」
「何しろアラゾニキの使い方が正反対だからな。貴殿は国を殺すために生かし、少年は国を生かすために殺す」
「マルヴァド王国の版図が広がることを喜んでいただきたい」
「否定はしない。だが帝国にとっては、どちらが痛手かな?」
「それが重要なのですか?」
「嫌いな人間を怒らせるのが、酒より好きな悪趣味人間なのでな。皇帝が歯ぎしりして悔しがるなら、少年を応援したくもなる」
「変わりませんな、殿下は」
十年来の付き合いだが、妙に子供じみている点はまるで改まらない。
「心配するな。貴殿を不利な立場に追い込むのは不本意だ。だが、こちらにも都合がある」
「心得ております」
マルヴァドの第二王子は立ち上がった。
「帰られるので?」
「うっかり妹に見られたら大変だ」
首をすくめてドン・アーヴェン王子は笑った。
使用人には「古い友人」としか教えていないが、この体格では後ろ姿でも特定されてしまう。
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