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配信開始
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『あー、あー。音声大丈夫ですかね? 大丈夫そう、ですね。はいじゃあ改めまして亮太です。こんばんはー』
亮太は声が入るようマイクの位置を調整しながら話し出した。
いつも深穴の調査の時につけているゴーグルは透過スクリーンになっている。ひと昔前に流行ったVRゲームに使用するヘッドマウントディスプレイの薄型だ。限りなく眼鏡にの薄さに近づけてある。亮太はそこに配信中のチャット文字が映るよう設定していた。
〈おつ〉
〈ばんわー〉
深穴に潜るリアルタイム配信は探査員の多くが行っている。
隕石でできた深穴は日本のみならず世界中から注目されているからだ。亮太のように派手なところもない、トークがうまいとも言えない配信者でも常連の視聴者がついてくれている。
『隕石でできた深かい穴、通称「ダンジョン」の専属探査員百五十八番の亮太でーす。今夜もいつも通り、ダンジョンに潜っていこうと思います』
暗く大きな穴の前で亮太はいつもの口上を間延びした口調で話し始めた。毎回この言葉でライブを始めるのでリスナーも聞き飽きているだろうが、様式美というやつだ。これがないと始まらない。
〈おはつです〉
底辺配信者の亮太のライブはいつも数人のリスナーとやりとりで終始する。しかし今夜は少し違うようだ。
『ん? 初見さんもいる感じですか? なら少し丁寧に説明しましょうかね。今からこの深穴に降りていくので、ちょっとチャットは切って一方的に話すことになりますがお許しください』
〈りょ〉
常連のだれかだろう。素早くされた返信を確認し、亮太はゴーグルに映し出されたチャットをいったんオフにした。もし初見のリスナーがなにか質問しても、常連が亮太よりよっぽど的確に説明してくれるだろう。
『ライブカメラはおれのゴーグルにつけているので、おれの視点になります。見えてますか? 見てくださいよ、この深穴。や―相変わらず地の底まで続いているような、深淵って感じの暗さですよね。そしてこのアルミの梯子の階段。踏み外したら一貫の終わりのようなこの梯子。深穴は井戸みたいに、真下に伸びる穴だからちゃんとした階段はまだ作れてないんですよね。おれたち探査員は命綱をつけて、この梯子をせっせと降りていきます。ご覧の通り真っ暗なので、ヘッドライトの明かりだけが頼りです。おれの今夜の目標は地下二階なので、そこまで降りていきます』
亮太はそこで『南無釈迦牟尼仏』と手を合わせて唱えた。ここは深穴であり、魑魅魍魎があふれ出す場所だ。いつなにが起こるかわからない。
深穴に潜るときは高所作業用のフルハーネス型墜落制止用器具の着用が義務付けられている。そこに命綱をしっかりとつけ、亮太は梯子を下り始めた。
亮太は声が入るようマイクの位置を調整しながら話し出した。
いつも深穴の調査の時につけているゴーグルは透過スクリーンになっている。ひと昔前に流行ったVRゲームに使用するヘッドマウントディスプレイの薄型だ。限りなく眼鏡にの薄さに近づけてある。亮太はそこに配信中のチャット文字が映るよう設定していた。
〈おつ〉
〈ばんわー〉
深穴に潜るリアルタイム配信は探査員の多くが行っている。
隕石でできた深穴は日本のみならず世界中から注目されているからだ。亮太のように派手なところもない、トークがうまいとも言えない配信者でも常連の視聴者がついてくれている。
『隕石でできた深かい穴、通称「ダンジョン」の専属探査員百五十八番の亮太でーす。今夜もいつも通り、ダンジョンに潜っていこうと思います』
暗く大きな穴の前で亮太はいつもの口上を間延びした口調で話し始めた。毎回この言葉でライブを始めるのでリスナーも聞き飽きているだろうが、様式美というやつだ。これがないと始まらない。
〈おはつです〉
底辺配信者の亮太のライブはいつも数人のリスナーとやりとりで終始する。しかし今夜は少し違うようだ。
『ん? 初見さんもいる感じですか? なら少し丁寧に説明しましょうかね。今からこの深穴に降りていくので、ちょっとチャットは切って一方的に話すことになりますがお許しください』
〈りょ〉
常連のだれかだろう。素早くされた返信を確認し、亮太はゴーグルに映し出されたチャットをいったんオフにした。もし初見のリスナーがなにか質問しても、常連が亮太よりよっぽど的確に説明してくれるだろう。
『ライブカメラはおれのゴーグルにつけているので、おれの視点になります。見えてますか? 見てくださいよ、この深穴。や―相変わらず地の底まで続いているような、深淵って感じの暗さですよね。そしてこのアルミの梯子の階段。踏み外したら一貫の終わりのようなこの梯子。深穴は井戸みたいに、真下に伸びる穴だからちゃんとした階段はまだ作れてないんですよね。おれたち探査員は命綱をつけて、この梯子をせっせと降りていきます。ご覧の通り真っ暗なので、ヘッドライトの明かりだけが頼りです。おれの今夜の目標は地下二階なので、そこまで降りていきます』
亮太はそこで『南無釈迦牟尼仏』と手を合わせて唱えた。ここは深穴であり、魑魅魍魎があふれ出す場所だ。いつなにが起こるかわからない。
深穴に潜るときは高所作業用のフルハーネス型墜落制止用器具の着用が義務付けられている。そこに命綱をしっかりとつけ、亮太は梯子を下り始めた。
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