除霊は他を当たってください

あおいまとか

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配信2

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 亮太は深穴を梯子を使って降りながら配信のために話し続ける。
『深穴が出現してからもうそろそろ一年になりますね。みなさんはあの隕石落下の騒ぎの時、どうしてました? おれはちょうど受験だったんですよ。隕石が落ちる前は日本中大騒ぎだったでしょう? 日本付近に落下しそうだが、正確にどこに落ちるかは予測できないってことで、ネットもテレビも大騒ぎで。ミサイルで迎撃できるとか、地下に逃げたがいいとか食料を確保したほうがいいとかいろいろ言ってて。だからそのころたってた受験勉強も無駄になるんじゃないかって思ってたんすよ。暗記物も頭に入らないし。まぁ結果としては住んでいた場所に隕石は落ちなかったけど、人生は変わっちゃいましたね』
 目の前には、亮太がつけているヘルメットのヘッドライトに照られた洞窟の土壁だけが広がっている。暗い穴の中でみえるのはアルミの梯子と亮太の手だけだ。
 『高校も家も志望大学もありますけど、俺とは関係ないものになっちゃいましたね』
 友人たちはそのまま大学に通っている。亮太だけが、思っていた道とは外れた。
 『深穴ができてすぐに、深穴を中心に日本各地に心霊現象が広がっていきましたよね。おれのうちにも出たんですよ。幽霊。女の人でした。トイレとか風呂場とか、それから台所、洗面所。とにかく水場にいるんですよ。長いストレートヘアの幽霊が、ぼーっと立っているんです。誰か怪我をするとか、いわゆる祟られたりはなかったんですけど。どうも親父がね、その人を若いころにひでぇめに合わせたらしくて。端的にいうと家は崩壊しました』
 父の結婚前の悪行が明るみに出て、母は乱心し、怖がった妹は家を出て戻らなかった。
『まぁでもうちだけじゃなかったですよね。日本中が怪異に悩まされましたよね。そうこうしていると霊能力者が足りないからって、なんか高校でテストを受けることになって。霊能力を計る機会とかでチェックされて、おれ見事に数値が高かったんですよ』
 自嘲気味に亮太は呟いた。
『そのころには家の中はぐちゃぐちゃで、進学どころじゃなくなってたんですよ。そんな時だったから選ばれたと、思いましたね。おれの中に眠っていた特別な能力のおかげで、くそったれな現実からおれだけは抜け出せると思いました。まさか毎晩、命がけで魑魅魍魎と戦うなんて思わなかった』
『まぁ今夜も生き延びますんで、見ていってくださいよ。もし俺がぶっ倒れて動けなくなったら、通報お願いしますね』
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