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前が見えない荒野行動
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走る。いや走ってた。ただひたすら、がむしゃらに。
北へ。
『どーしよ?どーする?どこへ?』
自問しつつ、走る。
北東に建物が見える。
『あそこへー』
『ダダダ!』『ガガガ!』
2種類の銃声が建物から響いてくる。
『ダメ!じ、じゃあ、北北西の丘へー』
思うと同時に車音が西から北北西の丘方面に…ドーン
銃声と跳弾音、そして爆破音
『あそこもダメ!ど、どーしよ?どーする?』
答えは出ず、北へ走るのみ。
東から西から嫌ほど銃声が轟く。
人数は…70人69人…61人
みるみる数が減っていく。
「どーしたらいいの?どこへ行けばいいの?痛っ!」
どこからか撃たれている。
マップを目の端で見ると、先に舗装路があるようだ。
『乗り物があれば!逃げ…あった!!』
祈り通じたか、バイクが見える。
後、20m~
『間に合った?よし!乗れ…』
突如視界の端、樹木の脇に黒い物体が目に飛び込んできた!
『キャー!』
自分の悲鳴と数十発の銃声がこだまする。その瞬間私は倒れた。
撃破0人
59位
画面にはリザルト順位が表示されている。
「はぁー…」
深いため息が漏れてしまう。
手にしたタブレットモニターを数度タップしホーム画面に。
中央に銃を携え凛と立つ女性キャラ。
「貴方はどうしてそんなに弱いの?」
つい、声に出してしまう。
画面のキャラは憂う様もなく毅然として見える
「…私が弱すぎなんだよね。知ってる…」
ログアウトし、タブレットを置き眼鏡を外し天井を見上げる。
「…向いてないのかなぁー」
私は、松田沙耶香27歳独身。短大卒、事務員(休業中)
彼氏…ナシ
趣味はゲーム
そんな私は幼馴染みアキの薦めから始めたのが
[荒野行動]
開始から約1か月、なんとなく慣れ始めたかなってくらいのビギナー。
戦績は…AINPC通称botのおかげでなんとか1キルレベル。対プレイヤーには全くお手上げ。
「だからーサヤはあがり症?ての?土壇場で失敗するんだよ。準備して落ち着いて挑めば勝てるって」
「準備してるよ。最初は誰も来ないよーなところに降りて、装備拾って」
「で、武器何持ってたの?」
「確かMP5とM88ってやつ」
「なんで、両方近接なのよ」
呆れ声が荒野vc(ボイスチャット)から漏れてくる。
「そもそもなんで、ソロなの?野良でスクワッド(4人プレイ)とかすればいいじゃない?あんた、人見知りでもないでしょ?」
「それは…そーだけど…」
これは初心者のあるある悩みだろう。見ず知らずの人に迷惑かけるのでは、という気後れ。それから、装備の準備では、ろくに使いこなせない私が持つよりとか、いろいろ考えて…
結局ソロプレイを選んでしまう。
「サヤさぁー。たかだかゲームの顔も知らない人に遠慮してどーすんの?」
アキの言い分も然りだけど、どうしても考えてしまう。
「とりあえず、一度行こう」
「う、うん…」
………開始5分でやられて観戦、10分程度で全滅。ホームに戻る。
数回同じことを繰り返し…
「アキ…ごめん…つまんないよね?」
「…う、ううん。そ、そんな事ないよ!ほら、分かり始めた頃って、スタイルが決まらず、ほらいろいろ試してさぁ…もぅすこし慣れたら大丈夫だって!ね。」
フォローコメントが痛い…
「まぁ、私だって全然だし。ちょっと始めたのが早かっただけだからさ」
アキは彼氏の影響でやり始め3~4か月経ち、彼氏という先生がいる。
劣等感、申し訳なさ、罪悪感…負の感情ばかりが積もってくる
『なんで、こんな思いをして、ゲームやってるんだろ…』
「あ、アキ…その…もぅ…」
「あっ!サヤ!ちょっと待ってね!」
諦めの言葉が遮られた。
「やった!サヤ!ちょっとフレ入るねっ!」
「え?う、うん…」
…知らない人が来るのは、結構キツイ…
私の心中を察する様子もなく、画面にかわいい衣装の女性キャラが増えた。
「こんばんはー!ナギサさん!」
アキの挨拶にvcからの返事はなく
[チワワー]
[こんばんワン]
チャット欄に犬のチワワの写メアイコンと文字が表示された。
私とナギサさんの出会いでした。
「ナギサさん!この子が前言ってたリアフレのサヤカです!」
『!?私の事、どう話したんだろ…』
「あ、は、はじめまして…サヤカです…」
[はじめましてー。よろしくねー( ^∀^)]
「あ、サヤ。ナギサさんvc付けない人だからチャット見ててね」
[ごめんねー。諸事情で付けれなくて]
[(>人<;)]
素早く、チャットに顔文字入りでログが流れる。
『なんだか、ホッとする』
[始めたばかりなんだってね。私なんかが何を教えれるかわかんないけど、楽しく遊ぼーw
\(*´∀`*)ノ]
『顔文字って…すごいなぁ…』
人の良さが伝わってくる気がする。
「サヤー。ナギサさんってマジ凄いから、教えてもらいなー」
「すごい?」
『ガチ勢ってやつなのかな?…気乗りしないなぁ…』
[いやいや、唯のエンジョイ勢ですよw期待しないでねw(^_^;)]
思った事が伝わってしまったのかドキッとした。
「あ、あの…私、すごく下手で、迷惑…かけると…」
[ん?なんで?迷惑?]
[一緒に遊んでもらうのに?]
[相手してもらうんだからお互い様じゃんw]
[始めたばかりで下手もないよw]
[楽しくやろー( ̄∀ ̄)b]
スラスラと流れるチャット。考えて打った言葉より、より本心、思ったことを言ってる。そんな気がする。
「とりあえず、ナギサさん。一回いきましょう」
[( ̄^ ̄)ゞ]
アキのvcに即座に顔文字が流れる
マッチング開始
そして、私は新しい荒野行動を知ることになった。
嵐の半島、待機場。
『よろしくお願いします』
ナギサさんからsc(定形vc)
「お願いしまーす」
「よ、よろしくお願いします」
アキに続いて返事を返した。
[ねね!アキちゃん!サヤちゃん!]
[見て見てー!]
ナギサさんを探すと地面に下半身が埋まっている状態で左右にリーン(上半身を傾ける動作)をしていた。
[ヽ( ̄д ̄;)ノ]
[たーすーけーてーw]
「ぷ、あははー」
「どーやったんですか?」
素でアキと一緒に笑ってしまった。
と、画面が嵐の半島上空にかわった。
「どこ行きます?」
アキの声に目的地が最北端に…
「ナギサさん。そこ待機場じゃ…」
[ニシシ( ̄▽ ̄)]
チャットに顔文字が表示され
[どこでもいいよーw]
飛行経路から最も遠い名もなき集落へ降下
[ここの部屋半分くらいbotだから気楽にいこーw]
着地。急いで建物に入り、武器と包帯、リュックを入手。
一軒見終わり、外へ出るとナギサさんが目の前でエモーション投げキッスをしている。
手ぶらで…
途端に均等な間隔の銃声が響く。
と同時にナギサさんは銃声の方へ駆け出した。
…手ぶらで
[botちゃーんすw]
チャットと同時にbotの回りをぐるぐる走り回っている。撃たれているがダメージがない。
[サヤちゃん!やっちゃってー]
「は、はい!」
持っていたM4をフルオート。
リロードを挟んでなんとか倒した。
『ナイス』
ナギサさんからsc。
…ちょっと嬉しいかも
集落を一通り回り終わると
[二人とも装備どう?漁れた?]
「あ、私は大丈夫です。サヤわ?」
「大丈夫だと思う?」
[じゃあ、次はここー]
目的地を指してもらい、ついていく。
行く先々でナギサさんがエモーションだったりピョンピョンと跳ねたり、壁に半身埋めたりと、いろいろと小ネタを披露してくれる。
開始8分、廃駅に向かっていると銃声が複数聞こえてきた。
『敵発見』
scと同時にナギサさんが発砲。
一発の銃声でログが流れた。
『え?どこ?』
更にもう一発、違う名前のログが流れる。
『援護して下さい』
scに合わせて、アキも私もナギサさんが撃った方へとりあえずデタラメに発砲。
『やりましたね』
scが入って倒した事にやっと気づいた。
[ないすぅーw]
「や、やった?」
「ナイスです!ナギサさん!」
アキの声が高揚している。
遠くも近くもない場所から別の銃声が聞こえる。
[次、いくよー]
~20分経過~
3人生存。残敵18人。
[さーて、お姉さんがんばちゃうぞぉーw]
アンチ(安全地帯)もかなり狭くなってきた。
「アキ。私、ここまで生き残るの、はじめてかも」
「ナギサさんの足引っ張らないように。だね」
[( ̄∀ ̄)イヤイヤ、私最後でやらかす人だからーw]
[荒野はね、生き残れば勝ちだから、倒さなくてもいいよ]
[生き残ろう!]
~開始27分~
残敵3人 生存3人
小高い丘の2階建、通称"6角"
ギリギリ中が見えない傾斜にしゃがみ、様子を見ていた。
[3枚だねーアンチ縮小合わせていくね]
[私が動いたら、2階窓に向かって撃ってね]
縮小5秒前、ナギサさんが動いた。ポシュと軽い音が鳴り六角の中が爆発。
2人分のキルログが流れた。
「え?今のって?」
ただ固まって見ている画面に、爆発先の六角の階段をナギサさんが走り登っている。
銃声が響き画面が止まる。
画面中央に1位の表示が浮かんだ。
1位
アキ4撃破
サヤカ3撃破
ナギサ9撃破
「やったー!!」
アキの歓声がvcから聞こえる。
「…え?勝った…の?」
「そう!私たち勝ったんだよ!サヤ!」
アキの興奮気味の声に実感が徐々に湧いてきた。
『勝った?勝った。勝ったんだ!」
ホームに戻ると、
チャット欄には
[やったねー!ナイスドン勝!!]
[(⌒▽⌒)v]
なんだか、アツイ…
今までのモヤモヤが、、、
[どうだった?w]
「スッキリです」
アキに同意。
そう。一言でいって、
気持ち良い!!
[さて、どーする?]
時計はまもなく21時になるところ
「あー!妹迎えに行かなくちゃ!ごめん!サヤ、ナギサさん!またー!」
返事を返す間もなく、画面からアキのキャラが消えた。
[あらら…残念(・ω・:]
[どーする?サヤちゃん。私は全然大丈夫だよ]
『時間は大丈夫だけど、ちょっと疲れたかも、でも…』
[もし、試合はちょっとっていうなら、お話しだけでもいいよw]
「いいんですか?その、戦い行かなくても?」
[いいよw( ^∀^)慣れてこないと連戦きついよね]
[このまま終わりも、寂しいもんね]
「~ナギサさんて、なんでそんなに私のことわかるんですか?」
思ったことを口にしてしまった。
チャットに間があった気がした。
「あ、その、つい思ったから…えーと…」
[わかるよー。私も最初の頃そーだったから]
[それに、サヤちゃんかわいいから、もっと仲良くなりたいしw]
「!」
「あ、あはは…か、かわいいって…その…そんなことないですよね?あはは…」
や、ヤバい!ドキッとした。なんか顔があつい
[んー。なんかー初々しい感じが、お姉さんの母性本能うずくーみたいなw]
「あ、あの…えーと…ナギサさんてそっちの…」
[レズではないよwごめんねーw引いた?]
「で、ですよねー。ちょっとびっくりしただけです。引いてないです。あはは…あ、あのナギサさん。聞いていいのかあれだけど、いくつ何ですか?あっ!私は27歳で…」
~~~
もっと知りたい。仲良くなりたい。知って欲しい。矢継ぎ早に質問してしまう。
…この時、私はこの気持ち、アレだと理解してしまった。納得してない、認めたくないけど…
"一目惚れ…恋だと"
ゲームの、多分女性に…
「で、ナギサさんに日付けかわって1時まで、4時間も、前カレの破局からニート生活と個人情報を延々と語った訳だ。そりゃ、ヒクわー、ナイわー、ドンビクわー。あんた、中高生乙女か?」
「ぅぅ~…き、嫌われたかなぁ~?やっぱり~」
昼過ぎに電話で起こされたアキに報告しながら状況を思い出して、頭を抱えた。
「ほんとサヤって土壇場でやらかすよねー」
「どーしよーアキー」
「まぁ、ナギサさんすごい人だから大丈夫でしょ」
心配を軽く流しながら言うアキの(すごい)の意味を私は今はまだ知らなかった。
私の前も見えない、荒野行動は続く?みたいです。
北へ。
『どーしよ?どーする?どこへ?』
自問しつつ、走る。
北東に建物が見える。
『あそこへー』
『ダダダ!』『ガガガ!』
2種類の銃声が建物から響いてくる。
『ダメ!じ、じゃあ、北北西の丘へー』
思うと同時に車音が西から北北西の丘方面に…ドーン
銃声と跳弾音、そして爆破音
『あそこもダメ!ど、どーしよ?どーする?』
答えは出ず、北へ走るのみ。
東から西から嫌ほど銃声が轟く。
人数は…70人69人…61人
みるみる数が減っていく。
「どーしたらいいの?どこへ行けばいいの?痛っ!」
どこからか撃たれている。
マップを目の端で見ると、先に舗装路があるようだ。
『乗り物があれば!逃げ…あった!!』
祈り通じたか、バイクが見える。
後、20m~
『間に合った?よし!乗れ…』
突如視界の端、樹木の脇に黒い物体が目に飛び込んできた!
『キャー!』
自分の悲鳴と数十発の銃声がこだまする。その瞬間私は倒れた。
撃破0人
59位
画面にはリザルト順位が表示されている。
「はぁー…」
深いため息が漏れてしまう。
手にしたタブレットモニターを数度タップしホーム画面に。
中央に銃を携え凛と立つ女性キャラ。
「貴方はどうしてそんなに弱いの?」
つい、声に出してしまう。
画面のキャラは憂う様もなく毅然として見える
「…私が弱すぎなんだよね。知ってる…」
ログアウトし、タブレットを置き眼鏡を外し天井を見上げる。
「…向いてないのかなぁー」
私は、松田沙耶香27歳独身。短大卒、事務員(休業中)
彼氏…ナシ
趣味はゲーム
そんな私は幼馴染みアキの薦めから始めたのが
[荒野行動]
開始から約1か月、なんとなく慣れ始めたかなってくらいのビギナー。
戦績は…AINPC通称botのおかげでなんとか1キルレベル。対プレイヤーには全くお手上げ。
「だからーサヤはあがり症?ての?土壇場で失敗するんだよ。準備して落ち着いて挑めば勝てるって」
「準備してるよ。最初は誰も来ないよーなところに降りて、装備拾って」
「で、武器何持ってたの?」
「確かMP5とM88ってやつ」
「なんで、両方近接なのよ」
呆れ声が荒野vc(ボイスチャット)から漏れてくる。
「そもそもなんで、ソロなの?野良でスクワッド(4人プレイ)とかすればいいじゃない?あんた、人見知りでもないでしょ?」
「それは…そーだけど…」
これは初心者のあるある悩みだろう。見ず知らずの人に迷惑かけるのでは、という気後れ。それから、装備の準備では、ろくに使いこなせない私が持つよりとか、いろいろ考えて…
結局ソロプレイを選んでしまう。
「サヤさぁー。たかだかゲームの顔も知らない人に遠慮してどーすんの?」
アキの言い分も然りだけど、どうしても考えてしまう。
「とりあえず、一度行こう」
「う、うん…」
………開始5分でやられて観戦、10分程度で全滅。ホームに戻る。
数回同じことを繰り返し…
「アキ…ごめん…つまんないよね?」
「…う、ううん。そ、そんな事ないよ!ほら、分かり始めた頃って、スタイルが決まらず、ほらいろいろ試してさぁ…もぅすこし慣れたら大丈夫だって!ね。」
フォローコメントが痛い…
「まぁ、私だって全然だし。ちょっと始めたのが早かっただけだからさ」
アキは彼氏の影響でやり始め3~4か月経ち、彼氏という先生がいる。
劣等感、申し訳なさ、罪悪感…負の感情ばかりが積もってくる
『なんで、こんな思いをして、ゲームやってるんだろ…』
「あ、アキ…その…もぅ…」
「あっ!サヤ!ちょっと待ってね!」
諦めの言葉が遮られた。
「やった!サヤ!ちょっとフレ入るねっ!」
「え?う、うん…」
…知らない人が来るのは、結構キツイ…
私の心中を察する様子もなく、画面にかわいい衣装の女性キャラが増えた。
「こんばんはー!ナギサさん!」
アキの挨拶にvcからの返事はなく
[チワワー]
[こんばんワン]
チャット欄に犬のチワワの写メアイコンと文字が表示された。
私とナギサさんの出会いでした。
「ナギサさん!この子が前言ってたリアフレのサヤカです!」
『!?私の事、どう話したんだろ…』
「あ、は、はじめまして…サヤカです…」
[はじめましてー。よろしくねー( ^∀^)]
「あ、サヤ。ナギサさんvc付けない人だからチャット見ててね」
[ごめんねー。諸事情で付けれなくて]
[(>人<;)]
素早く、チャットに顔文字入りでログが流れる。
『なんだか、ホッとする』
[始めたばかりなんだってね。私なんかが何を教えれるかわかんないけど、楽しく遊ぼーw
\(*´∀`*)ノ]
『顔文字って…すごいなぁ…』
人の良さが伝わってくる気がする。
「サヤー。ナギサさんってマジ凄いから、教えてもらいなー」
「すごい?」
『ガチ勢ってやつなのかな?…気乗りしないなぁ…』
[いやいや、唯のエンジョイ勢ですよw期待しないでねw(^_^;)]
思った事が伝わってしまったのかドキッとした。
「あ、あの…私、すごく下手で、迷惑…かけると…」
[ん?なんで?迷惑?]
[一緒に遊んでもらうのに?]
[相手してもらうんだからお互い様じゃんw]
[始めたばかりで下手もないよw]
[楽しくやろー( ̄∀ ̄)b]
スラスラと流れるチャット。考えて打った言葉より、より本心、思ったことを言ってる。そんな気がする。
「とりあえず、ナギサさん。一回いきましょう」
[( ̄^ ̄)ゞ]
アキのvcに即座に顔文字が流れる
マッチング開始
そして、私は新しい荒野行動を知ることになった。
嵐の半島、待機場。
『よろしくお願いします』
ナギサさんからsc(定形vc)
「お願いしまーす」
「よ、よろしくお願いします」
アキに続いて返事を返した。
[ねね!アキちゃん!サヤちゃん!]
[見て見てー!]
ナギサさんを探すと地面に下半身が埋まっている状態で左右にリーン(上半身を傾ける動作)をしていた。
[ヽ( ̄д ̄;)ノ]
[たーすーけーてーw]
「ぷ、あははー」
「どーやったんですか?」
素でアキと一緒に笑ってしまった。
と、画面が嵐の半島上空にかわった。
「どこ行きます?」
アキの声に目的地が最北端に…
「ナギサさん。そこ待機場じゃ…」
[ニシシ( ̄▽ ̄)]
チャットに顔文字が表示され
[どこでもいいよーw]
飛行経路から最も遠い名もなき集落へ降下
[ここの部屋半分くらいbotだから気楽にいこーw]
着地。急いで建物に入り、武器と包帯、リュックを入手。
一軒見終わり、外へ出るとナギサさんが目の前でエモーション投げキッスをしている。
手ぶらで…
途端に均等な間隔の銃声が響く。
と同時にナギサさんは銃声の方へ駆け出した。
…手ぶらで
[botちゃーんすw]
チャットと同時にbotの回りをぐるぐる走り回っている。撃たれているがダメージがない。
[サヤちゃん!やっちゃってー]
「は、はい!」
持っていたM4をフルオート。
リロードを挟んでなんとか倒した。
『ナイス』
ナギサさんからsc。
…ちょっと嬉しいかも
集落を一通り回り終わると
[二人とも装備どう?漁れた?]
「あ、私は大丈夫です。サヤわ?」
「大丈夫だと思う?」
[じゃあ、次はここー]
目的地を指してもらい、ついていく。
行く先々でナギサさんがエモーションだったりピョンピョンと跳ねたり、壁に半身埋めたりと、いろいろと小ネタを披露してくれる。
開始8分、廃駅に向かっていると銃声が複数聞こえてきた。
『敵発見』
scと同時にナギサさんが発砲。
一発の銃声でログが流れた。
『え?どこ?』
更にもう一発、違う名前のログが流れる。
『援護して下さい』
scに合わせて、アキも私もナギサさんが撃った方へとりあえずデタラメに発砲。
『やりましたね』
scが入って倒した事にやっと気づいた。
[ないすぅーw]
「や、やった?」
「ナイスです!ナギサさん!」
アキの声が高揚している。
遠くも近くもない場所から別の銃声が聞こえる。
[次、いくよー]
~20分経過~
3人生存。残敵18人。
[さーて、お姉さんがんばちゃうぞぉーw]
アンチ(安全地帯)もかなり狭くなってきた。
「アキ。私、ここまで生き残るの、はじめてかも」
「ナギサさんの足引っ張らないように。だね」
[( ̄∀ ̄)イヤイヤ、私最後でやらかす人だからーw]
[荒野はね、生き残れば勝ちだから、倒さなくてもいいよ]
[生き残ろう!]
~開始27分~
残敵3人 生存3人
小高い丘の2階建、通称"6角"
ギリギリ中が見えない傾斜にしゃがみ、様子を見ていた。
[3枚だねーアンチ縮小合わせていくね]
[私が動いたら、2階窓に向かって撃ってね]
縮小5秒前、ナギサさんが動いた。ポシュと軽い音が鳴り六角の中が爆発。
2人分のキルログが流れた。
「え?今のって?」
ただ固まって見ている画面に、爆発先の六角の階段をナギサさんが走り登っている。
銃声が響き画面が止まる。
画面中央に1位の表示が浮かんだ。
1位
アキ4撃破
サヤカ3撃破
ナギサ9撃破
「やったー!!」
アキの歓声がvcから聞こえる。
「…え?勝った…の?」
「そう!私たち勝ったんだよ!サヤ!」
アキの興奮気味の声に実感が徐々に湧いてきた。
『勝った?勝った。勝ったんだ!」
ホームに戻ると、
チャット欄には
[やったねー!ナイスドン勝!!]
[(⌒▽⌒)v]
なんだか、アツイ…
今までのモヤモヤが、、、
[どうだった?w]
「スッキリです」
アキに同意。
そう。一言でいって、
気持ち良い!!
[さて、どーする?]
時計はまもなく21時になるところ
「あー!妹迎えに行かなくちゃ!ごめん!サヤ、ナギサさん!またー!」
返事を返す間もなく、画面からアキのキャラが消えた。
[あらら…残念(・ω・:]
[どーする?サヤちゃん。私は全然大丈夫だよ]
『時間は大丈夫だけど、ちょっと疲れたかも、でも…』
[もし、試合はちょっとっていうなら、お話しだけでもいいよw]
「いいんですか?その、戦い行かなくても?」
[いいよw( ^∀^)慣れてこないと連戦きついよね]
[このまま終わりも、寂しいもんね]
「~ナギサさんて、なんでそんなに私のことわかるんですか?」
思ったことを口にしてしまった。
チャットに間があった気がした。
「あ、その、つい思ったから…えーと…」
[わかるよー。私も最初の頃そーだったから]
[それに、サヤちゃんかわいいから、もっと仲良くなりたいしw]
「!」
「あ、あはは…か、かわいいって…その…そんなことないですよね?あはは…」
や、ヤバい!ドキッとした。なんか顔があつい
[んー。なんかー初々しい感じが、お姉さんの母性本能うずくーみたいなw]
「あ、あの…えーと…ナギサさんてそっちの…」
[レズではないよwごめんねーw引いた?]
「で、ですよねー。ちょっとびっくりしただけです。引いてないです。あはは…あ、あのナギサさん。聞いていいのかあれだけど、いくつ何ですか?あっ!私は27歳で…」
~~~
もっと知りたい。仲良くなりたい。知って欲しい。矢継ぎ早に質問してしまう。
…この時、私はこの気持ち、アレだと理解してしまった。納得してない、認めたくないけど…
"一目惚れ…恋だと"
ゲームの、多分女性に…
「で、ナギサさんに日付けかわって1時まで、4時間も、前カレの破局からニート生活と個人情報を延々と語った訳だ。そりゃ、ヒクわー、ナイわー、ドンビクわー。あんた、中高生乙女か?」
「ぅぅ~…き、嫌われたかなぁ~?やっぱり~」
昼過ぎに電話で起こされたアキに報告しながら状況を思い出して、頭を抱えた。
「ほんとサヤって土壇場でやらかすよねー」
「どーしよーアキー」
「まぁ、ナギサさんすごい人だから大丈夫でしょ」
心配を軽く流しながら言うアキの(すごい)の意味を私は今はまだ知らなかった。
私の前も見えない、荒野行動は続く?みたいです。
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