荒野と私と私たちの日々

NAGISA

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後ろしか見えてなかった荒野行動

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後悔先に立たず

私のこれまでは後悔しかなかった気がする。
学生時代、初めてできた彼氏は私の強がりから終わり。
短大ではゲーム三昧でロクに友人を作らず。
社会人になれば、不景気のあおりを受け、自宅待機…
唯一の友人の勧めのゲームでは、勝手に盛り上がって…

「ぅうーアーキーどーしよー」
「どーしよもないでしょ?やっちゃったんだし。とりあえずフレ登録したんでしょ?inしてるか見て、いれば素直に謝るしかないでしょ?」
「なんてー?どーいえば…」
「どーって、普通に"遅くまですみませんでした"でいいじゃん」
涼しげに軽く言う。まぁ他人事だもんね…

恐る恐るタブレットを手繰り寄せ、電源を入れアプリを…
「……~」
指が後数センチで止まる。
「…~ん~」
震える手を離し、一度深呼吸。
「スー…ハーー…よしっ」
改めて、アプリを…
「んん~」
「乙女かっ!?腹立つわー」
通話中のアキの存在を忘れていた…
乙女かの言葉に接つかれアプリを起動。
フレンド欄を確認すると
「ど、ど、どしよ?いる、いる、いる。inしてる!」
「なんで、敵発見みたいな…」
冷めた、呆れツッコミが聞こえる。
フレンド欄のナギサさんの状態は開始後8分と出ている。
「今、戦ってるみたい」
「じゃあ、とりあえず観戦したら?で挨拶して、昨日はすみませんでしたって。
終わったら返事くれるでしょ?」
「うん…」
言われるまま観戦に向かった。


画面はナギサさんの視点になり、建物内を走り装備を整えているようだった。
画面をよく見ると、3人の名前と体力ゲージが見えた。

⭐︎啞依⭐︎
H∧L
※ナギサ//

とにかく挨拶をと思いチャットを開こうとすると、画面に文字が右から左へと流れた。
 "え~み~:ナギナギおはよ~"
  "ryu521:ガンバレ~ドン勝だ~"
 "Lan:ナギサー、チワワー"
 "@桃介:ナギ姉さんチワワ"

次々とコメントが流れていく。
「何人観戦してるの?」

"〆TBY:姉さん、今日も荒ぶってますね
 "クッキー♡:お姉ちゃん、モテモテだw

流れてくるメッセージ一つ一つに画面が上下に、うなずくかのように揺れたり、エモーションで返してる。

「すごい…人望あるんだ…」
コメントがずっと流れている。
銃声が聞こえた瞬間、コメントが止まる。

ナギサさんが遥か遠い山頂の木の脇に画面を合わせ、スコープを開くと中央に小さく人影が捉えられ、即発砲!
スコープが解除された木の脇に血しぶきが見え、ログが流れる。
同時に称賛コメント、贈り物が…
「~すごい」
プレイも人望も…
"ryu521:ヤバっ!486mってまじか!w
コメントの一つに目が止まる。
どんな世界が見えてるんだろう。

メンバーが集まり車で移動。車が止まると散開し攻撃。1、2発撃つとナギサさん一人大きく回り込み、足止めした敵を側面から撃つ。
これがチーム戦…
挨拶も謝罪も忘れて魅入ってしまう。

~~

試合終了、結果は3位。
交戦中に背後からきた別パーティーに挟まれあえなく。

ホームに戻り余韻に浸る。
「あんなプレイしてみたいな…あ…挨拶出来なかった…はぁー」
小さくため息を出した瞬間、招待申請が届いた。

「え!?え、え!?ナギサさんっ!?な、なんで?」

あれだけの観戦者がいて、チーム入ってて、挨拶もできなくて観てただけの私に?
戸惑いながら、申請を受けた。


ホーム画面に可愛い衣装の女性2人、いかにも強そうな武器を持った男性、そして私が。

[きたきたwサヤちゃんチワワーw」
「チワワー」
「よろしくー」

ナギサさんのチャットと同時に男性と女性のvcが聞こえた。
さっきの試合のメンバーだ。
「こ、こんにちは」
[昨日はありがとねー( ^∀^)]
「え?」
『ありがとう?』
[遅くまで付き合ってくれてw]
「じゃあ行きますかー」
「は~いっ」
男性の声と女性の返事とともにマッチング開始が始まる
「え?え?えー?」
[れっつらごー(^O^)/]


なんで、こーなったの?…

『よろしくお願いします』
『よろしくお願いします』
「よろしくー。あいvcは?」
あいさん、ナギサさんのscとハルさんのvc
「んー喋れるよー」
「おっけー。ナギーサヤカさんって初心者だっけ?」
[そーそーwかわいい、私の妹分よw]
『妹?』
「りょーかい」
[ハルりん、手を出さないでねw]
「それなー」
「出すかー、どんなキャラだよ」
[手早い]
「手早い」
ナギサさんのチャットとあいさんの声がシンクロする。
「ひでー」
[サヤちゃん、気を付けて。口説かれたらお姉ちゃんに報告w]
「何もしねーよ。出したらあいに殺されるじゃん」
「出さなくても殺すけど?」
[ハルりんシケイw]
「またそれかー。どーあってもシケイは決まってる」
[とーぜん]
「とーぜん」
「ここの女やべぇ」

突然マッチングが始まって戸惑っていたのが、いつの間にか落ち着いていた。
「私入ってて大丈夫ですか?」
「大丈夫よん」
「とりあえず、死なないように。死んだら俺のせいになるから。あー後、ここの姫さんらは、突っ込むの好きだから真似しないよーに」
「それはハルが悪い」
[そそwハルりんシケイ確定w]
「もう、勝手に殺してくれ。あーサヤカさんもこーなるんだろうなー」
「なるね。ナギサさんが連れてきた人だから」
[私色に染めちゃうゾw]
「冗談に聞こえねー」

なんだろ、話についていけてないのに、言ってる事は物騒でネタにされてるみたいなのに…
悪い気はしない。

「あの!」
「どーしたー?」
「サヤでいい…です…友達もそー呼ぶし…」
「おっけー。サヤ」
「サヤ。なんか呼び捨てって照れるな」
[またまたハルりんの純情キャラ発動]
[上手いねぇ、落とすのーw]
「イヤイヤ、ちがうって!初対面の女性にいきなり呼び捨てって」
「ハル、私はすぐに呼び捨てだったくせに」
「キャラの違いっていうか、ナギの妹分っていうとなんかそんな感じじゃないか?しかもあいは『あいって呼べ』だったし」
ハルさんが必死で弁解しているようだ。

「ナギサさんどー思います?」
[んーナギサ裁判、判決シケイだね]
「ナギサさんガソリンですね」
[車爆破もアリかなぁ]

画面がかわり上空移送中、何処飛ぶという相談もなく、話は延々と処罰(殺害)方法についてだった。


飛行からパラシュート。
「いるやん!ウソウソ?くんなぁー」
あいさんのvcから敵とかなり近くに着地したみたいだ。
「マジか?あい大丈夫か?」
『敵発見』
ナギサさんのscと同時に建物にマークが付いた。
[2枚!いく!]
銃声が轟き、ナギサさんがダウンした。
『ナギサさんが?』
[1枚はやった]
更に軽快な連射音
「よっしゃー」
『ナイス』
「あい、ナイス!救助も頼む」
「は~いっ」
『ありがとう』

連携がすごい。

「ナギ、ショットガンだけで2枚に突っ込むなよ。また俺のせいなるだろ」
[はいはい。ごめんねごめんねーw]
vc、チャットに気を取られて止まっていると、いつの間にか目の前にハルさんがいて周囲を見回すかのように前後左右に動き警戒している。
「いたいた。255の高級」
『了解』
sc後銃声が轟き、キルログ
「いたー。みっけたー」
軽快な銃声、キルログ
「ナイス。まだいるか?」
[制圧だねー。あいちゃんフォローありw]
[ハルりんはガードという名のサボりだw]
「イヤイヤ、ガード!護ってたんだよ」
「ナギサさんがやられたけど」
[大丈夫。ハルりんシケイ確定]
「てか、二人ともスナイパーだよね?ポジション違うくね?」

そんなやり取りをしながら、それぞれが役割をこなしていた。

「チーム長いんですね。連携がすごいなって思って」
「いや、あいきて1か月ぐらい?」
「多分」
[3人で行くのはここ最近だよね]
「え?前のゲームも観てたんですけど、戦い方とかすごくて」
「やりやすいってのはあるかな?」
「気楽だよね」
[ハルりんのグループはみんな仲良いから、誰とやっても楽しいよ]
「基本、自由行動だよな。ここって。せっかくのゲームだし、楽しくやらないとなー」

何故かアキの言葉を思い出した。
『ゲームの顔も知らない相手に遠慮してどーするの?』

[カーキルされてしょっちゅうキレてるけどw]
「アレはムカつきますよ」
「八つ当たりは俺にくるけど…」
[サヤちゃんもムカついたらハルりんに当たっていいよw]
「そーそー。その為のハルだから」
「いいんですか?」
「よくねーけどいいよ。俺で解消してくれ」
「むしろMだから嬉しいでしょ?」
[ドM!ε-(´∀`; )]
「Mならお願いします」
「M認定されたー。さすがナギの妹」
「サヤ、ナイスゥ」

楽しい!こんな時間初めて。
居心地がいい。
今まで、呼ばれて参加しても疎外感感じて、来なきゃ良かったって。
後悔してた。
後ろばかり見てたから…
見えてなかったから。

試合はあっけなく負けました。
その後4戦程行って、ハルさん、ナギサさんの用事で解散になったけど、

私のフレ登録欄に名前が増えました。
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