6 / 32
やっぱり
しおりを挟む
充電器に繋げてあったタブレットを取り上げて、使用履歴を見る。
やっぱり。
使用履歴に上がった一番上のリンクを開くと、〇〇市場のホームページへと飛んだ。オンラインで買い物ができる大手通販サイトだ。
自分のアカウントにログインして購入履歴を確認すると、身に覚えはないが、人形専門店から人形を一体購入していることが判明した。注文受付日は昨晩の夜中になっている。
都内だからかもしれないが、夜中に注文したものがこんなに早く届くことにも驚きだった。しかも週末なのに。
「また、やっちまった……」
はあっ、と大きな溜息を吐く。
実は明石は、究極に酔うと記憶を無くす上、なぜかネットショッピングで要らない商品を購入するという奇行に走ることがある。
以前にも何度か似たようなことをやらかしているのだ。女性物の同じTシャツを色違いで五枚注文してしまったり、入れ歯用の洗浄剤を一年分購入したり。使えるものならばまだ消費のしようもあるが、毎回なんでこれ? という品物ばかりなのだ。
覚えていないので、どうしてそれを選んだのかは不明なままだ。だから今回も、なぜ自分がこの人形店のホームページに辿り着いて、購入ボタンを押してしまったのかは謎だった。
注文の詳細部分を確認してみる。
『セール企画! どんな子が届くかは開けてからのお楽しみ!』と冒頭に書かれていて、商品紹介の箇所には写真が掲載されていなかった。その代わり、大きなハテナマークが載っており、下に小さく『お楽しみ企画商品のため事前に外見をお伝えすることはできません(希望はできる限りお受け致します)』とあった。
あんな大きな箱に入る人形を購入してしまったのだから、さぞかし高かっただろうと心配したが、意外にもちょっと高性能な電子レンジが買えるぐらいの値段だった。とはいえ、一般サラリーマンには気軽に購入できるほどでもない。もし、値段を顧みず手に入れたのであれば、自分はこの商品のどこかに惹かれたのだろう。
人形って、どういう人形だろう。あれか、あの、ラブドール的なものと間違えたのだろうか。いや、そんな趣味は自分にはないし。あ、でも、酔っ払っていたから判断力がなくなっているだろうし、そういったものに頼ろうとした可能性もあるか。確かにもう何年も恋愛関係はご無沙汰だし。人肌恋しくなったのだろうか。人形でもなんでもいい、と思ったとか?
しばらくあれこれ考えてみたが、自分が人形を買う納得のいく理由はやはり浮かばなかった。
やっぱり。
使用履歴に上がった一番上のリンクを開くと、〇〇市場のホームページへと飛んだ。オンラインで買い物ができる大手通販サイトだ。
自分のアカウントにログインして購入履歴を確認すると、身に覚えはないが、人形専門店から人形を一体購入していることが判明した。注文受付日は昨晩の夜中になっている。
都内だからかもしれないが、夜中に注文したものがこんなに早く届くことにも驚きだった。しかも週末なのに。
「また、やっちまった……」
はあっ、と大きな溜息を吐く。
実は明石は、究極に酔うと記憶を無くす上、なぜかネットショッピングで要らない商品を購入するという奇行に走ることがある。
以前にも何度か似たようなことをやらかしているのだ。女性物の同じTシャツを色違いで五枚注文してしまったり、入れ歯用の洗浄剤を一年分購入したり。使えるものならばまだ消費のしようもあるが、毎回なんでこれ? という品物ばかりなのだ。
覚えていないので、どうしてそれを選んだのかは不明なままだ。だから今回も、なぜ自分がこの人形店のホームページに辿り着いて、購入ボタンを押してしまったのかは謎だった。
注文の詳細部分を確認してみる。
『セール企画! どんな子が届くかは開けてからのお楽しみ!』と冒頭に書かれていて、商品紹介の箇所には写真が掲載されていなかった。その代わり、大きなハテナマークが載っており、下に小さく『お楽しみ企画商品のため事前に外見をお伝えすることはできません(希望はできる限りお受け致します)』とあった。
あんな大きな箱に入る人形を購入してしまったのだから、さぞかし高かっただろうと心配したが、意外にもちょっと高性能な電子レンジが買えるぐらいの値段だった。とはいえ、一般サラリーマンには気軽に購入できるほどでもない。もし、値段を顧みず手に入れたのであれば、自分はこの商品のどこかに惹かれたのだろう。
人形って、どういう人形だろう。あれか、あの、ラブドール的なものと間違えたのだろうか。いや、そんな趣味は自分にはないし。あ、でも、酔っ払っていたから判断力がなくなっているだろうし、そういったものに頼ろうとした可能性もあるか。確かにもう何年も恋愛関係はご無沙汰だし。人肌恋しくなったのだろうか。人形でもなんでもいい、と思ったとか?
しばらくあれこれ考えてみたが、自分が人形を買う納得のいく理由はやはり浮かばなかった。
10
あなたにおすすめの小説
僕を守るのは、イケメン先輩!?
刃
BL
僕は、なぜか男からモテる。僕は嫌なのに、しつこい男たちから、守ってくれるのは一つ上の先輩。最初怖いと思っていたが、守られているうち先輩に、惹かれていってしまう。僕は、いったいどうしちゃったんだろう?
百戦錬磨は好きすぎて押せない
紗々
BL
なんと!HOTランキングに載せていただいておりました!!(12/18現在23位)ありがとうございます~!!*******超大手企業で働くエリート営業マンの相良響(28)。ある取引先の会社との食事会で出会った、自分の好みドンピシャの可愛い男の子(22)に心を奪われる。上手いこといつものように落として可愛がってやろうと思っていたのに…………序盤で大失態をしてしまい、相手に怯えられ、嫌われる寸前に。どうにか謝りまくって友人関係を続けることには成功するものの、それ以来ビビり倒して全然押せなくなってしまった……!*******百戦錬磨の超イケメンモテ男が純粋で鈍感な男の子にメロメロになって翻弄され悶えまくる話が書きたくて書きました。いろんな胸キュンシーンを詰め込んでいく……つもりではありますが、ラブラブになるまでにはちょっと時間がかかります。※80000字ぐらいの予定でとりあえず短編としていましたが、後日談を含めると100000字超えそうなので長編に変更いたします。すみません。
忠犬だったはずの後輩が、独占欲を隠さなくなった
ちとせ
BL
後輩(男前イケメン)×先輩(無自覚美人)
「俺がやめるのも、先輩にとってはどうでもいいことなんですね…」
退職する直前に爪痕を残していった元後輩ワンコは、再会後独占欲を隠さなくて…
商社で働く雨宮 叶斗(あめみや かなと)は冷たい印象を与えてしまうほど整った美貌を持つ。
そんな彼には指導係だった時からずっと付き従ってくる後輩がいた。
その後輩、村瀬 樹(むらせ いつき)はある日突然叶斗に退職することを告げた。
2年後、戻ってきた村瀬は自分の欲望を我慢することをせず…
後半甘々です。
すれ違いもありますが、結局攻めは最初から最後まで受け大好きで、受けは終始振り回されてます。
地味メガネだと思ってた同僚が、眼鏡を外したら国宝級でした~無愛想な美人と、チャラ営業のすれ違い恋愛
中岡 始
BL
誰にも気づかれたくない。
誰の心にも触れたくない。
無表情と無関心を盾に、オフィスの隅で静かに生きる天王寺悠(てんのうじ・ゆう)。
その存在に、誰も興味を持たなかった――彼を除いて。
明るく人懐こい営業マン・梅田隼人(うめだ・はやと)は、
偶然見た「眼鏡を外した天王寺」の姿に、衝撃を受ける。
無機質な顔の奥に隠れていたのは、
誰よりも美しく、誰よりも脆い、ひとりの青年だった。
気づいてしまったから、もう目を逸らせない。
知りたくなったから、もう引き返せない。
すれ違いと無関心、
優しさと孤独、
微かな笑顔と、隠された心。
これは、
触れれば壊れそうな彼に、
それでも手を伸ばしてしまった、
不器用な男たちの恋のはなし。
【完結】アイドルは親友への片思いを卒業し、イケメン俳優に溺愛され本当の笑顔になる <TOMARIGIシリーズ>
はなたろう
BL
TOMARIGIシリーズ②
人気アイドル、片倉理久は、同じグループの伊勢に片思いしている。高校生の頃に事務所に入所してからずっと、2人で切磋琢磨し念願のデビュー。苦楽を共にしたが、いつしか友情以上になっていった。
そんな伊勢は、マネージャーの湊とラブラブで、幸せを喜んであげたいが複雑で苦しい毎日。
そんなとき、俳優の桐生が現れる。飄々とした桐生の存在に戸惑いながらも、片倉は次第に彼の魅力に引き寄せられていく。
友情と恋心の狭間で揺れる心――片倉は新しい関係に踏み出せるのか。
人気アイドル<TOMARIGI>シリーズ新章、開幕!
想いの名残は淡雪に溶けて
叶けい
BL
大阪から東京本社の営業部に異動になって三年目になる佐伯怜二。付き合っていたはずの"カレシ"は音信不通、なのに職場に溢れるのは幸せなカップルの話ばかり。
そんな時、入社時から面倒を見ている新人の三浦匠海に、ふとしたきっかけでご飯を作ってあげるように。発言も行動も何もかも直球な匠海に振り回されるうち、望みなんて無いのに芽生えた恋心。…もう、傷つきたくなんかないのに。
若頭、初恋を掴む
うんとこどっこいしょ
BL
新人賞を受賞したばかりの小説家・前田誠也。
憧れの作家・小山内のもとに弟子入りし、夢に向かって歩き始めた矢先、彼の裏切りによって誠也の日常は崩れ去る。
逃げ出したホテルの廊下で、誠也は思いがけず“初恋の人”──幼なじみの桐生翔吾と再会する。
かつては隣にいた少年が、今は関東屈指の組織「桐生組」の若頭。
冷たくも優しいその瞳に、誠也は再び惹かれていく。
しかし翔吾は、誠也の知らぬところで警察との危うい駆け引きを続けていた。
守りたいのに、関わればまた傷つけてしまう──。
それでも翔吾は誓う。
「もう二度と、お前を泣かせない」
経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!
中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。
無表情・無駄のない所作・隙のない資料――
完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。
けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。
イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。
毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、
凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。
「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」
戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。
けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、
どこか“計算”を感じ始めていて……?
狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ
業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる