フェイク

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なんで

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 にわかには信じられなかった。現代の技術でこんな高度な、人間そっくりの人形が造れるのだろうか。しかも……。

 なんで、七尾?

 そこが最も解せなかった。もし本当に七尾の姿形をコピーして造られたのだとすると、その七尾の情報はどこから得られたものなのか。

 七尾は芸能人やアニメのキャラクターではない、一般市民だ。もし個人情報がどこかから漏れていて、勝手に使われていたら、それはどう考えても違法じゃないだろうか。しかも情報を元に商品化して、多くの人が利用するネット上で堂々と売られているなんて。

 なにより、酔っていて記憶がないとはいえ、たまたま自分が見つけて購入し、七尾が選ばれて届いた事実は、もっと気味が悪かった。

 とりあえず、返品だ。返品して、それからこの店を通報するなりなんなり、どうするかは考えよう。

 明石は、七尾人形を再び玄関に置き去りにしてリビングに戻った。

 タブレットで返品請求しようと店に問い合わせるためメッセージを送信した。それから、玄関にほったらかしは可哀想だと思ったので、七尾人形をリビングへと連れてくることにした。

 よいしょ、と全裸の七尾人形を抱き抱える。固定されていた支えがなくなると、七尾人形はだらりと力が抜けたようになり、明石に全体重でもたれかかってきた。裸の七尾を抱き締めているような錯覚に陥り妙な気持ちになったが、そこは深く考えないようにして、正面から抱き抱えるような形でリビングへと運んだ。

 よっ、とソファへ七尾人形を倒れないように工夫して座らせる。

 ムギが、なんだこいつはっ、という怯えた顔をしてソファから飛び降り、すぐさま七尾人形と距離を取った。部屋の隅からじっとこっちを伺っている。

「大丈夫だから」

 ムギに声をかけてから、玄関に残された箱を取りに戻った。返品するのなら箱も保管しておいた方がいいだろうと思い、リビングの隅の空いているスペースへと置いた。

 箱の中身を念のため確認すると、A4サイズぐらいの少し厚みのある書類みたいなものが見つかった。出してみると、取り扱い説明書のようだった。

 なんとなく興味が湧いてパラパラと捲る。

 最初の数ページは、人形各部の名称や仕様についての説明が記されていた。

 その次に、『スタートガイド』と書かれたページが出てきた。どうやら、基本的な操作を簡単に説明したものらしかった。

「こんなの、もうロボじゃん」

 ガイドによると、人形の中身には、かなり高性能な機能が搭載されているようだった。『人形』というにはあまりにも精密過ぎて、あんなお楽しみ企画のようなノリで売られていることが不思議に思えた。しかも精密機械としては破格の値段だ。
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