フェイク

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好奇心が警戒心に勝った

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「…………」

 ちらっと、同じ体勢のままで座っている七尾人形を見る。

 ほんの一瞬だけ自分の中で葛藤が生まれた。が、あっさりと好奇心が警戒心に勝った。

 ちょっと、動かしてみよ。

 いそいそと取り扱い説明書を片手に七尾人形へと近づく。返品する前に少しくらい弄ったっていいだろう。ロボットに触れる機械なんて滅多にないし、なんせ見た目が七尾そっくりだし。

 えーと、まず、電源だな。お、これ凄いじゃん。ソーラーで充電するんだ。で、足りない時には勝手にコンセントから充電するのか、自分で。うわ、ハイテク。

 いちいち心の中で感想を呟きながら、『スタートガイド』を読み進めていく。

 電源はどうやら首の後ろにあるらしい。

「ちょっと、失礼しまーす」と一応、七尾人形に断りを入れてから、ソファの後ろに回ってうなじ辺りを確認した。

 お、これだな。

 首の後ろ中央に、小さなパネルらしきものがあった。ガイドに習ってそこを軽く押すと、パカッと反動でパネルが開いた。

 中にはいくつかボタンがあった。その内の、『POWER』と書かれたボタンを押してみる。

 すると、ピーッという、大きな音がパネルから響いた。急いでパネルを閉めて、七尾人形の前に回る。

 しゃがみ込んでじっと人形の顔を眺めていると、ピクッと、体が微かに揺れた。眼球がぐるりと一周して、明石の顔を捉えた。目が合って一瞬どきりとする。

 そのままの表情で明石の顔を見つめる七尾人形。

「あの……」

 どうしていいか分からず、とりあえず話しかけてみる。すると、明石の顔を直視していた七尾人形が口を開いた。

「……何?」
「……え?」
「なんで、そんな人の顔じろじろ見てんの?」
「…………」
「どうした? 明石」
「いやいやいやいや……」首を振りながら、思わず後ずさる。
「え?」
「いや、だって。人形じゃん。ただの。そりゃ、高性能って書いてあったし、こんにちは、とかは言うかもって期待したけど……。っていうか、なんで俺の名前……。お前……なんで、めちゃくちゃ七尾なんだよ……」
「……何言ってんの?」
「『何言ってんの?』じゃなくて……どういうこと⁉」
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