9 / 32
好奇心が警戒心に勝った
しおりを挟む
「…………」
ちらっと、同じ体勢のままで座っている七尾人形を見る。
ほんの一瞬だけ自分の中で葛藤が生まれた。が、あっさりと好奇心が警戒心に勝った。
ちょっと、動かしてみよ。
いそいそと取り扱い説明書を片手に七尾人形へと近づく。返品する前に少しくらい弄ったっていいだろう。ロボットに触れる機械なんて滅多にないし、なんせ見た目が七尾そっくりだし。
えーと、まず、電源だな。お、これ凄いじゃん。ソーラーで充電するんだ。で、足りない時には勝手にコンセントから充電するのか、自分で。うわ、ハイテク。
いちいち心の中で感想を呟きながら、『スタートガイド』を読み進めていく。
電源はどうやら首の後ろにあるらしい。
「ちょっと、失礼しまーす」と一応、七尾人形に断りを入れてから、ソファの後ろに回ってうなじ辺りを確認した。
お、これだな。
首の後ろ中央に、小さなパネルらしきものがあった。ガイドに習ってそこを軽く押すと、パカッと反動でパネルが開いた。
中にはいくつかボタンがあった。その内の、『POWER』と書かれたボタンを押してみる。
すると、ピーッという、大きな音がパネルから響いた。急いでパネルを閉めて、七尾人形の前に回る。
しゃがみ込んでじっと人形の顔を眺めていると、ピクッと、体が微かに揺れた。眼球がぐるりと一周して、明石の顔を捉えた。目が合って一瞬どきりとする。
そのままの表情で明石の顔を見つめる七尾人形。
「あの……」
どうしていいか分からず、とりあえず話しかけてみる。すると、明石の顔を直視していた七尾人形が口を開いた。
「……何?」
「……え?」
「なんで、そんな人の顔じろじろ見てんの?」
「…………」
「どうした? 明石」
「いやいやいやいや……」首を振りながら、思わず後ずさる。
「え?」
「いや、だって。人形じゃん。ただの。そりゃ、高性能って書いてあったし、こんにちは、とかは言うかもって期待したけど……。っていうか、なんで俺の名前……。お前……なんで、めちゃくちゃ七尾なんだよ……」
「……何言ってんの?」
「『何言ってんの?』じゃなくて……どういうこと⁉」
ちらっと、同じ体勢のままで座っている七尾人形を見る。
ほんの一瞬だけ自分の中で葛藤が生まれた。が、あっさりと好奇心が警戒心に勝った。
ちょっと、動かしてみよ。
いそいそと取り扱い説明書を片手に七尾人形へと近づく。返品する前に少しくらい弄ったっていいだろう。ロボットに触れる機械なんて滅多にないし、なんせ見た目が七尾そっくりだし。
えーと、まず、電源だな。お、これ凄いじゃん。ソーラーで充電するんだ。で、足りない時には勝手にコンセントから充電するのか、自分で。うわ、ハイテク。
いちいち心の中で感想を呟きながら、『スタートガイド』を読み進めていく。
電源はどうやら首の後ろにあるらしい。
「ちょっと、失礼しまーす」と一応、七尾人形に断りを入れてから、ソファの後ろに回ってうなじ辺りを確認した。
お、これだな。
首の後ろ中央に、小さなパネルらしきものがあった。ガイドに習ってそこを軽く押すと、パカッと反動でパネルが開いた。
中にはいくつかボタンがあった。その内の、『POWER』と書かれたボタンを押してみる。
すると、ピーッという、大きな音がパネルから響いた。急いでパネルを閉めて、七尾人形の前に回る。
しゃがみ込んでじっと人形の顔を眺めていると、ピクッと、体が微かに揺れた。眼球がぐるりと一周して、明石の顔を捉えた。目が合って一瞬どきりとする。
そのままの表情で明石の顔を見つめる七尾人形。
「あの……」
どうしていいか分からず、とりあえず話しかけてみる。すると、明石の顔を直視していた七尾人形が口を開いた。
「……何?」
「……え?」
「なんで、そんな人の顔じろじろ見てんの?」
「…………」
「どうした? 明石」
「いやいやいやいや……」首を振りながら、思わず後ずさる。
「え?」
「いや、だって。人形じゃん。ただの。そりゃ、高性能って書いてあったし、こんにちは、とかは言うかもって期待したけど……。っていうか、なんで俺の名前……。お前……なんで、めちゃくちゃ七尾なんだよ……」
「……何言ってんの?」
「『何言ってんの?』じゃなくて……どういうこと⁉」
12
あなたにおすすめの小説
君と僕の関係は罰ゲーム
くすのき
BL
小学生の時、幼馴染の発した自分との関係性を聞いてしまった十都棗(とそなつめ)は、彼に頼らない人間になる事を決意して生きてきた。でも大学生となったら、まさかその幼馴染と再会し、しかもお隣さんになっていた。
彼は僕の事を親友と呼ぶが、僕はそのつもりはなくて……。
陽キャ✕陰キャ
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
今日でさようなら
須藤慎弥
BL
勝ち気で素行の悪い陽斗(はると)は、品行方正・文武両道な大地(だいち)の事が好きだった。
住む世界が違う、見ているだけで良い、と実はピュアで控え目な陽斗だったが、同じ高校に入学したのを機に話しかけ、二人は仲良くなることができた。
だが陽斗は、大地が実はモテている事を知り勝手に打ちのめされ、とんでもない要求をしてしまう──。
※程度はともかく五割そういうシーンです。ご注意ください。
※BLove様で行われましたコンテスト参加作です。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる