フェイク

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チャンス

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 明石が買い揃えた服に身を包む七尾人形を眺める。さすがに全裸のままでは色んな意味で危ういので、服を着てもらっているのだが。この服を揃えるのも一苦労だった。

 服装にこだわりのない明石には、どんな服を七尾人形に着せたらいいのか、はたまたサイズさえもよく分からなかった。リアルでは、ほぼ七尾のスーツ姿しか知らないし、見ただけでサイズを予測できるようなスキルはなかった。

 適当に見繕えば良かったのかもしれない。だけど、せっかくだし、リアル七尾が着るような服をきちんと着させてやりたい、という気持ちがあった。

 どうやってリアル七尾のサイズを知ろうかと悩んでいたが、チャンスはすぐに訪れた。同期での集まりが開催されたのだ。しかも、飲み会ではなく、週末の昼間に新婚の同期に招待されたホームパーティーだった。

 そこで七尾の普段着を見ることができる。最近、集まりを断ってばかりなのもあったし、そろそろ顔を出さなければと思っていたところだった。どうにかその場でサイズやブランド名を探ってやろう。そう思って、勇み足でパーティーに向かった。

 パーティーに現れた私服姿の七尾は、普段のスーツ姿に負けず劣らず格好よかった。シンプルだけど質の良さそうなTシャツに細身のパンツ。そこに、ちょっと凝ったデザインのカーティガンを羽織っていた。

 イケメンは何を着てもイケメンだな、と勝手に納得する。

 七尾を観察しながらパーティーを楽しく過ごしていたのだが、しばらくして暑かったのか、七尾がカーディガンを脱いで、ソファの背にかけたのを目にした。

 チャンスだ。

 明石はさりげなくソファに座った。七尾が飲み物を持って庭に出たその隙に、カーディガンのサイズを見ようと手を伸ばした。だが。

『……何してんの?』『うぎゃっ』

 かけてある七尾のジャケットに触れた直後。後ろから声をかけられた。

 驚き過ぎて変な声が出ると同時に、ソファから十センチほど飛び上がった。

 この声は。

 恐る恐る振り返って相手の顔を確かめた途端、心臓がバクバクと音を立てた。

 そこには七尾が立っていた。不審そうな顔で七尾のカーディガンの襟元を掴む明石の手を見ている。

 慌てて、話を逸らそうと試みる。

『あれ……七尾、どうした? さっき、庭にいたよな?』
『え? ああ、携帯、取りに来たんだけど。ポケットに入れっぱなしだったの思い出して。てか、何してんの?』

 あっさりと最初の質問に戻ってしまった。
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