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エキセントリック・メイドドリーム
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アップルパイを持った私は、トールの自室の前にいた。トールは甘い物が好きだ。とりわけアップルパイを好む。さすがに短時間で作れるものではないから、こういう時のために作り置きをしていた物を持ってきた。普段から王子たちの好きな物を用意している。トールの甘い物に関しては数日しかとっておけないので、常にいろいろな物を作っていた。今回は偶然アップルパイを作っていたから、運は私に味方している。
「まぁ、出来たら私が新たな好物を、トール様にもたらしたかった」
アップルパイを超える新たな好物を私が見つけ出したら、私とトールだけの秘密になる。特別な秘密。それを目指して、色々な甘い物を渡していたけど。
「今回はしょうがない」
私は一度深呼吸をして、ドアをノックする。
「誰……かな?」
優しさに包まれた声。でもいつも通りじゃなく、確かに落ち込んでいる様だ。
「私です、ベルです、良い物をお持ちしましたよ、甘ーいアレです」
私はあえて明るい声を出す。トールの良い所は人の好意を無下にできない所。たぶん一人になりたいと思っているけど、私の好意を受け取ってくれるはずだ。予想通り、目の前のドアが開く。
「……ありがとう」
困った様に笑うトール。私は強引に中へと入り込んだ。それでもトールは嫌な顔はしない。苦笑はしているけど。
「アップルパイ好きですよね、ちょうどおやつ時の十五の刻ですし」
「あぁ」
今やっと、アップルパイに気付いたような反応だ。それだけ落ち込んでいる証拠だろう。でも好物のアップルパイに、トールの声が少しだけ明るさを取り戻したように感じる。私は近くの机に、アップルパイの乗ったトレーを置く。
「さぁ、食べましょう、こういう時はホール食いです!」
アップルパイは切り分けていない。全部食べれるように、小さめに作ったのだ。それを聞いたトールは笑う。
「ははっ、確かに……ベル君にはいつも驚かされるよ」
笑顔のまま目を細めるトール。とても優しい穏やかな笑みだった。
「いつもありがとう、人の事をよく見ているね、僕が落ち込んだ時に君はいつも寄り添ってくれる……君のそういう所、好きだよ」
「トール様……ありがとうございます」
トールのほんわりとした空気に、私もほんわりとする。トールの言う好きは、きっと恋愛的な意味ではない。動物に向ける様な物だろう。それは空気でわかる。それでも私は良いかなと思っていた。ガツガツとした恋ではなく、穏やかな愛という感じ。
アンデストとトールで私はいつまでも迷っている。どちらも捨てがたい。二人とも踏み込めばきっと発展できるから、私次第なのだ……という考えは自意識過剰だろうか。
「一緒に食べよう、ちゃっかりもう一つフォークを用意しているのだろう?」
いたずらを見抜いた親のように笑うトール。私はへへへと、懐からフォークを取り出した。
しばらくの間全部忘れて、私とトールは笑いながら一つのアップルパイを食べすすめた。
「まぁ、出来たら私が新たな好物を、トール様にもたらしたかった」
アップルパイを超える新たな好物を私が見つけ出したら、私とトールだけの秘密になる。特別な秘密。それを目指して、色々な甘い物を渡していたけど。
「今回はしょうがない」
私は一度深呼吸をして、ドアをノックする。
「誰……かな?」
優しさに包まれた声。でもいつも通りじゃなく、確かに落ち込んでいる様だ。
「私です、ベルです、良い物をお持ちしましたよ、甘ーいアレです」
私はあえて明るい声を出す。トールの良い所は人の好意を無下にできない所。たぶん一人になりたいと思っているけど、私の好意を受け取ってくれるはずだ。予想通り、目の前のドアが開く。
「……ありがとう」
困った様に笑うトール。私は強引に中へと入り込んだ。それでもトールは嫌な顔はしない。苦笑はしているけど。
「アップルパイ好きですよね、ちょうどおやつ時の十五の刻ですし」
「あぁ」
今やっと、アップルパイに気付いたような反応だ。それだけ落ち込んでいる証拠だろう。でも好物のアップルパイに、トールの声が少しだけ明るさを取り戻したように感じる。私は近くの机に、アップルパイの乗ったトレーを置く。
「さぁ、食べましょう、こういう時はホール食いです!」
アップルパイは切り分けていない。全部食べれるように、小さめに作ったのだ。それを聞いたトールは笑う。
「ははっ、確かに……ベル君にはいつも驚かされるよ」
笑顔のまま目を細めるトール。とても優しい穏やかな笑みだった。
「いつもありがとう、人の事をよく見ているね、僕が落ち込んだ時に君はいつも寄り添ってくれる……君のそういう所、好きだよ」
「トール様……ありがとうございます」
トールのほんわりとした空気に、私もほんわりとする。トールの言う好きは、きっと恋愛的な意味ではない。動物に向ける様な物だろう。それは空気でわかる。それでも私は良いかなと思っていた。ガツガツとした恋ではなく、穏やかな愛という感じ。
アンデストとトールで私はいつまでも迷っている。どちらも捨てがたい。二人とも踏み込めばきっと発展できるから、私次第なのだ……という考えは自意識過剰だろうか。
「一緒に食べよう、ちゃっかりもう一つフォークを用意しているのだろう?」
いたずらを見抜いた親のように笑うトール。私はへへへと、懐からフォークを取り出した。
しばらくの間全部忘れて、私とトールは笑いながら一つのアップルパイを食べすすめた。
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