29 / 40
エキセントリック・メイドドリーム
解決編06
しおりを挟む
この事は、昨日ベッドに寝ころんでいる時に気が付いた。そこからエミラが犯人ではないかと絞っていったのだ。私がエミラに視線を向けると、苦々しい表情を浮かべるだけだった。反論が思いつかないのだろう。私は構わずに続ける。
「次に行きましょう……アンデスト様が殺された件」
それを言った瞬間、思い出したように胸がズキリと痛んだ。やっぱりまだ、割り切れていない。言葉一つで思い出してしまって、ぶり返してくる。でも今は堪えないと。そうしているとアリーンが私に頷いて見せて、その場にいた人たちに向かって口を開いた。
「アンデスト様の殺害現場について、僕が少し復習しようかね、ベルばかりに活躍させられないのだよ」
私が持ち直すまで、アリーンは時間を稼いでくれるようだ。たぶん。
「アンデスト様は昨日の十五の刻あたりに殺害された、凶器は両刃の短剣、王の殺害に使用された凶器とは違う物だ……後からわかったのだがね、武器庫から一つ短剣が消えていた……アンデスト様の胸の骨は短剣によって貫通していた、さらに貫通時骨が折れたようで、おそらく覆いかぶさって、体重をかけて短剣を押し込んだのが原因ではと思われる、ちなみに短剣は刺さったままになっていた」
アリーンがトールの顔を見る。
「トール様はベルと一緒にいた、何をしていたのですかな?」
「……ベルがアップルパイを持ってきてくれて、それを一緒に食べていた」
アリーンの問いかけに、おずおずとトールが答える。
「羨ましい限り……これでトール様に犯行は出来ない」
アリーンが私に視線を送る。何かを訴える様な目だった。アップルパイを要求しているのだろうか。私は少し呆れて肩をすくめる。バカらしく思ったら、少し心が軽くなった。アリーンがセブリアンに視線を移す。
「セブリアン様は?」
問いかけられたセブリアンは、考えるように眉を寄せる。ここまで来たら手紙の件を言ってしまうべきか、と悩んでいるのかもしれない。決断したのか、セブリアンは口を開く。
「……手紙をもらって、南西にある庭園に行っていた」
「ほぉう、どのような内容の手紙で?」
アリーンがそう問いかけると、セブリアンは懐から手紙を取り出す。誰にも見つからない様に、持ち歩いていたらしい。
「犯人の手掛かりがあるから来てほしいと……私は誰にもその事を告げずに、一人で庭園まで行ってきた、誰も現れなかったが」
「ほぉ……なるほど、そういう事かね」
アリーンが不敵な笑みを浮かべる。エミラが犯人と名指しされた後、この手紙の存在を知れば、勘が良ければあるストーリーが思い浮かぶ。
「アリーン、ありがと、あとは私が」
私がそう言うとアリーンは一瞬残念そうにしてから笑みを浮かべて、芝居がかった礼をしながら二歩ほど後ろにさがる。本当に活躍したかっただけなんだろうか。少し呆れながら私は口を開いた。
「次に行きましょう……アンデスト様が殺された件」
それを言った瞬間、思い出したように胸がズキリと痛んだ。やっぱりまだ、割り切れていない。言葉一つで思い出してしまって、ぶり返してくる。でも今は堪えないと。そうしているとアリーンが私に頷いて見せて、その場にいた人たちに向かって口を開いた。
「アンデスト様の殺害現場について、僕が少し復習しようかね、ベルばかりに活躍させられないのだよ」
私が持ち直すまで、アリーンは時間を稼いでくれるようだ。たぶん。
「アンデスト様は昨日の十五の刻あたりに殺害された、凶器は両刃の短剣、王の殺害に使用された凶器とは違う物だ……後からわかったのだがね、武器庫から一つ短剣が消えていた……アンデスト様の胸の骨は短剣によって貫通していた、さらに貫通時骨が折れたようで、おそらく覆いかぶさって、体重をかけて短剣を押し込んだのが原因ではと思われる、ちなみに短剣は刺さったままになっていた」
アリーンがトールの顔を見る。
「トール様はベルと一緒にいた、何をしていたのですかな?」
「……ベルがアップルパイを持ってきてくれて、それを一緒に食べていた」
アリーンの問いかけに、おずおずとトールが答える。
「羨ましい限り……これでトール様に犯行は出来ない」
アリーンが私に視線を送る。何かを訴える様な目だった。アップルパイを要求しているのだろうか。私は少し呆れて肩をすくめる。バカらしく思ったら、少し心が軽くなった。アリーンがセブリアンに視線を移す。
「セブリアン様は?」
問いかけられたセブリアンは、考えるように眉を寄せる。ここまで来たら手紙の件を言ってしまうべきか、と悩んでいるのかもしれない。決断したのか、セブリアンは口を開く。
「……手紙をもらって、南西にある庭園に行っていた」
「ほぉう、どのような内容の手紙で?」
アリーンがそう問いかけると、セブリアンは懐から手紙を取り出す。誰にも見つからない様に、持ち歩いていたらしい。
「犯人の手掛かりがあるから来てほしいと……私は誰にもその事を告げずに、一人で庭園まで行ってきた、誰も現れなかったが」
「ほぉ……なるほど、そういう事かね」
アリーンが不敵な笑みを浮かべる。エミラが犯人と名指しされた後、この手紙の存在を知れば、勘が良ければあるストーリーが思い浮かぶ。
「アリーン、ありがと、あとは私が」
私がそう言うとアリーンは一瞬残念そうにしてから笑みを浮かべて、芝居がかった礼をしながら二歩ほど後ろにさがる。本当に活躍したかっただけなんだろうか。少し呆れながら私は口を開いた。
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる