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エキセントリック・メイドドリーム
解決編08
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「王位継承権三位に落とされた自分の息子に王位を継がせるために、王様と、アンデスト様を殺害し、その罪をセブリアン様に擦り付けて、邪魔な三人を排除する、その為にセブリアン様にそれらしい手紙を書いて届けて一人にさせる、たぶんセブリアン様の性格をよく知っていて手紙について黙っているのは分かっていた、さらに自分の息子の無実の証明のために私をトール様の所に行かせた」
シンクフォイル園の名前に関しては、エミラがここで口走ってくれたおかげでわかった。いろいろ綱渡りだったけど、何とかここまで来れた。私はエミラを見つめる。犯人像と動機が揃っているエミラを。
「王様が押し倒す相手、シンクフォイル園という名前を知っていた人、剣の腕が無く体格が小さい人間……消去法でそんな犯人像が浮かび上がりました、それはエミラ様に当てはまります……そこからそんなストーリーが思い浮かびました、どうでしょうか?」
「そんなの! あなたの想像でしょう!」
エミラが私を睨みつけて、叫ぶように抗議する。
「犯人像に該当する人物は私以外にもいるはずよ! 私が犯人というなら、証拠を出しなさい!」
予想通りの反応が来た。やっぱりこれで諦めてくれない。しかも突発的だったから、まだ証拠を見つけられていない。でも今なら、証拠を見つけられるかもしれない。この話をここでしたのは、そんな狙いがあったからだ。使用人たちが、勇気を出して行動してくれるかもしれないという狙いだ。きっと何か証拠が残っていて、使用人だからこそ、私達の様な者だからこそ、それに気づいていた可能性がある。でも言い出せるわけがない。身分の低い使用人が、私達の様な者が、そんな事をしたら、ダメだった時に消されて終わる。それが恐ろしくて、何かに気付いてもきっと口に出せない。というかここで何も出てこなければ、私は消される。「みんな! 些細な事で良い! エミラ様の不審な行動とか、そういう物を持っていたとか、何かない?!」
使用人たちの顔に陰が差す。何かを知っているのか、知らないけどただ単にエミラが怖いのか、どちらかわからない。
「分かっているわよね?! 私はこのまま行けば、王の母親よ!」
その言葉に誰もが俯いてしまう。もしここで手を挙げてそれが証拠にならなければ、私と共に消される。当然みんな理解している。それにエミラは元メイドで使用人たちに優しかった。慕われていた。私もその一人。エミラの不利になる事は言いたくない、という気持ちもあるかもしれない。でもこのままではアンデストを殺したエミラを、野放しにしてしまう。
「勇気を出して! 何かないの?!」
一瞬、沈黙が流れる。そこにトールの声が弱々しく、でも確かに響いた。
シンクフォイル園の名前に関しては、エミラがここで口走ってくれたおかげでわかった。いろいろ綱渡りだったけど、何とかここまで来れた。私はエミラを見つめる。犯人像と動機が揃っているエミラを。
「王様が押し倒す相手、シンクフォイル園という名前を知っていた人、剣の腕が無く体格が小さい人間……消去法でそんな犯人像が浮かび上がりました、それはエミラ様に当てはまります……そこからそんなストーリーが思い浮かびました、どうでしょうか?」
「そんなの! あなたの想像でしょう!」
エミラが私を睨みつけて、叫ぶように抗議する。
「犯人像に該当する人物は私以外にもいるはずよ! 私が犯人というなら、証拠を出しなさい!」
予想通りの反応が来た。やっぱりこれで諦めてくれない。しかも突発的だったから、まだ証拠を見つけられていない。でも今なら、証拠を見つけられるかもしれない。この話をここでしたのは、そんな狙いがあったからだ。使用人たちが、勇気を出して行動してくれるかもしれないという狙いだ。きっと何か証拠が残っていて、使用人だからこそ、私達の様な者だからこそ、それに気づいていた可能性がある。でも言い出せるわけがない。身分の低い使用人が、私達の様な者が、そんな事をしたら、ダメだった時に消されて終わる。それが恐ろしくて、何かに気付いてもきっと口に出せない。というかここで何も出てこなければ、私は消される。「みんな! 些細な事で良い! エミラ様の不審な行動とか、そういう物を持っていたとか、何かない?!」
使用人たちの顔に陰が差す。何かを知っているのか、知らないけどただ単にエミラが怖いのか、どちらかわからない。
「分かっているわよね?! 私はこのまま行けば、王の母親よ!」
その言葉に誰もが俯いてしまう。もしここで手を挙げてそれが証拠にならなければ、私と共に消される。当然みんな理解している。それにエミラは元メイドで使用人たちに優しかった。慕われていた。私もその一人。エミラの不利になる事は言いたくない、という気持ちもあるかもしれない。でもこのままではアンデストを殺したエミラを、野放しにしてしまう。
「勇気を出して! 何かないの?!」
一瞬、沈黙が流れる。そこにトールの声が弱々しく、でも確かに響いた。
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