闘いの日々には、もうウンザリ!妖怪の王は、異世界でスローライフを目指す……が、ままならず!

高岩唯丑

文字の大きさ
29 / 48
第二章

15

しおりを挟む
「ありがとう」
 私はお礼をリーヴェに伝える。
「お礼を言うほどじゃないわよ、これぐらい」
 少し苦笑気味にリーヴェが言う。こういう所が律儀なんだろうな。
「さて、ゆっくりもしてられない」
 もうお昼時をとうに過ぎて、太陽はそろそろ、赤くなるんじゃないかという所。まだ、夕方ではないと言えるギリギリの時間帯だ。夜まで動きっぱなしなんて嫌だ。今日はもうあきらめるけど、本当なら、だらだら過ごしたい。
 私とリーヴェは洞窟に足を踏み入れる。
「真っ暗で何も見えないわ、こんなに暗いとはね、灯りになる物、持ってこればよかったわ」
 リーヴェには中が暗くて見えないらしい。私は問題なく暗闇でも見えていた。人間は不便だな。そんな事を思いつつ、洞窟の中を見回す。ゴブリンが見える範囲で六体いる。妖怪の小鬼に似ているな。当然あちらも見えているのだろう。こちらをゲスな笑顔で見ている。たぶん私たちが暗闇で何も見えていないと思って、優位に立っていると思ってるらしい。
「話し合いに来た」
 私はしっかりと真ん中にいるゴブリンの目を見て言った。ゴブリンは戸惑ったように身じろぐ。私と目が合った事を驚いている様だ。
「なんだお前ら」
「さっきも言ったでしょ、話し合いに来たの、あんた達がイジメたスライムの変わりに」
 今度は会話が成立した事に驚いたようだ。ゴブリン同士でざわざわとしている。これでは話が一向に進まない。
「とりあえず、驚きは一旦置いて、話をしたい」
「ス、スライム、逃げやがった奴か」
 少し戸惑いながらもゴブリンが答えた。
「そう、もう狙うのは、やめてほしい」
 私の言葉にゴブリンたちはゲラゲラと笑い始めた。
「じゃあ、他の獲物に変えよう、それでいいか?」
 いやらしい喋り方でゴブリンがそう言う。それでいいわけないだろう。私は少し苛立つ。
「よし、お前らにしよう、それで、あのスライムは助かるぞ」
 またゲラゲラと笑う声が聞こえてくる。あぁ、こいつら嫌いだ。凄く嫌いなタイプ。
「どうせ人間も穏健派も、魔王様から見つけ次第殺せと言われている、つまりおもちゃにしていいって事だよ!」
 ゴブリンたちが動き始める。襲いかかってくるつもりらしい。私は大きなため息をついた。
「どうしたのよ、何が起こってるの?」
「交渉決裂、襲いかかってくるつもりみたい」
「じゃあ、討伐ね、外に出るわよ」
 そう言いながら、リーヴェが外に向おうと私を促す。灯りもないし、人間としては、そう言う判断になって当然か。ただ私はこの状況を利用できると思う。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~

スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」 王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。 伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。 婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。 それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。 ――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。 「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」 リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。 彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。 絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。 彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。

処理中です...