未来予知できる王太子妃は断罪返しを開始します

もるだ

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4話 捕まった侵入者

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 パーティーまであと9時間。

「昨夜、クラーラ様が公務で部屋を空けていた際、忍び込もうとしていた男を捕まえました」

 ルーカス殿下の右腕、レオン騎士隊長が私のもとへ報告をしにきた。

 捕まえた男は私の予想通り、謀反を企てているように偽装するための証拠品をたんまりと持っていたらしい。

 ルーカス殿下に護衛をつけてもらうようにお願いしてからずっとひやひやし続けていた。このまま誰も引っかからずに予知夢の通りになったらどうしよう、と。

 レオン騎士隊長はずっと私の部屋が見える場所でじっと見張っていてくれたようだった。忍耐力の要る仕事なのに文句一つ言わずにこなしてくれた。

 ようやく捕まったときいて本当にほっとした。

「約束通り、すぐに解放してくださったのでしょう?」

「はい、お申しつけの通りに。……これで本当に良かったのですか?」

「元凶を断つためには仕方のないことですわ」

 私はレオン騎士隊長に、誰か侵入してくる人がいても騒ぎ立てないようにお願いしていた。侵入騒ぎを知っているのは、私とルーカス殿下、レオン騎士隊長の三人だけ。

 出来ればルーカス殿下にも隠しておきたいところだったけど、さすが右腕というのか、殿下に報告しないわけにはいかないと言われてこちらが折れた。

 私は捕まった男を脅して、罪を見逃す代わりに「無事にクラーラの部屋に侵入して証拠品を隠してきた」と嘘をつかせる。いわば、二重スパイのようなことをさせようと計画していたのだ。

 どうやら男は家族を人質に取られていたらしく、レオン騎士隊長が問いただす前に泣いて助けを求めてきたと教えてくれた。

 そうしないとマリアまで辿り着くことはできないだろうと思った。トカゲの尻尾切りのように逃げられてしまっては一生マリアに命を狙われ続けることになる。

「本当に感謝しています、ありがとうございました……!」

「もったいないお言葉でございます」

「ふふ、もう下がっていただいて大丈夫ですわ。お疲れ様でした!」

「……いえ、ルーカス殿下からまだ気を抜かないように仰せつかっております」

「ルーカス殿下が?」

 あの未来を知っているのは私だけだから、侵入者がいたと知ればより警戒するのは当然のことか……。それに、まだ気が抜けないのは本当のことだ。

 だけど、ルーカス殿下の思いやりに嬉しくなった。

「それならまだ護衛をお願いするわ、でももう隠れる必要はありません」

「……? はい!」

 レオン騎士隊長はふしぎな顔をしながらも、快く私の言葉を受け入れてくれた。


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