甘やかされすぎた妹には興味ないそうです

もるだ

文字の大きさ
5 / 7

5話 嫌がらせ

しおりを挟む


 あれから、また不便な生活が始まった。アーリアは自分の身の回りのことは自分で出来るが、料理や洗濯をすると周りの使用人が恐縮して居心地が悪そうにしている姿が目に入った。

「すみません、お気になさらず……」

 キッチンで食事の準備をしながらアーリアが呟くと、反応してはならない料理番たちは、返事をする代わりに小さく咳払いをして合図する。

 ひとりでテーブルに向かい、手に持ったパンを口元に寄せると、この前怪我した痕が見えた。スザンネに掴まれて爪を立てられた部分は、ミミズ腫れのように赤く盛り上がっていたが、今は少し落ち着いてきたようだ。

「……はぁ」

 スザンネのおかげで生傷は絶えない。うんざりしてため息をつくと、遠くから足音が近付いてきた。

「あら、寂しくお食事中なのね? 使用人にも嫌がられちゃって可哀想に……。」

 何も返事をしないでいると、スザンネは強くテーブルを叩きつけた。衝撃で皿とスプーンが嫌な音を立てる。

「なんなのその態度は? ちょっといいこと言われたからって調子に乗らないでくれる?」

「……いいことって? 何の話?」

 アーリアが不思議そうに首をかしげると、スザンネの顔はみるみるうちに赤く染まっていった。

「はぁ? ほんっと信じらんない」

「私が何かした? ネックレスのことだったら、悪いのはそちらだし、いいことなんて何も言われてないよ?」

「……偉そうに。まぁいいわ、今だけ大目に見てあげる」

 妙に納得したようにうなずくと、キッチンの中にいる料理番たちに話しかけていた。どんな心境の変化があったのかはよく分からなかった。

 食事を終えたアーリアは、ベルーザに呼びつけられて大広間へと向かう。

「これ、全てあなたが」

 待ち構えていたベルーザは掃除用具を押しつけてくる。綺麗だとはいえ、大広間をひとりで掃除するのはとてつもない重労働だった。
 
「ここで婚約発表するの、……意味は分かるでしょう? 徹底的に綺麗にして。見張っているから手を抜こうだなんて考えても無駄よ。人前で恥をかかせた責任を取りなさい」

 ベルーザは近くにあった椅子を引くと、腰を下ろして足を組んだ。鋭い視線で睨み付けられたアーリアは嫌々ながらも従うしかなかった。

「もっと丁寧に拭けないの?」
「掃除すらも出来ないのね」
「なんでこんな簡単なことが分からないの?」

 アーリアが動くたびにキツい罵声が飛んできた。フォンに止められたときのことを相当根に持っているようだ。
 
 昼過ぎにはじまった掃除は夜が更けるまで続いた。







しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】「妹が欲しがるのだから与えるべきだ」と貴方は言うけれど……

小笠原 ゆか
恋愛
私の婚約者、アシュフォード侯爵家のエヴァンジェリンは、後妻の産んだ義妹ダルシニアを虐げている――そんな噂があった。次期王子妃として、ひいては次期王妃となるに相応しい振る舞いをするよう毎日叱責するが、エヴァンジェリンは聞き入れない。最後の手段として『婚約解消』を仄めかしても動じることなく彼女は私の下を去っていった。 この作品は『小説家になろう』でも公開中です。

婚約者が私の妹と結婚したいと言い出したら、両親が快く応じた話

しがついつか
恋愛
「リーゼ、僕たちの婚約を解消しよう。僕はリーゼではなく、アルマを愛しているんだ」 「お姉様、ごめんなさい。でも私――私達は愛し合っているの」 父親達が友人であったため婚約を結んだリーゼ・マイヤーとダニエル・ミュラー。 ある日ダニエルに呼び出されたリーゼは、彼の口から婚約の解消と、彼女の妹のアルマと婚約を結び直すことを告げられた。 婚約者の交代は双方の両親から既に了承を得ているという。 両親も妹の味方なのだと暗い気持ちになったリーゼだったが…。

好きな人と結婚出来ない俺に、姉が言った

しがついつか
恋愛
グレイキャット伯爵家の嫡男ジョージには、平民の恋人がいた。 彼女を妻にしたいと訴えるも、身分の差を理由に両親から反対される。 両親は彼の婚約者を選定中であった。 伯爵家を継ぐのだ。 伴侶が貴族の作法を知らない者では話にならない。 平民は諦めろ。 貴族らしく政略結婚を受け入れろ。 好きな人と結ばれない現実に憤る彼に、姉は言った。 「――で、彼女と結婚するために貴方はこれから何をするつもりなの?」 待ってるだけでは何も手に入らないのだから。

【完結】我儘で何でも欲しがる元病弱な妹の末路。私は王太子殿下と幸せに過ごしていますのでどうぞご勝手に。

白井ライス
恋愛
シャーリー・レインズ子爵令嬢には、1つ下の妹ラウラが居た。 ブラウンの髪と目をしている地味なシャーリーに比べてラウラは金髪に青い目という美しい見た目をしていた。 ラウラは幼少期身体が弱く両親はいつもラウラを優先していた。 それは大人になった今でも変わらなかった。 そのせいかラウラはとんでもなく我儘な女に成長してしまう。 そして、ラウラはとうとうシャーリーの婚約者ジェイク・カールソン子爵令息にまで手を出してしまう。 彼の子を宿してーー

私から全てを奪おうとした妹が私の婚約者に惚れ込み、色仕掛けをしたが、事情を知った私の婚約者が、私以上に憤慨し、私のかわりに復讐する話

序盤の村の村人
恋愛
「ちょっと、この部屋は日当たりが悪すぎるわ、そうね、ここの部屋いいじゃない!お姉様の部屋を私が貰うわ。ありがとうお姉様」 私は何も言っていません。しかし、アーデルの声を聞いたメイドは私の部屋の荷物を屋根裏部屋へと運び始めました。「ちょっとアーデル。私は部屋を譲るなんて一言も言ってないです」 「お姉様、それは我が儘すぎるわ。お姉様だけこんな部屋ずるいじゃない」「マリーベル。我が儘は辞めてちょうだい。また部屋を移動させるなんてメイド達が可哀想でしょ」私たちの話を聞いていた義理母のマリアは、そう言うと、メイド達に早くするのよと急かすように言葉をかけました。父の再婚とともに、義理の妹に私の物を奪われる毎日。ついに、アーデルは、マリーベルの婚約者ユーレイルの容姿に惚れ込み、マリーベルから奪おうとするが……。 旧タイトル:妹は、私から全てを奪おうとしたが、私の婚約者には色仕掛けが通用しなかった件について ·すみません、少しエピローグのお話を足しました。楽しんでいただけると嬉しいです。

妹が公爵夫人になりたいようなので、譲ることにします。

夢草 蝶
恋愛
 シスターナが帰宅すると、婚約者と妹のキスシーンに遭遇した。  どうやら、妹はシスターナが公爵夫人になることが気に入らないらしい。  すると、シスターナは快く妹に婚約者の座を譲ると言って──  本編とおまけの二話構成の予定です。

【7話完結】婚約破棄?妹の方が優秀?あぁそうですか・・・。じゃあ、もう教えなくていいですよね?

西東友一
恋愛
昔、昔。氷河期の頃、人々が魔法を使えた時のお話。魔法教師をしていた私はファンゼル王子と婚約していたのだけれど、妹の方が優秀だからそちらと結婚したいということ。妹もそう思っているみたいだし、もう教えなくてもいいよね? 7話完結のショートストーリー。 1日1話。1週間で完結する予定です。

聖女で美人の姉と妹に婚約者の王子と幼馴染をとられて婚約破棄「辛い」私だけが恋愛できず仲間外れの毎日

佐藤 美奈
恋愛
「好きな人ができたから別れたいんだ」 「相手はフローラお姉様ですよね?」 「その通りだ」 「わかりました。今までありがとう」 公爵令嬢アメリア・ヴァレンシュタインは婚約者のクロフォード・シュヴァインシュタイガー王子に呼び出されて婚約破棄を言い渡された。アメリアは全く感情が乱されることなく婚約破棄を受け入れた。 アメリアは婚約破棄されることを分かっていた。なので動揺することはなかったが心に悔しさだけが残る。 三姉妹の次女として生まれ内気でおとなしい性格のアメリアは、気が強く図々しい性格の聖女である姉のフローラと妹のエリザベスに婚約者と幼馴染をとられてしまう。 信頼していた婚約者と幼馴染は性格に問題のある姉と妹と肉体関係を持って、アメリアに冷たい態度をとるようになる。アメリアだけが恋愛できず仲間外れにされる辛い毎日を過ごすことになった―― 閲覧注意

処理中です...