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第三章 覇道、歩む仲間
第30話 陰謀
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「何か、分かったのか……?」
「ああ。後で話す。──とりあえず撤収するぞ。俺とズィーベンは街の事務所へ、他の皆は先に拠点へ戻って休んでくれ」
ジェイは怒気を声色に零しつつも最後の命令を下し、一人街の方へ去って行った。
残されたアインたちは各々合流し、戦闘中に投げ捨てたマガジン等を回収しつつ帰還した。
その晩、ジェイとズィーベンは両手にアタッシュケースケースを抱えて拠点へ帰ってきた。
「お帰りなさいませジェイ様」
「ああ、ただいまアイン。──ズィーベン、悪いがこれを金庫に仕舞って帳簿をつけておいてくれ」
「はい、やっておきますよ。社長は休んでください」
ジェイは上着を脱ぎ捨て、その下のアーマーを外して放り投げる。やっと一息つけた彼はそれからどさりとソファに身を投げ出した。
「……それで、ボス、何やら今回の一件で気づいたことがあるらしいが、それは何なのでしょうか?」
「わざわざ会議室に行くのも面倒だ。この体制のまま失礼するが……ズバリ、今回のノーシス側の不自然な動きはオフィジェンによる陰謀だな」
「陰謀、ですか……」
アインやフュンフは熱心にジェイの話を聞いていた。
一方でツヴァイやドライ、フィーアたちはどうでも良さそうにグーグー眠っている。
「あるいは“試練”とでも言おうか」
「試練……。それはどういう試練なんですか?」
「我々の実力を試す試練だ。かの戦争での戦果がまぐれではないのか、大口を叩く我々に仕事をやっていける実力があるのか試して来たんだろう」
ジェイは煙草に火をつけ、そう吐き捨てた。
「なるほど……。しかし、それなら何故こんなやり方を? 万が一にも俺たちが失敗すれば鉱山利権を失うことになります。試験なら別の形でもできるはずだ」
「俺たち成功しても失敗してもいいように計画が立てられていたんだ」
ジェイはふぅと不満がぎっしり詰まった煙を吐き出す。
「俺たちが死ねば、そのまま俺たちを盗賊ということにする。エスマタイルの兵士がノーシスの警備兵を殺し、その罪を死んだ俺たちに擦り付ければ事は済む。逆に俺たちが勝てば、適当な死体をばら撒きそれを盗賊ということにする」
「なるほど……。それなら、エスタマイルはあくまでもノーシスの警備兵の仇をとるような形で進駐できます……」
アインもジェイの考えを全て理解した。
「し、しかし、そんなこと、本当に考えていたんでしょうか……」
自分たちの死すら組み込まれていたのだという衝撃的なジェイの推論に、フュンフは未だ信じられないといった様子だった。
「事前に入念な計画がなければ死体なんて簡単に準備は出来ない。──俺たちが死ねばそこまでの組織だということで終わりだ。せいぜい死体から武器を取り上げるぐらいか? これから仕事がしたいならこの程度は乗り越えてみせろ、というオフィジェンの意図が丸見えだな」
「そんなこと許されません! 私たちは騙し討ちに遭ったということですよ!?」
消沈するフュンフとは対照的にアインは言葉を荒くする。
「食えない野郎だというのは知っていた。今回のは俺の予想以上だったがな……。まあ一緒に仕事をする人間がこれだけ策謀に優れた男だというのは喜ばしいことでもある。詫びのつもりか、報酬も多少色をつけてくれたみたいだしな。それも鉱山収入からすればカスみたいな金額だろうが」
ジェイは気だるそうに吐き捨て、目を瞑った。
「ボスが納得しているなら俺はいいんですが……」
「私は納得出来ません。ジェイ様を危険な目に遭わせておいて金で誤魔化そうだなんて……!」
アインは怒りを隠そうともせず、今にも飛び出して行ってしまいそうな様子だった。
「落ち着けアイン。俺も最初はここまでするかと腹立たしかったが、それは別に裏切られたからではない。むしろ俺たちの実力を疑われたことの方が癪に障る。わざわざ冒険者ギルドで実績を残して来たというのに……」
ジェイは灰皿に、煙草の形が変わるほど強く押し付けた。
「これで実力の証明になったんでしょうかね、ボス」
「そうだといいがな。一応、金を持ってきた人間には次はないぞと脅しておいた。──まあ、大事なのは心に余裕を持つことだ。俺たちが本気を出せばオフィジェンやエスマタイル伯爵を殺すことは容易い。それぐらいどっしり構えていこう……」
そう言い終えるとジェイはグーグーいびきをかきながら寝始めてしまった。
世界最大の民間軍事会社に至るまで、いくつもの修羅場を乗り越えてきたジェイにとって、このぐらいは些細な問題だった。
実際、現在のヴァルカンはその実力を今回証明し、拠点も本格的な発展を遂げ万全な状態となりつつある。
この試練さえも長い道程の一歩に過ぎないと知っているジェイに対し、ヴァルカンメンバーは不安を拭えないでいた。
しかし、彼らが望もうが望まなかろうが、ジェイは茨の道を歩み続ける。
その運命は、ジェイが彼らを檻から解き放った瞬間に決まっていた。
「ああ。後で話す。──とりあえず撤収するぞ。俺とズィーベンは街の事務所へ、他の皆は先に拠点へ戻って休んでくれ」
ジェイは怒気を声色に零しつつも最後の命令を下し、一人街の方へ去って行った。
残されたアインたちは各々合流し、戦闘中に投げ捨てたマガジン等を回収しつつ帰還した。
その晩、ジェイとズィーベンは両手にアタッシュケースケースを抱えて拠点へ帰ってきた。
「お帰りなさいませジェイ様」
「ああ、ただいまアイン。──ズィーベン、悪いがこれを金庫に仕舞って帳簿をつけておいてくれ」
「はい、やっておきますよ。社長は休んでください」
ジェイは上着を脱ぎ捨て、その下のアーマーを外して放り投げる。やっと一息つけた彼はそれからどさりとソファに身を投げ出した。
「……それで、ボス、何やら今回の一件で気づいたことがあるらしいが、それは何なのでしょうか?」
「わざわざ会議室に行くのも面倒だ。この体制のまま失礼するが……ズバリ、今回のノーシス側の不自然な動きはオフィジェンによる陰謀だな」
「陰謀、ですか……」
アインやフュンフは熱心にジェイの話を聞いていた。
一方でツヴァイやドライ、フィーアたちはどうでも良さそうにグーグー眠っている。
「あるいは“試練”とでも言おうか」
「試練……。それはどういう試練なんですか?」
「我々の実力を試す試練だ。かの戦争での戦果がまぐれではないのか、大口を叩く我々に仕事をやっていける実力があるのか試して来たんだろう」
ジェイは煙草に火をつけ、そう吐き捨てた。
「なるほど……。しかし、それなら何故こんなやり方を? 万が一にも俺たちが失敗すれば鉱山利権を失うことになります。試験なら別の形でもできるはずだ」
「俺たち成功しても失敗してもいいように計画が立てられていたんだ」
ジェイはふぅと不満がぎっしり詰まった煙を吐き出す。
「俺たちが死ねば、そのまま俺たちを盗賊ということにする。エスマタイルの兵士がノーシスの警備兵を殺し、その罪を死んだ俺たちに擦り付ければ事は済む。逆に俺たちが勝てば、適当な死体をばら撒きそれを盗賊ということにする」
「なるほど……。それなら、エスタマイルはあくまでもノーシスの警備兵の仇をとるような形で進駐できます……」
アインもジェイの考えを全て理解した。
「し、しかし、そんなこと、本当に考えていたんでしょうか……」
自分たちの死すら組み込まれていたのだという衝撃的なジェイの推論に、フュンフは未だ信じられないといった様子だった。
「事前に入念な計画がなければ死体なんて簡単に準備は出来ない。──俺たちが死ねばそこまでの組織だということで終わりだ。せいぜい死体から武器を取り上げるぐらいか? これから仕事がしたいならこの程度は乗り越えてみせろ、というオフィジェンの意図が丸見えだな」
「そんなこと許されません! 私たちは騙し討ちに遭ったということですよ!?」
消沈するフュンフとは対照的にアインは言葉を荒くする。
「食えない野郎だというのは知っていた。今回のは俺の予想以上だったがな……。まあ一緒に仕事をする人間がこれだけ策謀に優れた男だというのは喜ばしいことでもある。詫びのつもりか、報酬も多少色をつけてくれたみたいだしな。それも鉱山収入からすればカスみたいな金額だろうが」
ジェイは気だるそうに吐き捨て、目を瞑った。
「ボスが納得しているなら俺はいいんですが……」
「私は納得出来ません。ジェイ様を危険な目に遭わせておいて金で誤魔化そうだなんて……!」
アインは怒りを隠そうともせず、今にも飛び出して行ってしまいそうな様子だった。
「落ち着けアイン。俺も最初はここまでするかと腹立たしかったが、それは別に裏切られたからではない。むしろ俺たちの実力を疑われたことの方が癪に障る。わざわざ冒険者ギルドで実績を残して来たというのに……」
ジェイは灰皿に、煙草の形が変わるほど強く押し付けた。
「これで実力の証明になったんでしょうかね、ボス」
「そうだといいがな。一応、金を持ってきた人間には次はないぞと脅しておいた。──まあ、大事なのは心に余裕を持つことだ。俺たちが本気を出せばオフィジェンやエスマタイル伯爵を殺すことは容易い。それぐらいどっしり構えていこう……」
そう言い終えるとジェイはグーグーいびきをかきながら寝始めてしまった。
世界最大の民間軍事会社に至るまで、いくつもの修羅場を乗り越えてきたジェイにとって、このぐらいは些細な問題だった。
実際、現在のヴァルカンはその実力を今回証明し、拠点も本格的な発展を遂げ万全な状態となりつつある。
この試練さえも長い道程の一歩に過ぎないと知っているジェイに対し、ヴァルカンメンバーは不安を拭えないでいた。
しかし、彼らが望もうが望まなかろうが、ジェイは茨の道を歩み続ける。
その運命は、ジェイが彼らを檻から解き放った瞬間に決まっていた。
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