死の商人、異世界にて暗躍す〜裏切られた武器商人は奴隷少女と銃器の力で成り上がる〜

駄作ハル

文字の大きさ
30 / 93
第三章 覇道、歩む仲間

第30話 陰謀

しおりを挟む
「何か、分かったのか……?」

「ああ。後で話す。──とりあえず撤収するぞ。俺とズィーベンは街の事務所へ、他の皆は先に拠点へ戻って休んでくれ」

 ジェイは怒気を声色に零しつつも最後の命令を下し、一人街の方へ去って行った。

 残されたアインたちは各々合流し、戦闘中に投げ捨てたマガジン等を回収しつつ帰還した。







 その晩、ジェイとズィーベンは両手にアタッシュケースケースを抱えて拠点へ帰ってきた。

「お帰りなさいませジェイ様」

「ああ、ただいまアイン。──ズィーベン、悪いがこれを金庫に仕舞って帳簿をつけておいてくれ」

「はい、やっておきますよ。社長は休んでください」

 ジェイは上着を脱ぎ捨て、その下のアーマーを外して放り投げる。やっと一息つけた彼はそれからどさりとソファに身を投げ出した。

「……それで、ボス、何やら今回の一件で気づいたことがあるらしいが、それは何なのでしょうか?」

「わざわざ会議室に行くのも面倒だ。この体制のまま失礼するが……ズバリ、今回のノーシス側の不自然な動きはオフィジェンによる陰謀だな」

「陰謀、ですか……」

 アインやフュンフは熱心にジェイの話を聞いていた。
 一方でツヴァイやドライ、フィーアたちはどうでも良さそうにグーグー眠っている。

「あるいは“試練”とでも言おうか」

「試練……。それはどういう試練なんですか?」

「我々の実力を試す試練だ。かの戦争での戦果がまぐれではないのか、大口を叩く我々に仕事をやっていける実力があるのか試して来たんだろう」

 ジェイは煙草に火をつけ、そう吐き捨てた。

「なるほど……。しかし、それなら何故こんなやり方を? 万が一にも俺たちが失敗すれば鉱山利権を失うことになります。試験なら別の形でもできるはずだ」

「俺たち成功しても失敗してもいいように計画が立てられていたんだ」

 ジェイはふぅと不満がぎっしり詰まった煙を吐き出す。

「俺たちが死ねば、そのまま俺たちを盗賊ということにする。エスマタイルの兵士がノーシスの警備兵を殺し、その罪を死んだ俺たちに擦り付ければ事は済む。逆に俺たちが勝てば、適当な死体をばら撒きそれを盗賊ということにする」

「なるほど……。それなら、エスタマイルはあくまでもノーシスの警備兵の仇をとるような形で進駐できます……」

 アインもジェイの考えを全て理解した。

「し、しかし、そんなこと、本当に考えていたんでしょうか……」

 自分たちの死すら組み込まれていたのだという衝撃的なジェイの推論に、フュンフは未だ信じられないといった様子だった。

「事前に入念な計画がなければ死体なんて簡単に準備は出来ない。──俺たちが死ねばそこまでの組織だということで終わりだ。せいぜい死体から武器を取り上げるぐらいか? これから仕事がしたいならこの程度は乗り越えてみせろ、というオフィジェンの意図が丸見えだな」

「そんなこと許されません! 私たちは騙し討ちに遭ったということですよ!?」

 消沈するフュンフとは対照的にアインは言葉を荒くする。

「食えない野郎だというのは知っていた。今回のは俺の予想以上だったがな……。まあ一緒に仕事をする人間がこれだけ策謀に優れた男だというのは喜ばしいことでもある。詫びのつもりか、報酬も多少色をつけてくれたみたいだしな。それも鉱山収入からすればカスみたいな金額だろうが」

 ジェイは気だるそうに吐き捨て、目を瞑った。

「ボスが納得しているなら俺はいいんですが……」

「私は納得出来ません。ジェイ様を危険な目に遭わせておいて金で誤魔化そうだなんて……!」

 アインは怒りを隠そうともせず、今にも飛び出して行ってしまいそうな様子だった。

「落ち着けアイン。俺も最初はここまでするかと腹立たしかったが、それは別に裏切られたからではない。むしろ俺たちの実力を疑われたことの方が癪に障る。わざわざ冒険者ギルドで実績を残して来たというのに……」

 ジェイは灰皿に、煙草の形が変わるほど強く押し付けた。

「これで実力の証明になったんでしょうかね、ボス」

「そうだといいがな。一応、金を持ってきた人間には次はないぞと脅しておいた。──まあ、大事なのは心に余裕を持つことだ。俺たちが本気を出せばオフィジェンやエスマタイル伯爵を殺すことは容易い。それぐらいどっしり構えていこう……」

 そう言い終えるとジェイはグーグーいびきをかきながら寝始めてしまった。

 世界最大の民間軍事会社に至るまで、いくつもの修羅場を乗り越えてきたジェイにとって、このぐらいは些細な問題だった。
 実際、現在のヴァルカンはその実力を今回証明し、拠点も本格的な発展を遂げ万全な状態となりつつある。

 この試練さえも長い道程の一歩に過ぎないと知っているジェイに対し、ヴァルカンメンバーは不安を拭えないでいた。





 しかし、彼らが望もうが望まなかろうが、ジェイは茨の道を歩み続ける。
 その運命は、ジェイが彼らを檻から解き放った瞬間に決まっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.
ファンタジー
平凡な高校生・篠原蓮は、クラスメイトと共に突如異世界へ召喚される。 女神から与えられた使命は「魔王討伐」。 しかし、蓮に与えられたスキルは――《リサイクル》。 戦闘にも回復にも使えない「ゴミスキル」と嘲笑され、勇者候補であるクラスメイトから追放されてしまう。 だが《リサイクル》には、誰も知らない世界の理を覆す秘密が隠されていた……。 獣人、エルフ、精霊など異種族の仲間を集め、蓮は虐げられた者たちと共に逆襲を開始する。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

異世界で貧乏神を守護神に選ぶのは間違っているのだろうか?

石のやっさん
ファンタジー
異世界への転移、僕にはもう祝福を受けた女神様が居ます! 主人公の黒木翼はクラスでは浮いた存在だった。 黒木はある理由から人との関りを最小限に押さえ生活していた。 そんなある日の事、クラス全員が異世界召喚に巻き込まれる。 全員が女神からジョブやチートを貰うなか、黒木はあえて断り、何も貰わずに異世界に行く事にした。 その理由は、彼にはもう『貧乏神』の守護神が居たからだ。 この物語は、貧乏神に恋する少年と少年を愛する貧乏神が異世界で暮す物語。 貧乏神の解釈が独自解釈ですので、その辺りはお許し下さい。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...