死の商人、異世界にて暗躍す〜裏切られた武器商人は奴隷少女と銃器の力で成り上がる〜

駄作ハル

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第四章 覇道、手にする力

第41話 関門

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「──止まれ! 人間が何の用だ!」

 ジェイを制止したドワーフの男。
 彼の背丈は丁度ジェイの半分ほどだったが、屈強な筋肉により横幅はジェイに勝っている。
 鋼鉄の甲冑から覗く傷だらけの顔と使い込まれた巨大な斧で武装した姿は、彼が歴戦の戦士であることを物語っていた。

「俺たちは民間軍事会社ヴァルカン。今日はビジネスの話がしたくてやってきた」

「ビジネスだと? ハッハッハ! ドワーフは人間に剣は作らない! 帰れ!」

 予想通りの反応をされたジェイはすぐさま次の手を打つ。

「これはビジネスだ。何も俺たちは無理やり武器を作らせに来たのではない。互いに利益がある話だ」

「時間の無駄だ。帰らぬと言うのならここでお前を殺さなければならない」

 ドワーフの男は背負っていた巨大な斧を構えジェイに向ける。

「まあまあアクストの旦那、話だけでもしましょうや」

「お前は確か共和国の……」

 急激に物々しい雰囲気になった所を割って入ったのはタイヴァーだった。

「どうもお久しぶりです旦那」

「今日も共和国の使いか。何度貢がれようと我々は人間の戦いに干渉するつもりはない。帰れ!」

「いやいや、今日は国は関係ないんですぜ! こっちのジェイの旦那はどこの国にも属していない傭兵なんです」

「傭兵……?」

「その通り。我々は軍事力を提供する民間軍事会社だ」

「笑わせる! 俺ではここの警備は満足に出来ないと言いたいのか!?」

 やって来る人間は全員敵で甘い言葉で絆そうとしてくるのだ、という頑固な固定観念がアクストを縛っていることは明らかだった。
 ジェイも当然それを理解した上で交渉を続ける。

「手練であることは伺える。……しかし帝国軍相手に、この国の人間だけでは多勢に無勢ではないか?」

「帝国だと……?」

「ああ。そう遠くないうちに帝国は新兵器を完成させドワーフの国を攻めるつもりだ。帝国は本気でこの大陸を統一しようとしているぞ」

「信じられるかそんな突飛な話!」

「別にこの情報を信じてくれなくても良いが、俺の言葉を無視した結果この門が破られて国が滅べば、お前もまた後悔するだろう」

「…………」

 アクストの表情が固くなる。
 やはり彼にとっての一番の使命は人間を追い返すことではなく、自分の国を守ることにあるのだとジェイは見抜いた。

「我々ヴァルカンなら帝国を押しのけることぐらい造作もない。こちらは傭兵として力を貸すからそちらも対価として技術力を提供する。それが俺の提案するビジネスだ」

「ハハハ! 笑わせるな人間! お前では俺に勝てない。お前もそれぐらい分かるはずだ! そんなお前らの力を借りたところで何になる!?」

「確かに、フィジカル面での力量の差は明らかだ。だが、さっきも言ったように我々が提供するのは“軍事力”だ。殴り合いは戦争ではなく喧嘩に過ぎん」

「では実力を証明して見せろ! その自信が打ち砕かれ諦めて帰るのが先か、死ぬのが先か! そのどちらかだ!」

 アクストは斧を振りかぶる。刃先は真っ直ぐジェイの脳天へ降り注ぐ。

「ドライ、フィーア」

「──はい」

 バキュン! と金属の擦れる音がした瞬間、アクストが持つ斧の柄が火花を上げてへし折れた。

「バカな! この斧は全体が特注の合金だぞ!?」

「さて、ドワーフは丈夫だと聞くが、同じのが額に当たった場合どうなるのか非常に気になるところではあるな」

 殺されるすんでのところだったジェイは、飄々とした表情でそう言い放つ。

 アクストはそんなジェイを見上げた時初めて、彼の後方にある荷馬車の荷台から何らかの狙撃を行った人物がいることに気がついた。

 更にジェイの両脇を固める少年と少女が見慣れぬ武器を構え、それが自分に向けられていると理解したアクストは手に残された柄を投げ捨て両手を挙げた。

「降参だ……。俺じゃアンタらに手も足も出ないようだ」

「当然だ。俺たちはこの世界で最強の民間軍事会社を目指しているんだからな」

 ジェイは恥ずかしげもなく堂々と言いのける。

「ハハハ! ソイツは結構な事だ。……だが、俺が許可できるのはこの門を通ることだけ。ドワーフの国がそのビジネスとやらを引き受けるのかはウチの首領が決めることだ」

「ああ、それでいい。さあ、早くその首領とやらに会わせてくれ」

「分かった。ついてこい」

 そう言ってアクストは拳で鉄の門をゴンゴンと二回叩く。
 すると機械仕掛けの門はけたたましい動作音を上げながら、ゆっくりと開いた。
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