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第四章 覇道、手にする力
第43話 武器製造
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「……それで、俺たちに作って欲しいというのはその銃とやらか」
「その通りだ。では商談といこうか」
ジェイは適当に椅子をハマーの前に放り投げ、そこに座り足を組んだ。
「ツヴァイ」
「ああ……」
ツヴァイは机の上に黒い箱を置く。
「なんだこれは?」
「端的に言えばこの中に銃の設計図が入っている」
「随分ご大層なケースだな」
ジェイはバチンバチンと留め具を外して黒い箱を開いた。
「……ん? ものを入れる場所がないようだが」
「これは我が社特製の軍用PCだ。耐衝撃・防弾仕様。そして背面のソーラーパネルで非常時の長時間使用も可能。まあ肝心のインターネットがないんで本体に保存されている分のデータしか使えないが、幸い設計図は本体に落としていた」
「…………? すまんが言っている事が一つも分からない」
「まあ見てろ。──ほら、やっと電源がついた」
「な、なんだこれは!? 絵が光って、動いているぞ!?」
ディスプレイに簡素なアニメーションと共に民間軍事会社ヴァルカンのロゴが映し出された。
ジェイは慣れた手つきで本体下部のタッチパネルに触れ、指紋認証のロックを解除する。
「おい、こんな凄いもんがあったなら先に言ってくれ! そうしたらこんな暴れなくてもすんなり引き受けたさ!」
「そうか。だがこいつはタダの道具なんでな。俺たちの強さの証明にはならん」
ジェルはハマーには目もくれずPCの操作を続けている。
「だ、だが、設計図を見せられても、その武器を作れる自身はないぞ? これは俺の予想だが、内部は数百の部品があるだろう?」
「そうだな。流石に俺もそこまで期待していない。銃身を削り出しで作ったセミオートの銃がいい。それかプレス加工で作れるような銃だ」
「削り出しにプレス加工か。詳しく聞かせてくれ」
自分の領分の話が始まったと理解したハマーの目は、職人のそれをしていた。
「ああ。──いいか? これはよくある勘違いだが、AK-47は簡単に作れる武器じゃない。あれは第二次世界大戦でT-34とIL-2をそれぞれ三万強製造するようなふざけたソ連の工業力があれば、という前置きがあった上での評価だ。単純なつくりとは言うが、百以上の部品がある工業製品を知識も技術もないそこらの人間か作れるはずもない。実際、カルト教団やらギャングの密造品の完成度は酷いものだ」
久々に話のできる人間を前にして、ジェイの武器商人としての血が騒いでいた。
「どうしてまともに作れないものを作ろうとするのか、俺はずっと疑問だった。人類の銃器の歴史を考えれば、こうしたセミオートの武器の方が絶対に簡単だと分かるはずなのにな」
そう言ってジェイは軍用PCをハマーの方へ滑らせる。
「これは……」
「これはSKSカービンライフル。製造コストも極めて安価でありながらそこそこの命中率や軽量化を備えた扱いやすいシロモノだ」
「ぐぬぬ……。これで製造コストが安価だと……?」
ディスプレイに映る設計図を見てハマーは唸り声を上げる。
「まあここの技術力では大量生産は難しいだろうな。──だが安心しろ、別の案もある」
ジェイは再びPCを操作し、別の設計図を見せた。
「戦間期というのは爆発的な技術力の発展が見られた時期だ。それでいて武器の大量生産が求められるため、安価で簡素なものが求められた。そこで生み出されたのはこのステン短機関銃だ」
「ほう……」
「フルオート射撃が可能でありながら部品数は脅威の五十以下。その辺の町工場でも作れるレベルで一丁目あたり五時間で完成したとも言われている。それを成し遂げたのも全てがこの徹底的な設計の合理化だ。精度や信頼性を犠牲に圧倒的な生産コストの軽さを獲得した」
「うむ……。これならあるいは……」
ハマーは食いつくように画面を眺め、思いついたアイディアを手当り次第メモに書き残していく。
「俺の想定では、とりあえず全員にステンガンを、一部の射撃成績のいい兵士にはSKSを持たせようと考えている。他にもM3グリースガンやら、考えている銃もあるが、あまり銃を増やして弾薬の種類も増やしてもかえって効率が悪くなるからな」
「ちなみに、その弾薬とやらの作り方もあるのか?」
「おっと、そうだったな。──まず火薬ってものを作らないとならん。組成はこれだが作れそうか?」
「ううむ……。試してみないことには分からない。だが、これを作るための材料は幾つか思いついた。やれるだけやってみよう」
「そうか。弾薬には多少余裕はあるが、作れるに越したことはない。頼んだぞ」
トントン拍子に話が進んでいる現状に、ジェイは無自覚のうちに鼻歌を歌いながらタイピングするほど上機嫌になっていた。
「──それで、これらを作れば、お前たちの力を借りられるのか? 帝国からこの国を守り通してくれるのか?」
「ふははは! 何を今更! ……お前たちが武器を作れば俺たちが負けることはないだろう。民間軍事会社ヴァルカンがある限り、ドワーフの国は帝国の侵攻など簡単に退けると約束しよう」
「よし! それじゃあ契約成立だ!」
ハマーはそう言って、迷うことなく手を差し伸べる。
「ああ! よろしく頼もう」
ジェイはハマーの手を取り、固い握手を交わした。
「その通りだ。では商談といこうか」
ジェイは適当に椅子をハマーの前に放り投げ、そこに座り足を組んだ。
「ツヴァイ」
「ああ……」
ツヴァイは机の上に黒い箱を置く。
「なんだこれは?」
「端的に言えばこの中に銃の設計図が入っている」
「随分ご大層なケースだな」
ジェイはバチンバチンと留め具を外して黒い箱を開いた。
「……ん? ものを入れる場所がないようだが」
「これは我が社特製の軍用PCだ。耐衝撃・防弾仕様。そして背面のソーラーパネルで非常時の長時間使用も可能。まあ肝心のインターネットがないんで本体に保存されている分のデータしか使えないが、幸い設計図は本体に落としていた」
「…………? すまんが言っている事が一つも分からない」
「まあ見てろ。──ほら、やっと電源がついた」
「な、なんだこれは!? 絵が光って、動いているぞ!?」
ディスプレイに簡素なアニメーションと共に民間軍事会社ヴァルカンのロゴが映し出された。
ジェイは慣れた手つきで本体下部のタッチパネルに触れ、指紋認証のロックを解除する。
「おい、こんな凄いもんがあったなら先に言ってくれ! そうしたらこんな暴れなくてもすんなり引き受けたさ!」
「そうか。だがこいつはタダの道具なんでな。俺たちの強さの証明にはならん」
ジェルはハマーには目もくれずPCの操作を続けている。
「だ、だが、設計図を見せられても、その武器を作れる自身はないぞ? これは俺の予想だが、内部は数百の部品があるだろう?」
「そうだな。流石に俺もそこまで期待していない。銃身を削り出しで作ったセミオートの銃がいい。それかプレス加工で作れるような銃だ」
「削り出しにプレス加工か。詳しく聞かせてくれ」
自分の領分の話が始まったと理解したハマーの目は、職人のそれをしていた。
「ああ。──いいか? これはよくある勘違いだが、AK-47は簡単に作れる武器じゃない。あれは第二次世界大戦でT-34とIL-2をそれぞれ三万強製造するようなふざけたソ連の工業力があれば、という前置きがあった上での評価だ。単純なつくりとは言うが、百以上の部品がある工業製品を知識も技術もないそこらの人間か作れるはずもない。実際、カルト教団やらギャングの密造品の完成度は酷いものだ」
久々に話のできる人間を前にして、ジェイの武器商人としての血が騒いでいた。
「どうしてまともに作れないものを作ろうとするのか、俺はずっと疑問だった。人類の銃器の歴史を考えれば、こうしたセミオートの武器の方が絶対に簡単だと分かるはずなのにな」
そう言ってジェイは軍用PCをハマーの方へ滑らせる。
「これは……」
「これはSKSカービンライフル。製造コストも極めて安価でありながらそこそこの命中率や軽量化を備えた扱いやすいシロモノだ」
「ぐぬぬ……。これで製造コストが安価だと……?」
ディスプレイに映る設計図を見てハマーは唸り声を上げる。
「まあここの技術力では大量生産は難しいだろうな。──だが安心しろ、別の案もある」
ジェイは再びPCを操作し、別の設計図を見せた。
「戦間期というのは爆発的な技術力の発展が見られた時期だ。それでいて武器の大量生産が求められるため、安価で簡素なものが求められた。そこで生み出されたのはこのステン短機関銃だ」
「ほう……」
「フルオート射撃が可能でありながら部品数は脅威の五十以下。その辺の町工場でも作れるレベルで一丁目あたり五時間で完成したとも言われている。それを成し遂げたのも全てがこの徹底的な設計の合理化だ。精度や信頼性を犠牲に圧倒的な生産コストの軽さを獲得した」
「うむ……。これならあるいは……」
ハマーは食いつくように画面を眺め、思いついたアイディアを手当り次第メモに書き残していく。
「俺の想定では、とりあえず全員にステンガンを、一部の射撃成績のいい兵士にはSKSを持たせようと考えている。他にもM3グリースガンやら、考えている銃もあるが、あまり銃を増やして弾薬の種類も増やしてもかえって効率が悪くなるからな」
「ちなみに、その弾薬とやらの作り方もあるのか?」
「おっと、そうだったな。──まず火薬ってものを作らないとならん。組成はこれだが作れそうか?」
「ううむ……。試してみないことには分からない。だが、これを作るための材料は幾つか思いついた。やれるだけやってみよう」
「そうか。弾薬には多少余裕はあるが、作れるに越したことはない。頼んだぞ」
トントン拍子に話が進んでいる現状に、ジェイは無自覚のうちに鼻歌を歌いながらタイピングするほど上機嫌になっていた。
「──それで、これらを作れば、お前たちの力を借りられるのか? 帝国からこの国を守り通してくれるのか?」
「ふははは! 何を今更! ……お前たちが武器を作れば俺たちが負けることはないだろう。民間軍事会社ヴァルカンがある限り、ドワーフの国は帝国の侵攻など簡単に退けると約束しよう」
「よし! それじゃあ契約成立だ!」
ハマーはそう言って、迷うことなく手を差し伸べる。
「ああ! よろしく頼もう」
ジェイはハマーの手を取り、固い握手を交わした。
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