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第六章 覇道、混沌たる世界へ
第69話 共和国と帝国
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ジェイがいつものように事務作業に追われていると、ズィーベンから来客の報せがあった。
「──久しいなタイヴァー。わざわざどうした」
「お久しぶりですジェイの旦那。今日はドワーフから極秘で渡したいものがあると、こちらをお届けに」
拠点に駐留してまで確実に届けたいものとは何か。ジェイが疑問に思っている間にタイヴァーは巨大な箱を差し出した。
「開けるぞ」
「へい」
ジェイが箱を開けると、そこには二丁の銃、そしてその弾薬が入っていた。
「これは……! UZIとAK-47か!?」
ジェイは慌ててそれを手に取る。
そして細部まで確認し弾薬を装填するが、製造上のミスは見当たらず、完璧なUZIとAK-47のコピー品であった。
興奮を抑えきれないジェイはそのまま射撃場へ駆け出し、二丁をそれぞれセミオートとフルオートで射撃し、その精度を確かめる。
「──素晴らしい。かつて貧弱な工業力であったイスラエルが、自国でも製造出来るようプレス加工を多用したシンプルな造りであるUZIはまだ理解できる。しかし仮にも第二次世界大戦を制したソ連の工業力から為すAKまでこの精度でコピーできるとは……」
「旦那に言伝も頼まれていやした。……ゴホン。“許可が得られれば武器の製造はこちらに切り替える。新しい設計図があれば更なる技術革新も望める”……とのことです」
タイヴァーは汚い歯並びの歯をニッと露出させるように笑う。
「ふっ。早く次のを作りたいからさっさと設計図を寄越せと? ……いいだろう。アハト、後で軍用PCから手頃な銃の設計図を探して見せる。それを書き写して設計図を作れ。それと、ステンガンはともかく、AKはSKSの代替とはなり得ないから生産ラインは三つにしろ、とも申し添えてな」
「分かった」
こうしてヴァルカンは、地球製の最新鋭銃火器は魔装によって強化。異世界製のステンガン・SKSというラインナップからUZI・AK-47・SKSへ装備が刷新されることとなった。
「これはもう負ける気はしないな! 間違いなく我々はこの世界で最強の軍事組織だ……!」
「はい! 喜ばしいことです!」
普段は冷静で慎重なアインも、この時は素直にジェイと共にヴァルカンの発展を喜んだ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
そしてそんなタイミングを見計らったかのように、大国が動き始めた。
「社長、ご報告が」
「ああ」
「こちら、帝国のズヒャハイト様より、そしてこちらが共和国のオフィジェン様よりお手紙です」
「読まなくても分かる。──いよいよ始まるか」
季節は秋。共和国では例年収穫祭となるこの時期に、新たなる国王を決める選挙が貴族たちの中で行われた。
選挙自体は現国王の親類が当選したが、これに対し主に地方領主たちが中心に反発し武装蜂起。
既に対外戦争の連戦で疲弊し、国内の貴族同士の争いすら止めることがままならなかった中央ではこの武装蜂起を止める力など存在せず、共和国は一気に群雄割拠の乱世へと陥った。
この好機を逃すまいと帝国は国境線を侵犯。遂に共和国と帝国という大陸を分かつ大国同士の決戦が始まろうとしていた。
「ひとまず我々は帝国の動きに同調する。ただしドワーフの国、エルフの国、そしてエスタマイルに対して軍事侵攻が行われないか注視する必要がある。必要に応じて武力行使も厭わない」
「指揮官、こちらに各地に対する部隊配置の計画書です」
すかさずゼクスが冊子を差し出す。
「ふむ。──悪くない。後で手直ししたものを渡す。……それと、商業方面についても手を緩めるな。郵便事業とそれに伴うインフラ開発、そして物資の売買。これは戦時には略奪を恐れ一般の商人の動きが鈍る。しかし独立して自由に動ける我々は違う。戦争により物価が上がるというのは我々にとってむしろ商機だ」
「承知しております社長。こちらが戦時下における事業計画書です。護衛の社員や下請けの傭兵の利用について、ゼクスとも調整済みです」
計画書には移動するヒト・モノの数から収益まで事細かに記載されていた。
「流石だズィーベン。──今回の戦いで世界中に我々の存在を叩きつける。最強の民間軍事会社ヴァルカンが存在すると知らしめるのだ」
「それがジェイのおっしゃる最終目標に関わるのですか」
「その通りだアイン。俺の野望の為、その命を懸けてもらう」
「ジェイ様の為に死ねるのであれば本望です」
アインは凛とした口元を固く結び、ジェイの前に跪く。
「ふっ、誰も死ねとは言っていない。勝者は生き、敗者は死ぬ。戦場にはそれしかない。──そして勝者は我々だ」
「──久しいなタイヴァー。わざわざどうした」
「お久しぶりですジェイの旦那。今日はドワーフから極秘で渡したいものがあると、こちらをお届けに」
拠点に駐留してまで確実に届けたいものとは何か。ジェイが疑問に思っている間にタイヴァーは巨大な箱を差し出した。
「開けるぞ」
「へい」
ジェイが箱を開けると、そこには二丁の銃、そしてその弾薬が入っていた。
「これは……! UZIとAK-47か!?」
ジェイは慌ててそれを手に取る。
そして細部まで確認し弾薬を装填するが、製造上のミスは見当たらず、完璧なUZIとAK-47のコピー品であった。
興奮を抑えきれないジェイはそのまま射撃場へ駆け出し、二丁をそれぞれセミオートとフルオートで射撃し、その精度を確かめる。
「──素晴らしい。かつて貧弱な工業力であったイスラエルが、自国でも製造出来るようプレス加工を多用したシンプルな造りであるUZIはまだ理解できる。しかし仮にも第二次世界大戦を制したソ連の工業力から為すAKまでこの精度でコピーできるとは……」
「旦那に言伝も頼まれていやした。……ゴホン。“許可が得られれば武器の製造はこちらに切り替える。新しい設計図があれば更なる技術革新も望める”……とのことです」
タイヴァーは汚い歯並びの歯をニッと露出させるように笑う。
「ふっ。早く次のを作りたいからさっさと設計図を寄越せと? ……いいだろう。アハト、後で軍用PCから手頃な銃の設計図を探して見せる。それを書き写して設計図を作れ。それと、ステンガンはともかく、AKはSKSの代替とはなり得ないから生産ラインは三つにしろ、とも申し添えてな」
「分かった」
こうしてヴァルカンは、地球製の最新鋭銃火器は魔装によって強化。異世界製のステンガン・SKSというラインナップからUZI・AK-47・SKSへ装備が刷新されることとなった。
「これはもう負ける気はしないな! 間違いなく我々はこの世界で最強の軍事組織だ……!」
「はい! 喜ばしいことです!」
普段は冷静で慎重なアインも、この時は素直にジェイと共にヴァルカンの発展を喜んだ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
そしてそんなタイミングを見計らったかのように、大国が動き始めた。
「社長、ご報告が」
「ああ」
「こちら、帝国のズヒャハイト様より、そしてこちらが共和国のオフィジェン様よりお手紙です」
「読まなくても分かる。──いよいよ始まるか」
季節は秋。共和国では例年収穫祭となるこの時期に、新たなる国王を決める選挙が貴族たちの中で行われた。
選挙自体は現国王の親類が当選したが、これに対し主に地方領主たちが中心に反発し武装蜂起。
既に対外戦争の連戦で疲弊し、国内の貴族同士の争いすら止めることがままならなかった中央ではこの武装蜂起を止める力など存在せず、共和国は一気に群雄割拠の乱世へと陥った。
この好機を逃すまいと帝国は国境線を侵犯。遂に共和国と帝国という大陸を分かつ大国同士の決戦が始まろうとしていた。
「ひとまず我々は帝国の動きに同調する。ただしドワーフの国、エルフの国、そしてエスタマイルに対して軍事侵攻が行われないか注視する必要がある。必要に応じて武力行使も厭わない」
「指揮官、こちらに各地に対する部隊配置の計画書です」
すかさずゼクスが冊子を差し出す。
「ふむ。──悪くない。後で手直ししたものを渡す。……それと、商業方面についても手を緩めるな。郵便事業とそれに伴うインフラ開発、そして物資の売買。これは戦時には略奪を恐れ一般の商人の動きが鈍る。しかし独立して自由に動ける我々は違う。戦争により物価が上がるというのは我々にとってむしろ商機だ」
「承知しております社長。こちらが戦時下における事業計画書です。護衛の社員や下請けの傭兵の利用について、ゼクスとも調整済みです」
計画書には移動するヒト・モノの数から収益まで事細かに記載されていた。
「流石だズィーベン。──今回の戦いで世界中に我々の存在を叩きつける。最強の民間軍事会社ヴァルカンが存在すると知らしめるのだ」
「それがジェイのおっしゃる最終目標に関わるのですか」
「その通りだアイン。俺の野望の為、その命を懸けてもらう」
「ジェイ様の為に死ねるのであれば本望です」
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