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アイドル編
033 アイドル編10 借金返済
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「なんだその不公平な取引は!」
アイドルオーディションの賞金を僕が借金返済に使うということを聞いた神澤社長が吠える。
僕がSFO運営にしている借金1億Gが額面だけが良心的で、返済に充てられる回収品の換金レートが極悪だと知り怒り狂っているのだ。
「アイドルとして採用したからには娘も同然! SFO運営に直談判に行くぞ!」
いや、僕は男なんだけど……。でもその気持ちは嬉しかった。
「返済期限も何の担保も無い借金なんだから、むしろ借りている方が有利だ。
返さなければ困るのは貸している方なのだから、それを突破口にするぞ!
実戦に召集されても逃げ回って戦果をあげなければ、SFO運営は借金の回収が出来ないだろ?」
神澤社長、策士だ。
SFO運営が入っているステーション行政塔に向かい、不公正な換金レートを告げてきた担当者に会う。
「うちの娘が世話になっているそうだが、阿漕なことをしてくれているようだな?」
神澤社長の見た目は30代のちょい悪おやじだ。
見ようによっては堅気の人には見えない。
SFOの担当者も、自分たちが阿漕な事をしている自覚があるため、相当ビビッている。
「先日拿捕した敵艦は一般レートじゃ少なくとも1億Gはするだろ。
それが100万Gにもなっていないとか、そんなふざけた換金レートなら、もう回収品は回せん!
RPでもあえて戦闘には参加させない。そうなれば借金返済を受けられないそっちの方が困るだろ」
「しかし、RPでの回収品は全てSFO運営が引き取ると契約書に書いてあるはずで……。
戦闘参加も強制ですし……」
「引き取ることには同意したが、換金レートに納得して契約したわけじゃない。無効だ!」
「しかし、それが契約ですから」
「なら、俺が1億G立て替えるから、回収した敵艦は返せ。それならいいだろ?」
ここで担当者が失策をする。
「あの敵艦は高価なので、もう売り払った後なので返還するのは……」
「あん? 100万Gだって言った敵艦が高価だって?
100万Gに査定したなら100万Gで戻せ! それが道理だろ?」
「出来ません……」
「なら適正な販売価格で借金を棒引きしろ。それで許してやる。
いいか、この事はSFO参加者全員にとって大問題なんだぞ。
全員を敵に回す覚悟がお前にあるのか?」
「上司に相談しないと……」
「いいのか?」
その神澤社長の一言に担当者が慌てる。
「お前の一存でやったんだろ? 上司に知られたらお前が終わるんじないのか?」
「すみませんでした!」
担当者がスライディング土下座した。
どうやら僕が拿捕した敵艦は担当者に横領されていたらしい。
「晶羅の借金は完済したってことでいいな?」
神澤社長が凄む。
「すみません。あと2千万Gは払っていただかないと……」
「査定額が8千万Gだったってことなんだな? それは適正査定額か?」
「いや、実は……」
担当者が僕の拿捕した敵艦の売却書類(本物)を提示する。
「しょうがねーな。お前、横流し業者に足元見られたな。
本来ならその差額もお前が持てと言いたいところだが、ここらへんで勘弁してやる」
「申し訳ございません。借金の返済処理は直ぐにいたします」
僕らは担当者がシステム処理を終えるのを確認し、領収書をもらって行政塔を後にした。
僕は帰りの道すがら、疑問に思っていたことを聞いた。
「どうして2千万Gをあいつに払わせなかったの?」
「それか。追い詰めると奴が自暴自棄になって8千万Gを持ち逃げされる可能性があったんだよ。
たぶん今処理したものはシステム上の返済処理であって、8千万Gの現金はまだあいつの手にある。
これできちんと入金しなければ損をするのはSFO運営であって、晶羅、お前じゃない。
そのシステム手続きをさせるのが重要だったんだ」
「返さなければ、あの担当者がSFO運営に横領で捕まるってことか」
「ああ、お前の借金額は2千万Gで確定したままな」
神澤社長のおかげで僕の借金は2千万Gに減った。
帰り道で神澤社長から合格賞金は取っておくように言われた。
今後は適正査定で返済できる。
それなら2千万Gを一気に返済できる手柄を立てれば良いし、RPにはそのチャンスがあるのだ。
僕のRPに対するモチベーションが上がるのだった。
アイドルオーディションの賞金を僕が借金返済に使うということを聞いた神澤社長が吠える。
僕がSFO運営にしている借金1億Gが額面だけが良心的で、返済に充てられる回収品の換金レートが極悪だと知り怒り狂っているのだ。
「アイドルとして採用したからには娘も同然! SFO運営に直談判に行くぞ!」
いや、僕は男なんだけど……。でもその気持ちは嬉しかった。
「返済期限も何の担保も無い借金なんだから、むしろ借りている方が有利だ。
返さなければ困るのは貸している方なのだから、それを突破口にするぞ!
実戦に召集されても逃げ回って戦果をあげなければ、SFO運営は借金の回収が出来ないだろ?」
神澤社長、策士だ。
SFO運営が入っているステーション行政塔に向かい、不公正な換金レートを告げてきた担当者に会う。
「うちの娘が世話になっているそうだが、阿漕なことをしてくれているようだな?」
神澤社長の見た目は30代のちょい悪おやじだ。
見ようによっては堅気の人には見えない。
SFOの担当者も、自分たちが阿漕な事をしている自覚があるため、相当ビビッている。
「先日拿捕した敵艦は一般レートじゃ少なくとも1億Gはするだろ。
それが100万Gにもなっていないとか、そんなふざけた換金レートなら、もう回収品は回せん!
RPでもあえて戦闘には参加させない。そうなれば借金返済を受けられないそっちの方が困るだろ」
「しかし、RPでの回収品は全てSFO運営が引き取ると契約書に書いてあるはずで……。
戦闘参加も強制ですし……」
「引き取ることには同意したが、換金レートに納得して契約したわけじゃない。無効だ!」
「しかし、それが契約ですから」
「なら、俺が1億G立て替えるから、回収した敵艦は返せ。それならいいだろ?」
ここで担当者が失策をする。
「あの敵艦は高価なので、もう売り払った後なので返還するのは……」
「あん? 100万Gだって言った敵艦が高価だって?
100万Gに査定したなら100万Gで戻せ! それが道理だろ?」
「出来ません……」
「なら適正な販売価格で借金を棒引きしろ。それで許してやる。
いいか、この事はSFO参加者全員にとって大問題なんだぞ。
全員を敵に回す覚悟がお前にあるのか?」
「上司に相談しないと……」
「いいのか?」
その神澤社長の一言に担当者が慌てる。
「お前の一存でやったんだろ? 上司に知られたらお前が終わるんじないのか?」
「すみませんでした!」
担当者がスライディング土下座した。
どうやら僕が拿捕した敵艦は担当者に横領されていたらしい。
「晶羅の借金は完済したってことでいいな?」
神澤社長が凄む。
「すみません。あと2千万Gは払っていただかないと……」
「査定額が8千万Gだったってことなんだな? それは適正査定額か?」
「いや、実は……」
担当者が僕の拿捕した敵艦の売却書類(本物)を提示する。
「しょうがねーな。お前、横流し業者に足元見られたな。
本来ならその差額もお前が持てと言いたいところだが、ここらへんで勘弁してやる」
「申し訳ございません。借金の返済処理は直ぐにいたします」
僕らは担当者がシステム処理を終えるのを確認し、領収書をもらって行政塔を後にした。
僕は帰りの道すがら、疑問に思っていたことを聞いた。
「どうして2千万Gをあいつに払わせなかったの?」
「それか。追い詰めると奴が自暴自棄になって8千万Gを持ち逃げされる可能性があったんだよ。
たぶん今処理したものはシステム上の返済処理であって、8千万Gの現金はまだあいつの手にある。
これできちんと入金しなければ損をするのはSFO運営であって、晶羅、お前じゃない。
そのシステム手続きをさせるのが重要だったんだ」
「返さなければ、あの担当者がSFO運営に横領で捕まるってことか」
「ああ、お前の借金額は2千万Gで確定したままな」
神澤社長のおかげで僕の借金は2千万Gに減った。
帰り道で神澤社長から合格賞金は取っておくように言われた。
今後は適正査定で返済できる。
それなら2千万Gを一気に返済できる手柄を立てれば良いし、RPにはそのチャンスがあるのだ。
僕のRPに対するモチベーションが上がるのだった。
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