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アイドル編
039 アイドル編16 打ち上げ
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ブラッシュリップスの新曲発表会並びに新メンバーお披露目会は概ね成功裏に終わった。
その夜、僕達ブラッシュリップスメンバーは神澤プロモーションSFO本社に集まり打ち上げを行っていた。
SFO本社は千区501にあった。それは全長1km未満の戦艦のための区画だ。
つまり神澤社長の専用艦は戦艦だということになる。
神澤社長はSFO初期に活躍したゲーマーで、成功して大金を得た所謂SFO成功者だ。
大金を持ってSFOを退会、地球に戻って自身の夢であった芸能事務所を立ち上げ、再びSFOに戻って来たという変わり種らしい。
神澤という人物の存在が、SFOから地球に戻れるという生きた証拠だった。
つまり、その戦艦はかつて活躍した専用艦を引き継いでいるため、この好待遇というわけだ。
神澤プロモーションSFO本社は、戦艦持ちの優遇措置として支給されている神澤社長の個人邸そのものだった。
僕の部屋がマンションだとすると、ここは億ション、所謂タワーマンションの上階という面持ちだ。
その広大な面積のリビングが今日の打ち上げ会場になっている。
居住区は専用格納庫の大きさに依存する。つまり戦艦持ちの居住区は無駄に広いのだ。
中央にテーブルが置かれ飲み物とオードブル、寿司の桶などが並んでいる。
SFOではゲーマーから転じた飲食店経営者なども存在していて、寿司の出前がある。
材料の魚がどこから来ているのか疑問だが、見た目は地球の高級寿司と変わらない。
出席者は6人。神澤社長、僕を含めたブラッシュリップスの4人。そしてもうひとりの女性。
その女性は、あの面接会場受付の人だった。
神澤社長が、そのもうひとりの女性を紹介する。
「彼女と晶羅は初顔合わせだよね? ブラッシュリップスのSFOにおけるマネージャーになる一守沙也加さんだ。GNは……何だっけ?」
「……フローズンです……。社長、このGNはあまり大っぴらにはしないで欲しいんですけど……」
「あはは、顔を出さないゲームの中だからと、気持ちが大きくなってつけて後悔しているんだったな」
「社長!」
(あれか、あの氷のあれか! 主役の1人の中の人がってことか!)
「マネージャーってオーディションの受付の人か」
「ああ、あの新メンバー募集で人手不足だったから雇った。SFO現地採用のマネージャーだな。なんでも艦を損傷して修理費を稼ぎたいらしい。
音響担当で応募した晶羅をアイドル面接に混ぜてしまったのも彼女だ。
さすがにSFOプロゲーマーの資格持ちとなると人手不足でね。地球で雇っていたマネージャーは、プロゲーマーになれなかったんだよ」
なるほど、僕がアイドルになる元凶をつくった人か。
僕は納得するとお決まりの自己紹介をした。
「新メンバー音響担当、晶羅でーす♡」
1人でこれは恥ずかしかった。
自己紹介も終わり反省会という名の雑談をする。
「やーめーろーよー」
珍しく美優《みゆ》が大きな声を上げたので見ると、菜穂さんが酔っ払って美優に絡んでいた。
頭を撫でて髪の毛をくしゃくしゃにしている。
美優が逃げる。
犠牲者のいなくなった菜穂さんは、続けて社長に絡んでいる。
「社長ー。今回はヲタ艦隊が相手だったからいいけど、戦力増強しないと普通の人には勝てないぞ♡」
「前にも言ったが、今現在はSFO内でのスカウトは無理だ。
加藤くん(地球でのマネージャー)に地球でスカウトしてもらってるが連絡もあまりとれないし時間がかかる」
「マネージャーは? そこそこカワイイんじゃない?」
「彼女は年齢的にアイドルは無理だし戦力にならん。本人も嫌がっている」
「そうです。私は無理ですー。顔にも自信ないし年だし……」
「でも。アバターなら問題ないわよ?」
「嫌ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
沙也加さんが逃げた。
「こらこら、せっかく採用したマネージャーを追い込むんじゃない! 彼女はアイドルにはしない。これは決定事項だ」
紗綾が僕に近づいて来た。
酔ってる? 未成年だよね? 未成年飲酒はアイドルにとって致命傷だよ?
「あきらっちは、なんでSFOに来たの?」
「主に経済的な理由かな? 姉貴が行方不明になって学校やめることになって、生活費までなくなって……」
僕の身の上話を、意外なことに紗綾は真剣に聞いてくれている。
「それで姉貴がSFOのプロゲーマーだったから、探し出そうとしたのと、お金が稼げて一石二鳥かなと思って」
「だけどしくじって借金抱えて。社長が助けてくれなかったら、まだ借金まみれだったよ」
その時紗綾が急に僕を抱きしめて来た。
「辛かったね」
僕は紗綾の胸にしばらく抱きしめられていた。
人の温もりがボッチの僕の心を温めてくれたように感じた。
薄着の紗綾の肉感がエロかったのは言うまでもない。
それと紗綾はお酒なんて一滴も飲んでいなかった。
僕が話し易くなるように芝居をしてくれていたんだ。
紗綾の優しさにほっこりした。
もっこりはしてません。
宴もたけなわ、どうやら話も一段落したようなので、僕は疑問に思っていたことを神澤社長に聞いた。
「配信映像の反応ってどうだったの? お金を出してまで見てくれた新規の人っているの?」
「ああ、今回の配信はプロモーションだからお金は取っていないんだ。
ヲタ艦隊にはブラッシュリップスのスペシャルグッズを与えたから、分配金を放棄してもらっている。それでも大喜びだったぞ」
さすが、社長。抜け目がない。損して得取れか。
「配信映像の反応だが、(地球での)マネージャーの加藤によると、ネットユーザーが盛り上がってくれたおかげで、ワイドショーが取り上げてくれたそうだ。
eスポーツの説明やら概ね好意的だったが、プロ化した選手の高額賞金に興味の方向をすり替えられていた感じはあったけどな」
そういや社長も高額賞金のことでバッシングを受けた過去があるらしいから、マスコミは要注意だな。
「マスコミはいちいち偏向報道に持っていきますね。となるとプロゲーマーとしてしっかり勝つ方向じゃないと目立てないんじゃないかな?」
「その方向になるだろうな。沙也加さん、個別デュエルの対戦相手を探しておいてくれ」
「は、はい」
この一言が後に僕達に危機と幸運を呼ぶとは、この時はまだ気付いてなかった。
その夜、僕達ブラッシュリップスメンバーは神澤プロモーションSFO本社に集まり打ち上げを行っていた。
SFO本社は千区501にあった。それは全長1km未満の戦艦のための区画だ。
つまり神澤社長の専用艦は戦艦だということになる。
神澤社長はSFO初期に活躍したゲーマーで、成功して大金を得た所謂SFO成功者だ。
大金を持ってSFOを退会、地球に戻って自身の夢であった芸能事務所を立ち上げ、再びSFOに戻って来たという変わり種らしい。
神澤という人物の存在が、SFOから地球に戻れるという生きた証拠だった。
つまり、その戦艦はかつて活躍した専用艦を引き継いでいるため、この好待遇というわけだ。
神澤プロモーションSFO本社は、戦艦持ちの優遇措置として支給されている神澤社長の個人邸そのものだった。
僕の部屋がマンションだとすると、ここは億ション、所謂タワーマンションの上階という面持ちだ。
その広大な面積のリビングが今日の打ち上げ会場になっている。
居住区は専用格納庫の大きさに依存する。つまり戦艦持ちの居住区は無駄に広いのだ。
中央にテーブルが置かれ飲み物とオードブル、寿司の桶などが並んでいる。
SFOではゲーマーから転じた飲食店経営者なども存在していて、寿司の出前がある。
材料の魚がどこから来ているのか疑問だが、見た目は地球の高級寿司と変わらない。
出席者は6人。神澤社長、僕を含めたブラッシュリップスの4人。そしてもうひとりの女性。
その女性は、あの面接会場受付の人だった。
神澤社長が、そのもうひとりの女性を紹介する。
「彼女と晶羅は初顔合わせだよね? ブラッシュリップスのSFOにおけるマネージャーになる一守沙也加さんだ。GNは……何だっけ?」
「……フローズンです……。社長、このGNはあまり大っぴらにはしないで欲しいんですけど……」
「あはは、顔を出さないゲームの中だからと、気持ちが大きくなってつけて後悔しているんだったな」
「社長!」
(あれか、あの氷のあれか! 主役の1人の中の人がってことか!)
「マネージャーってオーディションの受付の人か」
「ああ、あの新メンバー募集で人手不足だったから雇った。SFO現地採用のマネージャーだな。なんでも艦を損傷して修理費を稼ぎたいらしい。
音響担当で応募した晶羅をアイドル面接に混ぜてしまったのも彼女だ。
さすがにSFOプロゲーマーの資格持ちとなると人手不足でね。地球で雇っていたマネージャーは、プロゲーマーになれなかったんだよ」
なるほど、僕がアイドルになる元凶をつくった人か。
僕は納得するとお決まりの自己紹介をした。
「新メンバー音響担当、晶羅でーす♡」
1人でこれは恥ずかしかった。
自己紹介も終わり反省会という名の雑談をする。
「やーめーろーよー」
珍しく美優《みゆ》が大きな声を上げたので見ると、菜穂さんが酔っ払って美優に絡んでいた。
頭を撫でて髪の毛をくしゃくしゃにしている。
美優が逃げる。
犠牲者のいなくなった菜穂さんは、続けて社長に絡んでいる。
「社長ー。今回はヲタ艦隊が相手だったからいいけど、戦力増強しないと普通の人には勝てないぞ♡」
「前にも言ったが、今現在はSFO内でのスカウトは無理だ。
加藤くん(地球でのマネージャー)に地球でスカウトしてもらってるが連絡もあまりとれないし時間がかかる」
「マネージャーは? そこそこカワイイんじゃない?」
「彼女は年齢的にアイドルは無理だし戦力にならん。本人も嫌がっている」
「そうです。私は無理ですー。顔にも自信ないし年だし……」
「でも。アバターなら問題ないわよ?」
「嫌ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
沙也加さんが逃げた。
「こらこら、せっかく採用したマネージャーを追い込むんじゃない! 彼女はアイドルにはしない。これは決定事項だ」
紗綾が僕に近づいて来た。
酔ってる? 未成年だよね? 未成年飲酒はアイドルにとって致命傷だよ?
「あきらっちは、なんでSFOに来たの?」
「主に経済的な理由かな? 姉貴が行方不明になって学校やめることになって、生活費までなくなって……」
僕の身の上話を、意外なことに紗綾は真剣に聞いてくれている。
「それで姉貴がSFOのプロゲーマーだったから、探し出そうとしたのと、お金が稼げて一石二鳥かなと思って」
「だけどしくじって借金抱えて。社長が助けてくれなかったら、まだ借金まみれだったよ」
その時紗綾が急に僕を抱きしめて来た。
「辛かったね」
僕は紗綾の胸にしばらく抱きしめられていた。
人の温もりがボッチの僕の心を温めてくれたように感じた。
薄着の紗綾の肉感がエロかったのは言うまでもない。
それと紗綾はお酒なんて一滴も飲んでいなかった。
僕が話し易くなるように芝居をしてくれていたんだ。
紗綾の優しさにほっこりした。
もっこりはしてません。
宴もたけなわ、どうやら話も一段落したようなので、僕は疑問に思っていたことを神澤社長に聞いた。
「配信映像の反応ってどうだったの? お金を出してまで見てくれた新規の人っているの?」
「ああ、今回の配信はプロモーションだからお金は取っていないんだ。
ヲタ艦隊にはブラッシュリップスのスペシャルグッズを与えたから、分配金を放棄してもらっている。それでも大喜びだったぞ」
さすが、社長。抜け目がない。損して得取れか。
「配信映像の反応だが、(地球での)マネージャーの加藤によると、ネットユーザーが盛り上がってくれたおかげで、ワイドショーが取り上げてくれたそうだ。
eスポーツの説明やら概ね好意的だったが、プロ化した選手の高額賞金に興味の方向をすり替えられていた感じはあったけどな」
そういや社長も高額賞金のことでバッシングを受けた過去があるらしいから、マスコミは要注意だな。
「マスコミはいちいち偏向報道に持っていきますね。となるとプロゲーマーとしてしっかり勝つ方向じゃないと目立てないんじゃないかな?」
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「は、はい」
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