【改訂版】異世界転移で宇宙戦争~僕の専用艦は艦隊旗艦とは名ばかりの単艦行動(ぼっち)だった~

北京犬(英)

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アイドル編

068 アイドル編44 遠征1

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 僕たちブラッシュリップスは次の強化目標を決めるために事務所で会議をしていた。

美優みゆの軽空母は艦載機の増量とステルス化で大丈夫だよね?」

「ん。大丈夫」

 美優みゆの軽空母の強化目標は艦載機増量と一部の機体のステルス化にあっさり決定。
美優みゆ艦には補給艦としての任務も割り振っているので戦艦の艦体に強化する予定はない。

「となると次の強化は菜穂なほさんか綾姫あやめの専用艦になるのかな?」

「私は強化よりも借金返済を優先しないと……」

 そうだった。綾姫あやめは借金返済が優先だった。
綾姫あやめの借金は父親が経営する会社の損失を綾姫あやめの父親が個人で被ってしまったものだ。
持ち家も失い、今はお爺さんの道場に家族で住まわせてもらっているそうだ。
綾姫あやめが返済をしないと、その道場を売るという話になってしまうため、綾姫あやめは道場を守るため一攫千金を夢見てSFOに参加したのだ。
幸い、その借金をSFOが肩代わりしてくれたため、道場を失うことはなくなった。
しかし綾姫あやめがRPで手に入れた装備は自動的にSFO買い上げになってしまうので、強化に使用出来ないのだ。
まあ、生活資金として一部現金が入ってくる契約なので、それを貯蓄して装備を買うならばその限りではないのだが……。
あ、僕が格安で売るという形にすればいいのか。
でも、綾姫あやめの性格的に、施しと受け取って拒否されそうだ。

「抜け道はいっぱいあるから、それでなんとかしよう」

「ブラッシュリップスとしては綾姫あやめの突撃艦は強化しないとならないわ」

「はい……」

 菜穂なほさんも綾姫あやめ艦の増強を支持してくれた。
綾姫あやめの断りそうな雰囲気を察知して、前もって釘を刺してくれている。
さすがリーダー。説得は菜穂なほさんに任せちゃえばいいか。
社長にも予算を設定してもらって、綾姫あやめが遠慮しなくていいように持っていこう。

「となると近々の強化目標は菜穂なほさんの狙撃艦の艦体強化かな?」

「艦体を戦艦化するってこと~?」

紗綾さーやの言うとおり、菜穂なほさんの狙撃艦の艦体を戦艦化することで武装の増強と防御力の向上を目指す」

 僕たちブラッシュリップスに欠けていた打撃力を砲門数を増やして賄う。
そのためには菜穂なほ艦を戦艦化するのがベストだろう。

「そうね。私達もRPで素材集めを頑張るわ」

「ん」「お~」「はい!」

 菜穂なほさんの号令に皆やる気満々だ。
前回戦力強化で戦艦化した紗綾さーや艦には特に頑張ってもらおう。


◇  ◇  ◇  ◇  ◆


「なぜだ? RPが全然開催されない!」

「どうしよう? 借金返済が……」

「折角初陣だと張り切っていたのに、困りましたわ……」

 あれだけ定期便のように行われていたビギニ星系の次元跳躍門ゲートへの襲撃がパタリと止んでしまった。
敵の目標は次元跳躍門ゲートの奪取による星系の支配だと言われている。
次元跳躍門ゲートにはハブ次元跳躍門ゲートと通常次元跳躍門ゲートがある。
複数の通常次元跳躍門ゲートがハブ次元跳躍門ゲートの下に属し、ハブ次元跳躍門ゲートを奪われると、その下に属する通常次元跳躍門ゲートへの航行までが不可能になる。
実質ハブ次元跳躍門ゲートの下に紐づく通常次元跳躍門ゲートの星系までもが支配されてしまうのと同じことだった。
ビギニ星系の次元跳躍門ゲートはハブ次元跳躍門ゲートのため重要戦略目標として敵から攻撃を受けていたわけだ。
そのためビギニ星系にはステーションと呼ばれる要塞艦が設置され、常に戦力を常駐させてハブ次元跳躍門ゲートを守っているのだ。
うん。敵。僕たちは敵の正体も何も知らずに敵と戦っている。その襲撃がいま止まっている。
敵がなんらかの作戦を実施する嵐の前の静けさなのか、目標を別の星系に切り替えたのかは定かではない。
しかし、RPにより利益を得ていた者には死活問題だった。
特に回収屋さんたちはしばらく儲けが無く、怨嗟の声を上げていた。
そしてRPにより得た装備で艦の強化をしようとしていた僕たちブラッシュリップス艦隊も、その煽りをもろに食らっていた。

ここビギニでRPがないなら遠征すればいいじゃないか?」

 僕たちメンバーがが騒いででいると、神澤社長が事も無げに呟いた。
遠征、それは次元跳躍門ゲートを通って他星系に移動しクエストを行うことを意味する。
ギルドのクエストボードに提示されている遠征クエストを受注することで次元跳躍門ゲートの通過許可がもらえるのだ。

「そういや傭兵さんたちが見当たらない。みんな遠征に行っていたのか!」

「となると良いクエストは傭兵さんたちに取られてしまっているかもだわ!」

「拙い。直ぐにギルドへ向かおう!」

 僕はギルドへと転移するために転送ポートへ向かおうと慌てて立ち上がる。

「待て! ギルド掲示板は腕輪でネットにアクセスして受注処理できる!」

 走り出そうとした僕の腕を社長が掴み止める。
さすが元SFOランカーの社長だ。SFOの仕組みは隅々まで熟知している。
ギルド掲示板の受注処理はネット化されていて、腕輪でアクセス出来るのだそうだ。
僕たちは共有モードで仮想スクリーンを開き、ギルドのクエスト掲示板を表示した。


〇〇星系Dランク任務 星系警備 期間1か月 5艦(同一艦隊希望)報酬各21万G 拠点あり食事支給
××星系Eランク任務 掃海作業 期間1エリア終了まで 10エリア(各エリア毎に個別に募集)報酬1万G(回収品は各自持ち帰り可)
                      ・
                      ・
                      ・


「私達が受注できるランクで討伐クエストがほとんど見あたら無いわ!」

 菜穂なほさんがいつになく焦っている。
僕たちはCランクなので、上下1ランクのクエストは受注出来る。
つまりB~Dランクのクエストが受注対象だ。
ただし、僕たちが必要とする武器素材を手に入れられる討伐クエストはCランク以上だ。
Dランクとなると警備任務ぐらいしか無く、報酬もあまり割が合わない金額となっている。
Cランク以上の討伐クエストは既に傭兵さんたちが受注してしまったのか、ほとんど残っていなかった。

「あった、Bランククエスト!」

 綾姫あやめが仮想スクリーンの一か所を指さす。
そこにあったクエストは……。


ボルド星系Bランク任務 野良宇宙艦(戦艦)1艦討伐 期間討伐終了まで 1艦隊 報酬50万G(討伐出来なかった場合は違約金発生) 拠点あり自炊 


「早くしないと誰かに取られちゃうぞ~」

「「「あ」」」

 仮想スクリーンの受注ボタンを紗綾さーやがポチっていた。

「ちょっと紗綾さーや! もっと吟味しないと!」

「そうよ! 今まで残っていたからには、曰く付きのクエストかもしれないのに!」

 僕に続き菜穂なほさんも紗綾さーやを窘める。

「あー。ポチっちゃったか……。そこのボルド伯爵、セクハラとケチで有名なんだよな……」

「社長! そういうことは直ぐに言ってください!」

 戦艦の討伐で報酬50万Gは安すぎる。
Dランクの警備任務でも1艦21万Gなのに、これはおそらく1艦隊で50万Gだ。
しかも食事が自炊になっている。
さらに問題なのは討伐した戦艦の所有権が誰にあるのか明記がない。
加えて討伐出来なければ違約金が発生する。
かなりブラックなクエストだったようだ。

「「紗綾さーやー!!」」

「ごめ~ん」

 紗綾さーやが可愛らしく舌をだす。
受注してしまったならしょうがない。
紗綾さーやにはセクハラの矢面に立ってもらおうか。
こうして僕たちブラッシュリップス艦隊は初めての遠征に向かうことになった。
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