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アイドル編
079 アイドル編55 RPでライブ3
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どこからどこまでが虚構だったのか?
ギルド倉庫に行ってボルド星系で手に入れた鹵獲素材を入手したのは事実。
大規模攻勢に伴って全艦出撃したのは僕たちだけが見せられた幻。
次元跳躍門から出て来た大規模攻勢の敵艦隊も幻。
では、ステーションから発令された大規模攻勢に対抗するための出撃命令は?
社長が発射したスピーカーポッドによって発信された全チャンネルへのカラオケは?
全てが幻とすると僕たちの専用艦の電脳あるいは僕たちの頭の中にあるナノマシンがハッキングされたということになる。
そういえば、前日の言葉と違うことを言い出した社長は、自分の意思を曲げられたっぽいからナノマシンが怪しいのか。
これはもう一度ナーブクラックでナノマシンをこちらの支配下に置き直した方が良いだろう。
僕は再度ナーブクラックをかけて皆のナノマシンと専用艦の電脳を掃除しておいた。
「晶羅、いったい何があったんだ?
それに俺はいったい?」
「社長、やっと正気に戻ったか」
社長の意識が正常化したっぽい。
あの社長の前日と相反する行動、そして呆けたような態度、どれもなんらかの者による影響下にあったことが推察される。
ということは、ステーション内部あるいはSFO運営内部に敵が浸食しているということだろう。
何か手掛かりは……。
「社長、どうやら僕たちは嵌められたらしい。
皆、幻を見せられていたようだよ。
幻に隠れて僕らを襲撃しようとしていた艦隊は現実だから、こいつらから情報を取ろうか?」
「こいつらか。見たことも無い艦種だな」
社長も知らない艦らしい。
「どうやら幻覚はステーション内部で仕掛けられたらしい。
SFO運営も信用出来るかわからない。
とりあえず、この艦は次元格納庫に収納しておくよ」
僕は襲撃して来た艦、全8艦を次元格納庫に収納しようとした。
「待て、襲撃艦はSFO運営に提出する。
そこで相手の様子を見るんだ。
やつらの艦なら誰かの慌てる様子が見られるかもしれない」
なるほど、それもそうか。
「わかった、それじゃこの1艦だけ入れといていいかな?」
僕はそこそこ程度の良い艦を次元格納庫に収納し、他の7艦を残した。
立派な手がかりだ。確保しておくにこしたことはないだろう。
そして社長が緊急事態を宣言する。
『メーデーメーデー。こちら神澤プロモーション所属艦艇全12艦、正体不明の敵と遭遇、救援を請う』
『メーデーメーデー。こちら神澤プロモーション所属艦艇全12艦、正体不明の敵と遭遇、救援を請う』
『こちらステーション管制、急発進と今まで管制に従わなかった理由を問う』
『こちら神澤プロモーション代表艦。正体不明の敵による精神攻撃を受けた。
全ては我々が見せられた幻により起こされたことだ。
こちらは全ての幻覚を打ち破り、原因を作り出したと思われる艦を撃破。拿捕した。
支給救援を請う』
『こちらステーション管制、監察官を送る。その場で待機せよ。
なお、お互いの通信を禁じる。これは口裏合わせ対策だ。
疑われるようなことはしないように』
管制員の言葉には何の嘘も含まれてなさそうだ。
ステーション管制は白か? それとも名役者か?
奴らがレーダーに映っていなかったのなら、この対応も頷ける。
僕は目視で撃ったけど、レーダーはどうだったんだろう?
僕の専用艦のログを調べるも、ハッキングの影響かデータが欠損していた。
だめか。社長たちも幻覚の影響下にあった頃だからデータは無いだろうな。
しかもGバレットに撃たれた後はただの残骸になってレーダーには映ってるんだよな。
しばらく待つとステーション行政府から監察官を乗せた戦艦とタグボートがやって来た。
監察官は僕らに事情聴取をするために来ているのだそうだ。
タグボートは襲撃してきた艦をステーションに運ぶためだろう。
タグボートが全部で8隻いる。
ん? 8隻?
僕らは襲撃して来た正体不明艦の数は言ってない。
残骸だったのでレーダーには明確に8艦いるとは映らなかったはずだ。
そのうちの1艦を隠しても気付かれないぐらいだったはず。
どうしてステーション行政府は襲撃艦が8艦だとわかったのだろう?
まさか、この茶番の脚本を書いたのはステーション行政府?
まあ、偶然という可能性もあるので、疑いというレベルに留める。
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
SIDE:監察官ベイジェフ
監察官とは組織の内部で不祥事が起きた際に、特別な権限で捜査を行うことが出来る立場の者のことである。
私、ベイジェフはステーション行政府さえも容疑者として捜査することが出来る、皇帝直属の独立捜査官である。
『監察官のベイジェフだ。
これより個別に事情聴取する。
何があったか明確に答えろ』
CASE1:神澤の場合
「我々はRPに参加申請したことで大規模攻勢の待機要員となっていた。
それは行政府の指示なのでわかっているだろう?
まさかそこから幻覚じゃないよな?」
「ああ、大規模攻勢の待機命令は出ていた。
それは間違いない」
そこは把握している間違いない。
「では、大規模攻勢の予兆により全艦出撃が命じられたことは?」
「それは、ステーション行政府は命じていないそうだ」
ここがポイントだな。
命令内容が偽装され操られたようだな。
「つまり、その時点で俺たちは幻覚を見せられていたということだ。
俺たちは0-0-M9に配属され緊急出動した。
次元跳躍門からは敵艦隊が侵入し俺たちは迎撃態勢を取っていた。
晶羅が遅れていたので気になっていた」
「これも現実と違うわけだな」
仮装スクリーンの内容が偽装されている?
そんなことが可能なのか?
「そうだ。晶羅が遅れたところ以外は幻だった。
そして晶羅が俺たちの所へ向かって来て周囲にレールガンを撃ち込んだ。
その時、幻覚から覚めた。
俺たちの周りには見たことも無い正体不明艦が残骸になっていた。
夥しい味方艦隊も大規模攻勢の敵艦隊も消えていた。
まるで夢から覚めた気分だった」
「なるほど。つまりその正体不明艦の艦隊が原因だと思われると」
「ああ」
神澤の証言により、この事件の流れがある程度把握出来たな。
CASE2:紗綾の場合
「RPやることになって~。
緊急出動で呼ばれて~。
晶羅が来たら周りの艦が全部消えて残骸が残ってた~。
わけわかんない」
「なるほど……」
ダメだ。これ以上の質問は無理だな……。
大筋は神澤と同じと見て良いな。
CASE3:美優の場合。
「……」
「お嬢ちゃん、何があったのかな?」
「みんな幻覚。嘘ばっか」
「それから?」
「晶羅ちゃんが助けてくれた」
「なるほど……」
紗綾に同じ。
CASE4:菜穂の場合
「RPに参加することになって、待機命令が出ました。
敵の大規模攻勢だというので出撃しました。
でも、頭が痛くて、何か変な気はしていたのですが……。
気付いたら味方艦隊も敵艦隊も消えて、周囲に残骸が漂っていました。
晶羅が来たら頭痛はなくなりました」
「なるほど」
神澤の証言とほぼ一致する。
CASE5:綾姫の場合
「敵の大規模攻勢で出撃した。
やってやろうと張り切っていたら敵艦隊が消えた。
儲けそこなった」
「はい……」
なんだか鬼気迫るものがある。
大筋は一致している。
CASE:6沙也加の場合
「うわーん。なんで修理中の艦で出撃したんだろ。
死んじゃう。死んじゃう!」
この子の艦は中破の状態で出撃したのか。
こんな状態の艦で出るなんて、やっぱり本人の意思ではないのだろうな。
操られていたという証言の信ぴょう性が増すな。
CASE7:シューティングドリームの場合
この子たちは神澤プロモーション預かり?
SFOで神澤に面倒を見てもらっているだけで所属ではないのか。
ならば纏めて聴取でいいな。
「初めての本格RPだったので張り切りました。
晶羅ちゃんが全部やっつけちゃってビックリしました。
味方艦隊の皆さんは帰るのが早いですね。ね~みんな~」
「「「「は~い。そうで~す」」」」
「……」
聞いても無駄だったな。
CASE8:晶羅の場合
「SFO倉庫で鹵獲素材を引き取っていたら緊急招集がかかったんだ。
全艦出撃命令が出て、僕はイレギュラーの位置にいたので管制に待たされていた。
0-0-M9で社長たちが危ないという嫌な予感がして、緊急事態を宣言して発進した。
これ記録に残ってないの?」
「ほう。管制を無視したのですね?
緊急事態を宣言した記録はないですね」
この子だけ外から様子を見ていたんだな。
「いや、これは後でわかったことだが、偽の情報を見せられていただけだ。
偽の管制を無視しても何の罪もないだろう?」
「そうなりますか」
通信まで手が入るということは、ナノマシンと電脳がハッキングされたということで確定か。
「そして最大速度で0-0-M9に向かう途中でイレギュラーな動きをした戦艦と接触した」
「接触事故ですと?」
「いや、それが接触したはずなのに接触の衝撃が全くなかった。
それで振り返ると戦艦の映像がブレていて偽映像だと気付いた」
「偽映像ですか」
ナノマシンによる仮装スクリーン表示内容の差し替えか。
「ええ、おそらく電脳とナノマシンに細工をされたんだと思います」
「ほう」
この子はそこまで理解しているのか。
「そこで専用艦の電脳を最大限に使ってその干渉を退けました。
すると味方艦隊も敵艦隊も消えていて、大規模攻勢自体が幻だとわかりました。
そして社長たちの方を見ると、見たことも無い艦隊が襲撃体制で迫っているところでした。
そこで、襲撃体制の艦隊を敵と認定、レールガンで排除しました」
ほう。たった1艦で敵艦隊を撃破ですか。
「なるほど。ちなみに撃破したのは何艦でしたか?」
「たしか7艦だと思います」
「おや、8艦ではありませんでしたか?」
「いいえ。あそこにある7艦だけだと思いますよ。
8艦というのは何か根拠があるのですか?」
「いや、8艦だと報告を受けていたのですよ。
なのでタグボートを8隻用意したのですが」
なぜステーション行政府は8艦だと断定したんだ?
残骸になるまでレーダーには映っていなかったというし、あの残骸からじゃ艦数まではわからないはずだ。
まさか最初から知っていた?
どうやらステーション内部に犯人が潜んでいそうだな。
目的は何なのだろうか?
確かここビギニ星系は第13皇子領だったはず。
そういや最近、皇位継承順位が1つ下がったという。
何か企んでいるのか?
ギルド倉庫に行ってボルド星系で手に入れた鹵獲素材を入手したのは事実。
大規模攻勢に伴って全艦出撃したのは僕たちだけが見せられた幻。
次元跳躍門から出て来た大規模攻勢の敵艦隊も幻。
では、ステーションから発令された大規模攻勢に対抗するための出撃命令は?
社長が発射したスピーカーポッドによって発信された全チャンネルへのカラオケは?
全てが幻とすると僕たちの専用艦の電脳あるいは僕たちの頭の中にあるナノマシンがハッキングされたということになる。
そういえば、前日の言葉と違うことを言い出した社長は、自分の意思を曲げられたっぽいからナノマシンが怪しいのか。
これはもう一度ナーブクラックでナノマシンをこちらの支配下に置き直した方が良いだろう。
僕は再度ナーブクラックをかけて皆のナノマシンと専用艦の電脳を掃除しておいた。
「晶羅、いったい何があったんだ?
それに俺はいったい?」
「社長、やっと正気に戻ったか」
社長の意識が正常化したっぽい。
あの社長の前日と相反する行動、そして呆けたような態度、どれもなんらかの者による影響下にあったことが推察される。
ということは、ステーション内部あるいはSFO運営内部に敵が浸食しているということだろう。
何か手掛かりは……。
「社長、どうやら僕たちは嵌められたらしい。
皆、幻を見せられていたようだよ。
幻に隠れて僕らを襲撃しようとしていた艦隊は現実だから、こいつらから情報を取ろうか?」
「こいつらか。見たことも無い艦種だな」
社長も知らない艦らしい。
「どうやら幻覚はステーション内部で仕掛けられたらしい。
SFO運営も信用出来るかわからない。
とりあえず、この艦は次元格納庫に収納しておくよ」
僕は襲撃して来た艦、全8艦を次元格納庫に収納しようとした。
「待て、襲撃艦はSFO運営に提出する。
そこで相手の様子を見るんだ。
やつらの艦なら誰かの慌てる様子が見られるかもしれない」
なるほど、それもそうか。
「わかった、それじゃこの1艦だけ入れといていいかな?」
僕はそこそこ程度の良い艦を次元格納庫に収納し、他の7艦を残した。
立派な手がかりだ。確保しておくにこしたことはないだろう。
そして社長が緊急事態を宣言する。
『メーデーメーデー。こちら神澤プロモーション所属艦艇全12艦、正体不明の敵と遭遇、救援を請う』
『メーデーメーデー。こちら神澤プロモーション所属艦艇全12艦、正体不明の敵と遭遇、救援を請う』
『こちらステーション管制、急発進と今まで管制に従わなかった理由を問う』
『こちら神澤プロモーション代表艦。正体不明の敵による精神攻撃を受けた。
全ては我々が見せられた幻により起こされたことだ。
こちらは全ての幻覚を打ち破り、原因を作り出したと思われる艦を撃破。拿捕した。
支給救援を請う』
『こちらステーション管制、監察官を送る。その場で待機せよ。
なお、お互いの通信を禁じる。これは口裏合わせ対策だ。
疑われるようなことはしないように』
管制員の言葉には何の嘘も含まれてなさそうだ。
ステーション管制は白か? それとも名役者か?
奴らがレーダーに映っていなかったのなら、この対応も頷ける。
僕は目視で撃ったけど、レーダーはどうだったんだろう?
僕の専用艦のログを調べるも、ハッキングの影響かデータが欠損していた。
だめか。社長たちも幻覚の影響下にあった頃だからデータは無いだろうな。
しかもGバレットに撃たれた後はただの残骸になってレーダーには映ってるんだよな。
しばらく待つとステーション行政府から監察官を乗せた戦艦とタグボートがやって来た。
監察官は僕らに事情聴取をするために来ているのだそうだ。
タグボートは襲撃してきた艦をステーションに運ぶためだろう。
タグボートが全部で8隻いる。
ん? 8隻?
僕らは襲撃して来た正体不明艦の数は言ってない。
残骸だったのでレーダーには明確に8艦いるとは映らなかったはずだ。
そのうちの1艦を隠しても気付かれないぐらいだったはず。
どうしてステーション行政府は襲撃艦が8艦だとわかったのだろう?
まさか、この茶番の脚本を書いたのはステーション行政府?
まあ、偶然という可能性もあるので、疑いというレベルに留める。
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
SIDE:監察官ベイジェフ
監察官とは組織の内部で不祥事が起きた際に、特別な権限で捜査を行うことが出来る立場の者のことである。
私、ベイジェフはステーション行政府さえも容疑者として捜査することが出来る、皇帝直属の独立捜査官である。
『監察官のベイジェフだ。
これより個別に事情聴取する。
何があったか明確に答えろ』
CASE1:神澤の場合
「我々はRPに参加申請したことで大規模攻勢の待機要員となっていた。
それは行政府の指示なのでわかっているだろう?
まさかそこから幻覚じゃないよな?」
「ああ、大規模攻勢の待機命令は出ていた。
それは間違いない」
そこは把握している間違いない。
「では、大規模攻勢の予兆により全艦出撃が命じられたことは?」
「それは、ステーション行政府は命じていないそうだ」
ここがポイントだな。
命令内容が偽装され操られたようだな。
「つまり、その時点で俺たちは幻覚を見せられていたということだ。
俺たちは0-0-M9に配属され緊急出動した。
次元跳躍門からは敵艦隊が侵入し俺たちは迎撃態勢を取っていた。
晶羅が遅れていたので気になっていた」
「これも現実と違うわけだな」
仮装スクリーンの内容が偽装されている?
そんなことが可能なのか?
「そうだ。晶羅が遅れたところ以外は幻だった。
そして晶羅が俺たちの所へ向かって来て周囲にレールガンを撃ち込んだ。
その時、幻覚から覚めた。
俺たちの周りには見たことも無い正体不明艦が残骸になっていた。
夥しい味方艦隊も大規模攻勢の敵艦隊も消えていた。
まるで夢から覚めた気分だった」
「なるほど。つまりその正体不明艦の艦隊が原因だと思われると」
「ああ」
神澤の証言により、この事件の流れがある程度把握出来たな。
CASE2:紗綾の場合
「RPやることになって~。
緊急出動で呼ばれて~。
晶羅が来たら周りの艦が全部消えて残骸が残ってた~。
わけわかんない」
「なるほど……」
ダメだ。これ以上の質問は無理だな……。
大筋は神澤と同じと見て良いな。
CASE3:美優の場合。
「……」
「お嬢ちゃん、何があったのかな?」
「みんな幻覚。嘘ばっか」
「それから?」
「晶羅ちゃんが助けてくれた」
「なるほど……」
紗綾に同じ。
CASE4:菜穂の場合
「RPに参加することになって、待機命令が出ました。
敵の大規模攻勢だというので出撃しました。
でも、頭が痛くて、何か変な気はしていたのですが……。
気付いたら味方艦隊も敵艦隊も消えて、周囲に残骸が漂っていました。
晶羅が来たら頭痛はなくなりました」
「なるほど」
神澤の証言とほぼ一致する。
CASE5:綾姫の場合
「敵の大規模攻勢で出撃した。
やってやろうと張り切っていたら敵艦隊が消えた。
儲けそこなった」
「はい……」
なんだか鬼気迫るものがある。
大筋は一致している。
CASE:6沙也加の場合
「うわーん。なんで修理中の艦で出撃したんだろ。
死んじゃう。死んじゃう!」
この子の艦は中破の状態で出撃したのか。
こんな状態の艦で出るなんて、やっぱり本人の意思ではないのだろうな。
操られていたという証言の信ぴょう性が増すな。
CASE7:シューティングドリームの場合
この子たちは神澤プロモーション預かり?
SFOで神澤に面倒を見てもらっているだけで所属ではないのか。
ならば纏めて聴取でいいな。
「初めての本格RPだったので張り切りました。
晶羅ちゃんが全部やっつけちゃってビックリしました。
味方艦隊の皆さんは帰るのが早いですね。ね~みんな~」
「「「「は~い。そうで~す」」」」
「……」
聞いても無駄だったな。
CASE8:晶羅の場合
「SFO倉庫で鹵獲素材を引き取っていたら緊急招集がかかったんだ。
全艦出撃命令が出て、僕はイレギュラーの位置にいたので管制に待たされていた。
0-0-M9で社長たちが危ないという嫌な予感がして、緊急事態を宣言して発進した。
これ記録に残ってないの?」
「ほう。管制を無視したのですね?
緊急事態を宣言した記録はないですね」
この子だけ外から様子を見ていたんだな。
「いや、これは後でわかったことだが、偽の情報を見せられていただけだ。
偽の管制を無視しても何の罪もないだろう?」
「そうなりますか」
通信まで手が入るということは、ナノマシンと電脳がハッキングされたということで確定か。
「そして最大速度で0-0-M9に向かう途中でイレギュラーな動きをした戦艦と接触した」
「接触事故ですと?」
「いや、それが接触したはずなのに接触の衝撃が全くなかった。
それで振り返ると戦艦の映像がブレていて偽映像だと気付いた」
「偽映像ですか」
ナノマシンによる仮装スクリーン表示内容の差し替えか。
「ええ、おそらく電脳とナノマシンに細工をされたんだと思います」
「ほう」
この子はそこまで理解しているのか。
「そこで専用艦の電脳を最大限に使ってその干渉を退けました。
すると味方艦隊も敵艦隊も消えていて、大規模攻勢自体が幻だとわかりました。
そして社長たちの方を見ると、見たことも無い艦隊が襲撃体制で迫っているところでした。
そこで、襲撃体制の艦隊を敵と認定、レールガンで排除しました」
ほう。たった1艦で敵艦隊を撃破ですか。
「なるほど。ちなみに撃破したのは何艦でしたか?」
「たしか7艦だと思います」
「おや、8艦ではありませんでしたか?」
「いいえ。あそこにある7艦だけだと思いますよ。
8艦というのは何か根拠があるのですか?」
「いや、8艦だと報告を受けていたのですよ。
なのでタグボートを8隻用意したのですが」
なぜステーション行政府は8艦だと断定したんだ?
残骸になるまでレーダーには映っていなかったというし、あの残骸からじゃ艦数まではわからないはずだ。
まさか最初から知っていた?
どうやらステーション内部に犯人が潜んでいそうだな。
目的は何なのだろうか?
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