【改訂版】異世界転移で宇宙戦争~僕の専用艦は艦隊旗艦とは名ばかりの単艦行動(ぼっち)だった~

北京犬(英)

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放浪編

103 放浪編22 謀略

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SIDE:ビギニ星系 ステーション指揮所 プリンス

「工作部隊から次元通信。『門は閉じられた』『門は閉じられた』です」

 ステーションの奥深くにあるステーション指揮所、要塞艦を指揮する心臓部に司令部要員が詰めている。
その一角である通信コンソールから、通信員の声が上がる。
それはアキラを罠にかけるために密かに出撃した工作部隊からの作戦成功を意味する暗号通信だった。

「くくく。バカな奴だ。調査申請の内容が此方に漏れているとも知らずにノコノコ少数でやって来るとは。
此方が戦力を割かなくても、野良宇宙艦が奴を勝手に始末してくれるとは有難いことだ」

 ステーション指揮所の司令席でくつろいでいたプリンスは上機嫌だった。
目の上のたんこぶであるアキラを野良宇宙艦の巣で葬ることに成功したのだから。
アキラが申請した調査申請の内容をハッキングし、野良宇宙艦の巣への行動を把握。
その調査許可の制限で現地には少数の護衛艦しか伴えないことを知った。
アキラを葬るチャンスだった。
プリンスは工作部隊に指示、ステルス機能を装備した艦隊でアキラを亜空間で待ち伏せさせていた。
そしてアキラが野良宇宙艦の星系へと次元跳躍門ゲートを潜った後で次元跳躍門ゲートを閉めロックしてやったのだ。
アキラが巣や野良宇宙艦にレールガンを撃ち込んだことも確認した。
そこは数十万の野良宇宙艦が遊弋する星系だ。
直ぐに次元跳躍門ゲートを潜って逃げなければ、生きて帰れる訳がない。
プリンスは笑いが止まらなかった。

「あっけない最後だったな、アキラ。
散々罠にかけてやったのに、私に感謝するようなバカだったが悪運が強すぎた。
それさえ無ければ私も好きになれたのに。君の生まれがいけないのだよ」

 プリンスの哄笑はいつまでも続いた。
プリンスは一息つくと時計を見た。

「もうアキラはこの世から消えただろう。それでは私は裏切った奴らを奴隷に落としに行くとしようか」

 プリンスは自分の専用艦に乗るとアノイ星系を目指した。


◇  ◇  ◇  ◇  ◆


SIDE:アノイ星系 プリンス侵攻艦隊

 プリンスの専用艦はプリンス軍全軍となる25000の艦と共に次元跳躍門ゲートをくぐるとアノイ星系に出た。
アノイ要塞前には9000の獣人軍と1500の地球軍が展開している。
一応皇子の公式訪問と称しているため、先制攻撃は仕掛けて来ない。

『皆さん、私、第12・・皇子のプリンスが帰ってまいりました。
撃たないでください。我々が戦う意味なんて無いんです。
偽皇子のアキラは討たれました。あなた方は偽皇子に騙されていたんです。
騙されていた獣人族の方々、地球の方々、誤解は誰にでもあります。
騙した偽皇子が悪いのです。ですので今までの罪は問いません。
また共に助け合おうじゃないですか!』

 プリンスは笑顔の仮面の下で悪い顔をしていた。
どうせ獣人共など権力に擦り寄る烏合の衆だ。
甘い言葉で誘えばこちらの権力になびいてくる。
これで獣人共も手の内に入り、地球人も良いように使える。
次は戦力を貸したバカな長兄でも攻めようか?
プリンスはトラタヌで、もう次の標的に意識を飛ばしていた。

「どうしました? 私はあなた方の姫を嫁にもらった縁戚ですよ? さあ私の力になりなさい」

 プリンスはどこまでも身勝手だった。
獣人族を騙し、散々地球人誘拐の片棒を担がせていたくせに、また甘言で騙そうとしている。
だいたい、嫁に出した姫たちは妻ではなくただの下僕として扱われていた。
そんな偽善者に、もう獣人族たちが従うわけがない。
アノイ星系は一触即発の総力戦の様相を呈していた。


◇  ◇  ◇  ◆  ◇

SIDE:某所 晶羅あきら

 僕は専用艦のCICで、戦術兵器統合制御システムのデータリンクが切れ、仮想画面がダウンするのを見ていた。
野良宇宙艦の巣に派遣した艦は、おびただしい数の野良宇宙艦に攻撃され撃沈されたようだ。
僕がいま居るのは事務所のクラン格納庫だ。
専用艦のパイロットシートに座り、野良宇宙艦の巣に派遣した艦を、次元通信でデータリンクを繋げて遠隔操作していたのだ。
僕は鹵獲巡洋艦を改造して専用艦のダミー艦を造っていた。
この艦の特徴は長砲身5cmレールガンを3門装備して特殊弾を撃てるようにしてあることだった。
野良宇宙艦の巣はとても危険な場所だ。数十万艦の野良宇宙艦が遊弋し巣を守っているのだ。
そんな危険な場所に、例え偵察でも有人艦を行かせられるわけがない。
しかも僕が野良宇宙艦の巣を調査するという情報は誰かさんプリンスの勢力に盗まれていた。
調査許可が少数の艦のみに制限されていることも筒抜けだった。
だから僕は広域通信機と戦術兵器統合制御システムを駆使してダミー艦を制御していたのだ。
当然僚艦も僕の専用艦を介して部下がデータリンクで遠隔操作していた汎用量産艦だ。

 ダミー艦の艦隊は、この調査中に情報を盗んだ誰かさんプリンスの勢力に襲われた。
直接攻撃を受けると思っていたところ、次元跳躍門ゲートを閉じてロックされるという省エネ攻撃を受けた。
野良宇宙艦の巣に置き去りにされた僕の専用艦ダミーは、野良宇宙艦に袋叩きにあい撃沈された。
亜空間に残されたダミー艦艦隊もステルス艦の奇襲を受け全滅した。
僕はその一部始終を仮想空間で疑似体験していた。

「相変わらず小狡い。正々堂々と戦おうという気概はないのかね」

 僕はそのセコさに苦笑した。
こちらは侵食弾を撃ち込むことが出来ただけでも作戦成功だ。
どうせ侵食弾を撃ってからは日数を空けるつもりだった。
人的被害がゼロだというのも上出来だ。

 さて、僕を葬ったと勘違いした主犯プリンスが、ほいほいと出て来てくれるだろうか?
奴のことだ、僕を排除さえすれば安心して前に出てくるに違いない。
目立ちたがりのええかっこしい。そんな奴がこの晴れ舞台を逃すはずがないだろう。

 僕は全軍に通信を送る。

『迎撃準備。プリンスを迎え撃つぞ!』

 ここに第6皇子軍と第13皇子軍最大の決戦が幕を開ける。
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