父親が呪われているので家出してガチャ屋をすることにしました

北京犬(英)

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ガチャ屋開業編

061 カナタ、面倒事に巻き込まれる

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お知らせ
 59、60話において、グリーンバレーという地名をグリーンヒルと間違えて記述していました。
グラスヒルとグリーンバレー、名前を付けた後で似ているので気を付けないとと思っていたのにこれです。
ちょっと体調が悪かったこともあって、頭が思った以上に働いていなかったようです。
グリーンバレーが正解です。訂正しました。

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 グリーンバレーの南門に到着したカナタ一行は、また一般門に並んでいた。
貴族の子息に護衛とメイドの一行ならば、貴族門が利用できるのだが……。

「ねえ、ご主人さま。
ご主人さまは伯爵家の御子息ですよね?」

 ヨーコが不思議そうな顔でカナタに訊ねる。
今は奴隷だが、ヨーコは一国の姫だった経歴を持っている。
なので、ヨーコはカナタが街への出入りに貴族門を使用しないことが不思議だったのだ。

「そうだよ? なんで?」

 そのカナタの返答にヨーコは呆れ顔で説明した。

「ご主人さま、貴族の子弟ならば、並ぶのはあっちです」

 ヨーコが指さした先こそ、誰も並んでいない貴族門だった。
カナタは寝たきり生活が長かったため、世間知らずな面が多々あるので、ヨーコも遠慮なく指摘することにしたのだ。

「え? そうなんだ」

 ついにカナタが貴族門の存在を知った瞬間だった。
このまま一般門に並んでいたなら、ヨーコの入街税とシフォンの騎獣税で銀貨2枚を払わなければならないところだった。
カナタはヨーコに促されるまま、貴族門へと向かった。
誰も並んでいなかったので、直ぐに門番から丁寧な誰何を受けた。

「ようこそ。グリーンバレーへ。
貴族の御子息様とお付きの方でしょうか?
身分証明書をお見せください」

 カナタは促されるまま、身に着けていた貴族証明書を提示した。
ファーランド伯爵家の紋章が印字された魔法証明付きの証明書は、門番の持つ認証の魔導具により紋章が光り、本物であると確認された。

「ファーランド伯爵家のカナタ様とその御一行ですね。
どうぞお通りください」

 一瞬門番の顔が真剣になったのをカナタ一行の誰も気付かなかった。

「ご苦労」

 ヨーコに貴族らしく偉そうにしろと口添えされていたカナタは、ガラにもない台詞を吐いて門をくぐった。
護衛のニク、メイドの(服を着ている)ヨーコ、騎獣のシフォンも何も疑われることなく街へ入ることが出来た。ように見えた。
だが、これがトラブルの元になるとは、この時は誰も思っていなかった。


◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


 街の中央通りを進んで行くと、一際大きな建物が二棟見えて来た。
片方が商業ギルドで、もう片方が冒険者ギルドだ。
嘗て知ったる建物なので、カナタはそのまま冒険者ギルドに向かった。

 スイングドアを潜ると、正面の受付に座っている受付嬢が、以前カナタの冒険者登録をした女性だったので、カナタはそこに並んだ。
今回は冒険者ギルドを通じて、正式にハズレオーブを仕入れようと思ったのだ。
このグリーンバレーにカナタは拠点を持っていない、そのため大量にハズレオーブを得ようと思ったら、冒険者ギルド周辺で売り買いするとか、露天商をするとか、なんらかの許可を必要とする行動をするしかなかった。
なので、冒険者に依頼を出してハズレオーブを手に入れた方が簡単だとカナタは思ったのだ。

 暫くして、漸くカナタの番がやって来た。

「ようこそ冒険者ギルドへ。
今日はどのような御用件ですか?」

 カナタの事を覚えていた受付嬢は引きつった笑顔を見せながら、カウンターの下のボタンを押していた。
そして時間稼ぎになるようにとしながら話を続けた。

「今日はハズレオーブ、ああ、買取で100DGにしかならないノーマルアイテムオーブのことね。
それを冒険者の方達から買い取る依頼をしようと思って。
1個300DGで買い取るのを冒険者ギルドで代行してもらえないかな?」

 カナタの依頼は薬師が薬草の採取を依頼するのと同じ感覚の常時依頼というものだった。
受付嬢は、このような依頼もあるのだと思いつつ、時間が経つのを待っていた。

「冒険者ギルドに依頼を出しますと、手数料が1割上乗せになります。
つまり、オーブ1つ納入で冒険者の手に300DGが渡り、その他に1割の30DGを冒険者ギルドの手数料としてお支払いいただきます。
カナタさんは合計330DGを支払い、オーブを1つ手に入れるということですね」

 受付嬢さんがチラチラとカナタの後ろを見ながら答える。
カナタがなんだろうと後ろを向こうとした時、冒険者ギルド内に大声が響いた。

「偽貴族の容疑で逮捕する!」

 カナタたちの周りを衛兵がとり囲んでいた。
その様子にニクが持っていた槍を構えようとする。

「ニク、待て!」

 カナタは慌ててニクに待機を命じた。
このままではニクが全員を殺してしまうところだからだ。

「抵抗するなら実力行使するぞ!」

 衛兵たちが武器を構える。
カナタは慌てて問いかける。

「え? 偽貴族って僕ですか?」

 衛兵隊長がコクリと頷く。カナタが振り返ると受付嬢も頷いている。

 実はグリーンバレーのギルドからカナタに関して王都に問い合わせが行っていたのだが、その回答が中途半端に伝わっていたのだ。
グリーンバレーのギルド→王都ギルド→ファーランド伯爵領→王都ギルド→グリーンバレーのギルドと話が伝わったのだが、その時点でのファーランド伯爵領の回答はカナタは死んだ・・・・・・・だった。
王都では、王都ギルドからアラタに話が伝わって、カナタに間違いないという話になり、死亡届の取り消し手続きに入っていたのだが、グリーンバレーのギルドにはファーランド伯爵領の回答がそのまま伝わってしまっていた。

 これは冒険者ギルドで使用される魔導便が、経費節約のために一括で届けられることに起因したいた。
直近の魔導便が使えるタイミングではカナタ死亡が最新情報で、その後カナタの死亡届が取り消されたという情報は、次の魔導便まで待たされてしまっていたのだ。
そのため、カナタとしてグリーンバレーに現れた7歳児は偽者であるという誤情報で皆が動いていたのだ。
11歳児という証明書にも関わらず、その人物が7歳児にしか見えないというのも疑われる原因だった。

「ああ、お前のことだ。
ここ数日、我々はお前が現れるのを待っていたのだ!」

「ええっ!」

 衛兵は本気だった。しかもグリューン子爵は勘違いの激しい人物だった。
カナタはこの危機をどう回避するか頭を抱えるのだった。
特にニクが暴れたら、ただ任務を全うしているだけの善意の衛兵さんに被害が出る。
どう身の潔白を証明すればいいのか、カナタは悩むのだった。
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