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南部辺境遠征編
080 カナタ、襲われる
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カナタたちは計画当初【転移】でグラスヒルの拠点に毎日戻る予定だった。
しかし、またもや盗賊討伐という厄介事に巻き込まれたため、しばらくカナタたちはオレンジタウンに留まらなければならなくなった。
誰がいつ訪ねて来るかわからないので、誰かしらが宿屋にいる必要があった。
尤も、カナタたちは、明日朝からスイーツ店でスイーツを買いまくる予定のため、オレンジタウンに留まる事自体は苦にしていなかった。
カナタたちは、宿を一部屋4人でとっていた。
ルルの分も宿代は払っているが、既にルルはグラスヒルの屋敷に帰っている。
なのでカナタと護衛のニクとサキという組み合わせでの宿泊となっている。
宿とオレンジタウンを出るときに1人消えていることが問題になるとは、まだカナタは気付いていない。
「今日はもう何も無さそうだね。
同じ部屋で悪いけどベッドは4つあるから、各自好きなベッドで寝ちゃってね」
とはいっても、ニクは寝る必要がなく、このまま椅子に座ってカナタの護衛を一晩中することはカナタも納得ずくだった。
サキはスイーツでお腹いっぱいにして既にダウンしている。
カナタも今日は長く歩いたため、直ぐに寝ることにした。
ガチャン!
皆が寝静まった深夜、何かが割れる音がしたと思ったら、ニクが窓から飛び出していた。
宿屋の窓にはガラスなんか嵌っていないので、割れたのは別のもの、おそらく窓辺に置かれた植木鉢かなんかの陶器だろう。
カナタも騒ぎに目を覚ます。
「サキ、何があ……」
カナタがサキに状況説明を求めようとしたところ、サキは爆睡したままだった。
これは護衛としてどうなのだろうか?
「困ったな。このままだと、相手が危険だ」
カナタが心配しているのは、ニクがやりすぎないかということだった。
ちょっとサキに見てきてもらおうと思ったのだが、サキはカナタが揺すっても目を覚まさない。
「もしやこれは、異常事態なのでは?」
サキがスイーツのためなら、とことんだらしなくなれるのは置いておいて、さすがにこの状況で起きないというのは変だ。
「もしかして、何か盛られたか?」
思い当たるのは、夕食時にザイードから差し入れられたスイーツ。
気が付いたら全部サキが食べていた。
そこに睡眠薬でも盛られていたら、さすがのサキも起きられなくても不思議ではない。
「あの野郎、魔法契約ではどうにもならないと察して、強硬手段に出たな」
サイードの計画は、差し入れたスイーツでカナタたちにはぐっすり寝てもらい、そのまま宿屋を犯罪組織に襲わせてカナタたちを処分する、そんなところだろう。
実行犯は犯罪組織であって、被害者となるカナタたちはザイードに薬を盛られたなど死んだ後では証言出来ない。
せっかく販売益の半分を払おうと思っていたのに、払い先が居なくなったなら仕方ないよねって感じか。
この計画が破綻した原因は、サキの食いしん坊と、ニクが寝ずに護衛していたため、襲撃前に犯罪組織の存在に気付いたというところか。
ああ、めんどくさい。そろそろ止めに行かないと犯罪組織が全滅する。
カナタはやれやれと重い腰を上げた。
宿屋の外に出ると、宿屋に突入しようとしている武装集団とニクが対峙していた。
ニクの足元には腕と脚を折られた犯罪組織の構成員が転がっていた。
どうやら、ニクはしっかり手加減をしていたらしい。
おそらくカナタからの殲滅許可が出ていないため、過去のカナタの言動を踏まえて自重したのだろう。
「おい、こいつらは寝ていて簡単なお仕事だったんじゃねーのかよ!」
犯罪組織のリーダーと思しき汚い戦士が文句をつけている。
その視線の先にはやはりザイードがいた。
犯罪組織に任せて隠れていればいいものを、カナタたちがしっかり始末されたのかを確認したくてノコノコと現場くんだりまで来たのだろう。
これで、襲撃の主犯はザイードで確定だ。
「ニク、そこのリーダーは捕縛ね。
そいつにザイードに雇われたと証言してもらわないとならない。
後は行動不能にしていいよ」
カナタの命令を受け、ニクが風のように走る。
すると、残っていた犯罪組織の構成員が全員一瞬で倒れる。
今日のニクは体術で敵を行動不能にするつもりのようだ。
ニクはあっさり犯罪組織のリーダーも捕縛する。
カナタはニクに手加減を教え続けたかいがあったと思うのだった。
「くそ、こうなったらこいつを!」
その時、ザイードがカナタに向けて走り出し剣を振るった。
ニクはリーダーの腕をとって押さえつけているので動けなかった。
カナタに向かうザイードの刃、カナタが斬られたかに見えた瞬間、甲高い金属音が鳴った。
ニクの右腕が光を放っていたが、カナタの方が早かったため自重したようだ。
「やれやれ、僕はこれでもDランク冒険者だって言ったよね?」
カナタの手にはショートソードが握られていた。
その力は大人のザイードでも押し返せないほどだった。
カナタのステータスは、呪いの影響を受けていても一般人の30倍程度の能力がある。
「バカな! 丸腰だったはずだ!」
ザイードの言う通り、カナタは丸腰で宿屋の外に出て来ていたはずだった。
だが、カナタには【ロッカー】のスキルがある。
いつでも【ロッカー】から武器を取り出せるのはザイードにとっては想定外だった。
ザイードはカナタが【ロッカー】に盗賊の死体を収納するところを見ていたはずなのに、いかに都合よく荷物を取り戻すかに思考を巡らせていたため気付かなかったのだ。
「ザイードさん、欲をかき過ぎです。
もはや商人ではなく犯罪者ですよ?」
これにより魔法契約が破られたと見なされ、ザイードは全ての荷の権利を失った。
ザイードは力なく剣を取り落としたが、もはや手遅れだった。
そして、カナタたちに対する殺害未遂で犯罪組織共々衛兵に突き出されるのだった。
この後、ザイードは元々犯罪組織の一員だったのではないかと疑われることとなった。
リーダーも嘘か誠か昔からの知り合いだと供述したため、ザイードの刑は重くなり犯罪奴隷落ちで鉱山送りとなった。
ザイードの親が助けようと介入しようとしたらしいが、英雄の息子を殺そうとしたと知りあっさりと手を引いた。
尤も、その親からしたら20人いるうちの5番目の息子だったので、代わりはいくらでもいる消耗品と同じだった。
ザイードはその立場故に、親に失敗を知らせたくなかったがための凶行だったのかもしれなかった。
しかし、またもや盗賊討伐という厄介事に巻き込まれたため、しばらくカナタたちはオレンジタウンに留まらなければならなくなった。
誰がいつ訪ねて来るかわからないので、誰かしらが宿屋にいる必要があった。
尤も、カナタたちは、明日朝からスイーツ店でスイーツを買いまくる予定のため、オレンジタウンに留まる事自体は苦にしていなかった。
カナタたちは、宿を一部屋4人でとっていた。
ルルの分も宿代は払っているが、既にルルはグラスヒルの屋敷に帰っている。
なのでカナタと護衛のニクとサキという組み合わせでの宿泊となっている。
宿とオレンジタウンを出るときに1人消えていることが問題になるとは、まだカナタは気付いていない。
「今日はもう何も無さそうだね。
同じ部屋で悪いけどベッドは4つあるから、各自好きなベッドで寝ちゃってね」
とはいっても、ニクは寝る必要がなく、このまま椅子に座ってカナタの護衛を一晩中することはカナタも納得ずくだった。
サキはスイーツでお腹いっぱいにして既にダウンしている。
カナタも今日は長く歩いたため、直ぐに寝ることにした。
ガチャン!
皆が寝静まった深夜、何かが割れる音がしたと思ったら、ニクが窓から飛び出していた。
宿屋の窓にはガラスなんか嵌っていないので、割れたのは別のもの、おそらく窓辺に置かれた植木鉢かなんかの陶器だろう。
カナタも騒ぎに目を覚ます。
「サキ、何があ……」
カナタがサキに状況説明を求めようとしたところ、サキは爆睡したままだった。
これは護衛としてどうなのだろうか?
「困ったな。このままだと、相手が危険だ」
カナタが心配しているのは、ニクがやりすぎないかということだった。
ちょっとサキに見てきてもらおうと思ったのだが、サキはカナタが揺すっても目を覚まさない。
「もしやこれは、異常事態なのでは?」
サキがスイーツのためなら、とことんだらしなくなれるのは置いておいて、さすがにこの状況で起きないというのは変だ。
「もしかして、何か盛られたか?」
思い当たるのは、夕食時にザイードから差し入れられたスイーツ。
気が付いたら全部サキが食べていた。
そこに睡眠薬でも盛られていたら、さすがのサキも起きられなくても不思議ではない。
「あの野郎、魔法契約ではどうにもならないと察して、強硬手段に出たな」
サイードの計画は、差し入れたスイーツでカナタたちにはぐっすり寝てもらい、そのまま宿屋を犯罪組織に襲わせてカナタたちを処分する、そんなところだろう。
実行犯は犯罪組織であって、被害者となるカナタたちはザイードに薬を盛られたなど死んだ後では証言出来ない。
せっかく販売益の半分を払おうと思っていたのに、払い先が居なくなったなら仕方ないよねって感じか。
この計画が破綻した原因は、サキの食いしん坊と、ニクが寝ずに護衛していたため、襲撃前に犯罪組織の存在に気付いたというところか。
ああ、めんどくさい。そろそろ止めに行かないと犯罪組織が全滅する。
カナタはやれやれと重い腰を上げた。
宿屋の外に出ると、宿屋に突入しようとしている武装集団とニクが対峙していた。
ニクの足元には腕と脚を折られた犯罪組織の構成員が転がっていた。
どうやら、ニクはしっかり手加減をしていたらしい。
おそらくカナタからの殲滅許可が出ていないため、過去のカナタの言動を踏まえて自重したのだろう。
「おい、こいつらは寝ていて簡単なお仕事だったんじゃねーのかよ!」
犯罪組織のリーダーと思しき汚い戦士が文句をつけている。
その視線の先にはやはりザイードがいた。
犯罪組織に任せて隠れていればいいものを、カナタたちがしっかり始末されたのかを確認したくてノコノコと現場くんだりまで来たのだろう。
これで、襲撃の主犯はザイードで確定だ。
「ニク、そこのリーダーは捕縛ね。
そいつにザイードに雇われたと証言してもらわないとならない。
後は行動不能にしていいよ」
カナタの命令を受け、ニクが風のように走る。
すると、残っていた犯罪組織の構成員が全員一瞬で倒れる。
今日のニクは体術で敵を行動不能にするつもりのようだ。
ニクはあっさり犯罪組織のリーダーも捕縛する。
カナタはニクに手加減を教え続けたかいがあったと思うのだった。
「くそ、こうなったらこいつを!」
その時、ザイードがカナタに向けて走り出し剣を振るった。
ニクはリーダーの腕をとって押さえつけているので動けなかった。
カナタに向かうザイードの刃、カナタが斬られたかに見えた瞬間、甲高い金属音が鳴った。
ニクの右腕が光を放っていたが、カナタの方が早かったため自重したようだ。
「やれやれ、僕はこれでもDランク冒険者だって言ったよね?」
カナタの手にはショートソードが握られていた。
その力は大人のザイードでも押し返せないほどだった。
カナタのステータスは、呪いの影響を受けていても一般人の30倍程度の能力がある。
「バカな! 丸腰だったはずだ!」
ザイードの言う通り、カナタは丸腰で宿屋の外に出て来ていたはずだった。
だが、カナタには【ロッカー】のスキルがある。
いつでも【ロッカー】から武器を取り出せるのはザイードにとっては想定外だった。
ザイードはカナタが【ロッカー】に盗賊の死体を収納するところを見ていたはずなのに、いかに都合よく荷物を取り戻すかに思考を巡らせていたため気付かなかったのだ。
「ザイードさん、欲をかき過ぎです。
もはや商人ではなく犯罪者ですよ?」
これにより魔法契約が破られたと見なされ、ザイードは全ての荷の権利を失った。
ザイードは力なく剣を取り落としたが、もはや手遅れだった。
そして、カナタたちに対する殺害未遂で犯罪組織共々衛兵に突き出されるのだった。
この後、ザイードは元々犯罪組織の一員だったのではないかと疑われることとなった。
リーダーも嘘か誠か昔からの知り合いだと供述したため、ザイードの刑は重くなり犯罪奴隷落ちで鉱山送りとなった。
ザイードの親が助けようと介入しようとしたらしいが、英雄の息子を殺そうとしたと知りあっさりと手を引いた。
尤も、その親からしたら20人いるうちの5番目の息子だったので、代わりはいくらでもいる消耗品と同じだった。
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