父親が呪われているので家出してガチャ屋をすることにしました

北京犬(英)

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南部辺境遠征編

100 カナタ、現場監督になる

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カナタ、ガーディア到着後2日目昼。

 幸いガウェイン将軍は鬼ではなかった。
第3軍の兵士を土木作業員として投入してくれたのだ。
土魔法を使える兵士も何人かいたため、カナタは陣地の設計をして、その図を地面に杭とロープで描く作業を指揮することになった。

「おまえら、カナタ様はあの英雄ファーランド伯爵の御子息だ!
カナタ様の命令は辺境伯様の命令だと思って指示に従え」

「「「「おお、了解しました!」」」」

 作業の担当士官としてガウェイン将軍からカナタに宛がわれたアンディ大尉だ。
彼がディーンから聞かされていたカナタの情報を暴露してしまった。
あまりそういった個人情報を広めて欲しくはなかったのだが、そのおかげもあってか、兵士たちは子供であるカナタの指示にも従ってくれた。
カナタの傍らにはセレーンが寄り添っており、カナタに初日のような無理な作業を一斉させることはなかった。
カナタにとっては、莫大な魔力をちょっと使う程度のことだったのだが、魔力が枯渇しているという言い訳を使い、セレーンの配慮をありがたく利用させてもらった。
これで少しは悪目立ちを解消できるとカナタは思っていたのだが、魔力以上にその知識の有能性で目立ってしまっていた。
多田野信の知識なのだが……。

「カナタ様、この左翼との間はどうすればよろしいのでしょうか?」

 アンディ大尉が言う左翼との間とは空堀の事だった。
中央の地面が手つかずのため、そもまままだと中央の地面から直で魔物が塀の上に登ることが出来ていしまったいた。
そうならないようにと左翼と中央の間に空堀が掘られていたのだ。
これは左翼単独で陣地を造ったために必要としたものであって、中央にも陣地を構築したため要らなくなってしまったのだ。

「そこは行き止まりから中央の陣地入り口まで戻るように道を造ってしまおうか」

 行き止まりの先まで誘導された魔物が、中央との境界に造られたもう一つの空堀を通ってUターンし、そのまま来た方向に戻ってしまえば時間稼ぎになるという思惑だった。
いや、そちらからも魔物が来るので鉢合わせになり混乱を誘発できるかもしれなかった。
それを塀の上から弓手や魔術師が仕留めれば良いだろう。

「左翼が中央と繋がったら、この間に作った壁はいらないから、壊してしまおうか」

 その空堀の先には城塞まで壁が構築されており、魔物に回り込まれないように配慮されていた。
これも中央に陣地を造ったために無用になったものだ。

「あ、カナタ様のお手を煩わす必要はございません。
カナタ様は魔力の回復に専念なさってください」

 アンディ大尉はカナタが魔法で壁を壊そうとするのを止め、兵士に指示を出した。
ちょちょいと出来る簡単なお仕事だったのだが……。

「おい、おまえたち、ここの壁は必要なくなった壊しておいてくれ」

「了解しました、大尉」


 陣地の構築の作業量は中央で左翼の2倍、右翼で左翼と同等の量があった。
カナタが実作業に関わらないこともあるが、数百人で作業してもさすがに1日では終わるものではなかった。

 夕方、今日の土木作業を中断したところで第1軍、第2軍と冒険者たちが到着した。
彼らは、馬車による強行軍で疲れていたため、その日はゆっくり休んでもらうことになった。


カナタ、ガーディア到着後3日目朝。

 今日からは、第1軍、第2軍と冒険者たちからも人員を提供してもらい、土木作業が急激に捗った。
そのおかげで2日後には中央と右翼の陣地も完成した。


カナタ、ガーディア到着後6日目朝。

 ぽつぽつと足の速い魔物が到着していた。
それが面白いように陣地に迷い込み、枡形で簡単に討伐出来ていた。
良い予行練習になり、この陣地の有用性が増々証明されることとなった。

「うむ。見事に嵌るものであるな。
どうだ、凄いものだろう」

 城塞の上から陣地を見渡し、ガウェイン将軍が自分の手柄の如く第1軍、第2軍の将軍に自慢する。
第1軍のラーゲン将軍と第2軍のレッテン将軍も、その効果に頷くしかなかった。
これは使える。それが両将軍の認識だった。
後に王国の防衛拠点では、この形の陣地の構築が流行ったそうだが、それは別の話。


カナタ、ガーディア到着後7日目朝。

 疎らだった魔物がいよいよ纏まってやって来るようになった。
半鐘が打ち鳴らされ、魔物本隊の到着が混成軍全軍に知らされる。

「魔物の前衛がいよいよ到着したようですな」

「よし、全軍戦闘準備! ここからが本番だぞ!」

 ついに魔物氾濫の本隊がガーディアまで到達した。
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