父親が呪われているので家出してガチャ屋をすることにしました

北京犬(英)

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ウルティア国戦役編

156 カナタ、周回ボスアタックに向かう3

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 鉱山ダンジョンに転移して来たカナタは、物陰から出ると鉱山ダンジョンの入り口へと向かおうとした。
そこで管理人のハンスの存在を目にして、ある肝心なことを忘れていたことに気付いた。

 鉱山ダンジョンは王国から委託された冒険者ギルドにより管理運営されており、中に入る事が出来るのは冒険者ランクがD以上と決まっていた。
1人でもDランク冒険者がいれば同行者のランクは問わないというルールだったが、部外者の一般人、つまり冒険者資格を持たない者は入れない決まりだった。
ここでカナタパーティーの内訳だが、ミュー、シータ、イプシロンの3人は冒険者登録をしていなかった。
つまり、3人は同行者として認められず、鉱山ダンジョンに出入り出来なかったのだ。

「しまった。先に3人の冒険者登録をしておけばよかった」

 そう思っても後の祭りだった。
入り口では管理人のハンスが目を光らせており、正面からの突破は不可能だった。
いや、ミュー、シータ、イプシロンの3人を【ロッカー】に仕舞えば突破出来ないことは無いのだが、彼女たちが【ロッカー】に仕舞える、つまり物扱いであるということをミーリカにバラすわけにはいかなかった。

「うーん、ここから転移で冒険者ギルドに行くのは簡単だけど、それじゃ折角来た甲斐がない」

 カナタはどうしようかと思案し、あるアイデアが閃いた。

「鉱山ダンジョンの中なら僕も行ったことがあるから、もしかして中に直接転移できる?」

 カナタは物陰に隠れると、半信半疑で【転移】を使ってみた。
もちろん行先は行った事のある鉱山ダンジョンの中だ。
カナタの転移は、目の前に転移門のドアが発生するタイプなので、ドアを開ければ向こう側に目的地が見える。
カナタはおそるおそる転移門のドアを開いてみた。

「あ、どう見ても鉱山ダンジョンの中だ。
あそこは以前に採掘をした場所だな」

 カナタの目の前には鉱山ダンジョンの内部が広がっていた。
以前に魔宝石(小)を掘り出した坑道が見えており、間違いなく鉱山ダンジョンの内部だと確認が出来た。
カナタの【転移】がダンジョン内でも自由自在だと発覚した瞬間だった。

「よし、これで冒険者登録の無い3人も鉱山ダンジョンに入れる」

 今日だけだと言い訳をしながらも、これならミネルバからも【転移】で来れるなとカナタは内心思っていた。
3人の冒険者登録を後でしっかり行ったのは当然のことだが。


 最初はミーリカの先導で鉱山ダンジョンを進んでいたのだが、次第にシータが先頭に立ち、最短ルートを案内するようになった。
シータの案内は完璧で、カナタは何の障害もなく20階層へと辿り着いた。
いや、魔物とエンカウントするのは当然のことだったのだが、ミュー、シータ、イプシロンの3人があっさり魔物を倒してしまっていた。
シータが一早く魔物をみつけ、ミューが始末する。
魔物の大群と遭遇してもイプシロンが強化外装を使って範囲攻撃で全滅させる。
カナタもニクもミーリカも手を出す暇なく魔物は何の障害にもなり得なかったのだ。

「3人がいると何もする暇がないな」

「もっと褒めてくれてもいいのよ?」

 カナタが半分呆れて言うと、ミューが調子に乗った。

「この先を左に曲がればボス部屋です」

「私の存在意義って……」

 シータがミーリカの案内も聞かずにボス部屋への道を先導する。
せっかく案内役で来て、カナタに自分の成長を見せようと思っていたミーリカは、何も仕事をさせてもらえずに落ち込んでいた。

「よし、やっとボス部屋だ。
皆はゴーレムマスターが召喚するゴーレムを相手してくれ。
僕がゴーレムマスターを倒してゴーレムオーブをドロップさせる」

 カナタたちは重厚なボス部屋のドアを開けると、ボス部屋の中に突入した。
中には既にゴーレムが群れており、4人の愛砢人形ラブラドールが戦闘態勢に入った。
イプシロンがゴーレムを殴り倒す。
シータがゴーレムの配置データをニクに送り、荷電粒子砲を効率よく発射させていた。
ミューは動きまわり、ゴーレムを翻弄して右腕の次元ブレードでゴーレムを切り刻んでいく。
あっと言う間にボス部屋のゴーレムが瘴気となって消え、ガチャオーブとDGをドロップした。
ミーリカは戦いに参加することが出来ず、ガチャオーブとDG拾いに専念していた。

 そして、カナタは護衛のゴーレムがあっと言う間に倒され、丸裸にされたゴーレムマスターに肉薄すると【ファイアボール】の魔法を撃ち込みミスリルのショートソードで止めを刺した。
ゴーレムマスターはゴーレムのようなゴツイ外観ではなく、ローブを纏った召喚術師といった感じだった。
それでもその硬さはアイアンゴーレムに引けを取らなかった。

「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 断末魔の叫びと共に、ゴーレムマスターが瘴気へと変わった。
その姿が消えた後には、狙い通り山吹色のゴーレムオーブがドロップしていた。
カナタの幸運値276のなせる業だろう。

「よし、リポップを待ってもう一度だ」

 この後カナタたちはボス部屋を5周するのだった。
途中休憩で料理を振舞ったミーリカの顔には自分だけの仕事をみつけて笑顔が戻っていた。
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