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ウルティア国戦役編
157 カナタ、ゲットする
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ゴーレムマスターが出るという鉱山ダンジョン20階層のボス部屋を6周したカナタたちは、山吹色のオーブを3個手に入れていた。
さすがのカナタの幸運値276であっても、ゴーレムマスターから出る山吹色のオーブの出る確率は3割を切っていた。
6周で3個なら5割丁度だと思われるかもしれないが、ゴーレムマスターが1度にドロップするオーブの数が1~3個だったため、手に入れたオーブの数は11個あったのだ。
これはカナタの幸運値276の影響が、山吹色のオーブの出る幸運とドロップするオーブの数の幸運とに分かれたせいだと思われる。
まあ、周回数で確率をとれば5割といえるので、効率でいったらとんでもない数値だった。
カナタはミネルバの拠点まで【転移】で戻った。
ミーリカとは、ミネルバの拠点で別れ、彼女は【常設転移門】でグリーンバレーの拠点へと戻った。
さすがに一人で鉱山ダンジョンから歩いて帰すわけにはいかないので、そのようなかたちとなったのだ。
その際、落ち込み気味だったミーリカにカナタは「料理が美味しかった」と慰めの声をかけた。
それに気を良くしたミーリカが【常設転移門】でミネルバまで料理を作りに来るようになるのは他の話。
そして、カナタは手に入れた山吹色のゴーレムオーブを、拠点の一室で開けることにした。
珍しくニクが興味津々なのは、ニクが使える**人形シリーズのオプションが手に入る可能性があるからだろう。
また、μも、新たな愛砢人形が出ることを、期待の目で見つめていた。
「よし、開けるよ?」
山吹色=黄金のエフェクトを発しながらゴーレムオーブが開いた。
Nアイテム 肉ゴーレム
ゴーレムの中では最下層に位置するゴーレム
戦闘力も労働力も低く囮にしかならないと言われている
Rアイテム **人形の右肘
使途不明アイテム
Nアイテム 肉ゴーレム
ゴーレムの中では最下層に位置するゴーレム
戦闘力も労働力も低く囮にしかならないと言われている
「出た! 肉ゴーレムが2体に**人形シリーズのアイテムだ」
【愛砢人形の右肘】は、早速ニクが装備した。
これはミューも使っていた次元ブレードという刃物?だった。
右腕の肘から次元のズレを利用した力場が展開し、高速移動のすれ違いの時に対象を斬るといった運用がなされる、殺傷力の高い格闘戦用武器だった。
続けてカナタは【魔力探知】で砢システムの存在を確認した。
2体の肉ゴーレムは砢システムを待つ間違いない愛砢人形だった。
カナタは、そのまま【フルリカバー】を2体にかけた。
眩い光に包まれた肉ゴーレム2体。
その光が薄れると、全裸の美少女2人が立っていた。
「げっ!」
その美少女2人を見てミューが美少女からは出てはいけない声を発した。
ミューがその美少女という立場も忘れて異音を発した理由は、新たな愛砢人形2人の姿にあった。
「所有権登録が完了いたしました。
μは、マスターの指揮下に入ります」
「所有権登録が完了いたしました。
μは、マスターの指揮下に入ります」
新たな2人はタイプμだったのだ。
簡易量産型の宿命か、数が多く製造されていたせいの重複だろう。
所有権はガチャオーブを開けたカナタに設定されている。
「なによ! もう、同型機が既にいるじゃん。
なら私はμ2になるのかしら?」
「なら私はμ3ね?」
ポ〇モンという知らないはずの単語を強く脳裏に思い浮かべることになったカナタだった。
しかも口うるさいμが3人、まさに姦しいという状況だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
γ1とλ3は、砢システムの反応を得られずに、そのままミネルバの街に潜伏していた。
滞在費をそこまで持っているわけでもなかったため、今日の宿代のために冒険者ギルドに街の外で狩った獲物を持ち込んでいた。
「あら?」
買取カウンターのギルド嬢が不思議そうな顔をしてγ1を見ていた。
γ1の外観は姉妹機であるαに酷似していた。
違うのは髪色と髪型、そして目元だろうか。
γ1の髪はαの黒の長髪に対して肩までのブロンドのボブ、その目元はαと比べればややたれ目気味だった。
受付嬢は、γ1を見て、一瞬この領の領主であるミネルバ伯爵の従者がイメチェンしたのかと思ったが、似ているだけの別人と認識し、そのまま業務に勤しんだ。
「申し訳ございません。買取でしょうか?」
しかし、受付嬢はγ1の顔をしげしげと見てしまっていた。
「はい。冒険者登録はしていないのですが、買い取れますか?
それと、私の顔に何か?」
「あ、この領の領主様の従者の方に似ていたので……。
そうなのかと……。申し訳ございません。他人の空似でした」
受付嬢は申し訳なさそうに謝罪した。
「素材の買い取りは一般の方の持ち込みでもお引き受けしています。
どういった素材でしょうか?」
γ1は、受付嬢の台詞から重要な情報を手に入れた。
この領の領主の従者が自分に似ていると。
全ての愛砢人形は、基本である試作型のαを元にして開発されている。
そこにある外観上の差異は少なく、双子あるいは姉妹と見紛う程なのだ。
つまりこの領の領主が愛砢人形のマスターであると判明したのである。
γ1は、受付嬢からの情報漏洩に喜んだが、それを表情には出さずに獲物をカウンターに乗せた。
「そうでしたか。
では、これの買い取りをお願いします」
「承りました。ワイルドボアの買い取りですね。
素材は全て買取でよろしいでしょうか?」
「はい。お願いします」
受付嬢は、γ1が気にした様子でなかったので、ホッと胸を撫で下し、素材の査定を始めた。
その時、失態に焦っていた受付嬢が、ワイルドボアの巨体をγ1が軽々とカウンターに乗せたことに違和感を感じることはなかった。
素材の代金を手にし、冒険者ギルドを後にしたγ1とλ3は、ミネルバの街で一際大きく贅沢な作りの建物である領主屋敷――旧アフオ別邸――へとやって来た。
「ここを張っていればいつかターゲットに出会えるはずよ」
「では、私は狙撃ポイントとなりそうな場所を探しに行きます」
λ3は狙撃型故に、防御力が低く直接攻撃に弱かった。
もしもの時のために身を隠せる狙撃ポイントを吟味する必要があった。
そのための隠密性の高い小さな身体なのだ。
λ3はαに比べて身長が低く140cm程しか無かった。
髪は黒く、頭の両脇で結んだ所謂ツインテールという髪型で、顔はαを幼くした感じだった。
λ3と別れたγ1は、試しに砢システムの反応を探知してみた。
それは何の気なしに行った、いわば本気ではないテストのようなものだった。
なぜならば、いままでγ1が探知できる範囲内に砢システムの反応はなく、その範囲外からターゲットが移動して来るだけの時間も無かったはずだったからだ。
「!」
γ1は驚いた。
そこには5つの砢システムの反応があったからだ。
γ1の驚きの理由は、その移動時間の不思議のこともあったが、何より反応が5つもあったことだった。
これはα、μ、θ、εと強化外装のものだったのだが、γ1には知る由もなかった。
「拙い。敵には愛砢人形が5体もいる。
しかもその中の1体がαだとすると勝ち目なんてない!」
指揮型として冷静な判断を下し混乱するγ1に更なる追い打ちが重なる。
「!」
それは有り得ない、いや有り得るがγ1にとって想定外の出来事だった。
「砢システムの反応が2つ増えた!」
つまり敵は山吹色のゴーレムオーブの秘密を知り、愛砢人形を積極的に増やしているのだ。
「ガーディアでNオーブが消えた理由もこれか!」
魔物の氾濫を終息させたガーディアでは、戦利品として入手したガチャオーブが大量に流通するはずだった。
組織はそのガチャオーブから山吹色のオーブを手に入れて戦力増強をはかる腹積もりだった。
ガーディアを守護するライジン辺境伯の領軍にダメージを与え、ガチャオーブから戦力の増強もはかる一石二鳥の作戦。
それが辺境伯軍にはほとんどダメージを与えられず、ガチャオーブもどこかへと消えていたのだ。
その理由がここに判明した。敵も愛砢人形を集めているのだと。
γ1は敵側の愛砢人形殲滅作戦の失敗を悟った。
敵の戦力は既に愛砢人形7体となっているのだ。
もはやγとλの2体だけでは対処不能にまで戦力差は開いていた。
しかし、組織の人間の迂闊な命令により、彼女たちは撤退の条件を提示されていなかった。
その強制力が不幸を呼ぶことになった。
さすがのカナタの幸運値276であっても、ゴーレムマスターから出る山吹色のオーブの出る確率は3割を切っていた。
6周で3個なら5割丁度だと思われるかもしれないが、ゴーレムマスターが1度にドロップするオーブの数が1~3個だったため、手に入れたオーブの数は11個あったのだ。
これはカナタの幸運値276の影響が、山吹色のオーブの出る幸運とドロップするオーブの数の幸運とに分かれたせいだと思われる。
まあ、周回数で確率をとれば5割といえるので、効率でいったらとんでもない数値だった。
カナタはミネルバの拠点まで【転移】で戻った。
ミーリカとは、ミネルバの拠点で別れ、彼女は【常設転移門】でグリーンバレーの拠点へと戻った。
さすがに一人で鉱山ダンジョンから歩いて帰すわけにはいかないので、そのようなかたちとなったのだ。
その際、落ち込み気味だったミーリカにカナタは「料理が美味しかった」と慰めの声をかけた。
それに気を良くしたミーリカが【常設転移門】でミネルバまで料理を作りに来るようになるのは他の話。
そして、カナタは手に入れた山吹色のゴーレムオーブを、拠点の一室で開けることにした。
珍しくニクが興味津々なのは、ニクが使える**人形シリーズのオプションが手に入る可能性があるからだろう。
また、μも、新たな愛砢人形が出ることを、期待の目で見つめていた。
「よし、開けるよ?」
山吹色=黄金のエフェクトを発しながらゴーレムオーブが開いた。
Nアイテム 肉ゴーレム
ゴーレムの中では最下層に位置するゴーレム
戦闘力も労働力も低く囮にしかならないと言われている
Rアイテム **人形の右肘
使途不明アイテム
Nアイテム 肉ゴーレム
ゴーレムの中では最下層に位置するゴーレム
戦闘力も労働力も低く囮にしかならないと言われている
「出た! 肉ゴーレムが2体に**人形シリーズのアイテムだ」
【愛砢人形の右肘】は、早速ニクが装備した。
これはミューも使っていた次元ブレードという刃物?だった。
右腕の肘から次元のズレを利用した力場が展開し、高速移動のすれ違いの時に対象を斬るといった運用がなされる、殺傷力の高い格闘戦用武器だった。
続けてカナタは【魔力探知】で砢システムの存在を確認した。
2体の肉ゴーレムは砢システムを待つ間違いない愛砢人形だった。
カナタは、そのまま【フルリカバー】を2体にかけた。
眩い光に包まれた肉ゴーレム2体。
その光が薄れると、全裸の美少女2人が立っていた。
「げっ!」
その美少女2人を見てミューが美少女からは出てはいけない声を発した。
ミューがその美少女という立場も忘れて異音を発した理由は、新たな愛砢人形2人の姿にあった。
「所有権登録が完了いたしました。
μは、マスターの指揮下に入ります」
「所有権登録が完了いたしました。
μは、マスターの指揮下に入ります」
新たな2人はタイプμだったのだ。
簡易量産型の宿命か、数が多く製造されていたせいの重複だろう。
所有権はガチャオーブを開けたカナタに設定されている。
「なによ! もう、同型機が既にいるじゃん。
なら私はμ2になるのかしら?」
「なら私はμ3ね?」
ポ〇モンという知らないはずの単語を強く脳裏に思い浮かべることになったカナタだった。
しかも口うるさいμが3人、まさに姦しいという状況だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
γ1とλ3は、砢システムの反応を得られずに、そのままミネルバの街に潜伏していた。
滞在費をそこまで持っているわけでもなかったため、今日の宿代のために冒険者ギルドに街の外で狩った獲物を持ち込んでいた。
「あら?」
買取カウンターのギルド嬢が不思議そうな顔をしてγ1を見ていた。
γ1の外観は姉妹機であるαに酷似していた。
違うのは髪色と髪型、そして目元だろうか。
γ1の髪はαの黒の長髪に対して肩までのブロンドのボブ、その目元はαと比べればややたれ目気味だった。
受付嬢は、γ1を見て、一瞬この領の領主であるミネルバ伯爵の従者がイメチェンしたのかと思ったが、似ているだけの別人と認識し、そのまま業務に勤しんだ。
「申し訳ございません。買取でしょうか?」
しかし、受付嬢はγ1の顔をしげしげと見てしまっていた。
「はい。冒険者登録はしていないのですが、買い取れますか?
それと、私の顔に何か?」
「あ、この領の領主様の従者の方に似ていたので……。
そうなのかと……。申し訳ございません。他人の空似でした」
受付嬢は申し訳なさそうに謝罪した。
「素材の買い取りは一般の方の持ち込みでもお引き受けしています。
どういった素材でしょうか?」
γ1は、受付嬢の台詞から重要な情報を手に入れた。
この領の領主の従者が自分に似ていると。
全ての愛砢人形は、基本である試作型のαを元にして開発されている。
そこにある外観上の差異は少なく、双子あるいは姉妹と見紛う程なのだ。
つまりこの領の領主が愛砢人形のマスターであると判明したのである。
γ1は、受付嬢からの情報漏洩に喜んだが、それを表情には出さずに獲物をカウンターに乗せた。
「そうでしたか。
では、これの買い取りをお願いします」
「承りました。ワイルドボアの買い取りですね。
素材は全て買取でよろしいでしょうか?」
「はい。お願いします」
受付嬢は、γ1が気にした様子でなかったので、ホッと胸を撫で下し、素材の査定を始めた。
その時、失態に焦っていた受付嬢が、ワイルドボアの巨体をγ1が軽々とカウンターに乗せたことに違和感を感じることはなかった。
素材の代金を手にし、冒険者ギルドを後にしたγ1とλ3は、ミネルバの街で一際大きく贅沢な作りの建物である領主屋敷――旧アフオ別邸――へとやって来た。
「ここを張っていればいつかターゲットに出会えるはずよ」
「では、私は狙撃ポイントとなりそうな場所を探しに行きます」
λ3は狙撃型故に、防御力が低く直接攻撃に弱かった。
もしもの時のために身を隠せる狙撃ポイントを吟味する必要があった。
そのための隠密性の高い小さな身体なのだ。
λ3はαに比べて身長が低く140cm程しか無かった。
髪は黒く、頭の両脇で結んだ所謂ツインテールという髪型で、顔はαを幼くした感じだった。
λ3と別れたγ1は、試しに砢システムの反応を探知してみた。
それは何の気なしに行った、いわば本気ではないテストのようなものだった。
なぜならば、いままでγ1が探知できる範囲内に砢システムの反応はなく、その範囲外からターゲットが移動して来るだけの時間も無かったはずだったからだ。
「!」
γ1は驚いた。
そこには5つの砢システムの反応があったからだ。
γ1の驚きの理由は、その移動時間の不思議のこともあったが、何より反応が5つもあったことだった。
これはα、μ、θ、εと強化外装のものだったのだが、γ1には知る由もなかった。
「拙い。敵には愛砢人形が5体もいる。
しかもその中の1体がαだとすると勝ち目なんてない!」
指揮型として冷静な判断を下し混乱するγ1に更なる追い打ちが重なる。
「!」
それは有り得ない、いや有り得るがγ1にとって想定外の出来事だった。
「砢システムの反応が2つ増えた!」
つまり敵は山吹色のゴーレムオーブの秘密を知り、愛砢人形を積極的に増やしているのだ。
「ガーディアでNオーブが消えた理由もこれか!」
魔物の氾濫を終息させたガーディアでは、戦利品として入手したガチャオーブが大量に流通するはずだった。
組織はそのガチャオーブから山吹色のオーブを手に入れて戦力増強をはかる腹積もりだった。
ガーディアを守護するライジン辺境伯の領軍にダメージを与え、ガチャオーブから戦力の増強もはかる一石二鳥の作戦。
それが辺境伯軍にはほとんどダメージを与えられず、ガチャオーブもどこかへと消えていたのだ。
その理由がここに判明した。敵も愛砢人形を集めているのだと。
γ1は敵側の愛砢人形殲滅作戦の失敗を悟った。
敵の戦力は既に愛砢人形7体となっているのだ。
もはやγとλの2体だけでは対処不能にまで戦力差は開いていた。
しかし、組織の人間の迂闊な命令により、彼女たちは撤退の条件を提示されていなかった。
その強制力が不幸を呼ぶことになった。
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