父親が呪われているので家出してガチャ屋をすることにしました

北京犬(英)

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ウルティア国戦役編

161 ガンマ1、襲撃4

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 γガンマ1の接近は、周辺警戒をしていたミューに察知されていた。

「4時の方向、反応あり。移動する」

 γガンマ1から離れるようにミューが移動を指示する。

「待って、狙撃可能地点に誘導されてるかも」

 それを狙撃地点を分析していたミュー2が止める。

「なるべくαニク姉さまに近づくようにマスターを誘導するべき」

 ミュー3もミュー2を支持する。

「わかった。それでいく」

 ミューはミュー2からの分析情報を考慮して移動先を変えた。
その頭を抑えるようにγガンマ1が動く。

「やはり誘導する気ね」

「でしょ?」

「マスター、ここで一当たりします。
次元空間壁の中から出ないようにしてください」

 ミューは襲撃者と一当たりし、正体を知ったうえで対処しようと考えていた。
簡易量産型だとはいえ、最終型のμミューが3体もいれば、例え上位機だろうと負けはしない。
そう思っていた。
ただ、カナタに危害が加わるようなら、身を以て庇うつもりだった。

 ミューの方針により、カナタたちは襲撃者と接触するべく接近して行った。
そこへ襲撃者から荷電粒子砲が撃ち込まれる。

「方角が判ってるんだから、そんなの防げるって!」

 ミューとミュー2が次元空間壁を重ねて荷電粒子砲を防ぐ。
これはもしフルスペックの荷電粒子砲で撃たれても対処出来るようにという配慮だった。
ミューの次元空間壁ではフルスペックの荷電粒子砲は1発しか防げないのだ。
それを受けてしまったら、次はもう次元空間壁を張ることが出来なくなる。
しかし、その威力はミュー型程度の弱いもので、次元空間壁を1枚すら抜けなかった。

「威力が低い。たぶん相手は指揮型のγガンマね」

 ミューは早々に襲撃者の正体を見抜いた。
相手がγガンマならば、μミュー3体で対処可能だった。

γガンマなら、指揮能力と機体性能以外はミューたちと同じかそれ以下だわ」

「楽勝、楽勝♪」

 だが、その油断が徒となった。
感情は、機体のリソースを多く使うので、他の機能に影響が出るのだ。
その時、γガンマ1は、もうミュー3の目の前に来ていた。

「ミュー3!」

「えっ?」

 γガンマ1はオプション装備の高速移動装置で瞬間加速するとミュー3に狙いを定めて次元ブレードを振るった。
その次元断層の刃が次元空間壁を貫き、その切っ先がミュー3の左脇腹に刺さる。
そのまま両断されるかというところでリュゼットの剣がγガンマ1の腕を弾いた。
リュゼットは、瞬時に次元ブレードが危険だと判断、刃を合わせることなく襲撃者の腕を狙っていた。
もし、そのまま刃に当てていれば、リュゼットの剣はミュー3と一緒に切られていたことだろう。
ただし、γガンマ1の速度に対応しきれず、剣を抜く暇がなかったため、鞘のままでの剣戟となった。
剣を抜けていれば、γガンマ1は右腕を失っていたところだった。
そのリュゼットの行動により、ミュー3はギリギリの所で両断されずに済んだが、少なくない損傷を負い倒れ込んだ。
愛砢人形ラブラドールの外装は暖かい血の通った皮膚なのだ。
その強度は人のそれと代わりなかった。

「バカな! ヒューマン如きが私の剣戟を退けるだと?」

 γガンマ1は、慌ててリュゼットから距離を取った。
しかし、それは悪手だった。
μミュー型残り2体、ミューとミュー2の右腕は荷電粒子砲の光を帯びていた。
γガンマ1は、この期に及び、自分の運命を悟って目を閉じた。
元々、自らも助かるつもりのない自爆攻撃、自分がμミューを1体倒せば、λラムダ3が無事に帰還できる。
7対2の戦いで、1体帰還出来るのならば上出来。
γガンマ1は、λラムダ3が生き残れれば満足だった。

「ミュー! 手加減!」

 その様子を見たカナタがミューに手加減を命じた。
慌てたミューは荷電粒子砲の出力を弱め、γガンマ1の武装のみを排除した。
ミュー2も、γガンマ1を拘束するために右脚を撃ち抜いていた。

「どうして!」

 ミュー3を傷つけられたことに感情を爆発させたミューが叫んだ。
カナタの命令でγガンマ1を破壊することが出来なかったミューは怒りの矛先を向ける先が無かったのだ。

愛砢人形ラブラドールは誰かの命令で襲ってきたはずだ。
彼女たちには罪はない。命令した奴が悪いんだ!
この子は、最後に運命を受け入れようとした。
理不尽な命令でも従わざるを得ないから、それから開放されると思ってホッとしたんだと思う」

「たしかにそうね。でも……」

 そのカナタの言葉に、ミューは思い当たることがあるのか怒りを鎮めつつ認めた。
だが、大切な姉妹が傷つき倒れているのだ。

「大丈夫、ミュー3は僕が治す!
【フルリカバー】」

 カナタの回復魔法にミュー3の脇腹から傷が消える。
カナタは呪いの影響から逃れた今、聖魔法の使える勇者(隠蔽中)なのだ。

「「ミュー3!」」

 助かったミュー3にミューとミュー2が抱き着く。

「あれ? 私助かったの?」

 その姉妹の様子を見て拘束されたγガンマ1は辛そうな表情をしていた。

「さて、君は僕らに捕まった。つまり僕のものだ」

 カナタはあるアイデアを持っていたため実行しようと思っていた。
それは愛砢人形ラブラドールのガチャオーブ化だ。
ガチャオーブから出て来たゴーレムの所有権は、ガチャオーブを開いた者に帰属する。
つまり……。

 カナタは、γガンマ1を携帯ガチャ機のサブスキルである【ガチャオーブ化】でガチャオーブ化した。
そこには黄金のガチャオーブが転がっていた。

「「えっ?」」

 愛砢人形ラブラドールやカナタのスキルの事を知らないリュゼットとラキスが驚いているが、カナタは秘密がバレることに躊躇は無く、構いはしなかった。

「よし、開くぞ!」

 黄金の光のエフェクトとともにガチャオーブが開いた。

URアイテム 愛砢人形ラブラドール γガンマ
       指揮型の上位機
       生産性を考慮したためαアルファよりも性能が劣る
       基本性能は量産機を上回る
       指揮能力に特化したため内蔵兵器が貧弱
       オプション装備により他の機体を強制的に従わせることが出来る

「所有権登録が完了いたしました。
γガンマは、マスターの指揮下に入ります」

「上手く行った。僕のものなら怪我も治してあげられる。
【フルリカバー】」

 カナタの回復魔法で、ちぎれた右腕も穴の開いた右脚も治って行った。
その様子に驚くγガンマ1。
組織では傷ついた愛砢人形ラブラドールは組織によりシステムを抜かれて廃棄されるのだ。

「頼みます。λラムダ3も助けてください」

 そう言うとγガンマ1は泣き崩れた。
このような厚遇をしてくれるマスターにγガンマ1は初めて出会ったのだ。

「拙い。もう1体いたんだった。
ミュー3、ニクを呼んじゃったんだよね?」

 その時、カナタたちの上空を愛砢人形の翼飛行ユニットを使用したニクが飛び去って行った。
αニクはその探知能力でλラムダ3を検知、殲滅のため行動していた。

「ミュー、ニクに通信を中継できる?」

「出来るけど?」

「なら、やって」

「どうぞ」

「ニクーー! 手加減!」

 カナタの叫びが木霊した。
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