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ウルティア国戦役編
172 カナタ、スプラッタに憤る
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カナタはその部屋の惨状を見て次の言葉が出なかった。
ガンマ1は同僚の悲惨な姿に泣き崩れており、それ以外の愛砢人形も悲壮な表情で立ち尽くすだけだった。
「砢システムが生きているならどうにかならないものだろうか?」
カナタはバラバラ死体と化したゼータ5を人の形に組むと、胸に砢システムを嵌め込み【フルリカバー】をかけた。
「どうだ?」
切断された身体は繋がり、欠損部分も修復されたが、それはただの肉の塊にすぎなかった。
どうやら砢システムからの特別な制御機構が機能していないようだと、カナタは知らないはずの知識から感じた。
しばらく見守ったが、ゼータ5は動くことはなかった。
愛砢人形として死んでしまったのか、砢システムの中で生きていて全身まひ状態なのかはカナタにはわからなかった。
「ごめん。今の僕にはこれ以上どうしたら良いのかわからない」
カナタは悔しさを顔に滲ませながら【ガチャオーブ化】のスキルでゼータ5をガチャオーブに格納した。
後で何らかのスキルかアイテムを手に入れるまで原状維持をするべきだからだ。
彼女を絶対に治すために時間を止める必要があった。
それは山吹色のゴーレムオーブとなった。
その色は、愛砢人形《ラブラドール》として覚醒していないことを意味していた。
カナタはもう一人にも【フルリカバー】をかけたが、結果は同じだった。
そこへミューが恐る恐る近づいて来た。
身体が繋がったので、スプラッタな状況ではなくなったので、持ち直したのだろう。
その身体を覗き込んだミューが呟く。
「こっちはイータだったみたいね。
修理回復の看護型だから、もしイータが生きていたらゼータ5も治せたかも」
「え? イータがいれば治せるの?」
「たしかにイータならあるいは……」
ミューの説明にシータが同意する。
カナタはそこに希望の光が見えた気がした。
カナタは、まずイータを治そうと心に誓った。
そしてイータも【ガチャオーブ化】のスキルでガチャオーブに格納した。
「でも解せません。
貴重なイータをなぜ破壊したの?」
シータも首を傾げる。
たしかに愛砢人形を治せるのなら、イータの価値は計り知れない。
こんな無惨に切り刻む理由は、イータが使い物にならなくなったということだろうか?
その理由は何かとカナタも頭を悩ませるのだった。
「イータは、組織の命令に耐えられなかったのかもしれないわ」
ひどく落ち込んでいたガンマ1が徐に口を開いた。
「組織は、壊れた愛砢人形を修理せずに破棄すると昔の仲間から聞いたわ。
おそらく、愛砢人形から部品取りして、その部品を組織が何らかの魔導具に流用するためだと思うわ。
部位欠損となった愛砢人形は、皆その運命だったでしょうね。
なので、イータの任務は簡単な修復か、仲間の解体だったと思う……」
「まだ生きている仲間を切り刻んで殺す任務か……。
それは耐えられないだろうな」
つまり、ガンマ1の予測ではイータは自殺し処分されたということなのだろう。
「愛砢人形が自殺か……。
僕に治せるだろうか?
いや、治すことがイータの幸せに繋がるのだろうか?」
カナタはどうすれば良いのかわからなくなってしまった。
「どうやら、この時が来たみたいです」
「え? ニク、どうしたの?」
突然、無口なニクが話しだした。
ニクは必要最低限のことしか口にしないので、それは珍しいことだった。
「マスターの愛は本物だと確信しました。
これよりグランドマスターの技術をマスターに公開いたします。
マスターには、私たちの仕組みを知ってもらいます。
そして、一から愛砢人形を製造出来る技術を習得していただきます。
それが成れば、マスターはイータもゼータ5も治せるはずです」
カナタは混乱し、ニクの言葉を理解するのに時間がかかった。
それほど重要な話を唐突にニクは口にしていたのだ。
「わかった。頑張るよ」
カナタはニクの言う事の重要性を半分も理解していなかったが、カナタが技術を手に入れれば、イータもゼータ5も治せることは理解した。
それならば、やるしかないとカナタは決意した。
その決意の言葉を受けて、ニクは大きく頷くと愛砢人形の仕組みについて語りだそうとした。
「私たち」
「ちょっと待った!
そんな大事なことを、こんな敵のアジトみたいな所で話して大丈夫なの?」
カナタも事の成り行きにうっかりしていたのだが、ここは敵の秘密アジトのようなもので間違いなかった。
そんな場所でペラペラと秘密を喋っても良いものかとカナタは焦っていた。
もしかすると、今話したことも組織に筒抜けかもしれなかったのだ。
「広域ジャミング作動中。
人、魔物、愛砢人形何れも周囲には確認出来ません。
盗撮盗聴装置の反応もありません」
シータがこの場所の安全を保障してくれていた。
索敵型のシータに存在を知られずに今の話を聞いている者は存在出来ないはずだった。
「マスターの危惧は尤もです。
場所を変えましょう」
だが、ニクも万全を期すために場所を変えることに同意した。
カナタは【転移】で全員一緒にミネルバの屋敷へと帰って話を聞くことにした。
愛砢人形はカナタの【転移】の携行人数に含まれないため、全員で帰ることが出来た。
そこはミネルバの屋敷でも機密保持のための盗聴防止の魔道具が完備している領主執務室だった。
「それでは話を始めましょうか」
いよいよニクは愛砢人形の仕組みについて語りだした。
ガンマ1は同僚の悲惨な姿に泣き崩れており、それ以外の愛砢人形も悲壮な表情で立ち尽くすだけだった。
「砢システムが生きているならどうにかならないものだろうか?」
カナタはバラバラ死体と化したゼータ5を人の形に組むと、胸に砢システムを嵌め込み【フルリカバー】をかけた。
「どうだ?」
切断された身体は繋がり、欠損部分も修復されたが、それはただの肉の塊にすぎなかった。
どうやら砢システムからの特別な制御機構が機能していないようだと、カナタは知らないはずの知識から感じた。
しばらく見守ったが、ゼータ5は動くことはなかった。
愛砢人形として死んでしまったのか、砢システムの中で生きていて全身まひ状態なのかはカナタにはわからなかった。
「ごめん。今の僕にはこれ以上どうしたら良いのかわからない」
カナタは悔しさを顔に滲ませながら【ガチャオーブ化】のスキルでゼータ5をガチャオーブに格納した。
後で何らかのスキルかアイテムを手に入れるまで原状維持をするべきだからだ。
彼女を絶対に治すために時間を止める必要があった。
それは山吹色のゴーレムオーブとなった。
その色は、愛砢人形《ラブラドール》として覚醒していないことを意味していた。
カナタはもう一人にも【フルリカバー】をかけたが、結果は同じだった。
そこへミューが恐る恐る近づいて来た。
身体が繋がったので、スプラッタな状況ではなくなったので、持ち直したのだろう。
その身体を覗き込んだミューが呟く。
「こっちはイータだったみたいね。
修理回復の看護型だから、もしイータが生きていたらゼータ5も治せたかも」
「え? イータがいれば治せるの?」
「たしかにイータならあるいは……」
ミューの説明にシータが同意する。
カナタはそこに希望の光が見えた気がした。
カナタは、まずイータを治そうと心に誓った。
そしてイータも【ガチャオーブ化】のスキルでガチャオーブに格納した。
「でも解せません。
貴重なイータをなぜ破壊したの?」
シータも首を傾げる。
たしかに愛砢人形を治せるのなら、イータの価値は計り知れない。
こんな無惨に切り刻む理由は、イータが使い物にならなくなったということだろうか?
その理由は何かとカナタも頭を悩ませるのだった。
「イータは、組織の命令に耐えられなかったのかもしれないわ」
ひどく落ち込んでいたガンマ1が徐に口を開いた。
「組織は、壊れた愛砢人形を修理せずに破棄すると昔の仲間から聞いたわ。
おそらく、愛砢人形から部品取りして、その部品を組織が何らかの魔導具に流用するためだと思うわ。
部位欠損となった愛砢人形は、皆その運命だったでしょうね。
なので、イータの任務は簡単な修復か、仲間の解体だったと思う……」
「まだ生きている仲間を切り刻んで殺す任務か……。
それは耐えられないだろうな」
つまり、ガンマ1の予測ではイータは自殺し処分されたということなのだろう。
「愛砢人形が自殺か……。
僕に治せるだろうか?
いや、治すことがイータの幸せに繋がるのだろうか?」
カナタはどうすれば良いのかわからなくなってしまった。
「どうやら、この時が来たみたいです」
「え? ニク、どうしたの?」
突然、無口なニクが話しだした。
ニクは必要最低限のことしか口にしないので、それは珍しいことだった。
「マスターの愛は本物だと確信しました。
これよりグランドマスターの技術をマスターに公開いたします。
マスターには、私たちの仕組みを知ってもらいます。
そして、一から愛砢人形を製造出来る技術を習得していただきます。
それが成れば、マスターはイータもゼータ5も治せるはずです」
カナタは混乱し、ニクの言葉を理解するのに時間がかかった。
それほど重要な話を唐突にニクは口にしていたのだ。
「わかった。頑張るよ」
カナタはニクの言う事の重要性を半分も理解していなかったが、カナタが技術を手に入れれば、イータもゼータ5も治せることは理解した。
それならば、やるしかないとカナタは決意した。
その決意の言葉を受けて、ニクは大きく頷くと愛砢人形の仕組みについて語りだそうとした。
「私たち」
「ちょっと待った!
そんな大事なことを、こんな敵のアジトみたいな所で話して大丈夫なの?」
カナタも事の成り行きにうっかりしていたのだが、ここは敵の秘密アジトのようなもので間違いなかった。
そんな場所でペラペラと秘密を喋っても良いものかとカナタは焦っていた。
もしかすると、今話したことも組織に筒抜けかもしれなかったのだ。
「広域ジャミング作動中。
人、魔物、愛砢人形何れも周囲には確認出来ません。
盗撮盗聴装置の反応もありません」
シータがこの場所の安全を保障してくれていた。
索敵型のシータに存在を知られずに今の話を聞いている者は存在出来ないはずだった。
「マスターの危惧は尤もです。
場所を変えましょう」
だが、ニクも万全を期すために場所を変えることに同意した。
カナタは【転移】で全員一緒にミネルバの屋敷へと帰って話を聞くことにした。
愛砢人形はカナタの【転移】の携行人数に含まれないため、全員で帰ることが出来た。
そこはミネルバの屋敷でも機密保持のための盗聴防止の魔道具が完備している領主執務室だった。
「それでは話を始めましょうか」
いよいよニクは愛砢人形の仕組みについて語りだした。
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