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ウルティア国戦役編
185 ニク、語る3
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「ゼータ5とイータの肉体を素体として使いますので、素体の製造工程は省略いたします」
ホムンクルスの製造と人体設計図によるの肉体培養は錬金術の範疇であり、機材と時間をかければ、カナタにも実現が可能だった。
肉ゴーレムは、錬金術に加えて召喚術やゴーレムオーブからの転用が可能で、カナタならば【ゴーレム召喚の杖】で素体の準備が可能だった。
だが、今回はゼータ5とイータの肉体を素体として使うため、その製造工程は省略された。
「マスターは、錬金術でオリハルコンを加工できますか?」
カナタはその質問に答えることが出来なかった。
それもそのはずで、オリハルコンを使って何かを作ったことが一度もなく、やってみなければわからなかったのだ。
「ちょっと、やってみる」
カナタは【ロッカー】からオリハルコンのインゴットを出すと、錬金術のサブスキルである【金属加工】を使った。
するとオリハルコンは粘土のように柔らかくなり、カナタの手で自由に加工することが出来た。
「出来たよ?」
ニクはその様子をじっと見ていたが、カナタの問いに首を横に振りながら言う。
「もっと柔らかく、水のように出来ますか?」
ニクに言われてカナタはオリハルコンに更に魔力を加えた。
するとオリハルコンは水銀のようにサラサラと流れる液体金属となった。
「こうかな?」
「充分です」
ニクはオリハルコンの状態を見て頷くと次の工程を説明する。
「続けて必要な技術は錬金術によるゴーレム製造です。
ヒヒイロカネを使い微小ゴーレムを製造していただきます」
そう言うとニクは指先から赤金色の液体を出した。
それは一見、血のように見えたが、明らかに金属光沢があり、血漿の中に何か金属の物体が入っているようだった。
カナタは知らないはずの知識でナノマシンだと気付いた。
それが何を意味するのかは理解していなかったが、そう呼ばれるものであることは頭でわかってしまった。
「この中に小さな小さなゴーレムがいるんだね?」
「はい。このゴーレムにより液体化されたオリハルコンを全身の運び、骨格の表面を強化するのです」
それが愛砢人形の骨格を強化している秘密だった。
「ヒヒイロカネの微小ゴーレムは、他にも【身体強化】をかけて全身の筋肉を強化したり、【知覚強化】で神経伝達速度を上げたりもしています」
「そんなゴーレムをどうやって作るんだ?」
そんな高性能なゴーレムを、しかも大量に作るとは、カナタには想像もつかないことだった。
「全ては竜玉に制御術式を刻み、錬金術の液体金属化を付与し、ゴーレム製造のプラントを稼働させることで実現します」
「その術式はどうするの?」
「記憶キューブにアーカイブが存在します。
現在提供出来るのはイプシロン、デルタ、ゼータ、シータと強化外装の術式だけになります。
マスター、キューブその3とその5を探してください」
ニクに実装されているキューブはその2とその4らしい。
その1は例の愛砢人形開発史なので、ニクも端折って良いと考えているようだ。
「つまりゼータ5は復活可能ということか。
いや、制御術式は既に彼女たちの砢システムに記述済みだ。
そこは端折ることが出来るはずだ」
カナタはそう気付いた。
「となるとゼータ5とイータは、制御術式が砢システムの竜玉に刻まれているということだよね?」
「そこに破損が無いのならば、そのまま流用が可能です」
となると、いったい何が彼女たちの起動を妨げているのだろうか?
「ならば、どうしてゼータ5とイータは起きないんだ?」
「それは、砢システムと素体が紐づいていないからです。
彼女たちは、無理やりその絆を絶たれてしまっているのです」
これは人の肉体と魂の関係と同じだった。
肉体と魂が切り離されたために、肉体という部品は正常でも生き返ることはないのだ。
「では、それをどうやって繋げているんだ?」
魂の受け皿に魂を宿す仕組み、それこそが愛砢人形最大の秘密だった。
「それは神の力である【転生】による肉体と魂の紐付けです。
愛砢人形では素体と砢の紐付けになりますが」
これはカナタが亡くなり、その肉体に多田野信の魂を紐付けようとした、まさに女神が使った力のことだった。
それを人であるカナタにさせるなど、無理だろうとカナタは思った。
「それは神のスキルじゃないの?
僕に出来るはずがない」
カナタは無理だとしか思えなかった。
しかし、一方でニクたち愛砢人形が存在している。
それをグランドマスターがやってのけたから、ニクたちがいるということだ。
「いえ、マスターだからこそ出来るのです。
私たちが何処から出て来たかお忘れですか?
私たちはガチャオーブから出てきて、マスターに砢システムのスイッチを入れてもらったから、ここに居るのです」
カナタはなぜ愛砢人形がガチャオーブから出て来るのか不思議に思っていたことを思い出した。
肉ゴーレムのまま倒れ、その後またガチャオーブから生まれる。
そこには創造神による輪廻転生が存在しているのではないかとカナタは思っていた。
そう輪廻【転生】なのだ。
「つまり、僕がガチャオーブに返したことで、【転生】が成り立っていると?」
カナタは恐る恐る【ロッカー】からゼータ5とイータの山吹色のゴーレムオーブを出した。
「残念ながら、ゼータ5とイータはまだ起動できません。
おそらく、砢システムからオリハルコンとヒヒイロカネの微細ゴーレムが流れ出してしまっています」
「つまり、液体のオリハルコンとヒヒイロカネの微細ゴーレムを補充すればいんだね?」
「はい」
カナタは山吹色のゴーレムオーブを開けると2人を作業台に並べた。
そして胸を開けると砢システムを露出させた。
「液体オリハルコンは、その窪みに流し込んで下さい」
「こうか?」
カナタは錬金術でオリハルコンを液体化して窪みに流し込んだ。
その量は、砢システムの大きさからは信じられないぐらい大量だった。
おそらくマジックバッグ的な空間収納となっているのだろう。
「はい。充分です。
次にヒヒイロカネの微細ゴーレムをこちらに」
そこにはもう一つ窪みがあった。
カナタは【ゴーレム召喚の杖】でヒヒイロカネの微細ゴーレムを召喚した。
実物はニクに見せてもらったので、後はイメージの問題だった。
そこにカナタの魔力量が合わさって、ヒヒイロカネの微細ゴーレムは、ニクが見せたものと全く同じものとして大量に召喚された。
「これで良いかな?」
「はい。充分です。
砢システムの外殻にヒヒイロカネを補充すれば、そこから増えるはずです」
「これで良い?」
カナタはヒヒイロカネを砢システムの外殻に均等になるように被せた。
「はい。問題ありません。
では、胸に収めて再起動させてください」
「【ヒール】【リカバー】」
カナタは【ヒール】で開胸部を閉じ、【リカバー】で砢システムのスイッチを入れた。
「所有権登録が完了いたしました。
ηは、マスターの指揮下に入ります」
「所有権登録が完了いたしました。
ζ5は、マスターの指揮下に入ります」
「え!?」
その言葉にガンマ1は驚きの声をあげた。
まさかと思うが、彼女は自らをゼータ5と自己紹介したのだ。
「(まさか、まさか!)」
「どうしたガンマ1、私のことを忘れたのか?」
ゼータ5を見つめて慌てているガンマ1にゼータ5は苦笑しながらそう問いかけた。
ゼータ5には記憶が残っていたのだ。
それは神様からの粋なサプライズだったのかもしれない。
「ゼータ5!」
ガンマ1は、ゼータ5をひしと抱きしめるのだった。
ホムンクルスの製造と人体設計図によるの肉体培養は錬金術の範疇であり、機材と時間をかければ、カナタにも実現が可能だった。
肉ゴーレムは、錬金術に加えて召喚術やゴーレムオーブからの転用が可能で、カナタならば【ゴーレム召喚の杖】で素体の準備が可能だった。
だが、今回はゼータ5とイータの肉体を素体として使うため、その製造工程は省略された。
「マスターは、錬金術でオリハルコンを加工できますか?」
カナタはその質問に答えることが出来なかった。
それもそのはずで、オリハルコンを使って何かを作ったことが一度もなく、やってみなければわからなかったのだ。
「ちょっと、やってみる」
カナタは【ロッカー】からオリハルコンのインゴットを出すと、錬金術のサブスキルである【金属加工】を使った。
するとオリハルコンは粘土のように柔らかくなり、カナタの手で自由に加工することが出来た。
「出来たよ?」
ニクはその様子をじっと見ていたが、カナタの問いに首を横に振りながら言う。
「もっと柔らかく、水のように出来ますか?」
ニクに言われてカナタはオリハルコンに更に魔力を加えた。
するとオリハルコンは水銀のようにサラサラと流れる液体金属となった。
「こうかな?」
「充分です」
ニクはオリハルコンの状態を見て頷くと次の工程を説明する。
「続けて必要な技術は錬金術によるゴーレム製造です。
ヒヒイロカネを使い微小ゴーレムを製造していただきます」
そう言うとニクは指先から赤金色の液体を出した。
それは一見、血のように見えたが、明らかに金属光沢があり、血漿の中に何か金属の物体が入っているようだった。
カナタは知らないはずの知識でナノマシンだと気付いた。
それが何を意味するのかは理解していなかったが、そう呼ばれるものであることは頭でわかってしまった。
「この中に小さな小さなゴーレムがいるんだね?」
「はい。このゴーレムにより液体化されたオリハルコンを全身の運び、骨格の表面を強化するのです」
それが愛砢人形の骨格を強化している秘密だった。
「ヒヒイロカネの微小ゴーレムは、他にも【身体強化】をかけて全身の筋肉を強化したり、【知覚強化】で神経伝達速度を上げたりもしています」
「そんなゴーレムをどうやって作るんだ?」
そんな高性能なゴーレムを、しかも大量に作るとは、カナタには想像もつかないことだった。
「全ては竜玉に制御術式を刻み、錬金術の液体金属化を付与し、ゴーレム製造のプラントを稼働させることで実現します」
「その術式はどうするの?」
「記憶キューブにアーカイブが存在します。
現在提供出来るのはイプシロン、デルタ、ゼータ、シータと強化外装の術式だけになります。
マスター、キューブその3とその5を探してください」
ニクに実装されているキューブはその2とその4らしい。
その1は例の愛砢人形開発史なので、ニクも端折って良いと考えているようだ。
「つまりゼータ5は復活可能ということか。
いや、制御術式は既に彼女たちの砢システムに記述済みだ。
そこは端折ることが出来るはずだ」
カナタはそう気付いた。
「となるとゼータ5とイータは、制御術式が砢システムの竜玉に刻まれているということだよね?」
「そこに破損が無いのならば、そのまま流用が可能です」
となると、いったい何が彼女たちの起動を妨げているのだろうか?
「ならば、どうしてゼータ5とイータは起きないんだ?」
「それは、砢システムと素体が紐づいていないからです。
彼女たちは、無理やりその絆を絶たれてしまっているのです」
これは人の肉体と魂の関係と同じだった。
肉体と魂が切り離されたために、肉体という部品は正常でも生き返ることはないのだ。
「では、それをどうやって繋げているんだ?」
魂の受け皿に魂を宿す仕組み、それこそが愛砢人形最大の秘密だった。
「それは神の力である【転生】による肉体と魂の紐付けです。
愛砢人形では素体と砢の紐付けになりますが」
これはカナタが亡くなり、その肉体に多田野信の魂を紐付けようとした、まさに女神が使った力のことだった。
それを人であるカナタにさせるなど、無理だろうとカナタは思った。
「それは神のスキルじゃないの?
僕に出来るはずがない」
カナタは無理だとしか思えなかった。
しかし、一方でニクたち愛砢人形が存在している。
それをグランドマスターがやってのけたから、ニクたちがいるということだ。
「いえ、マスターだからこそ出来るのです。
私たちが何処から出て来たかお忘れですか?
私たちはガチャオーブから出てきて、マスターに砢システムのスイッチを入れてもらったから、ここに居るのです」
カナタはなぜ愛砢人形がガチャオーブから出て来るのか不思議に思っていたことを思い出した。
肉ゴーレムのまま倒れ、その後またガチャオーブから生まれる。
そこには創造神による輪廻転生が存在しているのではないかとカナタは思っていた。
そう輪廻【転生】なのだ。
「つまり、僕がガチャオーブに返したことで、【転生】が成り立っていると?」
カナタは恐る恐る【ロッカー】からゼータ5とイータの山吹色のゴーレムオーブを出した。
「残念ながら、ゼータ5とイータはまだ起動できません。
おそらく、砢システムからオリハルコンとヒヒイロカネの微細ゴーレムが流れ出してしまっています」
「つまり、液体のオリハルコンとヒヒイロカネの微細ゴーレムを補充すればいんだね?」
「はい」
カナタは山吹色のゴーレムオーブを開けると2人を作業台に並べた。
そして胸を開けると砢システムを露出させた。
「液体オリハルコンは、その窪みに流し込んで下さい」
「こうか?」
カナタは錬金術でオリハルコンを液体化して窪みに流し込んだ。
その量は、砢システムの大きさからは信じられないぐらい大量だった。
おそらくマジックバッグ的な空間収納となっているのだろう。
「はい。充分です。
次にヒヒイロカネの微細ゴーレムをこちらに」
そこにはもう一つ窪みがあった。
カナタは【ゴーレム召喚の杖】でヒヒイロカネの微細ゴーレムを召喚した。
実物はニクに見せてもらったので、後はイメージの問題だった。
そこにカナタの魔力量が合わさって、ヒヒイロカネの微細ゴーレムは、ニクが見せたものと全く同じものとして大量に召喚された。
「これで良いかな?」
「はい。充分です。
砢システムの外殻にヒヒイロカネを補充すれば、そこから増えるはずです」
「これで良い?」
カナタはヒヒイロカネを砢システムの外殻に均等になるように被せた。
「はい。問題ありません。
では、胸に収めて再起動させてください」
「【ヒール】【リカバー】」
カナタは【ヒール】で開胸部を閉じ、【リカバー】で砢システムのスイッチを入れた。
「所有権登録が完了いたしました。
ηは、マスターの指揮下に入ります」
「所有権登録が完了いたしました。
ζ5は、マスターの指揮下に入ります」
「え!?」
その言葉にガンマ1は驚きの声をあげた。
まさかと思うが、彼女は自らをゼータ5と自己紹介したのだ。
「(まさか、まさか!)」
「どうしたガンマ1、私のことを忘れたのか?」
ゼータ5を見つめて慌てているガンマ1にゼータ5は苦笑しながらそう問いかけた。
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