父親が呪われているので家出してガチャ屋をすることにしました

北京犬(英)

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ウルティア国戦役編

184 ニク、語る2

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「さて、これで竜玉、オリハルコン、ヒヒイロカネは揃った。
これからどうすれば良いんだ?」

 ガーディアの工房まで転移して来たカナタは、グリーンバレーの拠点へカナタたちの帰還を知らせるようにとメイドに頼んだ。
その後すぐ、カナタはニクとガンマ1と共に工房の一室に籠った。

 グリーンバレーにメイドを派遣したのは、御者がカナタたちを待ち続けるのではないかと危惧したためでだった。
そして、工房の一室に籠る人数を制限したのは、何処で秘密が漏れるか見当もつかないため、秘密に触れる人数を減らそうと思い至ったためだった。
そんなカナタの配慮も我関せずと、ニクは愛砢人形ラブラドールの製造方法を話し始めた。

「まず、素体を用意しなけれななりません。
素体とは人工的に製造された肉体を指します。
ホムンクルスとして培養する場合、人体設計図DNAにより複製する場合、肉ゴーレムを利用する場合があります」

「え? 肉ゴーレムで良いの?」

「素体の良し悪しで性能に差が出ますが、使えない訳ではありません。
特に問題となるのは容姿でしょうか。
肉ゴーレムを素体とすると、容姿的には高性能とは言えなくなります」

「高性能って……」

 容姿を性能として表すとは「某人材派遣業がやらかしたセクハラじゃなかったか?」とカナタは知らないはずの知識で思った。
いや、あくまでも肉ゴーレムのことだ。
あまり人体ともいえない物体になるということなのかもしれない。
カナタの知らないはずの知識が危険信号を発する。
これ以上は止めておこう。

「私の口からは言えませんが、魔物の肉で構成された肉ゴーレムを想像していただければ、お解りになるでしょう」

「ああ、それは想像したくないね」

 やはり人からかけ離れるという事だろう。
うん、そうに決まっている。

人体設計図DNAにより複製する場合は、元にした人物の容姿に依存します」

「まあそうだろうね」

 カナタはDNAというものを知らないはずの知識として知っていた。
それが同一の容姿を持つ肉体を作り上げられるということも漠然と理解していた。

「肉体的な頑強さにも多少影響しますが、肉体はシステムにより補強されますので、元となる人体設計図DNAによる差は微妙な差でしかありません」

「もし、その素体の人体設計図DNAが頑健な肉体を持つ獣人だったならば、どうなる?」

「それはデータにありません。
確かに大きな差となるかもしれません。
検討の余地があるかもしれないですね」

 カナタの脳裏には竜人であると告白したリュゼットのことが思い起こされていた。
もし素体を竜人としたら、出来上がった愛砢人形ラブラドールはどうなるのだろうか。

「いや、忘れてくれ」

 しかし、カナタはその考えを頭から消すことにした。
人体実験的なことになるので危険だと、知らないはずの知識がブレーキをかけたのだ。
良くあるクローン議論に、複製されたクローンの人格に対する人権問題が上げられる。
愛砢人形ラブラドール化は、その人格に対する上書きという冒涜かもしれないと知らないはずの知識が警告を発していたのだ。

「次にホムンクルスですが、これは錬金術により製造された人工人体を利用します。
それに憑依させる人工的な魂、所謂人造生命は必要としないため、ホムンクルス技術としては初歩となります。
これは人体の良い所どりをすることが出来ますので、素体としては最も高性能となるでしょう」

 人道的にもホムンクルスはギリギリ肉人形と言える存在だった。
魂の無い抜け殻の人工人体を利用する、それが救いになるかもしれなかった。

「ただし、ホムンクルスは回復魔法や回復薬が効きません。
それが欠点といえば欠点となります」

 つまりニクたちは回復魔法が効くのでホムンクルス素体ではないということだった。

「ニクは、人体設計図DNAによる素体を利用しているんだよね?」

 カナタはそう口にして、しまったと口に手を当てた。
あまりにデリカシーの無い質問をしてしまったと後悔したのだ。
それは倫理的に拙い結果であると告白させることになるかもしれなかったからだ。

「私は、グランドマスターの人体設計図DNAに手を加えたうえで製造されています。
姉妹たちは私の人体設計図DNAにさらに手を加えた形です」

 一応、DNA提供者の意思確認は出来た。
しかし、それはさらなる問題点の告白だった。

「DNAデザインか!」

 カナタはまた知らないはずの知識が頭に浮かんで叫んでしまった。
人体設計図DNAを自由に編集し思い通りの改変を加える。
その結果が微妙に容姿の違う姉妹たちなのだ。
この世界では、当然ながら国際的な倫理規定など制定されていない。
マッドサイエンティストが暴走すれば、いくらでもマッドな研究を追求出来るのだ。

「僕には出来ないかもしれない」

 カナタは知らないはずの知識が齎す倫理という壁に突き当たってしまった。

「ならば、素体はデルタ5とイータのものを使用しましょう」

 ニクはそのカナタの葛藤を理解したのかそう提案した。
二人を助けるために愛砢人形ラブラドールの製造工程を行う。
それならば、カナタにも出来そうだった。
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