202 / 204
ウルティア国戦役編
202 カナタ、獣を狩る2
しおりを挟む
「マスター、戻りました」
迷宮入口の監視に出ていたアルファ、ニュー、ゼータ5、ラムダ3がイオタとデルタが居る待機場所に戻って来た。
これでカナタの指揮下にあるガンマ1とシータを除く愛砢人形21人全員がここに集結した。
「では、各チームに分かれて情報を共有してくれ」
カナタは当初の予定通り各チームに分かれてもらい、作戦を聞いていない者にチームメンバーから詳細を伝える時間をとろうとした。
「その必要はありません。
既に通信で打ち合わせ済みです」
彼女たちはカナタが急いでいることを察して、アルファたちが戻ってくる時間を使って通信で情報共有を済ませていたのだ。
このような行動が出来るのも、カナタが個人の意思を尊重したおかげだった。
しかし、その自由意志がシータにあのような行動を取らせてしまったのだが……。
「では、迷宮内に【転移】する。
15階層なら人気が無いはずだ」
そう言うとカナタは【転移】魔法を使った。
カナタの目の前に扉サイズの転移門が開く。
カナタはそのドアを開けて向こう側を覗くと素早く周囲に【魔力探知】をかけた。
迷宮15階のその場所には幸いなことに冒険者も魔物も謎の組織の人間もいなかった。
「誰も居ない。行くぞ」
カナタの合図で21人の愛砢人形が迷宮内へと突入した。
最後にカナタが転移門を潜りドアを閉めると転移門はその姿を消した。
「獣型も砢システムを持っているはずだ。
その反応を探知できるか?」
索敵特化のシータならば迷宮の1階から15階の反応を探知出来たのだが、そこまでの探知能力を持つ愛砢人形は他には存在しなかった。
その中でもアルファ、マイ、ベータ、ニューは他よりは突出した探知能力があった。
それでも階を複数跨ぐだけの探知能力は無いのだ。
カナタはシータが特別だったことを再認識せざるを得ず、また落ち込んでしまう。
「この階には居ない」
早速【探知】をかけたニューが報告する。
「つまり上か下かとなるな……」
カナタはいきなり15階に転移して来たことを後悔した。
カナタは例の隠し部屋があった15階に他の隠し部屋――潜伏場所――があるのではないかと見当を付けていたのだが、それが裏目に出たかたちだった。
1階に転移して階毎に探知していけば、確実に敵を追い詰めることが出来たはずだった。
だが、それでは時間がかかると焦ったカナタは、そのため勘に頼ったところがあった。
「不本意だが上の階と下の階に探査に向かうチームを分ける。
僕は下の階だと思っているので、上の階にニューチーム、その他3チームは下の階に向かうことにする。
僕はアルファのチームと行動を共にする。
どちらか見つけた方は速やかに通信で連絡するように。
合流してから全力で叩くつもりだ」
「「「「了解」」」」
戦力の分散は悪手だが、カナタはチームを分けることにした。
あくまでも探知のための分散であり、攻撃は全員で行うつもりだった。
「うん? これかな?」
「ああ、変な感じがするね」
「なんか気持ち悪い。純粋な砢システムじゃないよ、これ」
「なんだろう? 邪悪?」
暫く進み20階に入るとベータとマイが砢システムの反応を探知した。
その反応は純粋な砢システムのものではなく、邪悪な波動を纏っているようだという。
「獣型に相応しい反応だな」
カナタは純粋な砢システムではないということで、獣型は愛砢人形の改悪版だと認識した。
「まさか、あの抜かれた砢システムは……」
カナタはその悪魔の所業を瞬時に察した。
あのゼータ5とイータから抜かれた砢システムの利用先がそれだと。
その改悪に愛砢人形が殺されて利用されているのならば、許せるものでは無かった。
ガンマ1とラムダ3もその犠牲となるところだったのだ。
「反応は何体だ?」
「反応は4」
マイが即座に答える。
獣型3体に男型1、あるいは男型は壊れていて女型が1かもしれない。
どちらにしろ先に遭遇した敵の全員が此処にいるのだろう。
敵が分散している可能性もあったので、これはこれで好都合だった。
「通信でニューのチームを呼び寄せるんだ。
15階の転移地点まで僕が迎えに行くと伝えろ。
合流後、予定通り5:1で殲滅する!」
カナタは護衛のアルファチームを連れて15階の転移地点までニューのチームを迎えに行くのだった。
迷宮入口の監視に出ていたアルファ、ニュー、ゼータ5、ラムダ3がイオタとデルタが居る待機場所に戻って来た。
これでカナタの指揮下にあるガンマ1とシータを除く愛砢人形21人全員がここに集結した。
「では、各チームに分かれて情報を共有してくれ」
カナタは当初の予定通り各チームに分かれてもらい、作戦を聞いていない者にチームメンバーから詳細を伝える時間をとろうとした。
「その必要はありません。
既に通信で打ち合わせ済みです」
彼女たちはカナタが急いでいることを察して、アルファたちが戻ってくる時間を使って通信で情報共有を済ませていたのだ。
このような行動が出来るのも、カナタが個人の意思を尊重したおかげだった。
しかし、その自由意志がシータにあのような行動を取らせてしまったのだが……。
「では、迷宮内に【転移】する。
15階層なら人気が無いはずだ」
そう言うとカナタは【転移】魔法を使った。
カナタの目の前に扉サイズの転移門が開く。
カナタはそのドアを開けて向こう側を覗くと素早く周囲に【魔力探知】をかけた。
迷宮15階のその場所には幸いなことに冒険者も魔物も謎の組織の人間もいなかった。
「誰も居ない。行くぞ」
カナタの合図で21人の愛砢人形が迷宮内へと突入した。
最後にカナタが転移門を潜りドアを閉めると転移門はその姿を消した。
「獣型も砢システムを持っているはずだ。
その反応を探知できるか?」
索敵特化のシータならば迷宮の1階から15階の反応を探知出来たのだが、そこまでの探知能力を持つ愛砢人形は他には存在しなかった。
その中でもアルファ、マイ、ベータ、ニューは他よりは突出した探知能力があった。
それでも階を複数跨ぐだけの探知能力は無いのだ。
カナタはシータが特別だったことを再認識せざるを得ず、また落ち込んでしまう。
「この階には居ない」
早速【探知】をかけたニューが報告する。
「つまり上か下かとなるな……」
カナタはいきなり15階に転移して来たことを後悔した。
カナタは例の隠し部屋があった15階に他の隠し部屋――潜伏場所――があるのではないかと見当を付けていたのだが、それが裏目に出たかたちだった。
1階に転移して階毎に探知していけば、確実に敵を追い詰めることが出来たはずだった。
だが、それでは時間がかかると焦ったカナタは、そのため勘に頼ったところがあった。
「不本意だが上の階と下の階に探査に向かうチームを分ける。
僕は下の階だと思っているので、上の階にニューチーム、その他3チームは下の階に向かうことにする。
僕はアルファのチームと行動を共にする。
どちらか見つけた方は速やかに通信で連絡するように。
合流してから全力で叩くつもりだ」
「「「「了解」」」」
戦力の分散は悪手だが、カナタはチームを分けることにした。
あくまでも探知のための分散であり、攻撃は全員で行うつもりだった。
「うん? これかな?」
「ああ、変な感じがするね」
「なんか気持ち悪い。純粋な砢システムじゃないよ、これ」
「なんだろう? 邪悪?」
暫く進み20階に入るとベータとマイが砢システムの反応を探知した。
その反応は純粋な砢システムのものではなく、邪悪な波動を纏っているようだという。
「獣型に相応しい反応だな」
カナタは純粋な砢システムではないということで、獣型は愛砢人形の改悪版だと認識した。
「まさか、あの抜かれた砢システムは……」
カナタはその悪魔の所業を瞬時に察した。
あのゼータ5とイータから抜かれた砢システムの利用先がそれだと。
その改悪に愛砢人形が殺されて利用されているのならば、許せるものでは無かった。
ガンマ1とラムダ3もその犠牲となるところだったのだ。
「反応は何体だ?」
「反応は4」
マイが即座に答える。
獣型3体に男型1、あるいは男型は壊れていて女型が1かもしれない。
どちらにしろ先に遭遇した敵の全員が此処にいるのだろう。
敵が分散している可能性もあったので、これはこれで好都合だった。
「通信でニューのチームを呼び寄せるんだ。
15階の転移地点まで僕が迎えに行くと伝えろ。
合流後、予定通り5:1で殲滅する!」
カナタは護衛のアルファチームを連れて15階の転移地点までニューのチームを迎えに行くのだった。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる