父親が呪われているので家出してガチャ屋をすることにしました

北京犬(英)

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ウルティア国戦役編

202 カナタ、獣を狩る2

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「マスター、戻りました」

 迷宮入口の監視に出ていたアルファニク、ニュー、ゼータ5、ラムダ3がイオタとデルタが居る待機場所に戻って来た。
これでカナタの指揮下にあるガンマ1とシータを除く愛砢人形ラブラドール21人全員がここに集結した。

「では、各チームに分かれて情報を共有してくれ」

 カナタは当初の予定通り各チームに分かれてもらい、作戦を聞いていない者にチームメンバーから詳細を伝える時間をとろうとした。

「その必要はありません。
既に通信で打ち合わせ済みです」

 彼女たちはカナタが急いでいることを察して、アルファニクたちが戻ってくる時間を使って通信で情報共有を済ませていたのだ。
このような行動が出来るのも、カナタが個人の意思を尊重したおかげだった。
しかし、その自由意志がシータにあのような行動を取らせてしまったのだが……。

「では、迷宮内に【転移】する。
15階層なら人気ひとけが無いはずだ」

 そう言うとカナタは【転移】魔法を使った。
カナタの目の前に扉サイズの転移門が開く。
カナタはそのドアを開けて向こう側を覗くと素早く周囲に【魔力探知】をかけた。
迷宮15階のその場所には幸いなことに冒険者も魔物も謎の組織の人間もいなかった。

「誰も居ない。行くぞ」

 カナタの合図で21人の愛砢人形ラブラドールが迷宮内へと突入した。
最後にカナタが転移門を潜りドアを閉めると転移門はその姿を消した。

「獣型もシステムを持っているはずだ。
その反応を探知できるか?」

 索敵特化のシータならば迷宮の1階から15階の反応を探知出来たのだが、そこまでの探知能力を持つ愛砢人形ラブラドールは他には存在しなかった。
その中でもアルファニク、マイ、ベータ、ニューは他よりは突出した探知能力があった。
それでも階を複数跨ぐだけの探知能力は無いのだ。
カナタはシータが特別だったことを再認識せざるを得ず、また落ち込んでしまう。

「この階には居ない」

 早速【探知】をかけたニューが報告する。

「つまり上か下かとなるな……」

 カナタはいきなり15階に転移して来たことを後悔した。
カナタは例の隠し部屋があった15階に他の隠し部屋――潜伏場所――があるのではないかと見当を付けていたのだが、それが裏目に出たかたちだった。
1階に転移してフロア毎に探知していけば、確実に敵を追い詰めることが出来たはずだった。
だが、それでは時間がかかると焦ったカナタは、そのため勘に頼ったところがあった。

「不本意だが上の階と下の階に探査に向かうチームを分ける。
僕は下の階だと思っているので、上の階にニューチーム、その他3チームは下の階に向かうことにする。
僕はアルファニクのチームと行動を共にする。
どちらか見つけた方は速やかに通信で連絡するように。
合流してから全力で叩くつもりだ」

「「「「了解」」」」

 戦力の分散は悪手だが、カナタはチームを分けることにした。
あくまでも探知のための分散であり、攻撃は全員で行うつもりだった。



「うん? これかな?」

「ああ、変な感じがするね」

「なんか気持ち悪い。純粋なシステムじゃないよ、これ」

「なんだろう? 邪悪?」

 暫く進み20階に入るとベータとマイがシステムの反応を探知した。
その反応は純粋なシステムのものではなく、邪悪な波動を纏っているようだという。

「獣型に相応しい反応だな」

 カナタは純粋なシステムではないということで、獣型は愛砢人形ラブラドールの改悪版だと認識した。

「まさか、あの抜かれたシステムは……」

 カナタはその悪魔の所業を瞬時に察した。
あのゼータ5とイータから抜かれたシステムの利用先がそれだと。
その改悪に愛砢人形ラブラドールが殺されて利用されているのならば、許せるものでは無かった。
ガンマ1とラムダ3もその犠牲となるところだったのだ。

「反応は何体だ?」

「反応は4」

 マイが即座に答える。
獣型3体に男型1、あるいは男型は壊れていて女型が1かもしれない。
どちらにしろ先に遭遇した敵の全員が此処にいるのだろう。
敵が分散している可能性もあったので、これはこれで好都合だった。

「通信でニューのチームを呼び寄せるんだ。
15階の転移地点まで僕が迎えに行くと伝えろ。
合流後、予定通り5:1で殲滅する!」

 カナタは護衛のアルファニクチームを連れて15階の転移地点までニューのチームを迎えに行くのだった。
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